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10日の日曜日は、(一社)北辰会定例会東京会場に参加してきました!!
今回は本部から大阪の「鍼灸 大仙堂」院長、山本克仁先生がお見えになって、実技デモ。
山本先生の話は分かり易く、体表観察も非常に丁寧です。(*^^*)
皆さん釘付けになっていましたね☆
午前中は二時間まるまる使って実技訓練。
内容は先月に続き「腹診・空間診・尺膚診」に加えて、「照海、外関の取穴」です。
皆さんいつもながら、熱心に取り組んでいましたね。
午後は目黒の「伝統鍼灸 寧心堂」院長、森岡健介先生による症例検討会「蛇串瘡(ヘルペス)後神経痛」です。
森岡先生は我が清明院、二代目副院長でもあります。
まあ彼らしい、分かり易い症例でした。
ヘルペス後神経痛というのは、意外と鍼灸院ではよく診る症状だったりします。
ものによっては、病気の中でもトップクラスに「痛い」病気です。
今回のは、短期間で見事に症状改善、減薬、廃薬に導いた症例でした。
ぜひ学会発表、論文投稿まで仕上げて、世に出してほしいですね。(‘ω’)
関東支部、終了後の飲み会も盛り上がってきています☆
2019.11.04

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前回のお話し
前回述べたように、東洋医学の言う五臓六腑の一つである、小腸の腑、大腸の腑には、「左旋」「十六曲」という形態的特徴が付されている。
(『霊枢』腸胃(31)です。)
カテゴリ 五臓六腑
もちろん、実際に人体を解剖してみれば、小腸は左旋も16曲もしていない訳ですが、現代西洋医学的な現実的、写実的解剖学ではなく、
気一元論、太極陰陽五行論を前提とした、観念論的、機能的解剖学の”より完璧な”構築に腐心した古代中国、あるいは東アジアの医者たちとしては、
ここにどんな意味を込めたのか。
・・・昔から感じるけど、こういう問題に興味を抱き、気にするかどうかっちゅーのも、感性、センスという意味で、この医学を実践、ないし研究していく者にとっては重要かもしれない。
まず「左旋」からだけど、左旋ときたらまず思い浮かぶのが河図洛書の洛書だ。
河図洛書に関して、詳しい説明はここではしない(てか素人なんで出来ない(-_-;))けど、洛書では陰の動きは四隅における左回旋(2→4→8→6)であらわされる。
(アルテミシア『臓腑経絡学』p13)
つまり小腸の腑、大腸の腑における廻腸の「左回り=左旋」という形態的特徴の意味は、「陰の動き(収斂、収蔵、ある意味で成熟)」を表現しているのではないか、と、個人的には愚考している。
つまり形態的に「左旋」であらわされる「陰の場」である小腸大腸において、飲食物(水穀)は収斂、収蔵されていき、ある意味で「人体にとっては使い物にならない」二便が成熟していくわけだ。
(しかも左旋しながら上から下に動くわけだしね。(^^♪)
因みに、五藏六府の中で、奇恒之腑も含めて、回旋、螺旋のイメージであらわされるのは小腸の腑、大腸の腑のみだ。
(そのうち語りたいけど、この東洋医学的人体の”回旋・螺旋”の問題がまた、色々あって楽しい。(*‘∀‘))
カテゴリ 奇恒之腑 参照
・・・ではもう一つの特徴、「十六曲」はどうか。
五臓六腑では他にも、肝の七葉、肺の八葉、心系の四、三焦の三、脾・胃や心・心包や肝・胆や腎のニコイチなど、数字に拘って特徴づけられたような表現が散見される。
因みに、Wikipediaによると16の正の約数は1、2、4、8、16の5つだそうだ。
そして約数を「5つ」持つ数の中では「最小が16」であり、16の次は81だそうだ。
(もうこの、”最小”とか、”次が81”とか出てきただけで、ヨダレが。。。(笑))
また、約数の和と元の数との積が完全数になる3番目の超完全数であるそうで、1つ前は4、次は64だとか。
(これも、4とか64とか出てくるともう。。(゚∀゚))
数字、数術に詳しい読者の方、16そのものの数学的、数術的意味に関しては、まだまだ色々あると思うんで、ぜひ教えてください。<m(__)m>
・・・ともかく、「16」みたいに、易(河図)の言う生数(せいすう:1~5まで)と成数(じょうすう:6~10まで)を超えた二桁の数字が出てきたときは、
『黄帝内経素問 三部九候論(20)』に「天地之至數.始於一.終於九焉.」とあるように、そこに含まれる生数や成数の組み合わせで意味を考えて妄想したりしますが、
今のところ、小腸大腸の場合の「16」に内包されている意味は4✕4じゃないかな、と思っています。(私見)
「4(四)」は古代中国においては、代表的には地(陰)における東西南北の空間や、四時陰陽(四季)を示し、空間的広がりや、時間の循環を意味します。
(青土社『中国神秘数字』参照)
また、易(河図)の生数では「4」は「金」を意味します。
「五行」のはたらき 4 参照
脾の臓と胃の腑の協調共同作業(胃の受納腐熟、脾の運化昇清のコンビネーション)での結果としての未消化物を、正常な脾胃の働きを土台にしながら、
心腎の陽気の扶助、肝肺の疏泄昇発宣発粛降の扶助によって、滞りなく、完璧に近い形で精濁泌別、糟粕の伝導が行われるためには、空間的に十分な広がり(四方)と、
十分な時間的な有余(四時)を必要とし、最終的には魄門(肛門)からの排泄(死と再生)が待っていますので、この流れは陰の場(左旋)において行われないと。
小腸の腑、大腸の腑における「左旋」「16曲」は、あんな、ある意味で稚拙な蔵象図の中に、上記のような深い意味をサラッと込めているモノなのではないかと、今のところ愚考しています。
(読者の方で、これに関して他の御見解がある方、ぜひご教示ください。)
鍼灸臨床で、便秘や下痢を治療するときに、合谷や後渓や上廉や下廉を当たり前に使うことがありますが、上記のようなことを考えながらやると、
診どころや意識に変化が出てくる筈です。
澤田健による
「リウマチは小腸の熱だ。」
という発言の意味や、北辰会が後渓を使ってあらゆる病を治している現実なんかもね。
・・・ま、どうであれ、結果的に、腸の健常な左旋力、消化吸収に必要不可欠な空間と時間を調整するのではないかと思っています。
今のところ、そう考えています。(゚∀゚)
(因みに今回と前回の話はまったくの私見ですので、悪しからず☆)
2019.11.01

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イヤー今日は仕事の合間に『黄帝内経 霊枢』、経脈篇(10)、経別萹(11)、経筋萹(13)を読んでいたら、一瞬にして時間が過ぎ去った。。。(苦笑)
この三篇の内容が、我々(一社)北辰会が基本に置く『臓腑経絡学』の核心部分です。
20歳の頃、これを読んでいった時、何もかもが分かり易くて、ホントに面白かった。
朝になるまで、時間を忘れて読んだ。
38歳のオッサンになった今でも、読み始めるとやっぱり、心を奪われますな。
20歳の頃と違うのは、病症を読むと、色々な患者さんの顔が浮かんでくる。
自分がやった、色々な処置が頭をかすめる。
後悔や反省や、次回見えた時へのワクワクが始まる。。。
ヤバい、また寝れない。。。
2019.10.19

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10.17の木曜日は、順天堂東医研に行ってきました!!
(「順天堂大学医学部 東洋医学研究会」と表記すると長ったらしいので、今後はこうします。(*‘∀‘))
今回は吉祥寺中医クリニックの長瀬眞彦先生の講義「漢方エキス剤の効かせ方~人生すべからくマッチング〜」でした。
先生の講義は非常に分かり易いです。
いつもながら、高度な症例を交えつつ、学生の興味を引き付けつつ、有名な漢方や生薬に関して、上手に説明しておられました。
今回も漢方を煎じながらの講義でしたが、今回煎じて試飲した薬は「半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)」です。
この薬は超有名な「小柴胡湯」の変法であり、あの『傷寒論』に、「少陽病」の薬として登場する薬です。
「少陽病」を含む記事 参照
かの折衷派の代表格である和田東郭をして
「半夏瀉心湯の代わりになる薬は後世方にはない。」
とまで言わしめている名方です。
和田東郭という人物 参照
数十年前に蓮風先生も注目されて、この方剤が目当てとする「心下痞(しんかひ:みぞおちの痞え)」という所見を如何にとるか、北辰会方式としてのやり方を教えて下さいました。
(それを初めて関東で発表した時の講義で、モデルになって鍼してもらったのでよく覚えています。)
今回の講義で先生が強調しておられたのは「マッチング」、つまり、その漢方が適応となる「レスポンダー」を如何に見つけるか、という部分です。
これをするには、やはり基礎的な東洋医学理論や、脈診や舌診などの基礎的な診察法を身に付けることが重要で不可欠だ、ということです。
ここを上手に、効率的に説いていくのが僕の仕事かな、と思いますね。(^^)
他にも
「エキス剤と煎じ薬、どっちが効くの??」
とか、
「そもそもどう違うの??」
という話や、半夏瀉心湯も煎じとエキス剤では全然違う味で、なかなか興味深かったです。
2019.10.15

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拒食症(摂食障害)という病があります。
これは大変、難しい病気だと思います。
どういう病なのかについては、以下のサイトが参考になります。
専門家の方用 参照
この病ですが、実は20代の頃から、縁があるのか、チョイチョイ診させていただく機会があります。
(10代の頃も、僕自身の友達にも居ました。)
・・・まあ、当たり前ですが、これは安請け合いは出来ません。
この病気で、電話かなんかで問い合わせて、
「あー、治りますよ!」
とか言われたとしたら、とんでもないヤブか、とんでもない名人でしょう。
(ほぼ100%に近く前者だと思います。)
僕がこの病気にあたった時は、慎重にも慎重を期します。
まあ東洋医学的には、「食欲不振」から「消痩(しょうそう)」という状態に至った、と考えます。
(『症状による中医診断と治療』参照)
理論的には分かり易いし、体を実際に診ても、理論通り出ていることが多いです。
しかし、治療は実に難しいのがこの病です。
いい加減にやってて、たまたま治った、というのは、ここでしている話とは次元が違う。
この病に対して、全てワケ分かった上で治す、ということのハードルの高さ。
患者さんが置かれている環境、また、この病そのものをどう考えているか、に、大いに注意を払わないといけない。
実に難しい。
しかし、もちろん全てとは言わないが、「どう見ても明らかに鍼灸介入後から」色々な状況が改善し、安定するところまでイケることがあります。
20代の頃に、何度か失敗した経験のある病なので、うまくいくと大変嬉しいです。
この病気について考えると、とんでもなく暗い記憶が、いくつか頭をよぎります。
ですので、もちろん病名のみ聞いただけで、確実に治せる、なんて口が裂けても言えませんが、清明院の鍼灸、試してみる価値はあるんじゃないでしょうか。
2019.10.07

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このシリーズも、あらゆる書籍を参考にさせて頂きました。
以下に、メインとなった書籍を挙げておきます。
『漢易研究』鈴木由次郎
『宋代易学の研究』今井宇三郎
『太玄易の研究』今井宇三郎
『太玄経』鈴木由次郎
『易学入門』安岡正篤
『易と人生哲学』安岡正篤
『気の思想』小野沢精一ほか
『戴震の哲学』村瀬裕也
『王弼の易注』塘耕次
『周易参同契』鈴木由次郎
『朱子の自然学』山田慶児
『朱子の哲学』大濱晧
『朱子学と陽明学』島田虔次
『朱子学と陽明学』小島毅
『易』本田済
『易経講話』公田連太郎
『東洋易学思想論攷』濱久雄
『占いの想像力』池田知久ほか
『東洋医学の宇宙』藤本蓮風
『鍼灸治療のための易経入門』小林詔司
『鍼灸・漢方の名医になるための秘訣』神野英明
『鍼灸真髄』代田文誌
『鍼灸沢田流』山田国弼
この他にもたくさんあるんですが、メインとしてはこんなところです。
2019.10.05

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これまでのお話し
『列子』という人物 参照
さて、続きいきましょう!!
◆「太極療法」なるもの。
鍼灸治療において「太極」という言葉を盛んに用いた近代の鍼灸家では、なんといっても澤田健先生がおります。
澤田健という人物 参照
澤田先生は、自身の治療を「太極療法」と称しました。
この先生自身の著作はほぼないのですが、高弟である代田文誌先生が治療院見学研修中に聞いた、澤田先生の発言をまとめて書いた「聞き書き書」である『鍼灸真髄』は、
鍼灸界のベストセラー、かつロングセラーと言っていいでしょう。

↑↑真面目そうな代田先生。
この本の中に、澤田健先生がなぜ自分の治療のことを「太極療法」と呼んでいるかが、代田文誌先生の言葉で書いてあります。
「要するに先生の治療は、五臓六腑の中枢を治すことにより末梢をも治す、局所治療ではなく、根本治療である。末梢的、小局的な治療に対して、自身の治療を太極療法という。」
「末梢の治療にばかり気を取られて中枢の根源を忘れた西洋医学は小乗の法であり、根本治療は大乗の法。大乗法華経の一年三千十二因縁の理による太極療法だと言われる。」
(以上『鍼灸真髄』P19)
澤田先生は若い時分から日蓮宗に傾倒し、晩年は時代背景もあったのか、神道、国粋主義に傾倒したことが知られていますが、その発言には仏教の知識が豊富にあることをうかがわせるものが多いです。
また、
「複雑多岐多端になって帰一するところを失った観のある現代西洋医学に対して、それを簡約し、万古不易の治療原則を教えるものである。」
とも説明し、また、澤田先生自身の発言として、
「昔から治療には小局治療と太極治療とがあって、太極治療は一流でないと出来なかったものだ。」
「東洋には名の付く病気などというものはないのだ。病気というのは血の循環が不平均になったということなのであって、それに名を付けるだけでいい気になっているなんて、実にばかげた次第です。」
という発言を紹介しています。
(同書P30より)
このように、過激な発言が多いのも、澤田先生の魅力の一つだと思います。
(それが原因で叩かれたりもしていますが。(苦笑))
しかし、臨床の場での実際の澤田先生は、こういう辛辣な物言いもするけど、時には冗談も飛ばし、豪快に爆笑しながら診療を行うような、
明るい先生であったようです。
(なんか、誰かと似ているような。。。)
また、澤田健先生のもう一人の高弟である山田国弼(くにすけ)先生の『鍼灸沢田流―原理から実際―』では、「太極」の語源である『易経』をはじめとする中国の古典の内容にも触れつつ、
また、西洋医学の考え方にも十分に触れつつ、「太極療法」の意義の説明と理論化を試みています。

↑↑あまり知られていませんが、この人の著作は非常に精緻で、大変な勉強家であったことが分かります。
この本は入手困難本なんですが、是非入手して読んでもらいたい本ですね。
・・・とにかく、澤田先生が意識した「太極療法」というのは、どこそこの経穴に鍼灸するとか、どこそこの部位に着眼するとか、そういう意味ではなく、
古典の教える鍼灸治療法を通じて、結果的に
「血液循環の不平均を正す、それによって自然の良能(治る力)を引き出す」
ことが、より人体にとって根源的な「太極」治療なのである(西洋医学へのアンチテーゼとしての意味も込めて)、という立場なんですね。
澤田先生がこれを述べ、実践しておられたのが、今から約100年前の昭和初期ですが、基本的には今でも通用する考え方であり、現在、世界が中国伝統医学に注目しているのも、
中国伝統医学が、近代西洋医学にはない、こういった考え方でもって治療を実践し、結果を出すことが出来ているからでしょう。
続く
2019.09.27

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これまでのお話し
さて、続きいきましょう!!
◆「周氏太極図」の解釈 その2
前回、周敦頤(周濂渓)の「周氏太極図」↓↓において最も目立ち、清明院のロゴにもなっている「水火匡郭図(すいかきょうかくず)」について簡単に解説しました。

↑↑これの中の・・・

↑↑これね。
これは「太極」→「陰陽」のお話でしたね。
カテゴリ 陰陽 参照
・・・で、今日はその下の「三五至精図(さんごしせいず)」ってやつについて、簡単に解説しましょう。

↑↑この図ね。
要は今日は「陰陽」→「五行」の話ですね。
カテゴリ 五行 参照
・・・易には有名な「河図洛書(かとらくしょ)」という図があります。
(ちなみに河図洛書のことを略して”図書(としょ)”と言うそうです。”図書館”の図書とは、もともとはそういう意味だったのか・・・?)
このうちの「河図」というのは、「十数図」とも呼ばれるそうです。

↑↑これです。
この図は、簡単に言えば易の考え方でもって、宇宙万物創造の過程を描いた図であり、図中の○は陽、●は陰を示し、下が北、上が南、左は東、右は西を示します。
(方角を言っているのに、普通の地図とは上下左右が逆です。これは陰陽論では、上と左は陽、下と右は陰だからだと思います。)
そしてよく、この図を説明する時に、
「天一は水・北方を生じ、地二は火・南方を生じ、天三は木・東方を生じ、地四は金・西方を生じ、天五は土・中央を生ず。」
「地六は水・北方を成し、天七は火・南方を成し、地八は木・東方を成し、天九は金・西方を成し、地十は土・中央を成す。」
と言われ、これはまあ要するに、天地(陰陽)が定まったのちに、五行(森羅万象の性質や分類)が生じていく過程を順に説明しています。
上記の河図の説を踏まえて、冒頭に出した周氏太極図の中の「三五至精図」↓↓を考えると、

真ん中に土(五)
があり、
左に火(二)と木(三)、足して五
があり、
右にも水(一)と金(四)、足して五
があり、つまり真ん中と両サイドに「三つの五」があるから、「三五」と言われるそうです。
そしてこの、木火土金水の五行で描かれる「三五」は、下にある「ナゾの◯」に連なります。(笑)

↑↑ここね。
この◯は、「天地の一元気」と理解され、丹書である『周易参同契』に「三五、一となり、天地至精」とあるように、
陰陽が五行を生じ、それが天地の一元気となる過程をあらわしています。
そして「三五至精図」ではこの、五行間をつなぐ実線にも、意味があります。
長くなったので続く。(∩´∀`)∩
2019.09.26

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◆「周氏太極図」の解釈
前回も出したこの図。
↓↓

周敦頤さんの宇宙生成図(周氏太極図)な訳ですが、この図に関する詳細な解説がなされている本はあまりないようですが、私の手元にあるものだと、
やっぱり鈴木由次郎先生の『漢易研究』と、今井宇三郎先生の『宋代易学の研究』に詳しいですね。
(この二冊はマストだね。10年ほど前に、苦労して入手しといて良かったです☆)
まず、清明院のロゴにもなったこの図↓↓ですが、

これは「水火匡郭図(すいかきょうかくず)」と言います。
ちょっと難しくなりますが、ここまで来たら、簡単に解説、やってみましょう。
この図のドーナツの左半分は内側から白→黒→白、右半分は黒→白→黒、です。
白は陽、黒は陰だとすると、左は陽→陰→陽、右は陰→陽→陰、という順番になっています。
これを、易の八卦で言うと、左は「離火(りか)の卦」、右は「坎水(かんすい)の卦」で表されます。
☲(離火)
☵(坎水)
(↑↑真っ直ぐな横棒が陽を示し、途中で切れてる横棒が陰を示すのね。)
・・・で、「水火匡郭図」は左右で「離火と坎水」、つまり陰陽を示しています。
陰陽は繋がっており、真ん中には太極があり、図の下にはくっつくように半円が描かれ、これは陰陽が互根であり、しかも五行に連なることが示されています。
(五行の説明は次回)
ここで、宇宙の大きな陰陽を示すなら、陰陽を左右に割るのではなく、上下(天地)に割った方がいいのではないか、という疑問が浮かびますが、
清代の著名な学者である毛奇齢先生の解釈では、「左右」は方角で言えば「東西」であり、東西に離火と坎水を置くのは、北宋の儒学者である、
邵雍(しょうよう 邵康節しょうこうせつ 1012-1077)が強調した、易の「先天図」の考え方であり、左右が坎離(かんり)ということは上下(南北)は乾坤(けんこん)となり、
この思想(先天図の考え方)は道家によって受け継がれてきたことから、この図は、道家の内丹書である『周易参同契』の影響を受けている、という風に解釈なさるそうです。
(・・・ま、毛先生のこの説については反対意見や疑義もあるようですが。『宋代易学の研究』『占いの想像力』参照)
神野英明先生の『鍼灸・漢方の名医になるための秘訣』では、先天図というのは、陰陽の対待(たいたい)関係を示した図である、と説明して下さっております。
(まあ対待関係を簡単に言えば、対立と統一、つまり、あっちがなけりゃこっちもない、という陰陽関係のことです。)
因みに、『易経』の説卦伝における「天地定位、山沢通気」という文言を、『太玄経』では、「南北定位、東西通気」と置き換えています。
『太玄経』については長くなるのでいつか触れるとして、ここでは詳しくは述べませんが、たったこれだけの図で、「南北定位」が易の体、「東西通気」が易の用とし、
その上で、先天図は天地自然の法象、後天図は変化活動の法象、と仰る鈴木由次郎先生の解釈が、シンプルでシャープで、個人的にはすごく気に入っています。
まあ、簡単に言うと、清明院のロゴマークになっている「水火匡郭図」ってのは、
「場そのものや、森羅万象の関係性がもつ原理を示した図」
ってことなんですね。
上記のような考え(まあ他にもあるんだが。。)を知って、20代の半ば頃、妙にこの図の持つパワーに夜な夜な一人で興奮し、魅かれており、
開業したらロゴはこれかな、とか思っていました。(゚∀゚)
(ナツカシー)
続く。
2019.09.25

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これまでのお話し
さて、続きいきましょう!!
◆色々な太極図
さて、この太極を図に示したものをよく「太極図(たいきょくず)」と言います。
清明院のロゴマークの元になったこの図が、歴史上最初に登場した太極図だそうです。
↓↓

これは、中国、北宋の時代の儒学者、周敦頤(しゅうとんい、周濂渓しゅうれんけい ともいう。 1017-1073)先生が『太極図説』に書いた図、
ということで「周氏太極図」という呼称が一般的です。
これは実はいくつかの図が組み合わさった図なんですが、とりあえず一番上の〇は、このシリーズで説明した「無極而太極」を示し、次のシマシマの〇は「陰陽」を示し、
次に「五行」、そして最終的に「万物」という、宇宙生成の道理を示しているんだそうです。
因みにこの図は、後漢の魏伯陽という人物が著したと言われる『周易参同契』という、煉丹術に関する本の影響を受けていると言われます。
(鈴木由次郎『漢易研究』参照)
この図については、なんつっても清明院のロゴの元ですから、後ほどゆっくりとキッチリと説明しましょう。(`・ω・´)ゞ
清明院ロゴマークについて 参照
あと、まあなんつっても、太極図として有名なのはこの図でしょう。
↓↓

実は、この図の作者や来源はイマイチ分かってないみたいです。
まあ、諸説あるようですが、歴史上に登場したのは、一番上に示した「周氏太極図」よりも後、と考えられるようです。
(今井宇三郎『宋代易学の研究』参照)
この図は「太極陰陽魚図」とか、「陰陽魚太極図」とか、「天地自然の図」とか、「天地自然河図」とか、色々な名前があるようで、道教の道士がよく用いたことで知られています。
あと、アメリカのサーフブランド、タウンアンドカントリーのロゴとかネ。(笑)
あと、こんなのもあります。
↓↓

↑↑これは中国明代の来知徳(らいちとく 1525-1604)先生が著した図だそうで、「円図」とも呼ばれます。
(真ん中の〇を太極、白を陽、黒を陰とし、縦に入った黒線が陰、白線が陽だとする図です。『来註易経図解』より)
今は深入りしませんが、この図もまた、非常に深い意味を持っているようです。
あとは、韓国の国旗にみられるように、あらゆる国旗や軍旗、地方自治体のマークなんかにまで使われる「太極図」。(笑)
(因みに、李氏朝鮮の国王の旗と、国軍の軍旗に清明院のロゴと同じマークが使われていますが、清明院と李氏朝鮮はまったく無関係ですので。。。(苦笑))
また、韓国は、この図を朝鮮半島発祥の図だと主張しているとか。。。(苦笑)
・・・まあ、「太極図」というのは、色々な図柄や来歴や考え方があるにせよ、要は「太極」「陰陽」に含まれる深遠な哲学を、簡単な図で表現しようとした結果な訳ですね。
確かに、図にしてくれたら、クドクドと漢文で説明されるよりは、分かりやすくていいネ!!(゚∀゚)
続く。
2012.07.08
2016.05.09
2016.04.12
2016.04.28
2015.06.04
2012.12.23
2014.02.17
2014.04.26
2025.12.12
患者さんの声(睡眠障害、その他不定愁訴)2025.12.05
2025年11月の活動記録2025.12.01
2025年 12月の診療日時2025.11.22
患者さんの声(15年以上メンテナンスで継続通院)2025.11.20
11.22(土)、25(火)、通常通り診療やります!!2025.11.19
2025年10月の活動記録2025.10.29
2025年 11月の診療日時2025.10.15
2025年9月の活動記録2025.10.10
清明院16周年!!!2025.10.01
2025年 10月の診療日時2025.09.20
2025年8月の活動記録2025.09.01
2025年 9月の診療日時2025.08.15
2025年7月の活動記録2025.08.01
2025年 8月の診療日時2025.07.04
2025年6月の活動記録2025.07.01
2025年 7月の診療日時2025.06.26
2025年5月の活動記録2025.06.01
2025年 6月の診療日時2025.05.10
2025年4月の活動記録2025.05.01
2025年 5月の診療日時2025.04.04
2025年3月の活動記録2025.04.01
2025年 4月の診療日時2025.03.13
2025年2月の活動記録2025.03.01
2025年 3月の診療日時2025.02.06
2025年1月の活動記録2025.02.01
2025年 2月の診療日時2025.01.21
順天堂東医研、第6回公開シンポジウム「総合診療と東洋医学」2025.01.10
2024年12月の活動記録2025.01.02
2025年 1月の診療日時2025.01.01
謹賀鍼年!!2024.12.28
年内診療終了!!2024.12.14
2024年11月の活動記録2024.12.01
2024年 12月の診療日時2024.11.07
2024年10月の活動記録2024.11.01
2024年 11月の診療日時2024.10.10
清明院15周年!!!2024.10.09
2024年9月の活動記録2024.10.01
2024年 10月の診療日時2024.09.19
2024年8月の活動記録2024.09.01
2024年 9月の診療日時2024.08.03
2024年7月の活動記録2024.08.01
2024年 8月の診療日時2024.07.10
患者さんの声(70代女性 目の痛み、不安感)2024.07.05
2024年6月の活動記録2024.07.01
2024年 7月の診療日時2024.06.05
2024年5月の活動記録2024.06.01
2024年 6月の診療日時2024.05.10
2024年4月の活動記録2024.05.01
2024年 5月の診療日時2024.04.13
(一社)北辰会、組織再編。