東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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再び往診へ

2018.07.12

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先日、癌が見つかった患者さん。

 

癌が見つかった 参照

 

 

腹腔鏡での、簡単な切除手術を終え、1週間ほどの入院から帰ってきた。

 

 

何でも、手術した日から歩くように言われて、入院中も積極的に軽い歩行運動を勧められたそうだ。

 

 

その方が傷の治りが早い、とのことで。

 

(最近はそういうもんなんですな。(゜レ゜)・・・まあ、モノによるだろうし、賛否分かれそうだけど。)

 

 

で、本日再度往診に伺ってきたが、慎重に診たけど、特に変わった様子はなかった。

 

(じゃっかん陽分に邪が浮いたかな。)

 

 

まあ、術前との違いがあるとすれば、大ケガをした人の反応と似ていたね。

 

(手術後の患者さんを診るといつも感じることなんだけど)

 

 

怪我をすると、出血します。

 

 

手術しても、出血します。

 

 

東洋医学の言う、血脈(血管)から出血、漏出した血のことを「離經の血」と呼んで、一種の瘀血(おけつ)と考えます。

 

「血」って何ですか?(その10)

「痰(たん)」「瘀血(おけつ)」について

カテーテル検査後の内出血   参照

 

 

この瘀血が、手術した部位の気血の通行を阻害します。

 

 

五臓では、血とのかかわりの深い、心の臓肝の臓の働きを主に阻害します。

 

「心」って何ですか?(その7)

「肝」って何ですか?(その13)    参照

 

 

だからこの瘀血を散らすように持っていきます。

 

 

もともと、この患者さんは、癌としての症状は何もなく、健診で判明したもの。

 

 

たまたま見つけたから、拡がる前に取ろう、という考え方です。

 

 

僕はもちろん、医師と、患者さんのその判断は尊重したいと思います。

 

 

あるのが分かってて放置するのは、誰だって気持ち悪いし怖いです。

 

 

・・・で、最大限尊重しつつ、どの局面においても、冷静に東洋医学の見地から、出来ることを行います。

 

 

本当はこういうのを、西洋医学と、密に連絡、連携とりながらやりたいんだがねえ。。。orz

 

 

 

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脈診メモ(邪崇:じゃすい)

2018.05.27

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「異常な病」「不可解な病」というのがある。

 

 

昔からあるらしい。

 

 

そういうものを昔は「邪崇」とか、「鬼病」とか言った。

 

 

これは、脈で言えば

 

1.脈状が一定しないもの

 

2.病態と脈状が合わないもの

 

と考えるらしい。

 

 

悪鬼が憑いたとか、狐魅が憑いたとか言ったりしたようだが、『脈法手引草』によれば、大概は心気の虚+痰だという。

 

 

臨床家として、実に納得できます。

 

「怪病多痰(かいびょうたたん)」という言葉   参照

 

 

 

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「アーユルヴェーダ」とは

2018.04.12

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昨日、「ユナニ医学」を紹介したので、ついでに「アーユルヴェーダ」についても紹介しておきましょう。

 

「ユナニ医学」とは   参照

 

 

「中国医学」「ユナニ医学(ギリシャ・アラビア医学)」「アーユルヴェーダ(インド医学)」、この3つのことを「世界三大伝統医学」なんて言うそうですね。

 

(因みにチベット医学を入れて「四大伝統医学」とする考え方もあるようです。)

 

 

世界中にある伝統医学の中でも、特に価値が高いもの、代表格、ということでしょう。

 

 

「アーユルヴェーダ」とは、Wikipediaによれば、寿命、生気、生命を意味するサンスクリット語の「アーユス」と、知識、学を意味する「ヴェーダ」の複合語だそうです。

 

(まあ、「生命の学問」って感じでしょうか。)

 

 

五大(5つの祖大元素:地水火風空)からなるヴァータ(風)、ピッタ(胆汁・熱)、カパ(粘液・痰)トリ・ドーシャ(3つの体液、病素)のバランスが取れていること、

 

また、食物の消化、老廃物の生成・排泄が順調で、サプタ・ダートゥ(肉体の7つの構成要素)が良い状態であることをもって健康体と考えるそうです。

 

(やはり伝統医学では、全体のバランスを説くわけですね。)

 

 

治療内容は睡眠改善や食事療法(絶食、あるいは栄養療法)、煎じ薬、瞑想、運動療法とあるようで、使用する生薬は2000~2500もあるそうです。

 

 

この中には、現代医学的に研究されて、動物実験レベルで抗がん作用が証明された、なんていう生薬もあるようです。

 

(伝統医学は、現代の研究家からしたら、研究材料の宝庫でしょうな。。。)

 

 

よく巷で知られているようなオイルマッサージのようなことも、やるのはやるのですが、薬草療法が中心だそうです。

 

 

「インド式オイルエステ=アーユルヴェーダ」みたいな認識は間違っています。

 

 

また、占星術に基づいてマントラ(呪文)を唱える、というような霊的な治療も行うようです。

 

 

また、アーユルヴェーダは医学のみならず、生活の知恵、生命科学、哲学の概念も含んでおり、病気の治療と予防だけでなく、より善い人生を目指すものだそうで、

 

健康の維持・増進や若返り、さらには幸福な人生、不幸な人生とは何かまでを追求するそうです。

 

(まあ本来、医学というのはこうあるべきではないでしょうか。)

 

 

歴史的には紀元前、数千年前から始まっているようですが、歴史上、インド国内でのイスラム勢力の台頭の時代などにユナニ医学が台頭し、

 

相対的に衰退した時期もあったようですが、1970年代に至って復興し始め、現代ではアーユルヴェーダ医師(BAMS)の資格は国家資格だそうで、

 

現代医学と並んで治療が行われているようです。

 

 

日本では大正時代以降、徐々にインド医学の研究が盛んになり、1998年には日本アーユルヴェーダ学会が設立された。

 

 

日本ではアーユルヴェーダ医師の国家資格等はないため、医師が行う施設が国内にいくつかあるのが現状とのことです。

 

(もっとガンガンやったらいいのに、と思いますがねえ。。。)

 

 

・・・とまあ、中国医学も、ユナニ医学も、インド医学も、結局は人体の流動するエネルギーに着眼し、各構成要素の機能的バランスを整えることをその眼目としています。

 

 

 

【参考文献】

 

上馬場和夫ほか『インドの生命科学 アーユルヴェーダ』農文協

同『アーユルヴェーダ入門』地球からだブックス

上馬場和夫『やさしいアーユルヴェーダ』PHP

 

 

 

 

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暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学 5

2018.02.25

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前回のお話

 

暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学

暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学 2

暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学 3

暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学 4   参照

 

 

◆血虚に配慮した、痰濁上擾の鍼灸治療

 

 

前回までで、ザックリではありますが、先日の研修会で先輩が倒れたメカニズムに関して、簡単に仮説を立てました。

 

 

でもまあ、まさにこれが、僕らが頭の中で普段行っていることです。

 

 

痰濁上擾が中心で、背後に血虚もアリ、と考えた場合、どんな鍼灸治療が考えられるでしょうか。

 

 

実際に、今まさに意識不明(人事不省)になっている最中は、まずは意識をつけないといけないので、”気付けの鍼”といわれるやり方がいくつかあります。

 

(専門的には”開竅法”と言ったりします。)

 

 

映画『レッドクリフ』で、気絶した人に対して、鼻の下にある「人中」という経穴をグッと押して意識をつけるやり方が出てきましたが、ああいうのも一つの方法です。

 

 

また、韓国ドラマ『太陽人 イジェマ』なんかでは、麝香の粉末を竹筒で鼻に吹き込んでくしゃみを誘発して意識を付ける、なんていうシーンもありましたね。

 

 

ただ今回の場合は、倒れてすぐに、自然と意識が付きましたから、こういう場合は、再発防止の鍼をすることになります。

 

 

基本的には、このケースで言えば痰濁を下す鍼です。

 

(あえて配穴は言いませんが、『経穴解説』『穴位通鑑』参照です。)

 

 

・・・でも、そこであまりにもキツイ瀉法を加えると、陰血を傷ってしまって、血虚を悪化させてしまう可能性がありますので、陰経の経穴などは極力避けた方がいいとか、

 

血そのものや、血の生成に関与する臓腑と関わる経穴は避けた方がいいとか、選穴にしても補瀉手技にしても、そういった配慮が必要になります。

 

「血」って何ですか?(その10)

補瀉 目次             参照

 

 

・・・で、治療後の排便、排尿、発汗、食欲等の状況に注意を払って、きちんと痰濁が下っているかどうか、血虚が埋まってきているかどうか

 

適宜判断していかなくてはいけません。

 

 

これがうまくいって、その治療を一定期間続けたら、今回と同じような状況にさらされても、暈厥を起こさない体にしていくことが出来るでしょう。

 

 

・・・まあ、これが鍼灸、東洋医学としてのやり方なんですが、実際に目の前で突然バターンと人が倒れた時に、急場で、すぐに意識が戻るものなのか、

 

このまま何年も昏睡状態になってしまうようなものなのか、あるいはそのまま帰らぬ人になってしまうようなものなのか、適切に判断しなくてはいけませんが、

 

この判断は簡単ではないです。

 

 

北辰会方式では、顔面気色と脈で判断することになっていますが、長くなるし専門的過ぎるので、ここでは詳細は述べません。

 

 

急な意識障害には、他にどんなものがあるのでしょう。

 

 

まずは西洋医学的な分類を見てみましょう。

 

 

 

続く

 

 

 

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暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学 4

2018.02.17

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前回のお話

 

暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学

暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学 2

暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学 3   参照

 

 

では続きいきましょう。

 

 

◆暈厥の治療

 

 

前回書いた通り、こないだ先輩の起こした暈厥は、当日の過ごし方、倒れた際の情報から、「痰濁上擾>血虚」である可能性が高そうだ、という仮説を立てました。

 

(あくまで仮説です。)

 

 

・・・これがもし真であれば、どういう治療があり得るでしょうか。

 

 

『症状による中医診断と治療』では、痰濁上擾であれば治療は行気豁痰で、方剤は導痰湯、と出ています。

 

 

方剤については、神戸中医学研究会『中医臨床のための方剤学』によれば、導痰湯は、厳用和(げんようわ 南宋:13世紀)の『済生方』に出て来る方剤で、

 

半夏・天南星・枳実・茯苓・陳皮・炙甘草・生姜を含むもので、清代、程国彭(ていこくほう)『医学心悟』に出てくる、有名な半夏白朮天麻湯と似た方剤なんですが、

 

天南星枳実によって、痰に対する去痰効果は強く、脾虚に対する配慮は薄いものと言えます。

 

 

因みに天南星はサトイモの仲間、枳実はミカンの仲間です。

 

 

身近!!(゚∀゚)

 

 

・・・ですので、この場合、背後に一定の血虚があった可能性が高いので、導痰湯よりも半夏白朮天麻湯の方がいいのかもしれません。

 

 

また、同書には、血虚の場合の治療は生脈散人参養栄湯、と出てきます。

 

 

生脈散は、金元の四大医家の一人である李東垣(りとうえん 1180-1251)の『内外傷弁惑論』に出て来る方剤で、麦門冬・人参・五味子が入っており、

 

気陰を補って脈を生じる、という意味でこの名前がついているようです。

 

金元の4大医家 李東垣(りとうえん)  参照

 

 

これは思いっきり補(扶正)に寄せた薬で、今回のように実が中心の場合は、あまり適さないと思います。

 

 

人参養栄湯は宋代の『和剤局方』に出て来る方剤で、人参・桂枝・地黄・茯苓・白朮・黄耆・当帰・芍薬・甘草・遠志・五味子・陳皮の入ったもので、

 

有名な十全大補湯を少しアレンジして、心の臓肺の臓にも効くように調整された薬だそうです。

 

心・小腸

肺・大腸 参照

 

 

まあこれも、思いっきり補法に寄せた薬なので、今回のような実が中心の場合には適さないと思います。

 

 

・・・そう考えてくると、ここに挙げた薬の中では、半夏白朮天麻湯が一番いいのかな、と読めます。

 

 

まあ僕は薬に関しては全くの門外漢なので、この辺は正直分かりませんが。。。

 

(詳しい先生、ぜひご意見聞かせて下さい。<m(__)m>)

 

 

・・・で、翻ってこれを鍼灸で考えると、色々な経穴が浮かびます。

 

 

裏の血虚に配慮しながら、痰濁を取る、これにはどんな方法があるでしょうか。

 

 

 

続く

 

 

 

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暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学 3

2018.02.16

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前回のお話

 

暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学

暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学 2   参照

 

 

では続きいきましょう。

 

 

◆暈厥の弁証

 

 

暈厥には、どんな証が考えられるかというと、以下の通り。

 

1.気虚

2.血虚

3.血気上逆

4.肝陽上亢

5.痰濁上擾

6.暑熱

 

『症状による中医診断と治療』には、以上の6つが挙げられています。

 

(成書によっては、多少多かったり、少なかったりする場合があります。)

 

 

1.2.は虚証、3.4.は肝の病変、5.6.は実証です。

 

 

臓腑では「肝の臓」の異常が中心であり、病態に虚実あり、ということですね。

 

 

だから、一口に暈厥とっても、治療法は、倒れたメカニズムによってそれぞれです。

 

 

もし失敗すれば悪化して、深刻な状態になることも考えられます。

 

 

ですので、やはり「的確な診断」が重要です。

 

 

・・・で、こないだの先輩のケースはどれに該当するかな~・・・、と考えていく訳ですが、ここ(成書)に挙げられているのはあくまでもひな形的なパターンの羅列であって、

 

これらが時には複合的に、あるいはここに書かれていないパターンでも、暈厥は起こってきます。

 

 

ですので、あまり上記の弁証分類に縛られ過ぎて、無理やり当てはめて考えるのも、失敗のもとだったりします。

 

(教条主義を排す、ってやつね。)

 

 

また北辰会方式としては、どういった機序(病因病理)で、上記の証による暈厥に至ったのか、の把握が重要でしょう。

 

(これは、予後にも関わるからです。)

 

 

まあ、あくまでも実際の体表所見、当日の患者像を参考に、何が起こったのかを考えるべきだと思います。

 

 

そういったことを十分に鑑みつつ、慎重に考えると、あの日、その先輩は倒れる直前に、ホテルの豪華な食事を、普段よりも多くとり、普段ほとんど飲まない酒(ビール)も多く飲んでいました。

 

(瓶ビール二本ほどかな?)

 

 

この時点で、脾胃に常ならぬ負担を強いていたことは十分に考えられます。

 

(飲食不節→湿困脾土、湿熱中阻、脾失健運、胃失和降などの”病因→病理”が考えられます。)

 

 

しかも朝から早起きし、熱海への移動疲れもあったことと思いますし、研修会ですから、精神的緊張もあったことと思います。

 

(睡眠不足→気虚や血虚、新幹線での長時間同一姿勢、精神的緊張→肝鬱気滞、気滞血瘀などが考えられますね。)

 

 

しかも倒れる直前に、露天風呂にて長湯をしている。

 

 

長風呂では、肉体的緊張は緩み(理気活血疏肝)つつも、あまりに長ければ、疲労(気虚や血虚)は助長される面があります。

 

 

また、冬場の露天風呂ですから、そこで風寒邪を感受した可能性もある。

 

(その場合は気が急激に上逆傾向になります。)

 

 

ただ、横で見ていましたが、湯舟には肩まで浸かっておりましたし、一緒に入っていて、そこまで風も強くなく、冷たい風を受けていた感じはしませんでしたね。

 

(そして、風呂から上がった瞬間、一瞬”左に”フラッとよろめいたのが少し気にはなりました。)

 

 

風呂場での会話にも特に参加しておらず、そこで何か七情が乱れるようなことはなかったのではないかと思います。

 

(これは推測ですが。)

 

 

その後、脱衣所で急に後ろにバターンと倒れた時、すぐさま駆けつけて脈を診ていた先生が、

 

「沈んで細くて堅いけど、力はあります。重按がやや弱いです。」

 

と仰っていました。

 

 

この脈は、その後すぐに意識がついた時、その瞬間に、緩みながら浮いてきたそうです。

 

 

ここで、気虚や血虚の暈厥では、顔面蒼白、脈無力が特徴で、肝の病変や暑熱では顔面紅潮が特徴ですが、顔色としては、土気色、という感じで、蒼白でも紅潮でもなかったですね。

 

 

 

また、血虚で倒れると、目が落ちくぼんで輝きがない、というのが特徴のようですが、倒れた瞬間、目は一点を見つめ、妙にギラっとしていました。

 

 

血気上逆では歯を食いしばるのが特徴ですが、口は開いて、歯は食いしばっていなかったです。

 

 

倒れた時に上腹部を触った先生は、極端に冷えていたと仰っています。

 

 

また、ご本人が意識がついてから、

 

「倒れる寸前に悪心がして、気付いたら倒れていた。」

 

と仰っています。

 

 

舌診は、意識がついてすぐの舌は舌背が紫暗、舌腹は淡白傾向、特に舌下静脈が淡白気味だったようです。

 

(血虚と瘀血の所見が両方出ていますが、血虚が本と診てとれますね)

 

 

これらの情報を総合すると、成書の分類からいけば、5.の痰濁上擾が中心でありつつも、背後に若干、2.の血虚があるのでは??となります。

 

 

さて、これを治療して、今後同じ状況にさらされても、暈厥を起こさない体にするにはどうしたらいいでしょうか。

 

 

 

続く

 

 

 

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暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学 2

2018.02.15

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前回のお話

 

暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学   参照

 

 

では続きいきましょう。

 

 

◆暈厥の定義

 

 

『症状による中医診断と治療 上巻』によれば、「暈厥」の定義は

 

突然意識が消失して四肢が冷え、一定時間のうちに覚醒して、失語、顔面麻痺、半身不随などの後遺症を伴わないこと

 

だそうです。

 

 

東洋医学のバイブルといっていい、『黄帝内経 素問』「生気通天論(3)」に、「薄厥(はくけつ)」という熟語で登場します。

 

 

そしてこれは後世になって、

 

「鬱冒(うつぼう)」

「気厥(きけつ)」

「血厥(けっけつ)」

「痰厥(たんけつ)」

「食厥(しょくけつ)」

「暑厥(しょけつ)」

「酒厥(しゅけつ)」

「昏厥(こんけつ)」

「昏暈(こんうん)」

「昏仆(こんふ)」

 

などと呼ばれています。

 

(なげえ~~ ありすぎ~~~)

 

 

あれこれと紛らわしいんですが、要は、意識障害を起こした原因(病因)や、その病態によって、名前を呼び分けているようです。

 

 

ともかく、暈厥というのは、「一過性の意識障害」のことを言います!!(・ω・)ノ

 

 

暈厥の暈の字は「眩暈(げんうん):めまい」で有名なんですが、通常、めまいには意識障害は伴いません。

 

 

暈厥の「厥」の字は、ちょっと大事なので後で詳しく書きます。

 

 

また、暈厥は「神昏(しんこん):意識障害が長く続くもの(昏睡状態)」とは、病態が違います。

 

 

また、私の親戚が、ずいぶん前に脳腫瘍で倒れた時に起こした

 

「癲癇(てんかん:単に癇(かん)ともいう)」

 

でも、一過性の意識障害はありますが、この場合は四肢痙攣、牙関緊急(強く噛み締め、閉口してしまう)、口から泡を吹くなどの証候を伴い、

 

これも暈厥とは区別します。

 

 

 

続く

 

 

 

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最近の症例 ⑤ 慢性扁桃炎、咳

2017.10.21

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こないだ、何となく書き始めたシリーズ。

 

最近の症例 ① 抗がん剤治療後に発症した諸症状

最近の症例 ② 男児のネフローゼ

最近の症例 ③ 生まれつきのアトピー

最近の症例 ④ 好酸球性肺炎     参照

 

 

せっかくなんで、もう少し紹介しましょう。

 

 

患者 30代 男性

 

主訴 慢性扁桃炎による痰、咳、咽喉の異物感

 

随伴症状 咽喉の渇き、めまい

 

現病歴 清明院初診の3年前より発症。病院、漢方、鍼灸と、色々試したが良くならない。

 

(何か治療をすると、症状少し落ち着くが、完全には改善しない状況。ピーク時を比較すれば症状の強さは半分以下の状況)

 

既往歴 突発性難聴 慢性鼻炎

 

弁証 肺胃不和 湿痰 

 

配穴 明らかにしない

 

経過 初診後、咳、痰が改善。

 

遠方であり、多忙でもあることから、漢方の先生の力を借りる。

 

(処方名は明らかにしない)

 

現在、経過良好。ほとんど崩れなくなっている。

 

 

他の治療院の鍼灸や漢方でダメでも、清明院のやり方考え方でならうまくいく症例、というのがある。

 

 

 

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「不安」の原因

2017.01.23

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患者さんの不安をいかに取り除くか。

 

 

これは、どんな病気を治す上でも重要。

 

 

ここを、そもそもそんなこと無理、性格だからしょうがない、と逃げたらよくないと思う。

 

 

また、患者さんの心理誘導や心理操作はムンテラだ、ムンテラだ、と言い過ぎるのもどうかと思う。

 

 

これについても、これまで何度も書いてきた。

 

「不安」を含む記事 参照

 

 

どんな症状でも、どんな病気でも、大なり小なり患者さんは不安感を覚えるものですが、とりわけ五臓では、「心の臓」の異常で、

 

「不安感」というマイナス感情が起こりやすいと言われる。

 

カテゴリ 「心・小腸」 参照

 

 

「心の臓」の単独の証としては、

 

心気虚、心陽虚、心血虚、心陰虚、心火亢盛、寒傷血脈、痰火擾心、痰迷心竅、心痹、水気凌心、脚気衝心

 

あたりがある。

 

『中医弁証学』東洋学術出版社より

 

 

このうちの、心の臓自体の虚証病変、つまり上記の最初の4つ(気虚、陽虚、血虚、陰虚)が病因病理の片隅にでも入ってくるようなものは、

 

急性病、慢性病問わず、いやーな不安感が出やすいんじゃないかと思います。

 

(たとえ動悸や胸痛や胸悶感がなくても。)

 

 

だから、もちろん患者さんが来たら、まずは主訴をキチッと弁証して、その主訴と合致した証と病因病理を踏まえて治療を進めたらいいのだが、

 

初診時や経過中に、患者さんが不安感を強く訴えるような場合は、あくまでも病因病理と証を外さないようにしつつ、

 

しかも結果的に「心の臓」の気血が充足、疏通するように意識した配穴に処置すると、効果が出やすいように思います。

 

 

あとは毎回治療後に、「後渓」「神門」「心兪」あたりの反応の変化を、見逃さないようにするべきだと思います。

 

 

決して患者さんの言葉で、術者自身が狼狽することの無いよう。

 

 

 

もしそうなるようであれば、無理せず治療を断った方が、お互いのためだと思います。

 

 

 

 

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間違った養生法(水分多飲+ホットヨガ)

2017.01.21

20170109_170816.jpg

 

 

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随分前に、けっこうしつこく書いてたんだけど、

 

「なんか、キリがねえや(‘Д’)」

 

と思って止めた経験のある、養生法に関する話題。

 

 

まあ、ネットを中心とした情報化社会である昨今、実にキャッチーな

 

「〇〇すれば健康美人!」

 

「〇〇で美ボディーゲット!」

 

などなど、メディアの美辞麗句の毒牙にかかって、深刻な病になっている患者さんを、清明院ではよく診ます。

 

 

よくあるのが、

 

「日頃から水分をガンガンとって、休日はホットヨガで大汗をかく。」

 

という健康法のようなものを一生懸命続けている患者さん。

 

 

しかもこれ、20代後半から30代の女性で、管理職などのハードワーカーの方に多かったりします。

 

 

これは非常に危なっかしいです。

 

(全否定はしませんが。)

 

 

東洋医学的には、水分を必要以上にたくさん取ることによって、脾にも腎にも無用な負担がかかります。

 

(もちろん膀胱にも三焦にも胃にも小腸にも大腸にも、場合によっては肝胆にも心肺にも、無用な負担がかかります。)

 

 

そして、捌ききれない水分は、余った水となり、体内に停滞し、「湿痰(しったん)」という病理産物になります。

 

 

・・・で、ホットヨガに行くとこの「湿痰」が排出されて、それとともに他の毒も出る、という、まるでマッチポンプのような健康法なんですが(苦笑)、

 

それでスッキリしてめでたしめでたしかと言うと、そうでもない人が多い。

 

 

人間は水道管じゃないし、水は排水管洗浄剤じゃない。(苦笑)

 

 

日頃のハードワークで、飲み会も多い、睡眠不足も多い、ストレスも多い、運動不足、そういう生活習慣によって、主に脾腎による、

 

水分の出納調整機能が極端に減退しているところに持ってきて、「デトックス」とか称して過剰に水分を取り、しかも暑い部屋で一定時間体操させて、

 

無理やり発汗させることで、必要な津液(有用な水分)を失い、疲労を助長する。

 

 

このメカニズムによって、耳鳴り、突発性難聴、ニキビや皮膚炎、生理痛や生理不順などなど、起こりうる病、症状は数知れずです。

 

(もちろん、水分の調整機能が十分な人は大丈夫ですが。)

 

 

各人がよくよく考えて、自分の体は自分で守らないと。

 

 

流行っているからとか、テレビや雑誌で取り上げられてるからとかじゃなくて、「自分自身の体質と生活習慣にあった養生法」というのを真剣に考えないと、

 

10年後、20年後を考えたとき、大きなマイナスになる可能性があるということを、よく考えた方が良いと思います。

 

 

 

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