東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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日本東洋医学会の被災地での活動

2011.10.22

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こないだ、私も所属する、(社)日本東洋医学会(医師を中心とした、国内最大の東洋医学の学術団体)の会報雑誌を見ていて、

 

「あー、やっぱそうだったんだ~!!」


と思った報告記事があったので、報告します。


震災の1週間後~2ヶ月後まで、東北大学病院漢方内科の先生方が、漢方薬による投薬治療、鍼灸マッサージによる治療で、被災地(石巻市、女川町)で医療支援を行っていたそうです。

(・・・なんで、もっと報道されないの??)

震災直後はカゼや胃腸炎、低体温症などの症状が多く、2週間後からはそれらの症状に加えて不安感、イライラ、便秘等の症状が多かったようです。


それらのすべてに対して、漢方薬、鍼灸マッサージで、非常に高い効果をあげていたようです。

(社)北辰会の方でも、義援金68万4千円を寄付するとともに、個人的に医療ボランティアに行かれた先生もいましたが、本来はこういった非常時にも、

 

もっともっと積極的に、組織として東洋医学が関わるべきだと思います。


実際に役に立つんだから。

・・・もちろん「ちゃんとやれば」の話だけど。


急性期を脱した後のケアはもちろん、急性期から、もっともっと積極的に関わってもいいと、個人的には思いますがね・・・。

 


とにかく、今回の震災で露呈された様々な問題は、次回にどれだけ生かせるかだと思います。


もちろん「次回」は無い方がいいけど、「絶対ない」とは言い切れないんだから・・・。

(社)日本東洋医学会HP

(社)北辰会HP

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妊娠初期に鍼してもいいのか

2011.09.10


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今日、とある患者さんに質問されました。

「先生、妊娠したら、安定期に入るまでは鍼しちゃダメですよね??」

と。

僕は即答で、

「へ??むしろ妊娠初期からやるべきですけど?」

とお答えしました。(苦笑)


清明院には、不妊症でお見えの患者さんも多くおられます。


清明院では、不妊症の患者さんを治療して、体調を調えた結果、めでたく妊娠したら、今度は赤ちゃんがお腹の中ですくすくと健全に育つように、治療を続行します。

また、鍼をよく知っている患者さんなら、妊娠初期に、つわりやカゼの症状等を訴えて初診に訪れる場合もあります。

・・・まず重要なのは、「妊娠」というのは病気でも何でもないです。

健康な女性にとっては、条件さえ整えば誰にでも訪れうる、極めて生理的な現象です。

しかし、妊娠中には、わずかな期間に、お母さんの心身には様々な急激な変化が起こります。

それに上手くついていけずに、色々な症状が出ることはあります。

悪阻(つわり)や妊娠中毒症、妊娠糖尿病、腰痛やむくみなどなど、また、様々な不安から、情緒不安定やうつ病になったりすることもあります。

こういう、妊娠中に起こる諸症状に、鍼灸は非常に有効な手段だと思っています。


また、妊娠中にカゼをひいたりした場合、多くのお母さんは、胎児への影響を考え、あまり薬は飲みたくありません。

そういう時にも鍼は有効です。

清明院でもこれまでに、何度も何度も経験しています。

清明院HP内、「患者さんの声」でも、つわりの症例を紹介しております。


ただ、一つ断わっておきたいのは、キチッとした東洋医学的な診立ての出来る、上手な先生の鍼灸なら、どんどん受けて欲しいと思いますが、

生半可な知識の、でたらめな鍼ならば、受けるのは大変危険なのは言うまでもないです。

鍼灸というのは非常に有効であるだけに、使い方を間違えたら大変な凶器なのです。

僕は常々、鍼灸が、「正しく」広まってほしいと、切に願っております。

 

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患者さんの声(30代女性:アトピー性皮膚炎、ぎっくり腰)

2011.07.18

 

 

 

 

 

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患者さまの声をいただきましたので、紹介します!!

30代 女性 

症状:ぎっくり腰、頭痛、眼痛、アトピー性皮膚炎


 

私は腰痛持ちで、1年半前に歩けないほどひどくなり、友達の紹介で清明院にお世話になることになりました。

初めは鍼には抵抗があったのですが、少ない鍼で治療していただき、腰痛も劇的に良くなりました。
 
治療を行う前のカウンセリングで、今までの生活の中で、改善しなくてはいけない点が多々あることがわかりました。

院長先生の指導の通り日々の生活を気を付けるようにしたところ、

腰痛以外にも、小さい頃から患っていたアトピーも改善され、体重も5kg以上減りました。

 
これからも院長先生に指導していただいた点に気を付けて、健康な生活を維持していきたいと思っています。

【清明院からのコメント】


この方は初診時、ぎっくり腰を起こして、整体に行っても、整形外科に行ってもよくならず、しかもカゼを引いて、ボロボロになった状態で来院されました。

御本人も述べておられますが、生活状況を確認すると、慢性的な運動不足に加えて、カフェイン類や、甘い物の過剰摂取、

それに加えて職場での人間関係からくる重度の精神的なストレスにさらされていることが分かりました。

ともかく、まずはカゼと腰から、ということで治療を開始し、カゼと腰がすぐによくなったので、そこからは「肝欝気逆(かんうつきぎゃく)、湿熱(しつねつ)」と証を立て、

生活上の問題点を一つ一つ改善しながら、鍼で体のバランスを整える、というやり方で1年以上治療を継続したところ、

皮膚の状態も見違えるほど、一見アトピーとは分からないぐらいに改善しました。

ついでに体重もへって、パッと見た感じの印象が随分スッキリとされました。

随伴症状としてあった頭痛や眼痛も、今ではほとんど出ません。

このように、最も辛い症状を治療しながら、副産物としてそれ以外の症状も同時にとれていくのが、東洋医学独特の

「常に全体を意識し、全体のバランスを整える視点」

の、真骨頂です。

また、最初の頃はいつも眉間にしわを寄せて、不安そうだったり、いつも真顔で、病気のことばかり心配し、なかなか笑顔が見られなかったのですが、

体調が好転するに従って、徐々に笑顔が出るようになってきて、今では笑顔で入ってきて、治療が始まった瞬間爆睡するようになりました。(笑)

今でも気がゆるむと飲食の不摂生が出やすいですが(苦笑)、今後もさらなる改善を目指して、治療を継続していこうと思っています。

 

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「膀胱」って何ですか?(その4)

2011.02.23

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これまでのお話・・・

「腎」って何ですか?(その11)
「膀胱(ぼうこう)」って何ですか?
「膀胱」って何ですか?(その2)
「膀胱」って何ですか?(その3)

 

☆「膀胱の腑」と「腎の臓」と「カゼ」と「寒気」


これまでで、「膀胱の腑」は「腎の臓」と関係が深い、ということをお話ししました。

これは「膀胱の腑」というのは尿を貯めて出す、貯尿、排尿の働きに大きく関わり、その”尿をためる”という働きをフォローしてくれてるのが「腎の臓」なんだ、というお話でした。


この「腎の臓」の働きが弱ると、「膀胱の腑」はおしっこを十分に溜めて、十分に排泄する、という働きがしにくくなります。


そうすると、全身に色々な異常が出てきます。

 

その重要なものの一つに、「カゼをひきやすくなる」というものがあります。

カゼの初期に、ゾクゾク寒気がしたり、妙に体がだるくなったりしますよね?

 


そういう症状のバックボーンに、この「腎」と「膀胱」の不調和があることがよくあります。

以前言うように、「尿」というのは”余分なお水”な訳ですから、コレが正常に排出できていれば、体は温かい状態に保たれます。

どうしてムクむの?
どうしてムクむの?(その2) 参照

 


コレが小便でうまく排出できない、そして代替的に大便や汗でも排出できない、という状況が起こると、”余分なお水”は体に停滞していき、

 

結果的に体を冷やし、重だるくし、冷えの邪気、すなわち東洋医学の言う「寒邪」に侵入されやすくなるのです。

「寒燥」について 参照

 


ちなみにこの、”腎-膀胱”というコンビネーションによる水分排泄機構がうまく働かない時、「下痢」という現象も起こりやすいです。

 


なぜならば、前回説明したように、”小腸―大腸”のつなぎ目(闌門)あたりから腎の力を借りて、余分な水分が浸み込んでくる膀胱ですから、ここで膀胱の方に不要な水分がいかない、

 

となると、大腸の方に余分な水分が流れる、ということになり、結果、大便が水分を多量に含んで、「下痢」という現象が起こるんです。

 

・・・まあこのように、我々は、患者さんに普段当たり前に起こる現象の一つ一つを、

”何が原因か”

”どういうメカニズムか”

東洋医学的によーくよーく考えて、治療にあたっています。

 

コレは一つの学問であり、理論です。

 

魔法なんかじゃございません。

 

 

 

続く

 

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熱の華(ネツノハナ)

2011.01.26

 

 

 

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「熱の華」という言葉がある。

 

主に唇に出来るヘルペス、口角炎などを言うことが多いが、出典等は不明。(そこまでちゃんと調べてないけど 笑)

 


まあ一般的には、これらを患うと、皮膚科に行ったり、内科に行ったりするんじゃないでしょうか。

 


ヘルペスには軟膏やら、口角炎にはビタミン剤など、というのが、一般的な治療法としては知られています。

 


もちろん西洋医学の方法論をとやかく言うつもりは全くないけど、これ実は、鍼でイケることが意外と多いように思います。

 


というのも、これらの症状を持っている患者さんの話をよくよく聞くと、人によって全然症状の出方や、程度や頻度、悪化する条件なんかが違うことが分かります。

 


暴飲暴食で出る人、

睡眠不足等、肉体疲労で出る人、

精神的なストレスで出る人、

カゼをひくと出るという人、

あるいはこれらが合わさって初めて出る人、

ちょいちょい出るけど大して痛くもかゆくもなく、あまり気にならないという人などなど、

 


実にいろんなパターンがあることが分かります。

 


・・・まあ、「熱の華」と言われるだけあって、東洋医学的には

「熱邪(ねつじゃ)」

あるいは

「火邪(かじゃ)」

が中心になっていることが多いのですがネ・・・。

「風」「火」について
「湿熱」について   参照

 


・・・まあそれはさておき、東洋医学ではこれらのパターンなどの中から、その人の普段の生活や、置かれている環境から、最適な治療方法や頻度を多面的に考え、

 

症状を抑えることはもちろん、出ない体質になるための工夫も同時にやっていきます。

 


つまり要は、

出るたんびに薬を塗ったりして抑えるのを繰り返すよりも、なぜ出るのかを理解して、治療もしながら、出ない体質になった方が効率よくない?

って話です。(笑)

 

 

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「ホンイキの」寒さ対策

2011.01.12

いや~しかし、毎日毎日、なかなかの寒さが続いておりますナー。

(昨日、少々カタイ話だったんで、今日はサラッと軽~く行きましょう。(笑))

・・・という訳でここ最近、清明院にもカゼひきさんが多く来院されております。

今さらながら、知らない人のために一応言っておきますが、カゼに鍼はよく効くんですよ。

今さらながらネ。(苦笑)

ちなみにこのことは、以前に何度もこのブログで書いております。

カゼひきの患者さんに、カゼをひいた前後の状況をよくよく聞いてみると、寒さ対策が甘いことが非常に多く見受けられます。

まずはここをキッチリおさえておいていただくことが、どう考えても重要です。

「ホンイキで」「オオマジで」寒さ対策をすることをお勧めします。(笑)

・・・近年、自然界の気象変動は激しいです。

異常気象、異常気象と、言われるようになって久しいです。

しかし、大自然の気象の問題を、我々一般人の力で変えてしまうことはなかなか出来ません。

だから自分たちの側で「過ごし方そのものを」工夫するしかないんです。

・・・まず、風邪をひいた人、ひいてなかなか治らない、という人の話を聞くと、圧倒的に多いのが「足腰の冷え対策の甘さ」です。

 

(特に女性)

やはり、おしゃれにスカート履きたくても、ここは我慢してズボンでいくべきです。

下着も、ババシャツ、腹巻き、タイツ等々、頑丈かつ完璧にガードするべきです。

男性の場合も、腹巻きや、ズボン下をはいてでも防寒するべきです。

カゼで寝込んじゃったら、おしゃれも仕事も出会いもへったくれもないんですから。

室内の仕事で暖房が効いてて暑いからヤダ、という方は、通勤の間にキッチリ防寒出来るような工夫をするべきです。

(ダウンコートなどの超強力なアウターとかネ。)

・・・東洋医学の言う冷え(寒邪)というのは「下(下焦)」から入る、と言われます。

冬場のカゼを予防するにあたって、下半身の冷え対策は基本中の基本なのです。

・・・次に多いのが、飲食の不摂生です。

年末から、忘年会、新年会と、暴飲暴食をする機会はみんな普段より多かったはずです。

この間「七草粥」の話題で書いたように、それを修正し、胃腸を休ませなければいけない時期に入っているにもかかわらず、

刺激物や脂っこい物の過食をやめない、その結果、胃腸が弱り、冷えに抵抗する力が弱り、カゼをひく、というパターンです。

なぜ七草粥を食べるのか 参照

・・・またこれ以外にも、過度の精神的なストレスや睡眠不足、または間違った養生法なんかが、

カゼをひく、あるいはこじらす原因になっていることが少なくありません。

・・・結局、カゼなんてもの自体は、日頃の養生と、もしひいてしまったとしても、適切な対処さえすれば、どうってことないものがほとんどです。

なぜ、カゼは「かかる」ではなしに「ひく」と表現するのか、考えてみたら分かります。(苦笑) 

カゼは昔からの認識として、自分で「ひく」んです。

そして適切に対処しないから「こじれる」んです。(苦笑)

 

参考「日経電子版 ことばオンライン」


自分の体質を正しく認識し、その上で万全に対策し、もしひいてしまっても、鍼と養生をしてすぐに回復し、ぜひ快適な冬をお過ごしください。

 

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「腎」って何ですか?(その7)

2010.12.24

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これまでのお話・・・


「腎(じん)」ってなんですか?(その1)

「腎」って何ですか?(その2)
「腎」って何ですか?(その3)
「腎」って何ですか?(その4)
「腎」って何ですか?(その5)
「腎」って何ですか?(その6)

 

さ~、グイグイいきましょー!!

 

☆腎と呼吸

 


「呼吸」とくれば当然、一番関わりが深いのは「肺の臓」、ということになりますが。

「肺」って何ですか?(その12)

 

東洋医学的には実は「肺の臓」だけでなく、「腎の臓」も大きく関わります。

 


東洋医学では”呼吸”というものを”呼”と”吸”に分けて考えますが、その”吸”の方に「腎の臓」が関わります。

 


どう関わるかというと、

「しっかりと深く息を吸い込み、おさめる」

働きをプロデュースしているのが「腎」である、と考えます。

 


つまり「腎」が何らかの原因によって弱ってくると、息が吸いにくくなったり、吸った時に咳こんでしまったりするようになります。

 


カゼをひいて咳が出る、という場合でも、「吸う時に」出るのか「吐く時に」出るのか、あるいはその両方なのか、という風に、腎なのか肺なのか、

 

はたまたその他か、という具合に、原因になっている臓の異常を考えていく場合があります。

 

・・・このように、東洋医学の言う「腎の臓」というのは、「志」や「精」を蔵し、呼吸の”吸”を助けたりと、どちらかというと、求心性の力(引き集める力)を持った臓だと言えます。

 

次回に続く

 

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「養生」の大事

2010.12.07

最近、随分と寒くなってきました。

・・・というよりも昼と夜の寒暖差、湿度の差が激しいですねえ。

以前も、養生や、急激な気候変動について書きました。

「養生」と「鍼灸」
急激な温度差と湿度差 参照


まあ、いずれにせよ本格的な真冬はもうすぐそこです。

こういう時の過ごし方を誤ると、普段から精神的、肉体的に疲れている人は特に、大概カゼをひきます。

そして、そこにさらに誤った養生法を重ねることによって、さらにこじれていきます。

早い段階で正しい治療と正しい養生をしてしまえば、カゼなんてものはどうってことありません!

コワいコワいと思って、カゼの人を避けてたってこの時期避けきれませんし、始まりませんから(笑)、

まずは正確な自分の体質を知って、正しい養生法はどんなものかを知るところからスタートするべきでしょう。

西洋医学では、インフルエンザや、肺炎が恐いということもあって、ワクチン接種や、ひいてしまったら解熱剤、抗生剤なんかを使って対応しています。

東洋医学では当然ながら、昔から今日に至るまで、鍼灸と漢方で対応します。


でも双方とも、その前に、まずは「養生」が大事です。

いざひいてしまって、治療しなければならない状況になったとしても、まずは「正しい養生」ありきです。

手洗いうがいはもちろんのこと、普段からのぼせ易い人は足腰をしっかりと防寒しておく必要があるし、

暴飲暴食から胃腸を弱らせている人は飲食を減らし気味にし、胃腸に負担をかけないことがポイントになるでしょう。

また、ハードワーカーで睡眠不足、過労気味の人はしっかりとした睡眠時間の確保、

運動不足で体がなまっていたり、精神的ストレスでイライラしている人は散歩等の軽い運動や、

そういう時間が取れないのであれば、せめて少しぬるめのお湯にゆっくりつかって少し汗を出してあげてから布団に入るとか、

必ずその人の弱点をうまくフォローできるような養生法が効果的です。

よく巷で目にする、

「〇〇さえ食べていればカゼ知らず!」

とかそういう、

”これさえやってればオールオーケー”方式は絶対に間違いです。


これだけ個体差があって、なおかつその個体が置かれている環境も千差万別な訳で、特定の何かをしとけばオールオーケーなんて、どう考えてもありえません。

 

(特定の感染症に対するワクチンなんかの場合は除く)

そうではなく、

「自分自身の正しい体質と、それを取り巻く今現在の環境、状況」

に対する正確な理解と、

「それに合わせた的確な養生法」

があってこそ、病を未然に防げる、あるいはかかってしまったとしても最小限に食い止めることが可能になるのではないしょうか。


患者さんの話を聞いていると、間違った養生法をしていることが非常に多く見受けられます。

上記に書いたような養生法はあくまでも一例であり、その患者さんに合わせた、もっともっと細かい養生指導も、やろうと思えば可能であります。

きちんとした養生、それをするためのきちんとした自分の体質把握、これが健康の第一歩じゃないかな、と思います。

そのために清明院では、初診時の詳細な問診を大事にしているのです。

治らん治らんと、自分の生活の見直しを棚に上げて、あれ飲んでみたりこれ食べてみたり、ウロウロしてても、思うように治らんのは当たり前です。

東洋医学も西洋医学も確かに優れた医学であり、あらゆる病に効果的ではありますが、

 

その効果を最大限生かすためにも、

 

「その人に合った正しい養生の実践」

 

というのは一大事なのであります。

 


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「治未病」という考え方を疑う

2010.09.24

東洋医学には、

「未病(みびょう)を治(ち)す」

という言葉(考え方)があります。


・・・この意味は、

「実際に病気として症状が出る前に治してしまう。」

という意味です。

 


個人的にはこれは、まさに”東洋医学の真骨頂”とでも言うべき部分じゃないかな、と思っています。

(今では、です。)

 


東洋医学では、自然界はすべて「気」というもので出来ている、と考えます。

「気」ってなんですか? 参照

 


・・・ということは当然、人間の体も「気」から出来ていて、なおかつ体を「経絡の気(脈気、経気)」が正常によどみなく循環することによって、健康が保たれる、と考えています。

「経絡(けいらく)」って何ですか? 参照

 


そしてそのためには、ココロの問題も含めた”陰陽バランスの調和”が極めて重要だ、という考え方を持っています。

「陰陽(いんよう)」って何ですか? 参照

 


この考え方からすれば、例え患者さんに自覚症状がなくても、あらかじめ巧みにバランスをとっておけば、今後起こりうる、あらゆる病を未然に防げる、予防できる、という考え方が成り立ちます。

 


・・・しかし実は、僕は昔、東洋医学のこの考え方(未病を治す)が非常に気に食わなかったんです。

 


なぜなら、ある一人の患者さんについて、その人がどんな乱れた生活してようが、鍼さえやってりゃ100%何の病気にもならない、なんてことはありえない訳で、


たとえば5年なら5年、10年なら10年鍼治療を続けて、非常に健やかな毎日を送っている患者さんがいたとして、ではその患者さんがもし鍼を「やってなかったら」どうなってたか、

 

を検証することが不可能である以上、本当に未病が治せてるかどうかなんて、分からんじゃないか!希望的観測でもって、いい加減なこと言うな!!

 


・・・と思って、批判していたんです。

 


しかし、これは浅はかでした。

 


いかにも自分が言ってることは論理的で正しい、と偏狭な”自分ビュー”だけから見た、狭い狭い世界の中で、アホな勘違いをしていたと、今では反省しています。

 


なぜならば、今となっては、毎日現実に患者さんをやっていて、ホントにその通りだなあ、と”実感”しているからです。

 


つまり、この考え方を疑ってかかっていた頃の僕は、未病を治したことがなかったんですね。

 


実際の東洋医学の臨床を本気でやったことある人間なら、

 

「気」や「陰陽」や「経絡」の存在や「未病を治す」という考え方の真実性

 

というのは、当たり前に”実感”出来ると思います。

 


また、日々、患者さんの発言を聞いていても、

「鍼をするようになってから、毎年冬になるとカゼをひいてたのがひかなくなった!」

とか、

「お酒を飲んでも以前みたいに二日酔いしなくなった!」

とか、明らかに体質そのものが変化していることがうかがい知れる発言を聞くことなんかは、日常茶飯事です。

 


このようにして我々は、その「実践」の中から、「理論」の真偽を確認することが出来るんです。

 

 

というよりも、そもそも東洋医学、中国伝統医学というのは、研究室での実験ではなく、そういった絶え間ない”臨床実践”、”臨床事実”の中からのみ、生まれたものなんです。

 

 

だから信頼するに値するし、しかもそれが数千年も続いているから、なおさら信憑性が高い、と考えられるわけです。

 

そしてまた、そういう絶え間ない臨床実践の日々の中から生まれた新たな「理論(仮説)」が、より高度な「実践」を指導するんです。

 


だからどんどん上達するんです。

 


真剣にやればやるほど。

 

 

・・・少し話がそれたけど、要するに、患者さんに対して言いたいのは、「早め早めの治療」が大事だよ、ということです。(笑)

 


来るのが遅くなればなっただけ、治しにくくなります!

 

 


何か症状を抱えているなら、来院はお早めに!

 

 


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「肺」って何ですか?(その12)

2010.09.20

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これまでのお話・・・


「肺」って何ですか?(その1)

「肺」って何ですか?(その2)
「肺」って何ですか?(その3)
「肺」って何ですか?(その4)
「肺」って何ですか?(その5)
「肺」って何ですか?(その6)
「肺」って何ですか?(その7)
「肺」って何ですか?(その8)
「肺」って何ですか?(その9)
「肺」って何ですか?(その10)
「肺」って何ですか?(その11)

 

☆「肺」を病むとどうなるか


・・・これまで長々と、肺について語ってまいりましたが、ここらでそろそろ完結しようかな、と思います。

まー、いつも言うように、東洋医学の言う「五臓六腑」というのは、西洋医学の言う「内臓」というモノとは全然違うのだ、ということがお分かりいただけているかと思います。

今日は、では実際に「肺の臓」を病むと、どういう現象(症状)が出てくるか、について考えて、「肺」シリーズを一旦完結しようと思います。

一般的には、「肺」の病気と言えば、”肺炎”、”肺癌”、”肺結核”などなど、”肺〇〇”という病名が多く、そしてその症状は主に呼吸器の異常(呼吸困難、咳、痰など)ですよね?

 


東洋医学の言う、「肺の臓」は、これまで述べてきたように、人間のあらゆる機能に関わりますので、当然症状も、呼吸器の症状のみにとどまりません。

(もちろん呼吸器の症状も出るけどネ。)

 

具体的には、たとえば

 

カゼに伴う諸症状(寒気、ノド痛、肩こりetc..)、喘息、尿の色が変わる、胸が苦しい、

 

などなど、呼吸の症状がメインでありながらも、実に様々な症状が出てきます。

 

また東洋医学では、

「呼吸器の症状がある」=「肺の臓が中心の病」

とは考えません。

「呼吸器の症状がある」=「肺の臓が異常を起こしている」=「その異常を起こさしめた中心はどこか」

という風に、もう一枚深く考えます。

 


その上で、その病理の中心が「肺」であれば、治療の対象はそのまま「肺」になりますが、「肺」以外の臓腑の異常が中心であった場合、

 

そこを治療していくことが出来るのが、東洋医学の賢いところだと思います。

 

病の中心は何か、

そしてそれはどこか、

こういうところを明らかにして治療するから、あっちもこっちも触る必要はなく、極めて少数の鍼での治療が可能になるのです。

 

 


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