東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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プラセボとは(同一化の法則)⑫

 

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こんばんは 謝敷です。
 
 
 
 
 
 
 
12月も早中旬にさしかかりました。
皆様は年賀状は書きますか?
私も約30年間、書き続けていたのですが、2年連続祖父母の喪中が続き、
去年は、書くタイミングを逸して、ついに年賀状文化をフェードアウトしてしまいそうです…
 
 
 
 
 
 
もともと、「手紙を書く」という文化が好きなうえ、
友人からの写真入り年賀状は、お子様が小さな頃から保管しているくらい嬉しいお便りなので、
本当は続けたいなと思っているのですが…きっと今年も…断念か…><笑
 
 
 
 
 
 
 
さて、かなり長くなりながらも、プラセボとは何か、についての論文を見ています。
(過去投稿)
 
 
 
 
 
 
 
今日は、同一化の法則によって解かれる
これまでのプラセボに対する誤解について見ていきます。
 
 
 
 
 
 
 
このレポートでは、プラセボについて、これまで議論されてきた3つの課題を挙げ、
同一化の法則を用いれば、それらも解消されると述べています。
 
 
 
 
 
 
1つ目は、プラセボ反応が強いと、
真の治療のノイズ(邪魔)となる、という点です。
 
 
 
 
 
 
このレポートでは、そもそも臨床の目的は「症状の改善や治癒」であり、
「薬を使うこと」ではないと述べたうえで、
ゆえにプラセボ的アプローチが有効であるならば、
むしろ臨床上はそれを積極的に活用し、
プラセボ反応を下げるのではなく、どのように臨床に活用すべきかを考えるべき、
と述べています。
 
 
 
 
 
 
 
 
2つ目は、プラセボは、患者さんの自律性を損ない、
医療者の影響力が大きすぎるため危険であるという点です。
 
 
 
 
 
 
この点に対しても、プラセボがノセボ効果(悪効果)と化してしまう理由は、
医療者の言葉や態度が、患者さんの無力感や依存、不安に影響しているからであるとし、
患者さんが自身で考えられるような説明やセルフケアの促し、
医療者にも不明なことは不明であると正直に伝えることを行なえば、
過度な依存(同一化)は弱まると説明しています。
 
 
 
 
 
 
 
最後に、プラセボ効果は、脳内神経伝達物質によって説明できるという点です。
 
 
 
 
 
 
 
脳内の神経伝達物質は、何かが起きたことによる反応の一つであり、
物質レベルでは、「なぜ起こるか」については説明できない、と述べています。
 
 
 
 
 
 
 
よって、プラセボは、
言葉や期待等といった情報に起因し、心理的な反応→生理反応の順で起こること、
医療従事者の言動が患者さんの無力感や不安をとおして強く影響すること、
プラセボ効果は除外すべき対象ではなく、有用な治療リソースと考えるべきであること、
ノセボ(逆効果)を避けるためには、医療者の慎重かつ誠実なコミュニケーションが最も重要である
と、まとめています。
 
 
 
 
 
 
 
 
薬物や治療方法の効果検討においては、その治療や行為の真の効果を検討するうえで、
プラセボ効果は除外すべきであると考えますが、
私も、臨床上は大いに活用すべき一つの効果であると思います。
 
 
 
 
 
 
一方で、鍼灸治療は、時に、プラセボ効果だ!!と言われることがありますが、
同一視の法則に従えば、
疑心暗鬼で鍼灸の門を叩く人が多い現代社会において、
プラセボ効果を発揮しづらく、心理的な要因だけでは、その効果は語れない、と言える気がしますね。
 
 
 
 
 
 
 
 
来週は、最終回!
総括部分を読み、全体を振り返ってみたいと思います。
 
 
 
 
 
 
 
<参考文献>
Bierman SF, Weil A, Dahmer S. Placebo and the law of identification. Front Psychiatry. 2024 Dec 6;15:1474558. doi: 10.3389/fpsyt.2024.1474558. PMID: 39713767; PMCID: PMC11659211.
 
 
 
 
 
 
 
 

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プラセボとは(同一化の法則)⑩

 

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こんばんは 謝敷です。
 
 
 
 
 
もう11月も中旬。
街は、だんだんとクリスマス&年末モードですね。
焦るような、なんだかワクワクするような…
来週からは、関東の冬らしい晴れのお天気が続くようです。
冷たい空気を吸いながら、澄んだ朝日を浴びたいです。
 
 
 
 
 
さて、もう10回目!!!
本当に長丁場となっていますが、
プラセボとは何か!!!という点について、
アメリカで”統合医療の父”と称されている
Andrew Weilが共著のレポートを見ています。
 
(過去投稿)
 
 
 
 
今日は、「同一化の法則」の特徴として”変動性”について見ていきます。
 
 
 
 
 
プラセボ(ノセボ)効果は、
その対象となる症状や疾患によって様々な変化を生みます。
その一つ一つの変化を包含して説明すると、
「精神・神経・免疫・内分泌的な事象の連鎖を通じて、
患者の神経系に複数のレベルで影響を与え、
神経伝達物質を放出させ、脳を活性化させる」と記載されていますが、
これらは全て記述的なものであるうえに、考え得る機序は無数であり、
詳しく証明できているわけではありません。
 
 
 
 
 
 
そこで、このレポートの筆者たちは、
「同一化の法則」の構成要素である3つの要因、つまり、
 ・患者(被験者)の無力感: helplessness
 ・患者(被験者)の依存感: dependency

 ・医師や研究者の能力や信頼性に関する不確実性: uncertainty
について、その度合いを評価することができれば、プラセボについての機序が説明しやすくなるとし、
なんと!測定ツール(質問紙)を提案しています。
 
 
 
 
 
ちょっと興味深かったので、ざっくり和訳したものを紹介します。
回答選択肢は、「1:同意しない」~「5:同意する」の5択です。
 
 
●無力感の指標 
 
 ・私は健康目標を達成するために助けが必要だ。
 ・私は、一人で健康目標を達成する方法がまったくわからない。
 ・実際のところ、一人では健康目標を達成できないと思う。 
 ・健康目標を達成するために、私一人でできることはほとんど、あるいは全くない。 
 ・私は自分の健康問題を、天気をコントロールするよりも制御できない。 
 
●依存感の指標 
 
 ・現在の状況では、助けを得るために専門家に頼る必要がある。
 ・現在の状況に関して、私は一人では目標を達成できない。
 ・現在の健康目標を達成するために必要なことを、私は医療提供者/研究者に頼っている。
 ・現在の状況では、専門家に依存することを気にしない。 
 ・実際、私は現在の状況で助けてもらうために専門家に依存している、あるいは依存するつもりである。 

●依存感の指標 

 ・私は、自分の医療提供者が私を助ける能力について疑いを持っている。

 ・私の医療提供者に対する信頼がもっと強ければよいのに、と思う。
 ・私は、自分の医療提供者が現在の問題を改善してくれるかどうか確信が持てない。
 ・医療提供者への自信がもっとあれば、健康問題にもっと成功できると思う。
 ・現在の問題に対して、別の医療提供者のほうがより効果的に助けてくれるのではないかと疑っている。 
 
 
 
 
 
さらにこのレポートでは、この3つの要素の測定に加えて、
プラセボに関する実験(RCT)では、
”被験者が、X(介入/治療)を受けている”と信じている: belief
という前提も必要であるとも述べており、
この点についても評価すべきとして、併せて評価ツール(質問紙)を作っています。
 
 
 
 
 
●介入(治療)を受けていることを信じているか
 ・私は、この試験で有効成分を服用していると信じている。
 ・私は、プラセボを服用していないことを確信できる。 
 ・私が服用しているものが有効成分であり、プラセボではないと確信させる手がかりがある。
 ・私が服用しているものがプラセボであるはずがない。
 ・もし私がプラセボを服用しているのなら、今出ている反応は起こらないはずだ。
 ・私が経験している効果を引き起こせるのは、この試験の有効成分だけである。
 
 
 
 
 
 
 
なんだか質問紙にすると、やや違和感があるというか、
特に介入を受けていることを信じているかの設問は、
これに回答することで信じられなくなりそうな気もしますが…笑
 
 
 
 
 
 
ただ、確かにこれらの構成要素とその意味が理解されれば、
プラセボ(ノセボ)効果が、なぜ起こるのか、
その機序はより理解しやすく、また予測しやすいものになりますね。
 
 
 
 
 
 
 
<参考文献>
Bierman SF, Weil A, Dahmer S. Placebo and the law of identification. Front Psychiatry. 2024 Dec 6;15:1474558. doi: 10.3389/fpsyt.2024.1474558. PMID: 39713767; PMCID: PMC11659211.
 
 
 
 
 
 
 
 

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