東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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牙齦萎縮(がぎんいしゅく)とは②

 

 

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は前回の続きで「胃火と腎陰虚の牙齦萎縮」について、お話していきたいと思います。
 
 
 
どちらも火熱によって牙齦が燻灼されて引き起こされるものですが、実証と虚証の違いがあります。
 
 
 
まずは実証の胃火による牙齦萎縮についてです。
 
 
 
甘いもの、脂っこいものを過食したり、飲酒を多くしたり、辛いものを好んで食べるなどすると胃熱が生じます。
 
 
 
その熱が上下の歯齦の陽明経(胃、大腸)を循行し、胃火が経絡上を沿って上行することで歯齦が栄養出来なくなり、牙齦萎縮を生じます。
 
 
 
この場合、歯齦の発赤、腫脹、疼痛、出血、膿漏がみられ、次第に歯齦の萎縮がみられ、歯根が露出するようになります。
 
 
 
また、口臭、口渇して冷たい水分を欲する、便秘、脈滑数で有力、舌質紅、舌苔黄膩といった実火の症候がみられる特徴をもちます。
 
 
 
治法は、清胃瀉火を用います。
 
 
 
次に虚証の腎陰虚による牙齦萎縮についてです。
 
 
 
房事過多、労倦により、腎精が消耗し、歯は骨の余で腎は骨を主る為、精血が歯齦を滋養出来ないと、虚火が上炎して発生します。
 
 
 
この場合、歯の動揺が出て、歯齦の萎縮、びらんがあらわれ、歯根が露出します。
 
 
 
また、頭のふらつき、耳鳴、腰膝酸軟、歯齦周辺の軽度な発赤と腫脹、五心煩熱、舌質紅、舌苔少、脈細数などの陰虚火旺の症候をともなうことが特徴です。
 
 
 
治法は、滋陰降火を用います。
 
 
 
つづく
 
 
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 上』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店

 

 

 

 

 

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牙歯浮動(がしふどう)とは②

 

 

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は前回の続きとして、「牙歯浮動(がしふどう)の弁証分類」について、お話していきたいと思います。
 
 
 
まずは胃熱の牙歯浮動についてです。
 
 
 
過度の飲酒、辛いものの過食により、胃熱が生じて発生します。
 
 
 
歯齦は陽明の絡脈に属すので、腸胃の積熱が上がって口を蒸し、歯齦を腐蝕する為、歯が動揺します。
 
 
 
『寿世保元』に、「土熱すれば焦揺す」と記載がある通りです。
 
 
 
この場合、歯の動揺と歯齦の発赤、腫脹あるいは萎縮が同時にあらわれ、口臭、便秘、喜冷飲、脈は滑数、舌苔黄白膩、やや乾燥などの胃熱の症候がみられることが特徴です。
 
 
 
治法は、清胃固歯を用います。
 
 
 
次に腎陰虚と腎気虚の牙歯浮動についてです。
 
 
 
いずれも腎虚によるものですが、陰虚か気虚かどうかの違いがある為、患者さんの訴えている症状を問診し、弁別していきます。
 
 
 
腎陰虚の牙歯浮動は、青壮年期に多く、過度の疲労による人生の消耗や遺精などにより、腎精が不足し、骨髄が栄養されない為に引き起こされます。
 
 
 
この場合、歯の動揺に続いて歯齦の萎縮がみられ、歯根の露出が生じます。
 
 
 
加えて、脈は細数、舌質は嫩紅、痩せて薄い、舌苔無~少、頭のふらつき、耳鳴、脱毛、腰がだるいといった腎陰虚の症候がみられることが特徴です。
 
 
 
治法は、滋陰固歯を用います。
 
 
 
次に腎気虚の牙歯浮動についてです。
 
 
 
高齢者に多くみられ、老化、過労などにより腎気が虚し、固摂できなくなって発生します。
 
 
 
この場合、歯齦が淡紅色であるが、歯齦が萎縮することは少なく、腰がだるい、排尿後の余瀝や尿失禁があり、脈は沈細ではあるが数ではない、舌質淡、舌苔白などの腎気不固の症候をともなうことが特徴です。
 
 
 
治法は、補腎固歯を用います。
 
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 上』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 
 
 
 

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