東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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七死の脈① 雀涿脈

2018.01.26

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北辰会では、以前少し語ったように、脈診については「胃の気の脈診」と名付けて、胃の気の盛衰を診ています。

 

 

ここでいう「胃の気」というのは「生命力」そのもののことです。

 

 

生命力が盛んであるか、衰えているかは、脈に如実に映し出される、それを明確に感知できるようになれば良い、という立場です。

 

 

どんな治療であれ、治療後に胃の気が回復したことを確認できれば、それはうまくいっている、と判断することが出来ます。

 

(ただ、いくら良性の変化でも、もちろん一過性ではダメですが。)

 

 

・・・ところで、脈の中には、「ヤバい脈」というものが存在します。

 

 

診た瞬間、「ん、これは良くない!」と判断できる脈です。

 

 

こういう脈を見つけたときは、手を出さない方が無難ですが、手を出しても変化が見られないときは、すぐさま自分よりもウデのいい先輩なり、

 

信頼できる専門病院なりに送るべきです。

 

 

そういう脈のことを「怪脈」とか、「七死の脈」と言います。

 

 

これについては、江戸中期、山延年(やまのべみのる:名前の読み方について諸説あり)の著書『脈法手引草』の中に書かれています。

 

 

『脈法手引草』は、昭和38年に、医道の日本社より、岡部素道先生によって校閲版が出版されています。

 

(岡部先生、サスガいい仕事してくれてますね~~)

 

 

そしてこの中にある「七死の脈」については、蓮風先生も『胃の気の脈診』の中で解説しておられます。

 

 

一つ目は「雀涿脈(じゃくたくみゃく)」

 

 

これは簡単に言うと、やや沈んだ不整脈の、速くて堅い脈です。

 

 

橈骨動脈の拍動部を少し押さえないと触れず、しかも堅い、速い、不整である、この条件が揃うと、「ヤバい!」となります。

 

 

「雀啄(じゃくたく)」というのは、刺鍼の際の補瀉の技術でも使われるいい方なんですが、読んで字のごとく、「雀が啄(ついば)むように」といいうことで、

 

自然界の雀の嘴の動きを見てると分かるように、速く鋭く、チョンチョンと指に触れる脈、という意味です。

 

「雀啄」を含む記事 参照

 

 

この脈を診たら、あと4、5日は持つけど、脾胃が動いていない脈なので、終いには亡くなってしまう、と書かれてます。

 

 

これに相当する脈は、末期がんの患者さんなどで、亡くなられる寸前に何度か診たことがありますが、現代では、病院に入院している患者さんで診ることが多く、

 

その場合は点滴が入っていることが多く、まるで”ふやけた”ように、強制的に血脈が緩まされていて輪郭がぼやけている面があるため、

 

「堅さ」についてはさほど感じない、という印象が、個人的にはあります。

 

 

 

続く

 

 

 

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補瀉 50

2016.04.23

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これまでのお話・・・

 

 

補瀉 1 補瀉の定義と『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の補法 

補瀉 2 『黄帝内経素問』調経論(62)の補法

補瀉 3 『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の補法

補瀉 4 『黄帝内経霊枢』官能萹(7)の補法

補瀉 5 『黄帝内経霊枢』邪客萹(71)の補法

補瀉 6 『黄帝内経霊枢』小鍼解篇(3)の補法

補瀉 7 『黄帝内経霊枢』邪気蔵府病形篇(4)の補法

補瀉 8  『黄帝内経素問』刺志論(53)の補法

補瀉 9  『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の瀉法

補瀉 10 『黄帝内経霊枢』小鍼解萹(3)の瀉法

補瀉 11 『黄帝内経素問』八正神明論(26)の瀉法

補瀉 12 『黄帝内経素問』調経論(62)の瀉法

補瀉 13 『黄帝内経素問』刺志論(53)の瀉法

補瀉 14 『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の瀉法

補瀉 15 『黄帝内経』の補法まとめ

補瀉 16 『黄帝内経』の瀉法まとめ

補瀉 17 『難経』71難における補瀉

補瀉 18 『難経』76難における補瀉

補瀉 19 『難経』76難における補瀉の続き

補瀉 20 『難経』78難における補瀉

補瀉 21 『難経』79難における補瀉

補瀉 22 『難経』における補瀉まとめ

補瀉 23    孫思邈(そんしばく 541~682)の『備急千金要方』『千金翼方』の補瀉

補瀉 24   金代、何若愚 撰『子午流注鍼経』における補瀉

補瀉 25     金代、竇漢卿『針経指南』における補瀉

補瀉 26     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉

補瀉 27     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その2

補瀉 28   明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その3

補瀉 29     明代、李梃『医学入門(1575)』における補瀉

補瀉 30   明代、高武『鍼灸聚英(1529)』における補瀉

補瀉 31   現代中医学における補瀉

補瀉 32     日本における補瀉の受容

補瀉 33    『針道秘訣集』における補瀉

補瀉 34    『杉山真伝流』における補瀉 1

補瀉 35  『杉山真伝流』における補瀉 2

補瀉 36     永田徳本(1513?-1630?)『鍼灸極秘伝』『徳本多賀流針穴秘伝』の補瀉

補瀉 37   『杉山流三部書』における補瀉 

補瀉 38     岩田利斉『鍼灸要法』における補瀉

補瀉 39    岡本一抱『鍼灸抜萃大成』における補瀉 

補瀉 40    本郷正豊『鍼灸重宝記』における補瀉 

補瀉 41  菅沼周桂(1706-1764)『鍼灸則』における補瀉 

補瀉 42  石坂宗哲(1770-1841)『鍼灸茗話』における補瀉 

補瀉 43  坂井豊作(1815-1878)『鍼術秘要』における補瀉 

補瀉 44   澤田流における補瀉 

補瀉 45  柳谷素霊先生、経絡治療学会における補瀉 

補瀉 46 北辰会における補瀉

補瀉 47 北辰会における補瀉 2

補瀉 48 北辰会における補瀉 3

補瀉 49 北辰会における補瀉 4           参照

 

 

では続きいきます!!

 

 

いやー、何気に、清明院ブログの最長シリーズとなりました。

 

(まあでも、それに相応しいテーマだったと思います。)

 

 

ここまで長かったですが、書いている方としては、メチャクチャ楽しかったんで、体感時間としては一瞬でした。(笑)

 

(一般の読者の方々には難しくてしんどかったでしょうけども。。。(苦笑))

 

 

このシリーズを書く中で、色々知らなかったことを知りました。

 

 

鍼を打つときの考えが少し変わりました。

 

 

それがたいへん大きな収穫でした。

 

 

ちょうど50回で終わるというのも、キリが良過ぎてコワい。(笑)

 

 

 

 

まあ何度も言うように、僕にとって、治療において、鍼というのは「気」を動かすのにたいへん有利な道具です。

 

 

もう少しかみ砕いて言えば、経穴に正気を集めたり、邪気を散らしたりして、結果的に経絡の流れを正常化し、結果的に五臓六腑の機能を賦活化し、

 

結果的に患者さんの「治る力」を最大化する、つまり正気の働きを高める、便利な道具です。

 

 

で、それをする時の実際の手法が「補瀉」なのであります。

 

 

つまり、歴代の多くの医家が言うように、「補瀉」を突き詰めて考えることは、鍼灸という道具を使いこなす、技術論の究極を考えることです。

 

 

そして、「補瀉」するにあたっての条件となる「虚実」を突き詰めて考えることは、鍼灸の病理論の究極を考えることでもあります。

 

 

こうやって突き詰めて突き詰めて、鍼するにあたっての自分自身の考え(根本思想)をキッチリ作って、鍛えて鍛えて、

 

十分に鍛えて、あとはそれに基づいて、ひたすら毎日工夫しながら、臨床実践をやっていくだけです。

 

 

死ぬまで、ネ。

 

 

◆「補瀉」総まとめ

 

 

私は北辰会の講師をさせていただいておりますし、清明院での治療方式は、かなり忠実な北辰会方式(のつもり)ですので、

 

「補瀉」に関しても、当然北辰会の考え方でやっております。

 

 

ただ、今回補瀉に関して、日本と中国の歴代重要文献をツラーッと通覧させていただいて、思うこと(というか気付いたこと)がいくつかあります。

 

 

一つは、「迎隨」という言葉に対する理解についてです。

 

 

「迎随の補瀉」というと、経絡の流注に逆らって刺すのが”迎”であり瀉法、経絡の流注に沿って刺すのが”随”であり補法、

 

という『難経』72難の、解釈本に出てくる考え方が、現代の日本では非常に多いのですが、その解釈はあまりにも形式的で、

 

僕はそうではないように思います。

 

 

「迎随の補瀉」は、あくまでも患者さんの気の動きをしっかりと感じながら、その正気と邪気の動きを、変に力ずくで押さえ込まないように、

 

補瀉を成功させるのを「迎隨」というのだと思います。

 

補瀉 3 参照

 補瀉 14 参照

 

 

そしてこれは、鍼灸治療であれ手技療法であれ、問診であれ体表観察であれ、人間関係であれ、すべてに共通する

 

「”気の動かし方”の究極的な話し」

 

だと思うし、それが”迎隨”の、本来の意味なのだと思います。

 

 

つまり、”迎隨”の感覚が分からない、あるいは下手な人は、どんな治療であれ下手、ということです。

 

 

残念ながら。

 

 

鍼の聖典『黄帝内経霊枢』の筆頭である九鍼十二原(1)に、

 

「迎而奪之、悪得無虚。追而済之、悪得無実。迎之随之、以意和之、鍼道畢矣。」

 

(補瀉迎隨が意のままに分かれば、鍼の道は終わるよ~~!)

 

ザックリ意訳 by 竹下

 

 

と書いてあることの意味は、極めて深いと思います。

 

 

もう一つは、「気の内外の移動」についてです。

 

 

補法と言うと、”補う”と書くため、人体の外から何か術者のパワーを入れ込むようなイメージを持つ場合がありますが、

 

そうではなく、あくまでも「人体の中における気の移動、正気の集中」というイメージでもって、正気を集めることが重要だと思います。

 

 

瀉法もしかりで、人体から邪気を引きずり出すのではなく、あくまで人体の”中で”散っていってもらう、そういう意識が重要だと思います。

 

 

しかしその一方で、人間は自然界に充満する「気」が凝集した存在である、という理解に立つと、人体の浅い部分から深い部分に気を誘導すると、

 

気が集まりやすくなり(補法)、反対に深い部分から浅い部分に気を誘導すると、気が散りやすくなる(瀉法)という側面も、あると思います。

 

補瀉 18 参照

 

 

提挿の補瀉や、杉山流の雀啄術などは、この現象を利用して、結果的に周囲の気を集めたり散らしたりしているのだと思います。

 

 

ただ、ここ(内外の気の移動)を変にカン違いして、

 

「俺の正気を患者に分け与えよう!(患者の体に入れ込む、注入する)」

 

とか、

 

「この患者から邪気を吸い取ってあげよう!(術者が吸収する)」

 

とか、そういう考えでやると、大体治療者が病気になります。(笑)

 

 

毎日毎日、重い病気の患者さんばっかり来るのに、そんなことやってたら、命がいくつあっても足りません。(笑)

 

 

ここは北辰会でも、非常に厳しく戒めているところです。

 

 

まあしかし、実はそういう考え方もないではないのです。

 

 

それについても、機会があったら書きましょう。

 

(怪しいヤツね。(゜レ゜))

 

 

そうやって変に作為的にやるのではなく、鍼灸という道具を「上手に」使って、「無理なく」気を操作し、結果的に「治る力」「無駄なく」活かしきる、

 

これが本来の鍼灸治療だと思っています。

 

(まあこの考え方が、「治る力を活かす」という、清明院のキャッチコピーになる訳です。(笑))

 

 

今回、認識を深めたのは上記の二点。

 

(細かいこと言えばまだまだあるけど、ちょっと複雑なんで省きます☆)

 

あとはこれを、徹底的に臨床で追試していくのみです。

 

 

さーて、補瀉シリーズは以上です。

 

 

いかがでしたでしょうか。(笑)

 

 

あまりにも長くなったし、しかも専門的になってしまったので、あとで目次と参考文献を載せておきます。

 

 

 

続く

 

 

 

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補瀉 49

2016.04.22

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これまでのお話・・・

 

 

補瀉 1 補瀉の定義と『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の補法 

補瀉 2 『黄帝内経素問』調経論(62)の補法

補瀉 3 『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の補法

補瀉 4 『黄帝内経霊枢』官能萹(7)の補法

補瀉 5 『黄帝内経霊枢』邪客萹(71)の補法

補瀉 6 『黄帝内経霊枢』小鍼解篇(3)の補法

補瀉 7 『黄帝内経霊枢』邪気蔵府病形篇(4)の補法

補瀉 8  『黄帝内経素問』刺志論(53)の補法

補瀉 9  『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の瀉法

補瀉 10 『黄帝内経霊枢』小鍼解萹(3)の瀉法

補瀉 11 『黄帝内経素問』八正神明論(26)の瀉法

補瀉 12 『黄帝内経素問』調経論(62)の瀉法

補瀉 13 『黄帝内経素問』刺志論(53)の瀉法

補瀉 14 『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の瀉法

補瀉 15 『黄帝内経』の補法まとめ

補瀉 16 『黄帝内経』の瀉法まとめ

補瀉 17 『難経』71難における補瀉

補瀉 18 『難経』76難における補瀉

補瀉 19 『難経』76難における補瀉の続き

補瀉 20 『難経』78難における補瀉

補瀉 21 『難経』79難における補瀉

補瀉 22 『難経』における補瀉まとめ

補瀉 23    孫思邈(そんしばく 541~682)の『備急千金要方』『千金翼方』の補瀉

補瀉 24   金代、何若愚 撰『子午流注鍼経』における補瀉

補瀉 25     金代、竇漢卿『針経指南』における補瀉

補瀉 26     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉

補瀉 27     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その2

補瀉 28   明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その3

補瀉 29     明代、李梃『医学入門(1575)』における補瀉

補瀉 30   明代、高武『鍼灸聚英(1529)』における補瀉

補瀉 31   現代中医学における補瀉

補瀉 32     日本における補瀉の受容

補瀉 33    『針道秘訣集』における補瀉

補瀉 34    『杉山真伝流』における補瀉 1

補瀉 35  『杉山真伝流』における補瀉 2

補瀉 36     永田徳本(1513?-1630?)『鍼灸極秘伝』『徳本多賀流針穴秘伝』の補瀉

補瀉 37   『杉山流三部書』における補瀉 

補瀉 38     岩田利斉『鍼灸要法』における補瀉

補瀉 39    岡本一抱『鍼灸抜萃大成』における補瀉 

補瀉 40    本郷正豊『鍼灸重宝記』における補瀉 

補瀉 41  菅沼周桂(1706-1764)『鍼灸則』における補瀉 

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補瀉 43  坂井豊作(1815-1878)『鍼術秘要』における補瀉 

補瀉 44   澤田流における補瀉 

補瀉 45  柳谷素霊先生、経絡治療学会における補瀉 

補瀉 46 北辰会における補瀉

補瀉 47 北辰会における補瀉 2

補瀉 48 北辰会における補瀉 3          参照

 

 

では続きいきます!!

 

 

◆北辰会の補瀉は、何故ほとんど手技を使わないのか その3(練達自然と無為自然)

 

 

前回、北辰会がほとんど補瀉手技を使わないのは、老子の「無為自然」という考え方に基づいている面がある、というお話をしました。

 

 

しかし、鍼灸治療においての「無為自然」というのは、素人が、ただ何も考えず、ワケも分からずする、という意味ではありません。

 

 

徹底的で的確な診察診断(四診)と、徹底的な学術の鍛錬、修行を踏まえた上で、「無為」を志向しよう、ということなのです。

 

 

ですから老子ではなく荘子の言う「練達自然」を踏まえての、「無為自然」です。

 

 

修行、練習を十分にやった上での自然、これを「練達自然」と言います。

 

(因みに練達自然については、『荘子』養生主篇 第三の庖丁のお話を参照してください。)

 

 

荘子についてはこのブログでも以前紹介しました。

 

「荘子」という人物

『荘子』の渾沌のお話   参照

 

 

ここを変にカン違いして、

 

「北辰会の鍼は手技を使わないから、手指の不器用な俺に向いてるわーー(*‘∀‘)」

 

とか、浅薄かつ短絡的に考えた人は、まあドボンです。(笑)

 

 

失敗のマザーです。(笑)

 

 

結末は見えていると言ってもいい。(゜レ゜)

 

 

蓮風先生は常々、

 

「鍼をするには指の力が重要なんだ!」 

 

と仰り、弟子と指での押し合いをよくやっています。

 

 

また過去には、 ”硬物通し”と言って、堅いものを捻鍼で貫く練習を重ね、ついには鹿の頭蓋骨を刺し抜いたという逸話もあります。

 

 

このように、十二分に修行したうえでの「無為自然」なのであって、ただ適当にやるのとはワケが違います。

 

 

ですので、鍼を練習し始めたら、まずは今生体に気が集まっているのか散っているのか、そういう「鍼先の感覚」というものをしっかりと認識できるようになることがまず第一歩で、

 

次に、捻鍼や雀啄を加えるとそれがどうなるか、とか、そういう練習を重ねることが重要で、そこで身に付いたものは、決して無意味ではありません。

 

 

むしろ非常に大事なことです。

 

 

今年の関東支部の実力強化合宿「順雪会」でも、硬物通しの練習をしました。

 

 

こういうことを大事にする姿勢を忘れないことは、非常に大事です。

 

 

蓮風先生や、北辰会のそれ以外の幹部の先生方の臨床を見ていても、刺鍼後に微妙に手技を加えている場合は、実際にあります。

 

 

もちろん理想は「無為自然」であるけれども、臨床ではどんな場合であっても、そうやって気の動きを絶妙に調整(補瀉)することが出来るかどうか、

 

これが重要なのです。

 

 

ただその手技を加える際(瞬間)に、作為的にやるのではなく「体が勝手にそう動いた」、その結果として、気が正しく動いた、

 

そういう世界に至ることが重要なんだと思います。

 

 

鍼に限らず、多くの、その道のプロ、一流の仕事というのは、そういうものだと思います。

 

 

簡単ですが、北辰会の補瀉は以上です。

 

(医易学的な補瀉に関しては、長くなるんで、そのうち気が向いたら書きましょう。)

 

 

・・・まあ、臨床家は結果責任、どんな美辞麗句、理想論を述べたとしても、治せなかったらそれは単に「ヘタ」だっちゅうことです。

 

 

蓮風先生のお父様である和風先生が、よく仰っていたそうです。

 

「治せる者が医者なんだ、治せない者は医者ではない。治せないなら、医者を辞めた方が人助けだ。」

 

と。

 

(キビシー( ゚Д゚))

 

 

 

 

さて、いよいよこの補瀉に関して、私なりの、今現在における考え、結論を述べて終わりたいと思います。

 

 

 

続く

 

 

 

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補瀉 47

2016.04.20

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これまでのお話・・・

 

 

補瀉 1 補瀉の定義と『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の補法 

補瀉 2 『黄帝内経素問』調経論(62)の補法

補瀉 3 『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の補法

補瀉 4 『黄帝内経霊枢』官能萹(7)の補法

補瀉 5 『黄帝内経霊枢』邪客萹(71)の補法

補瀉 6 『黄帝内経霊枢』小鍼解篇(3)の補法

補瀉 7 『黄帝内経霊枢』邪気蔵府病形篇(4)の補法

補瀉 8  『黄帝内経素問』刺志論(53)の補法

補瀉 9  『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の瀉法

補瀉 10 『黄帝内経霊枢』小鍼解萹(3)の瀉法

補瀉 11 『黄帝内経素問』八正神明論(26)の瀉法

補瀉 12 『黄帝内経素問』調経論(62)の瀉法

補瀉 13 『黄帝内経素問』刺志論(53)の瀉法

補瀉 14 『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の瀉法

補瀉 15 『黄帝内経』の補法まとめ

補瀉 16 『黄帝内経』の瀉法まとめ

補瀉 17 『難経』71難における補瀉

補瀉 18 『難経』76難における補瀉

補瀉 19 『難経』76難における補瀉の続き

補瀉 20 『難経』78難における補瀉

補瀉 21 『難経』79難における補瀉

補瀉 22 『難経』における補瀉まとめ

補瀉 23    孫思邈(そんしばく 541~682)の『備急千金要方』『千金翼方』の補瀉

補瀉 24   金代、何若愚 撰『子午流注鍼経』における補瀉

補瀉 25     金代、竇漢卿『針経指南』における補瀉

補瀉 26     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉

補瀉 27     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その2

補瀉 28   明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その3

補瀉 29     明代、李梃『医学入門(1575)』における補瀉

補瀉 30   明代、高武『鍼灸聚英(1529)』における補瀉

補瀉 31   現代中医学における補瀉

補瀉 32     日本における補瀉の受容

補瀉 33    『針道秘訣集』における補瀉

補瀉 34    『杉山真伝流』における補瀉 1

補瀉 35  『杉山真伝流』における補瀉 2

補瀉 36     永田徳本(1513?-1630?)『鍼灸極秘伝』『徳本多賀流針穴秘伝』の補瀉

補瀉 37   『杉山流三部書』における補瀉 

補瀉 38     岩田利斉『鍼灸要法』における補瀉

補瀉 39    岡本一抱『鍼灸抜萃大成』における補瀉 

補瀉 40    本郷正豊『鍼灸重宝記』における補瀉 

補瀉 41  菅沼周桂(1706-1764)『鍼灸則』における補瀉 

補瀉 42  石坂宗哲(1770-1841)『鍼灸茗話』における補瀉 

補瀉 43  坂井豊作(1815-1878)『鍼術秘要』における補瀉 

補瀉 44   澤田流における補瀉 

補瀉 45  柳谷素霊先生、経絡治療学会における補瀉 

補瀉 46 北辰会における補瀉           参照

 

 

 

では続きいきます!!

 

 

戦後、様々な鍼灸学校が全国に設立されるとともに、様々な流派が日本国内に起こって来た中の一つが、現在私がお世話になっている、北辰会であります。

 

 

 北辰会がいかなる流派であるかについては、北辰会のオフィシャルHPに簡明に書かれていますので、そちらを参照いただくとして、

 

北辰会も当然、これまで書いてきた「補瀉」については整理された考えを持っており、それは会内の教科書にキチッとまとめられています。

 

(一社)北辰会HP 参照

 

 

そのザックリとした概要は、前回述べました。

 

 

現代日本の様々な流派、それぞれが補瀉を論じている中で、北辰会の補瀉は、補瀉するにあたって、手技をほとんど使わない、

 

というのが際立って特徴的だろうと思います。

 

 

北辰会方式の治療と言えば、1時間以上に渡る、長くて詳細な問診と、全身くまなく診る、精密な体表観察。

 

 

そして、わずか一本、あるいはせいぜい2、3本での、少数鍼治療。

 

 

それで得られる、劇的な良性変化や、西洋医学も不得手とするような難病に対する、高い治療成果。

 

 

これが有名でしょう。

 

 

しかし、その一本の鍼に対して、これまで述べてきたように、捻ったり、雀啄したりということは、ほとんどしません。

 

 

・・・これ、なぜか。

 

 

これは大事な内容なので、今日から、何回かに分けて、これが何でなのか、というお話をします。

 

 

◆術者間でのバラつきの問題、定量化の問題

 

 

北辰会は医学理論と医学用語のベースを「中医学」に置いています。

 

東洋医学と中医学 参照

 

 

以前も紹介したように、中医学では実に複雑な補瀉手技を、たくさんたくさん、紹介しています。

 

補瀉 31   参照

 

 

北辰会も、過去にはこういう複雑な補瀉手技もしっかりと追試したようですし、実際にそれなりに効果があるということも確認しているそうです。

 

(数十年前の話ですね。)

 

 

ここで問題になるのは、手技による補瀉を、より効果的にやろうと、どんどん追求していくと、術者によって効果のバラつきが大きくなります。

 

 

指先の感覚のいい者、指先の器用な者ほど、補瀉手技がうまくなります。

 

 

そうすると徐々に、

 

「補瀉手技テクニック追求集団」

 

になっていくきらいがありますね。

 

 

北辰会の目標は、 一人の名人を作ることではなく、名人に限りなく近い鍼灸医をたくさん育てることです。

 

 

なぜならば、その方が結果的に多くの患者さんを救えるからです。

 

 

上手いやつが、超絶手技を見せつけて圧倒したところで、誰も応援してくれません。

 

 

寄り添ってくれません。

 

 

結果的にフォロアーは減り、その流儀で救える患者さんの数は減ります。

 

 

この考え方に基づき、刺鍼においては、あまり手技は使わず、その代わり、望聞問切の四診による診断を限りなく精緻にして、

 

会員間で出来るだけ理論的に共有できる形にし、治療穴を極限まで絞り込み、厳選した一穴に対して丁寧に刺鍼をし、

 

一定時間置鍼する、という、診断の精緻さを極限まで高め、刺鍼については極限までシンプルにする、という方法を採用しているのです。

 

 

こうすることにより、術者間での治療効果のバラつきを極力少なくし、診断結果と経穴の状態に合わせた「刺入深度」「置鍼時間」「目的意識」といった形で、

 

北辰会方式を学んだ者同士で、治療を出来るだけ定量化することが出来る、と考えています。

 

 

 

これがまず重要な一つ。

 

 

 

続く

 

 

 

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補瀉 35

2016.04.02

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これまでのお話・・・

 

 

補瀉 1 補瀉の定義と『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の補法 

補瀉 2 『黄帝内経素問』調経論(62)の補法

補瀉 3 『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の補法

補瀉 4 『黄帝内経霊枢』官能萹(7)の補法

補瀉 5 『黄帝内経霊枢』邪客萹(71)の補法

補瀉 6 『黄帝内経霊枢』小鍼解篇(3)の補法

補瀉 7 『黄帝内経霊枢』邪気蔵府病形篇(4)の補法

補瀉 8  『黄帝内経素問』刺志論(53)の補法

補瀉 9  『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の瀉法

補瀉 10 『黄帝内経霊枢』小鍼解萹(3)の瀉法

補瀉 11 『黄帝内経素問』八正神明論(26)の瀉法

補瀉 12 『黄帝内経素問』調経論(62)の瀉法

補瀉 13 『黄帝内経素問』刺志論(53)の瀉法

補瀉 14 『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の瀉法

補瀉 15 『黄帝内経』の補法まとめ

補瀉 16 『黄帝内経』の瀉法まとめ

補瀉 17 『難経』71難における補瀉

補瀉 18 『難経』76難における補瀉

補瀉 19 『難経』76難における補瀉の続き

補瀉 20 『難経』78難における補瀉

補瀉 21 『難経』79難における補瀉

補瀉 22 『難経』における補瀉まとめ

補瀉 23    孫思邈(そんしばく 541~682)の『備急千金要方』『千金翼方』の補瀉

補瀉 24   金代、何若愚 撰『子午流注鍼経』における補瀉

補瀉 25     金代、竇漢卿『針経指南』における補瀉

補瀉 26     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉

補瀉 27     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その2

補瀉 28   明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その3

補瀉 29     明代、李梃『医学入門(1575)』における補瀉

補瀉 30   明代、高武『鍼灸聚英(1529)』における補瀉

補瀉 31   現代中医学における補瀉

補瀉 32     日本における補瀉の受容

補瀉 33    『針道秘訣集』における補瀉

補瀉 34    『杉山真伝流』における補瀉 1        参照

 

 

では続きいきます!!

 

 

◆『杉山真伝流』における補瀉 2

 

 

前回に引き続き、『杉山真伝流』における補瀉です。

 

 

今日は、杉山流の刺鍼手技の基本となる「十八術」を紹介します。

 

 

十八種類それぞれについて細かく、分かりやすく解説してあるのは、前回も紹介した『杉山真伝流 臨床指南』に詳しく記載されていますので、

 

専門家の先生方はそちらを見ていただくとして、ここに提示された十八種類の手技は、実に様々な刺し方で、気を集めたり散らしたりできるように、

 

工夫がなされています。

 

 

杉山流はこの十八種類の手技を縦横無尽に組み合わせて、無数のパターンを作り出している、とも言えます。

 

 

そしてこの十八術の筆頭に紹介されているのが、有名な”雀啄術”です。

 

 

これは、中国では”提挿の補瀉”と言われるものと類似した手技と言っていいでしょう。

 

 

刺した鍼を、雀が啄むように出し入れする手技です。

 

 

この際の、鍼を入れるスピード、抜くスピード、どの程度大きく鍼を動かすか、こういう微妙な動きによって気の去来を操作します。

 

 

ただこの際に前提となるのは、今果たして鍼の先に正気が集まったのか、邪気が散っていっているのか、噛み分ける能力です。

 

 

これなしで、見よう見まねで鍼のいじり方だけマネしても、効果は薄いでしょう。

 

 

杉山流では、それまでの中国、日本で行われていた補瀉についてももちろん勉強しつつ、新たに”管鍼法”を編み出し、

 

手技についてはさらに工夫して、あらゆる気の操作方法を提示した、というのが功績の大きな一つだと思います。

 

 

夢分流、杉山流、両流とも、『黄帝内経』『難経』、それ以降の医書を、おそらく十二分に研究したうえで、補瀉について

 

「補は瀉なり、瀉は補なり。」

 

とブッタ切った夢分流と、補瀉を複雑に技術で細分化分類化したこの杉山流は、双方ともに、いい意味で個性が光っています。

 

 

 

続く

 

 

 

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補瀉 29

2016.03.15

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これまでのお話・・・

 

 

補瀉 1 補瀉の定義と『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の補法 

補瀉 2 『黄帝内経素問』調経論(62)の補法

補瀉 3 『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の補法

補瀉 4 『黄帝内経霊枢』官能萹(7)の補法

補瀉 5 『黄帝内経霊枢』邪客萹(71)の補法

補瀉 6 『黄帝内経霊枢』小鍼解篇(3)の補法

補瀉 7 『黄帝内経霊枢』邪気蔵府病形篇(4)の補法

補瀉 8  『黄帝内経素問』刺志論(53)の補法

補瀉 9  『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の瀉法

補瀉 10 『黄帝内経霊枢』小鍼解萹(3)の瀉法

補瀉 11 『黄帝内経素問』八正神明論(26)の瀉法

補瀉 12 『黄帝内経素問』調経論(62)の瀉法

補瀉 13 『黄帝内経素問』刺志論(53)の瀉法

補瀉 14 『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の瀉法

補瀉 15 『黄帝内経』の補法まとめ

補瀉 16 『黄帝内経』の瀉法まとめ

補瀉 17 『難経』71難における補瀉

補瀉 18 『難経』76難における補瀉

補瀉 19 『難経』76難における補瀉の続き

補瀉 20 『難経』78難における補瀉

補瀉 21 『難経』79難における補瀉

補瀉 22 『難経』における補瀉まとめ

補瀉 23    孫思邈(そんしばく 541~682)の『備急千金要方』『千金翼方』の補瀉

補瀉 24   金代、何若愚 撰『子午流注鍼経』における補瀉

補瀉 25     金代、竇漢卿『針経指南』における補瀉

補瀉 26     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉

補瀉 27     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その2

補瀉 28   明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その3     参照

 

 

 

では続きいきます!!

 

 

 

◆明代、李梃『医学入門』(1575)における補瀉

 

 

さて本日は『鍼灸大成』と同じ、明の時代の注目書籍、『医学入門』をみていきます。

 

 

この本を書いた李梃先生は、この本の中で、

 

「鍼をするのに、たくさん打っちゃダメです!少数鍼がいいんです!!」

 

という、我々少数鍼治療家にとっては非常に嬉しい発言をしてくれています。

 

 

ここでは面白いことに、呼吸を

 

「自然の呼吸(患者の自発的な呼吸)」

 

と、

 

「使然の呼吸(術者が患者を促して吸ったり吐いたりさせる呼吸)」

 

に分けており、

 

鍼を刺す時、抜く時は「使然の呼吸」を使い、

 

鍼を打った状態で、鍼を捻って気を集めたり散らしたりする時は「自然の呼吸」に合わせるといい、

 

と説きます。

 

 

「使然」と「自然」・・・、音が同じでややこしいけど、これはなかなか、興味深いことを言いますね。(*’ω’*)

 

 

これは単純に、刺針時、抜鍼時の刺激を軽減する方法、ともとれますが、自然の呼吸と使然の呼吸は、明らかに意味が違うように思います。

 

 

個人的には、心神、肺魄の操作じゃないかな、と思って、実際に使ってみたりしています。

 

 

またこの本では他にも、これまで書いてきたような呼吸の補瀉、男女の違い、深浅の補瀉についても述べています。

 

 

また、九六の補瀉と言って、九回雀啄(提挿)したら補法、六回雀啄したら瀉法といい、補瀉を強めるには九の倍数で雀啄の回数を増やし、

 

瀉法を強めるには六の倍数で雀啄の回数を増やすという、まるで宗教儀式や作法のような、かなり観念的とも思える補瀉法も紹介しています。(笑)

 

 

そして、各種の補瀉法を”迎隨”としてまとめ、”迎隨”が単なる補瀉の手法の一部ではなく、補瀉というものの総則であることを述べております。

 

 

『子午流注鍼経』といい、『医学入門』といい、”迎隨”という言葉の扱いを見るに、もしかしたら『難経 72難』は、

 

『黄帝内経』”迎隨”の意味を具体化したようで、かえって矮小化してしまった面もあるのかもしれません。

 

 

まあともかく、『医学入門』でキッチリと強調されているのは、鍼下に気が集まった感覚がないと効かないよ、豆腐に刺したような手応えの無い感じではダメだよ、

 

ということを繰り返し述べています。

 

 

だから要は『医学入門』も、『鍼灸大成』と同じように、ただ教条的に補瀉手技を運用するのではなく、現場での術者の感覚に合わせて、

 

臨機応変に対応することを勧めているのです。

 

 

これが理解できないと、治療上まったく無意味な「お作法」に終始することになるでしょう。

 

 

 

続く

 

 

 

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