東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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プラセボとは(同一化の法則)⑩

 

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こんばんは 謝敷です。
 
 
 
 
 
もう11月も中旬。
街は、だんだんとクリスマス&年末モードですね。
焦るような、なんだかワクワクするような…
来週からは、関東の冬らしい晴れのお天気が続くようです。
冷たい空気を吸いながら、澄んだ朝日を浴びたいです。
 
 
 
 
 
さて、もう10回目!!!
本当に長丁場となっていますが、
プラセボとは何か!!!という点について、
アメリカで”統合医療の父”と称されている
Andrew Weilが共著のレポートを見ています。
 
(過去投稿)
 
 
 
 
今日は、「同一化の法則」の特徴として”変動性”について見ていきます。
 
 
 
 
 
プラセボ(ノセボ)効果は、
その対象となる症状や疾患によって様々な変化を生みます。
その一つ一つの変化を包含して説明すると、
「精神・神経・免疫・内分泌的な事象の連鎖を通じて、
患者の神経系に複数のレベルで影響を与え、
神経伝達物質を放出させ、脳を活性化させる」と記載されていますが、
これらは全て記述的なものであるうえに、考え得る機序は無数であり、
詳しく証明できているわけではありません。
 
 
 
 
 
 
そこで、このレポートの筆者たちは、
「同一化の法則」の構成要素である3つの要因、つまり、
 ・患者(被験者)の無力感: helplessness
 ・患者(被験者)の依存感: dependency

 ・医師や研究者の能力や信頼性に関する不確実性: uncertainty
について、その度合いを評価することができれば、プラセボについての機序が説明しやすくなるとし、
なんと!測定ツール(質問紙)を提案しています。
 
 
 
 
 
ちょっと興味深かったので、ざっくり和訳したものを紹介します。
回答選択肢は、「1:同意しない」~「5:同意する」の5択です。
 
 
●無力感の指標 
 
 ・私は健康目標を達成するために助けが必要だ。
 ・私は、一人で健康目標を達成する方法がまったくわからない。
 ・実際のところ、一人では健康目標を達成できないと思う。 
 ・健康目標を達成するために、私一人でできることはほとんど、あるいは全くない。 
 ・私は自分の健康問題を、天気をコントロールするよりも制御できない。 
 
●依存感の指標 
 
 ・現在の状況では、助けを得るために専門家に頼る必要がある。
 ・現在の状況に関して、私は一人では目標を達成できない。
 ・現在の健康目標を達成するために必要なことを、私は医療提供者/研究者に頼っている。
 ・現在の状況では、専門家に依存することを気にしない。 
 ・実際、私は現在の状況で助けてもらうために専門家に依存している、あるいは依存するつもりである。 

●依存感の指標 

 ・私は、自分の医療提供者が私を助ける能力について疑いを持っている。

 ・私の医療提供者に対する信頼がもっと強ければよいのに、と思う。
 ・私は、自分の医療提供者が現在の問題を改善してくれるかどうか確信が持てない。
 ・医療提供者への自信がもっとあれば、健康問題にもっと成功できると思う。
 ・現在の問題に対して、別の医療提供者のほうがより効果的に助けてくれるのではないかと疑っている。 
 
 
 
 
 
さらにこのレポートでは、この3つの要素の測定に加えて、
プラセボに関する実験(RCT)では、
”被験者が、X(介入/治療)を受けている”と信じている: belief
という前提も必要であるとも述べており、
この点についても評価すべきとして、併せて評価ツール(質問紙)を作っています。
 
 
 
 
 
●介入(治療)を受けていることを信じているか
 ・私は、この試験で有効成分を服用していると信じている。
 ・私は、プラセボを服用していないことを確信できる。 
 ・私が服用しているものが有効成分であり、プラセボではないと確信させる手がかりがある。
 ・私が服用しているものがプラセボであるはずがない。
 ・もし私がプラセボを服用しているのなら、今出ている反応は起こらないはずだ。
 ・私が経験している効果を引き起こせるのは、この試験の有効成分だけである。
 
 
 
 
 
 
 
なんだか質問紙にすると、やや違和感があるというか、
特に介入を受けていることを信じているかの設問は、
これに回答することで信じられなくなりそうな気もしますが…笑
 
 
 
 
 
 
ただ、確かにこれらの構成要素とその意味が理解されれば、
プラセボ(ノセボ)効果が、なぜ起こるのか、
その機序はより理解しやすく、また予測しやすいものになりますね。
 
 
 
 
 
 
 
<参考文献>
Bierman SF, Weil A, Dahmer S. Placebo and the law of identification. Front Psychiatry. 2024 Dec 6;15:1474558. doi: 10.3389/fpsyt.2024.1474558. PMID: 39713767; PMCID: PMC11659211.
 
 
 
 
 
 
 
 

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こんばんは 謝敷です

 

 

夏が、長いですね…
8月上旬には、青々としていた木々の葉も、
今は少しお疲れモード。やや硬く、乾燥の気配を感じます。

せて、硬膜穿刺後の頭痛に対する症例報告を見ています。

今日は、どのような治療が成されたのか、見ていきたいと思います。

この症例では、伝統中医学(Traditional Chinese Medcine:TCM)の術者が、
舌診、脈診、問診などを用いて病態を検討したと記載されています。

その結果、紫色で、潤いの多い滑舌、
問診から考察できるストレス、食習慣、運動不足等から
「胆経、肝経、胃経、脾経の湿熱過多と気血の鬱滞」が
病態てあると判断しています。

 

 

 

 

2回の鍼治療では、湿熱を取、気血の巡りを改善するため、以下のツボを治療点としました。

 

<1回目>
GB 21:肩井・GB 40:丘墟::首肩のこわばりや痛み・頭痛に対して、
気の巡りを良くし、胆経の湿熱を解消することで、胆経絡上の痛みを軽減する狙い

ST 36:足三里:めまい、頭痛に対して
気の巡りを改善し、胃経の湿熱を解消し、痛みや吐き気、
胃の機能障害を緩和する狙い

LI 4:合谷・LR 3:太衝(右のみ):頭痛と吐き気に対して
気血の巡りの阻害によって起きる痛みを軽減する狙い

 

<2回目>
上記のツボに加えて、以下の2つのツボを治療点として用いています。

Ex-HN 3:印堂:不安や頭痛に対して
痛みを和らげる狙い

 

 

 

SP 6:三陰交:湿による痛みを伴う閉塞感や、食欲不振に対して
湿熱を取、水分の輸送や気血の形成、消化器の機能をサポートする狙い

これにより、1回目は痛みの度合いは10から7へ、2回目の治療では、8から5へ、
翌日には、2程度症状が軽減し。来院から5か月後にも再発はないと報告しています。

 

 

 

次回はこの治療についての考察を見ていきます。

 

 

 

参考文献

Acupuncture for the Management of Postdural Puncture Headache: A Case Report.
Chang A, Acquah J, Reddy S, Chao MT.
Glob Adv Health Med. 2016 Jan;5(1):103-6. doi: 10.7453/gahmj.2015.010. Epub 2016 Jan 1. PMID: 26937320; PMCID: PMC4756779.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4756779/

 

 

 

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