東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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血の病㉑

 

 

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こんばんは。齋藤です。

 

 

段々と日も短くなり、寂しい気持ちになってきますね。

 

 

前回の続きです。

 

 

前回の話はコチラ

 

 

今回は、「心」と「血」が「神」、つまり私たちの精神活動にどう影響するかについて書いていこうと思います。

 

 

東洋医学では「心は神を蔵し、神志を主り、心は血を主る」と考えます。

 

 

少し難しい言葉ですが、これは「心は精神活動をコントロールし、血液の運行も管理している」という意味です。

 

 

そして、その「血は神を宿し、神は血の中に蔵します」とも言われ、精神(神)は血という物質的な土台があって初めて安定すると考えられています。

 

 

そのため、血が不足した状態である「血虚(けっきょ)」になると、心を十分に養えなくなり、精神(神)は不安定になります。

 

 

急激に大量の出血(亡血)をすれば、失神に至ることもあります。

 

 

前回も書いたように、血には全身の五臓六腑、手足の末端まで栄養する働きがあります。

 

 

考えすぎ(思慮過度)や出血、胃腸(脾胃)での血の生成不足、生命力の源である「精」の低下などによって血が不足すると、心や精神(神)を養うことができなくなってしまいます。

 

 

神が養われなくなると、悪夢を見やすくなったり、幻覚、幻視、めまい(頭暈眼花)、さらには精神の不調などを引き起こすと考えられています。

 

 

また、脳は東洋医学で「元神の府(げんしんのふ)」と呼ばれ、精神(神)との関連が非常に深い場所です。

 

 

脳は「髄海(ずいかい)」とも呼ばれ、髄が集まる場所とされています。

 

 

血と髄は互いに影響し合う関係にあるため、血虚が生じると髄も減少し、その結果、脳が十分に養われません。

 

 

これが「元神不寧(げんしんふねい)」という状態を引き起こし、上記のような症状が発生します。

 

 

さらに、精神(神)には全身の様々な運動を統率し、コントロールする働きもあります。

 

 

元神の働きが正常であれば、人体の各運動は協調して思い通りに動きます。

 

 

しかし、何らかの原因で血が減少し、髄を満たせなくなると、脳は十分に養われません。その結果、元神の働きが失調し、各種の運動障害を引き起こすこともあるのです。

 
 
 
 

参考文献

『中医病因病機学』 主編:宋 鷺冰 訳:柴﨑 瑛子 (東洋学術出版社)

『中医学ってなんだろう ①人間のしくみ』 著:小金井信宏(東洋学術出版)

『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論編』 監修:藤本蓮風 編著:一般社団法人 北辰会 学術部 (緑書房)

『基礎中医学』編著:神戸中医学研究会 (燎原)

『鍼灸・漢方の名医になるための気血弁証論治学』 編著;神野英明 (たにぐち書店)

 
 
 
 

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は「牙歯痠弱(がしさんじゃく)」について、お話ししていきたいと思います。
 
 
 
牙歯痠弱(がしさんじゃく)とは、歯がだるく痛み、食べ物を咀嚼する力がないことを指します。
 
 
 
「歯齼(しそ)」という記載が唐代の『日華子諸家本草』にあり、「齼」とは「歯に酸味が接触したような感覚」と記されています。
 
 
 
『中国医学大辞典』の「歯寒」の条項には、「歯がだるく痛む感覚」と記載があります。
 
 
 
ただし、「口酸」とは異なり、口酸の場合は、口内に酸味があるものの、歯には異常感覚は無いという特徴がある為、症状をよく問診して、鑑別する必要があります。
 
 
 
弁証分類は主に2つあります。
 
 
 
1.脾腎気虚の牙歯痠弱
 
2.風冷外客の牙歯痠弱
 
 
 
両証ともに歯がだるく痛んで、咀嚼力が無く、増悪緩解を繰り返すことは共通します。
 
 
 
まずは脾腎気虚の牙歯痠弱についてです。
 
 
 
正気の虚が主体となり出現します。
 
 
 
歯は骨余であり、骨は腎が主り、さらに歯と胃は密接な関係があり、胃と脾は膜をもって相連なるため、脾胃の気が虚すと歯は栄養されず、痛みを生じます。
 
 
 
この場合、高齢者に好発しやすく、経過が長く、温飲冷飲関係なく不快に感じられ、明らかな誘発因子が無いことが特徴です。
 
 
 
また、脈は沈弱、舌質は淡紅、舌苔は薄白を呈します。
 
 
 
治法は、健脾補腎を用います。
 
 
 
次に風冷外客の牙歯痠弱についてです。
 
 
 
風冷の邪が歯に停滞することで生じます。
 
 
 
この場合、若年層に多く、温飲食を好み、冷飲食を嫌い、歯に風が通る感覚があることが特徴です。
 
 
 
また、脈は弦緊、舌質は淡暗、舌苔は白滑を呈します。
 
 
 
治法は、温経散寒を用います。
 
 
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 上』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 
 
 
 
 

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