東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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2019 台湾研修 ① イントロ

2019.05.10

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去年(2018年)のGWは、中国の天津に研修に行ってきました。

 

2018 中国研修 ⑦ 総括    参照

 

 

今年は、台湾の台北に研修に行ってきました!!

 

 

ネット上に、台湾の鍼灸事情(2006年時点での論文)があったが、これは2006年当時の状況であり、現在はだいぶ変わっていると思われますね。

 

 

・・・まあこの感じで、これから数年は、GWを使って、興味のある諸外国の東洋医学の現状、現地にいる東洋医学、伝統医学の先生方と交流して、

 

見聞を広めようと思っています。

 

 

何故かって、そうしたいからです☆(゚∀゚)

 

 

僕はいつも、ただそれだけです。

 

 

・・・と言っても今年は、祖父の死、スタッフの出入りと重なったので、なかなか忙しいまま飛行機に乗った感じがあります。(苦笑)

 

祖父が逝く。   参照

 

 

しかしまあ、祖父が亡くなったタイミングは、ここ以外なかったと、後から思いますね。

 

 

ヘタすりゃ台湾に行ってて、通夜も葬儀も出れないとこでした。。。

 

(そういう意味でもサスガ我が祖父!って感じですね。<m(__)m>)

 

 

今回も、去年に引き続き、2018年の中医学会の際に、ある先生から台北中医師公会の先生方を紹介していただき、その御縁で実現いたしました。

 

 

しかも今回は、藤本新風先生をはじめ、関西の先生方も一緒に行く形で、総勢9名での大所帯での研修となりました。

 

 

5.2(木)の昼過ぎに日本を出て、台北の滞在先のホテルで関西の先生方と合流し、夜はみんなで会食。

 

 

事前情報で、旨いともっぱらの噂の台湾料理、確かに旨かったです!!!

 

 

 

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なんと、新風先生は令和元年初日の2019.5.1が誕生日でしたので、誕生日祝いも兼ねた食事です☆

 

(令和元年初日、僕は葬式、新風先生は誕生日、これも奇妙な巡り合わせ☆(苦笑))

 

 

 

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台北中医師公会は、外国人の研修生を受け入れ慣れている感じで、初日の朝にマイクロバスがホテルまで迎えに来て下さり、サクサクと研修が進み、

 

そのまま、至れり尽くせりの研修をさせて頂きました。

 

 

 

続く

 

 

 

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順天堂大学医学部に東洋医学研究会が発足!! ⑥

2019.05.04

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これまでのお話し

 

順天堂大学医学部に東洋医学研究会が発足!! ① 

順天堂大学医学部に東洋医学研究会が発足!! ②

順天堂大学医学部に東洋医学研究会が発足!! ③

順天堂大学医学部に東洋医学研究会が発足!! ④      参照

 

 

 

◆徐々にビジョンが明確化

 

 

湯液担当を、なるべくなら医師の先生に、というところで、どの先生にお願いするか、色々と候補が上がったんですが、予想外だったのは、どの先生も、この話をすると、

 

「へー面白そうだね、僕で良かったら、もちろん行くよ!」

 

という感じで、こんな手弁当の話を、快諾して下さったことです。

 

 

いやー、皆様、素晴らしい。

 

 

東洋医学をやっているドクター、素晴らしい。

 

(もちろん全員じゃないでしょうけれども。)

 

 

中でも、2018年の2月に初めて参加させていただいた日本東方医学会で知り合った、吉祥寺中医クリニック院長の長瀬眞彦先生は、基礎理論が中医学であるため、

 

僕が教える内容とも親和性が高く、しかもクリニックが都内であり、しかも鍼灸にも理解があり、しかも(一社)日本東洋医学会の指導医でもあり、

 

しかも順天堂のOBでもある、ということで、この上ない助っ人になるなあ、と思い、ダメもとで恐る恐る頼んでみると、

 

「あ、それスゴイね、全然いくよ!!」

 

と、やはり快諾いただけました。(笑)

 

今日明日は東方医学会へ

日本東方医学会に行ってきました!! その2     参照

 

 

長瀬先生には本当に感謝しつつ、これで一先ずは十分に役者が揃いました。

 

 

僕が鍼灸を、長瀬先生が湯液を担当して下されば、東洋医学に関しては、基礎から臨床まで、フルカバーできます。

 

 

・・・で、学生たちの平生の自学自習は、友岡先生がフォローする。

 

 

これで学習面の運営は何とかなりそうです。

 

 

あとは、SNSなどを活用した、他大学との連携についてはどうするか、です。

 

 

これがあると、またグッと盛り上がる筈です。

 

 

 

続く

 

 

 

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順天堂大学医学部に東洋医学研究会が発足!! ③

2019.04.28

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これまでのお話し

 

順天堂大学医学部に東洋医学研究会が発足!! ①   参照

 

 

◆まずはリサーチ

 

 

2017年に日本中医学会で成田先生の御活動を知り、何とか関東で同じようなことを出来ないかと考えるとともに、まずは現状を把握してみよう、と思いました。

 

 

ちょうど中医学会に行く前に、千葉大の和漢診療科を見学させていただいたことがあったので、千葉大の先生方に聞いてみたり、東京に帰って来てから、

 

今度は北里大学の東洋医学総合研究所に研修に伺ってみたり、日本東洋医学会の地方会に参加してみたり。。。

 

千葉大学附属病院 和漢診療科にお邪魔してきました!!

北里大学、東洋医学総合研究所にて研修してきました!!  

(一社)日本東洋医学会に参加してきました!        参照

 

 

・・・そうして、大体の現状を把握しました。

 

 

分かったのは、

 

1.鍼灸と漢方をバランスよく教えているところは少ない

(ほとんどは漢方偏重であり、鍼灸は体験させるのみという感じで、体系的に鍼灸医学を教えているとは言えない)

 

2.東洋医学教育は大学間でバラつきがあり、ほとんど教えてない、というところが多い

(全国共通のカリキュラムもない、医師国試にも出ない、教えられる講師が足りない)

 

3.学生には意外と東洋医学を学びたいというニーズはあるが、受け皿がない(少ない)

 

4.大学をまたぐような学生のネットワークも少ない

 

というあたりです。

 

(もし間違っていたらご指摘ください。)

 

 

これは大いに改善の余地があるなあ、と思い、何か出来る筈だよなー、と悶々と考えていたのが去年の春~夏くらい。

 

 

そして、夏のある日、つけ麺でも食いに行くかな、と思って運転していた車の中で、ふと閃きました☆

 

 

 

続く

 

 

 

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順天堂大学医学部に東洋医学研究会が発足!! ②

2019.04.27

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前回のお話し

 

順天堂大学医学部に東洋医学研究会が発足!! ①    参照

 

 

 

◆ことの経緯

 

 

・・・まあ僕も、かれこれ10年以上、(一社)北辰会東洋鍼灸専門学校などで教鞭をとらせていただいて、それなりに

 

「東洋医学の教育」

 

というものに思いを致すことはありました。

 

 

東洋医学は、勉強を進めていくと、学・術ともに、たいへん高度な世界であり、本来は医師を志す、頭脳明晰な若い人にこそ、積極的に教育するべきものであるが、

 

現在の医学部では「東洋医学の教育」はほとんど行われていないのが現状。

 

 

日本国として公的に東洋医学を教育している教育機関は鍼灸マッサージの専門学校と大学のみです。

 

 

数ある医療系国家資格の中で、鍼灸マッサージ師だけは、国家試験にも東洋医学の問題が出題されます。

 

 

それ以外の、医師をはじめとする医療系国家資格の国家試験には、1問も出ません。

 

 

従って、東洋医学の教育を全くやってない学校もたくさんあります。

 

 

・・・にも拘らず、漢方薬の使用数、処方数は年々増加している、つまり、

 

「東洋医学をあまり(というか全然)よく知らない医師が、当たり前に漢方薬を保険で処方している現状がある」

 

という矛盾にも、大変問題を感じていました。

 

病院での漢方薬の使われ方 その4    参照

 

 

(一社)北辰会のような研究会も、東洋鍼灸専門学校のような鍼灸専門学校での教育も、もちろん必要だけれども、本当は医学部でこそ、「東洋医学の教育」がやれたら一番いいのになあ、という思いは、ずいぶん前からぼんやりとありました。

 

 

因みに、北辰会では数年前から蓮風先生直々に、医師を対象に鍼灸を教える「ドクターコース」を開講しております。

 

北辰会カリキュラム 参照

 

 

それもあって、医師への東洋医学教育、とりわけ医学部生に対する、というものを、数年前から、より強く意識するようになりました。

 

 

しかし、そのためにどう動いていいかも分からないし、大体からして、私の本分である日々の臨床だけでも殺人的に忙しいのに、時間と労力をそこまで割けない。。。

 

 

・・・そんな訳で、そこに関しては、ほったらかしのまま、時間だけが過ぎていく、という調子でした。

 

 

そんな折、たまたま2017年に、熊本で行われた日本中医学会で症例を発表しました。

 

日本中医学会に参加してきました!! 

いざ熊本へ   参照

 

 

ここで出会った、大分の鍼灸師である成田響太先生の御活動が、素晴らしいと思いました。

 

 

日々臨床をしている鍼灸師と医師とが協力しながら、医学生に東洋医学を教育している。

 

 

しかも、学生は自主的にSNSなどを活用して、他大学や、海外とまで繋がっている、という話を聴きました。

 

 

学会では、その学生さんとも少し話しましたが、よく言われるような、

 

「東洋医学をやっている医学生(医者)なんて、変わり者の、変な奴しかいない」

 

なんてイメージとは程遠い、実に真面目で爽やかな、礼儀正しい若者たちでした。

 

(聞けば学内での成績も大変優秀なんだとか。。。)

 

 

ここで、明らかに時代が変わってきているのを感じました。

 

 

志の高い医学生は、もうすでに色々分かっているし、東洋医学に可能性を感じているし、現にこういう活動が起こってきている。

 

 

医師と協力して、医学部内で東洋医学の講座を行う、臨床研修もフォローする、また、学生がSNSなどを活用して他大学にも声をかける、そしてあくまでも学生中心に活動を行い、

 

オジサンたちでそれを温かくフォローする、素晴らしいじゃないか、何とかこれを、関東でもできないか、と思って、色々と模索し始めたのが、ことの始まりでした。(笑)

 

 

 

続く

 

 

 

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「治打撲一方」という薬

2019.04.05

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昨日、「牛車腎気丸」という薬という記事を書きました。

 

 

その時に、もう一種類、「治打撲一方」という薬の話にもなりました。

 

 

これはどうか。

 

 

これは実は、以前紹介した江戸期の医家、香川修庵先生(1683-1755)の創方だそうです。

 

香川修庵という人物

墓マイラー 9      参照

 

 

ですが、真柳誠先生の研究によれば、「治打撲一方」という”名前で”文献に登場するのは、あの幕末から明治の漢方医、浅田宗伯先生(1815-1894)の

 

『勿誤薬室方函口訣(ふつごやくしつほうかんくけつ)』だそうで、ということは、この薬の名付け親は浅田宗伯になるそうです。

 

浅田宗伯という人物

墓マイラー 18 浅田宗伯先生    参照

 

 

・・・まあ、個人的にはどっちでもいいんですが。(゚∀゚)

 

 

この薬の中に含まれる川骨(せんこつ)、樸樕(ぼくそく)という、活血化瘀の効果を持つ生薬は、呼び名からして日本独特であり、中国の処方に含まれることはないそうで、

 

そういう意味でもまさに日本製の漢方薬だそうです。

 

(もともとは戦国時代に傷や怪我を治療する秘伝の薬だったのを、香川先生がまとめたんだとか。)

 

(中国では川骨のことは萍蓬(ヘイホウ、コウホネ、カワホネ)というらしいが、『中医臨床のための中薬学』には載っていませんでした。。)

 

 

「治打撲一方」は、昭和になって、一貫堂の山本巌先生が紹介したことで、よく使われるようになった経緯があるそうです。

 

(今ではツムラのエキス剤になっています。)

 

 

これは中医学では血の流れを調える「理血剤」のグループであり、その中でも停滞した瘀血を取る「活血祛瘀剤」のグループで、その名の通り、

 

打撲や捻挫を治療する薬なんですが、応用的に骨折の後遺症などにも使われるようです。

 

 

さらに応用的には、経絡経筋が冷えて、瘀血が停滞した痛みなんかにも使われるそうです。

 

 

・・・ということは、外傷はともかくとして、気滞血瘀や瘀血性の疼痛に応用するには、

 

「経絡経筋に冷えがあり、気が停滞し、血も停滞している」

 

ということが診断できないとマズい、ということになります。

 

 

また、これを適切に運用するには、同じグループの有名な薬であり、現代でもよく使われる

 

「桃核承気湯」「血府逐瘀湯」「桂枝茯苓丸」「大黄䗪蟲丸」「温経湯」「抵当湯」

 

なんかとの使い分けができる能力が要求されるはずです。

 

 

まあ、治打撲一方に限って言えば、熱邪や湿邪の関与する痛みだったり、気虚や陽虚が関与するものに使ったらドボン、ということでしょうか。

 

 

漢方薬というのは、もちろんながら、東洋医学の生命観、疾病観に立脚して考案されたものです。

 

 

ここを無視して使用されているような現実があることは、実に残念に感じます。

 

 

 

 

 

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明日は三旗塾オープンセミナー!!

2019.03.16

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明日は楽しみにしていた「三旗塾オープン講座」であります。

 

 

今回、「ペットボトル温灸」や、各メディアで有名な若林理沙先生とともに、(一社)北辰会代表である藤本新風先生が初参加ということで、

 

告知開始当初から反響が大きかったようで、120名定員があっという間に満タンになり、キャンセル待ちがずいぶん出たようです。(゚∀゚)

 

 

三旗塾は、2002年より、金子朝彦先生を筆頭に、中医学をベースとしてやって来られた研究会です。

 

三旗塾公式サイトはこちら

 

 

中医学をベースとしてやってきたという意味では、北辰会も同じ。

 

 

これをきっかけに、蓮風先生が40年以上前から言っている、

 

「まずは理論と用語を共有しよう」

 

「その上で臨床事実をベースに、大いに討論しよう」

 

という、お互いを高め合うような建設的な関係性が構築できるかもしれません。

 

 

いずれにせよ、楽しみだ~~☆

 

 

 

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臨床メモ ② 発汗の左右差

2019.02.17

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北辰会カルテに、「発汗の左右差」を問う問診項目がある。

 

 

発汗に左右差を感じたことの無い人からしたら、

 

「そんな現象、あんの??」

 

と思うだろうが、これ、意外といらっしゃいます。

 

 

特に腋窩

 

 

緊張すると、どちらかの腋窩にばっかりに汗が出る、という患者さんは、結構いる。

 

 

これは中医学では「汗出偏沮(かんしゅつへんそ)」といいます。

 

 

これにも色々な考え方(弁証分型)があるのだが、明末清初の名医、張璐(1617-1700)の『張氏医通』によれば、

 

 

・・・夏に半身に汗出るは、気血満たず、内に寒飲。

 

 

偏枯(片麻痺)、夭(夭疽、あるいは早死に?)の兆しなり。

 

 

大剤の十全大補湯、人参養栄湯、大建中湯行経豁痰薬を加味して治す。云々・・・

 

 

この証は血虚に属すが、四物湯などの陰薬を使わないのは、経絡の閉滞を招くからである。

 

 

 

 

ちょっとした左右差であっても、要注意。

 

 

また、ある種の左右差ものに、迂闊な滋陰、補血は危ない。

 

 

補気+行経豁痰という考え方、マジ重要。

 

 

一穴でやるなら、どこでやる??

 

 

 

【参考文献】

 

 

『症状による中医診断と治療 上巻』燎原書店

 

 

 

 

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「腹哀」という経穴 ⑦

2019.02.02

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これまでのお話し

 

「腹哀」という経穴 ①  

「腹哀」という経穴 ②  

「腹哀」という経穴 ③     

「腹哀」という経穴 ④     

「腹哀」という経穴 ⑤         参照

 

 

 

◆『吉田家腹診秘録』ではどうか。

 

 

前回、鍼灸師なら知らない人はいない「夢分流腹診図」において、腹哀穴が位置する「肺先」と呼ばれる部位について、竹下の妄想を少しだけ書きました。

 

 

ああいった妄想関係の話は、実はまだまだ至る所に無数にあるんですが、あまり書くと頭のおかしいやつだと思われそうなので、少しにしておきます。(苦笑)

 

 

しかし、それで臨床をやった結果、うまくいくことが意外と多いということも付言しておきます。

 

 

・・・ところで、蓮風先生が2004年に出版した『鍼灸医学における実践から理論へ パート3』の中で取り上げた、江戸期の腹診書の中に『吉田家腹診秘録』という書物があります。

 

 

これを見ると、蓮風先生の本では、腹部陽明経よりも「内側に」反応のある腹証ばかりが紹介されていることに気付きます。

 

 

陽明経よりも外、とりわけ腹哀穴に相当する部位に反応のある方剤では、呉茱萸湯当帰四逆加呉茱萸生姜湯の二方剤の腹証だけです。

 

 

呉茱萸湯『傷寒論』に出てくる処方で、中焦をガッツリと温める、現在でも比較的使われる処方です。

 

 

当帰四逆加呉茱萸生姜湯『傷寒論』に出てくる処方で、処方構成は当帰四逆湯+呉茱萸+生姜ですから、簡単に言えば血虚+寒邪+寒飲の者に用いる薬で、

 

中焦を温める働き+補血作用を期待した方剤です。

 

(あまりにも簡単に説明し過ぎで、湯液家の先生方から怒られそうですが。。。(;’∀’))

 

 

中医学ではどちらも「温裏剤」のグループですね。

 

 

温裏する必要があるような場合に、心窩部から季肋部にかけて反応が出てくる部位であると、『吉田家腹診秘録』の著者は認識している、ということです。

 

(因みに、柴胡剤のグループでは、心下は少し下目に、季肋部は少し内側目に描かれているのも興味深いところです。)

 

 

図では、呉茱萸湯は左右対称に、当帰四逆加呉茱萸生姜湯の方は右のみに出ています。

 

 

吉田家腹診秘録「呉茱萸湯」

 

 

吉田家腹診秘録「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」

 

(↑↑呉茱萸湯の左右対称については、”此の毒左右同”と強調しています。)

 

 

あと、季肋部において陽明経よりも若干外に反応が記載されている処方は「葛根湯毒と陽明の合併の図」、「太陽と少陽の合病の図」、

 

「十棗湯」「桂枝人参湯」「小柴胡湯」「大柴胡湯」「柴胡加桂枝湯」「桂枝加大黄湯」では、脾募よりもやや外側に反応が出ることが記載してあり、

 

これらも場合によっては勘案するべきでしょうね。

 

(細かい解説は煩雑になるので、ここでは避けます。<m(__)m>)

 

 

また上記方剤の多くで、「右側」が強調してあったのも興味深いところです。

 

 

夢分流腹診図においても、右の「肺先」の下外側にのみ「膽」の診処が存在しており、ずいぶん前に書きましたが、五藏六府の中の「胆の腑」の特殊性を考えると、

 

そこに一番近いところに「腹哀穴」が存在していることは、偶然でないと思います。

 

「胆」って何ですか?(その12)    参照

 

 

 

もうちょっと続く

 

 

 

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鄧鉄涛(とうてっとう)先生が御逝去されました。

2019.01.11

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昨日、FB上で訃報を目にしました。

 

 

このブログでも以前紹介した老中医、鄧鉄涛(とうてっとう)先生が10日の朝、104歳でお亡くなりになりました。

 

東西医学によるSARSバトル  

一貫堂医学について 8(感染症と東洋医学)

文化大革命と中医学 4            参照

 

 

鄧鉄涛先生は、2009年頃から、(一社)北辰会会長、藤本蓮風先生とも交流があり、蓮風先生の御著書である『体表観察学』には推薦の書を書いていただいております。

 

 

偉大な鄧鉄涛先生のご略歴について、非常に分かりやすくまとめて下さったので、東洋学術出版社さんのFB記事を許可を得て引用させていただきます。

 

(以下引用)

 

鄧鉄涛先生は,1916年,広東省の開平でお生まれになりました。

 

広州中医薬大学終身教授で,第1回目の国医大師(日本で言えば医師で人間国宝のようなもの)です。

 

鄧先生は,優れた臨床家・教育家であっただけでなく,中国において中医学全体の発展に多大な貢献を果たしてこられた方で,中医薬事業の発展の節目で何度も重大な献策を行ってこられました。

 

中国中医界の “魂”であり,精神的支柱でありました。

 

たとえば,1990年,中国政府が制度改革を実施したとき,中医薬管理局が廃止されると聞いた鄧先生は,ただちに全国各地の老中医の先頭に立って政府に上書を提出しました。

 

これは,中医界ではよく知られている「八老上書」と呼ばれる上書で,八老とは,鄧鉄涛・方薬中・何任・路志正・焦樹徳・張琪・歩玉如・任継学の8人の老中医のことです。

彼らは,国家中医薬管理局を廃止することはできず,その権限と経費を削減することはできないと述べ,さらに各省に中医薬管理局を設立することを建議しました。

 

そしてその1カ月後,上書は認められ,国家中医薬管理局は維持されることになりました。

 

中医学を世界医学として普及させ,さらに中国文化を代表する一つと位置づけ発信している現在の中国の動向を見ていると,この上書の先見性がより際立ちます。

 

また2003年にSARSが流行した際にも,鄧先生は上書しています。

 

その上書を受けた当時の呉儀首相は,中医座談会を開きます。

 

SARSに対し中医が予防治療できる方法であることが強調され,座談会の後,ただちにSARS制圧のために中医が投入されました。

(SARS制圧後に行った鄧鉄涛先生へのインタビューは『中医臨床』98号に掲載されています http://www.chuui.co.jp/chuui/000188.php

 

現在,中国では優秀な若い中医師を,経験豊かな老中医に就かせて学ばせる,大学教育と伝統的徒弟教育を融合した教育システムを採っていますが,

 

それは,広東省中医院で鄧先生が提唱して実施されたやり方がモデルになっているといわれます。

 

中医学の魂を体現した老中医がまたお一人,鬼籍に入られました。

 

しかしその精神と経験は,伝統的徒弟教育を通じてきっと若い中医師らに継承されていると思います。

 

心よりご冥福をお祈り致します。

 

(引用終わり)

 

 

第一回国医大師・・・。

 

 

中国政府に上申書・・・。

 

 

しかもあの中国政府の方針を変えさせるとは。。。

 

 

まさに中医学の巨星ですね。

 

 

日中韓に、東洋医学の名医はたくさんおりましょうが、鄧鉄涛先生ほどの先生はいないでしょう。

 

 

ご冥福をお祈りいたします。

 

 

合掌。

 

 

鄧鉄涛先生の詳しい経歴と学術については 国医大師鄧鉄濤  参照

 

 

 

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(一社)北辰会冬季研修会、申し込み期間延長!!

2019.01.09

20181029_231304.JPG

 

 

 

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来たる2月10~11日(日・月)の二日間、熱海の温泉旅館「和風館」にて、毎年恒例、(一社)北辰会主催、宿泊型の大研修会「順雪会(じゅんせつえ)」が開催されます!!

 

 

すでに申込期限を過ぎましたが、

 

「2月の予定が分からず、迷っているうちに申込期限が終わってしまった。。。」

 

とか、

 

「急遽参加できることになったんですが、今からでも大丈夫でしょうか?」

 

という問い合わせが必ず毎年あります。(苦笑)

 

 

そんな方のために、今回、講師の先生を若干名増員し、申込期間を1.15まで延長しました!!

 

 

藤本新風代表をはじめとする、(一社)北辰会本部支部の精鋭講師陣の、きめ細やかな実技指導が、トコトン受けられます!!

 

 

(一社)北辰会公式ブログ 参照

 

 

2019年冬季研修会「順雪会」パンフレット(PDF)

 

 

申し込みフォームはこちら!!

 

 

・・・今回、僕も90分喋ります。

 

 

演題は「講師候補登用試験解説」です。

 

 

かなり実践的かつ理論的な内容になります。

 

 

また何と言っても、会長である藤本蓮風先生も60分喋ります!!

 

(蓮風先生の講義が関東で聴けるのは今やこの「順雪会」のみです!!)

 

 

演題は「なぜ北辰会を作ったのか」であります。

 

 

北辰会という流派は、近代日本鍼灸の流れの中で、非常に重要な存在だと思います。

 

 

1867年の明治維新以降、色々な経緯がありながらも、結果的にどん底に落ちた日本の東洋医学(鍼灸漢方)。

 

 

そこから、戦前の1930年代、柳谷素霊先生以降の、経絡治療学派の誕生~発展の時代、そして戦後の経絡論争以降の現代医学派の台頭、そして1970年代以降の、

 

現代中医学(TCM)の輸入~翻訳~模倣~発展の時代、北辰会はその大きな時代の流れを十分に踏まえて、今や世界基準たるTCMを理論や用語の基本に置きつつも、

 

そこに日本固有の学術をも組み込み、西洋医学者でも分かりやすいように教材と教育システムを構築している、稀有な流派です。

 

 

それを今から約50年近くも前に、なぜ作ろうと思ったのか。

 

 

創始者本人が語ります。

 

 

濃密な60分、聴くしかないですよこれは。(゚∀゚)

 

 

 

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