東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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卒中風と後遺症③

 

 

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こんばんは!樫部です。

 

 

少し間が空いてしまいましたが、本日は卒中風についてのお話の続きをしていきたいと思います。

 

 

前回までのお話はこちら!
卒中風と後遺症
卒中風と後遺症②

 

 

前回お話しした、中風の分類は下記の通りです。

 

 

1.中経絡

 

①真中風(外感表証あり)

 

②類中風(外感表証なし、裏証)

 

 

2.中臓腑

 

①閉証(邪実中心)
 ①-1.陽閉
 ①-2.陰閉

 

②脱証(陽気の虚衰がひどい)

 

 

まずは、中経絡についてです。

 

 

中経絡は、病邪が経絡を襲って発症するものです。

 

 

病位は比較的浅く、病状も比較的軽いという特徴があります。

 

 

厳密には、肌膚麻木、口眼喎斜を主な症状とする中絡と、

 

 

昏倒することなく、半身不随、口眼喎斜、偏身麻木、言語不利を主な症状とする中経とが存在し、

 

 

症状の程度は中経の方が中絡よりも重いです。

 

 

中経絡には、外感表証を伴う真中風と、外感表証なく裏証の類中風があります。

 

 

●真中風

 

病理:脈絡空虚、風邪入中

 

 

手足の痺れ、肌膚の感覚が無い、突然口眼喎斜がみられます。

 

 

口から涎が出てしまったり、言葉を上手く発音出来ず、言語不利がみられ、特にぱ行の発音が難しくなる特徴があります。

 

 

重篤になると半身不随がみられます。

 

 

その他、悪寒発熱、関節痛、肢体拘急、脈浮硬または細弦がみられます。

 

 

●類中風

 

病理①:肝腎陰虚、風陽上擾

 

 

普段から頭暈、頭痛、耳鳴、浅眠多夢、腰膝酸軟がみられ、

 

 

ある日突然、片側の手足に痺れと麻木を自覚し、口眼喎斜、半身不随、舌が強ばり言葉がスムーズに出ないといった症状も出てくるといった特徴があります。

 

 

病理②:痰熱腑実、風痰上擾

 

 

この場合、突然半身不随、身体の左半身が痺れて感覚がなくなります。

 

 

口眼喎斜に加えて、便秘、頭暈、痰が多い、舌が強ばって言葉が出づらい特徴があります。

 

 

症状が顕著な側と同じ側の手の脈が弦滑大であることが多いとされています。

 

 

化痰通腑して瀉下すると、痰熱が降りて片側の麻木が軽減する場合、この病理が有力となってきます。

 

 

中経絡についてのお話は以上です。

 

 

次回は中臓腑について、お話ししていきたいと思います。

 

 

 

つづく

 

 

 

 

【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房

『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房

『症状による中医診断と治療 下』
神戸中医学研究会、燎原書店

『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店

 

 

 

 

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先天性の異常がある

 

 

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こんばんは!樫部です。

 

 

 

本日は「先天性の異常がある」ことについて、お話ししていきたいと思います。

 

 

 

先天性の異常といいますと、骨格、視力、聴力の異常など様々ですが、ここでは五遅と五軟について取り上げていきたいと思います。

 

 

 

これらは小児の生長発育不良を主とする症状とされています。

 

 

 

五遅は、3歳くらいまでに発病することが多く、生後6ヶ月から1年の幼児に最も多くみられます。

 

 

 

成長がみられるまでの年齢が遅い症状が主に5つあり、次の通りです。

 

 

①立遅…立つことができる年齢が遅い

 

②行遅…歩けるようになる年齢が遅い

 

③髪遅…髪が生える年齢が遅い

 

④歯遅…歯がなかなか生えてこない

 

⑤語遅…言葉を発する年齢が遅い

 

 

 

次に五軟についてです。

 

 

①頭項軟…泉門が閉じない。頚がすわらず、頭を持ち上げられない。

 

②口軟…口唇の力が弱く乳首に吸い付く力が弱かったり、咀嚼運動が弱い。常に涎を垂れ流している。

 

③手軟、④脚軟…手足に力が無くだらりとして、握力が無く、立って踏ん張ることができない。

 

⑤肌肉軟…身体全体の筋肉・肌肉が弛緩しており、行動全般に力が入っていない。

 

 

 

多くは、先天の稟賦不足(腎精不足)と、後天の濡養失調が絡んで発症する為、脾腎を補う治療をすることが一般的となっています。

 

 

 

五遅の弁証分類は、主に2つあり、どちらの病因も内傷に分類されています。

 

 

 

1.肝腎不足

 

 

 

立遅、行遅、歯遅には肝腎不足が関与しています。

 

 

 

通常、生後半年くらいで歯が生え始め、生後8ヶ月で座ったり起き上がったりでき、1歳ほどで歩けるようになります。

 

 

 

平均的な時期を過ぎても、歯が生えてくる、立ったり座ったり、歩いたりすることが明らかに遅いという症状がみられます。

 

 

 

ひどい場合は、4~5歳になっても歩けないこともあります。

 

 

 

普段から活動が少なく、すぐに疲れて横になりたがり、顔面の血色が悪く、疲れ顔という特徴がみられます。

 

 

 

2.心血不足

 

 

 

髪遅、語遅には心血不足が関与し、脾胃の失調あるいは、気血虚弱により起こります。

 

 

 

知力の発達が遅く、ぼーっとしている特徴があります。

 

 

 

通常1歳で物の名前を言うことができ、1歳半で簡単な単語を話し、3歳で数字を読むことが出来るといわれていますが、それらに明らかな遅れがみられます。

 

 

 

その他に髪遅、食欲不振、舌の色褪せ、虎口三関の指紋の色が淡いといった症状がみられます。

 

 

 

次に五軟の弁証分類についてです。

 

 

 

主に2つあり、どちらも内傷に分類されます。

 

 

 

1.脾腎両虚

 

 

 

頭項軟、手足軟、口軟、肌肉軟がみられ、口唇の色が白っぽく、虎口三関の指紋の色も淡いといった特徴がみられます。

 

 

 

2.気血両虚

 

 

 

肢体全体が軟弱で、四肢関節が柔軟で、力を加えられた方向に曲がる特徴があります。

 

 

 

口を開けっ放しにして、ボーッとしており、反応が鈍い特徴があり、舌を口から出したままの状態になることもあります。

 

 

 

顔面の血色が悪くて蒼白に近く、四肢の冷えがみられます。

 

 

 

食事量は少なく、食欲も旺盛ではありません。

 

 

 

口唇は色が白く、虎口三関の指紋の色も淡いといった特徴があります。

 

 

 

「先天性の異常」についてのお話は以上です。

 

 

 

次回は「精力の減退」について、お話ししていきたいと思います。

 

 

 

 

【参考文献】

『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』

藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房

 

『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』

藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房

 

『症状による中医診断と治療 下』

神戸中医学研究会、燎原書店

 

『基礎中医学』

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