東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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問診に関して㉝(発汗の問診⑥)

 

 

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こんばんは☆

 

 

 

吉澤です!

 

 

 

 

先週に引き続き、『汗』について書いていきます。

 

 

 

H.汗の性質・種類

 

 

冷たい汗(陽虚、衛気不足)・熱い汗(外感風熱、内熱)・しょっぱい汗・無味

 

 

汗が冷たく水のようにサラサラして無味無臭なものほど陽虚であることを示し、逆に汗が熱く

 

 

粘稠で臭いが強く、塩味が強いものほど実熱傾向であることを示します。(黄色くなることもある) 。

 

 

1)冷汗 cold sweating:大量発汗により四肢が冷える。

 

 

2)わきがについて

 

 

虚証・実証ともにみられますが、病因としては湿熱蘊結か遺伝的なものが多いとされています。

 

 

肝胆湿熱の液汗として弁証論治するか手術治療を行います。

 

 

3)油汗 oily sweat :油のようなねばねばの汗。

 

 

4)大汗淋漓 great dripping sweat :異常な大量の汗が流れ続けること。

 

 

5)黄汗

 

 

黄色い汗が出て着衣が黄染すること。汗のついた衣服が黄色く染色されてしまいます。

 

 

黄疸でもみられますが、ここでは黄疸の出ていない場合をとりあげます。営衛壅閉、湿熱蘊積。

 

 

 

I.発汗部位

 

 

1 )上半身

 

 

→気の上逆を示すことが多いです。気の上逆+内湿

 

 

2)全身

 

 

→腎の弱り

 

 

3)下半身

 

 

→内湿、とくに粘った熱い汗は湿熱を示します。手掌・足底の少量の汗は一般的な生理現象です。

 

 

4)頭汗 sweating from the head

 

 

頭、顔または首の過度の発汗のこと。実証では上焦の邪熱、中焦の湿熱によるものが多いです。

 

 

虚証では陽気不足によるものが多く、その他では、関格、水結胸、少陽病。

 

 

重病の末期で突然たくさん汗がでるのは虚陽浮越。

 

 

5)額・鼻の頭

 

 

脾胃の弱り

 

 

6 )脇汗 sweating from the armpits

 

 

脇の下からの過度の特定の発汗。 心肺の弱り、 肝陰虚、肝胆湿熱

 

 

7)胸

 

 

心脾気虚、心腎陰虚、虚証

 

 

8)心汗 sweating from the heart region

 

 

前胸部の過度の発汗のこと。心脾両虚、心腎陰虚。

 

 

9)陰汗 genital sweating

 

 

陰部の局所化された発汗のこと

 

 

10)手足汗 sweating from the hands and feet

 

 

手と足からの過度の特定の発汗のこと。脾胃湿熱、脾胃気虚、脾胃陰虚。

 

 

J .発汗後の疲労の程度について

 

 

発汗後肉体的に疲労感が強くなる場合は正気の弱りがあることを示唆します。

 

 

“ 疲れなし”というのは実はグレーゾーンであり、“ 発汗した方がすっきりして楽になる”のであれば正気の弱りがほぼなく、湿邪や熱邪が発汗によって軽減したと解析できます。

 

 

K.八綱と汗

 

 

表における虚実の弁別として、自汗があれば「表寒虚(桂枝湯証)」、無汗であれば「表寒実(麻黄湯証)」という鑑別要因のーつとなり得ます。

 

 

既述の通り、汗の性質で、寒熱虚実がある程度判別できますが、他の所見と総合して判断することが重要となります。

 

 

 

次週からは「大便(二便)」に関して書いていきます。

 
 
 

 

 

 

【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房

『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房

 

 

 

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問診に関して㉛(発汗の問診④)

 

 

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こんばんは☆

 

 

 

吉澤です!

 

 

 

 

先週に引き続き、『汗』について書いていきます。

 

 

 

D.  表証における汗の有無

 

1) 有汗:表寒虚

2)無汗(汗が出る筈の時に出ないものをいう):表寒実

 

 

 

E.汗のかきかた

 

1) 自汗 spontaneous sweating

 

労働や厚着、暑い気候によらず、日中普通にしていても汗が出ること。

 

 

あるいは少し動くだけで、かなりの汗が出る状態のこと。

 

 

体表を守る衛気(陽気)には、腠理の開閉によって汗の分泌を調節する働きがあります。

 

 

この衛気の不足によって腠理が開き、汗が出るのが自汗です。

 

 

気虚の証明に用いられることが多いですが、果たして気虚による自汗なのかどうか、他の所見と照らし合わせる必要があります。

 

 

営衛不和、風湿傷表、熱盛陽明、暑傷気陰、気虚、陽虚。

 

 

2) 無汗 absence of sweating

 

 

発汗(無汗症と同じ)の異常な不足または欠如のことで、厳密にいえば「汗が出る筈のときに出ないもの」を指します。

 

 

表寒実、気滞等。

 

 

3) ねあせ(盗汁) night sweating

 

 

入睡時に発汗し、目が醒めると自ずと汗が止まるものをいいます。

 

 

陰虚で発症することが多いとされています。

 

 

睡眠中というのは、日中の活動中活発にめぐっていた気血津液の動きが緩慢となって、内へ内へと温存させるべく収蔵される時間帯となります。

 

 

つまり、活動中よりも相対的に皮表における気の固摂機能が低下しやすい状態となっています。

 

 

このときに、陰虚(陰の力、すなわち固摂や収斂する力が不足している状態。その程度によっては、陰虚内熱となって虚熱が旺盛)であれば、津液が漏れ出やすくなったり、虚熱によって津液が蒸されて排出されます。

 

 

覚醒し、活動しはじめると、気血の巡りが一気に活発化すると皮表における固摂機能も高まり、津液が漏れ出なくなり、発汗が治まります。

 

 

これが陰虚による盗汗の基本的なメカニズムです。

 

 

また、陽明熱盛の状態においては、陽気が有余となり、陰の時間帯(夜間)になっても相殺されることなく内熱によって津液が蒸し出されて盗汗が起こることがあります。

 

 

他には、以下のものでも盗汗が起こります。

 

 

・心血虚(心血不足により心気が浮越して心液である汗が蔵されずに外泄する。)

 

 

・湿邪阻遏(運化失調したために湿が生じ、湿が気の流通を障害して升降失調をひきおこして発生)

 

 

・邪在半表半裏(外邪が侵襲して表証が解さず少陽に伝入すると、半表半裏を阻滞して邪正が交争し、津液を外部に押しやるために発生)

 

 

 

 

次週に続きます!

 
 
 

 

 

 

【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房

『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房

 

 

 

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