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2015.12.18
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一般の方は全く御存知ないでしょうけども、実は全国の鍼灸学校で使われている『東洋医学概論』という、東洋医学の基礎理論部分の教科書が、
今年度から新しいものに代わっています。
かつて私が東洋鍼灸専門学校で教えていた科目である『東洋医学臨床論 鍼灸編』という、少し実践的な内容の教科書も、『東洋医学臨床論 按摩編』と合わせて、
数年後には新しく改訂されるそうです。
学生にとって知識の一番の拠り所となる教科書が変わるというのは、大きな問題です。
要はこの教科書に書かれていることが、日本の鍼灸医学教育のスタンダードになる訳です。
これが、どのように改訂されるのかと言うと、用語も理論も”現代中医学”の内容を中心にまとめ直されているそうです。
このブログでも、過去にこの”現代中医学”というものがいかなるものか語ってきました。
”現代中医学”は、もはや世界中の東洋医学教育のスタンダードとなっています。
・・・まあね、日本では明治政府の西洋化政策、富国強兵政策によって漢方医学は廃止路線の道をたどり、さらに戦後、GHQによって再び廃止路線を決定づけられ、
まさに存続の危機にさらされながらも、現場の先生たちの必死の頑張りによって、
どうにかこうにか存続してきた、というのが、日本の東洋医学の悲しき近代史ですから、戦後70年も経った現代に至って、世界中の医療従事者と患者さんを納得させること出来うる可能性の高い、
東洋医学の理論と用語となると、日本国内にはなかなかコンセンサスの得られるものはなく、新中国(中華人民共和国)が国を挙げてまとめた”現代中医学”を採用、利用するのが、
グローバルスタンダードに合わせるという意味で、最も正しいと「私は」思っています。
もちろん、徹頭徹尾中国の模倣で終わるのではなく、まずはここをキチッとベースにして、その上に、日本の鍼灸医学、漢方医学の独自性、
オリジナリティー、良さを表現すればいいんだと思います。
実はこのことは、蓮風先生が今から40年も前に叫んでおられたことです。。。
なんか長くなったんで続く。
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2015.09.15
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9.13の日曜日は、大阪で行われた(一社)北辰会エキスパートコースに参加してきました!!
今回、午前中は刺鍼クラス。
刺鍼クラスというのは、正講師を目指す先生方が、刺鍼技術を研鑽するために、座学講義をやっている教室とは別室で行われる、
選ばれし者のための、秘密の実技特訓講座です。(笑)
今回は、同年代の臨床バリバリの正講師の先生方、先輩方と、一つの体を診させてもらって、あーでもないこーでもないとやった後、
実際に鍼をさせてもらって、またあーでもないこーでもないとやらせてもらって、非常に勉強になりました。
・・・個人的には、ああいうのが一番面白い。
ガチンコですネ。(笑)
そして午後は、奥村裕一学術部長による発表
「穴性に関して」
でした。
この内容は、前日の9.12の土曜日に、東京、船堀で行われた日本中医学会にて、奥村先生がシンポジウムの中で発表なさった内容の、
ロングバージョンでありまして、この内容については前々から蓮風先生から、
「奥村君の発表をよーく聞いて、感想を聞かせてくれ。」
と言われていたこともあり、相当集中して聴きました。(笑)
・・・まあ何しろ、奥村先生は、膨大な知識の整理整頓のされ方が素晴らしい。
数十年コツコツと研究を続けた人でないと、あのように整理整頓はされないでしょう。
そうやって無尽蔵に出てくる知識をベースに、ポイント、強調すべきところをキッチリアピールされていて、
スゲーなー(゜゜)、圧巻、という感じでした。。。
経穴の性質(つまり効能)を語るときに、よーくその経穴の反応を診て、その経穴のみへのアプローチで経過を追わないと、
ハッキリしたことは言えない、と言い切っていたところがカッコよかったですね。
経穴の反応を診ずに、理論のみを根拠に、たくさんの経穴に鍼している治療家にとっては、耳が痛い指摘でしょう。
また、日本の古流派の医家達が、繰り返し医家や患者の精神性に触れ、重要視していたところを強調していたのもよかった。
ここは後々、いい伏線になることでしょう。
そしてその後は原元氣先生による、10月に行われる日本伝統鍼灸学会での症例発表の予行練習。
原先生、たいへんお疲れ様でした。<m(__)m>(笑)
そして最後は実技練習。
先輩のご指導の中に、自分に全くないアイデアが出てくるのは、面白いもんです。
そこで、自分自身の考え、こだわりを一度捨てて、実際に指示に従ってやってみると、新たな発見があったりします。
いやー、今回も書ききれないぐらい、勉強になりましたー。
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2015.08.26
清明院では現在、スタッフを急募しております!!
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東洋鍼灸専門学校、2015年度の後期授業が始まります!
今回、色々と事情がありまして、前期は毎週水曜日に朝一の一コマだけ講義しに行っていたのですが、後期からはさらに3コマ増えまして、
なんと1日4コマ、担当することになりました。
(苦笑・・・ほぼ朝から晩まで、東洋医学を喋りっぱなしです。)
患者さんには、大変なご迷惑をおかけします。
これも東洋医学、鍼灸医学のため、何卒、ご理解ご協力ください。<m(__)m>
増えた3クラスに喋る内容は内容は前期と同じ、
「北辰会方式概論+実技」
であります。
因みに、北辰会方式と銘打っていても、内容は非常に学生に合わせた基礎的なものであり、この医学の基本を何度も何度も確認しながら、
北辰会方式の考え方のエッセンスを紹介するような形で、概論的に浅く広く講義するように心がけています。
ですので、北辰会に全く興味がない学生にも、極力楽しく聴けるように工夫した内容になっております。
(宣伝とか言われたら胸クソ悪いしね。<(`^´)>)
これで、昼夜4クラス、合計100名以上の学生を、半年間受け持つことになります。
どんなことが起こるか、楽しみですな。(*’ω’*)
前期、受け持っていた昼の一クラスについては、同じ講義をもう半年繰り返す訳にもいかないので、北辰会方式の理論の根幹部分であり、
全鍼灸師が治療理論の基礎に置くべきである
「臓腑経絡学」
を、全臓腑経絡、やろうと思います。
さてさて、なかなか大変な日々になりそうです。
しかしだからこそ、やりがいがあります。
因みにここに、この半年間、前期に行った20コマの内容を記しておきます。
1.4.8 ガイダンス~北辰会方式概論
2.4.15 中医学概論 実技デモ
3.4.22 胃の気の脈診 実技
4.4.30 舌診 実技
5.5.13 腹診 実技
6.5.20 背候診 実技
7.5.27 原穴診・八脈交会八穴診 実技
8.6.3 顔面気色診・眼診 実技
9.6.10 井穴診・爪甲診 実技
10.6.17 空間診 実技
11.6.24 臓腑経絡学総論 実技
12.7.1 弁証問診①総論 実技
13.7.8 弁証問診②各論 実技
14.7.15 弁証問診③女性カルテ 実技
15.7.22 弁証問診④男性カルテ 実技
16.7.29 刺鍼術・施灸術 実技
17.9.2 難病症例解説 実技
18.9.9 テスト 実技
19.9.16 公開臨床①(問診)
20.9.30 公開臨床②(体表観察~刺鍼~養生指導)
・・・専門家の皆さん、なかなかのラインナップでしょ??(笑)
上記講義、どのコマも、一切の手抜きナシです。
やるからにはマジです。
・・・でも、辞めろと言われればすぐに辞めます。(笑)
講義が本業ではないのでね。
その分、患者さんをやるだけです。
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2015.04.06
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今日書くような問題は、根本的な哲学的問題として非常に重要なので、思いだしたら何度でも書きます。(笑)
清明院の鍼灸治療理論である北辰会方式が、医学理論と医学用語のベースにおいている「現代中医学」は、唯物論医学です。
「中医学」とは何なのか。 参照
そして現在、世界の一般的な標準となっている西洋医学も、唯物論医学です。
まあ要は「物質を基本にした」医学です。
因みに、「東洋医学」とか、「伝統中医学」とか言われるものと、「現代中医学」というものは違う、という話は以前しました。
各時代の、医学を纏める人も、それを実践する現場の医師も、大天才みたいな人や大秀才みたいな人はたまにいたとしても、神様ではないので、病気をこの世からまったくナシにするような、
生命を完全に差配するような、完全無欠な、完璧な医学なんてのはもちろん存在しない訳だけれど、この唯物論医学というものに、改善すべき問題点はあるでしょうか。
あるとすれば、それはどんなものでしょうか。
〇
よく聞く悪口として、
「西洋医学は、病気を診て病人を診ない。」
というのがあります。
血液検査、尿検査、検便、画像診断等々、徹底的で詳細な西洋医学の検査(物理的異常の発見)をして、異常ナシと言われたけども、明らかに具合が悪い、症状がある、という人は意外といる。
そしてそれを、西洋医学の医師に一生懸命訴えても、医師はPCの画面を見ながら、
「検査上は異常ないので、様子見てください。」
と冷たく返される。
それに対する不満から来るディスですね。
・・・まあ、よくある話かと思います。
じゃあ中医学の方には、そういう問題はないのか。
東洋医学的に考えて、一生懸命「弁証問診」して、「体表観察(四診)」して、「証」をたてて、その「証」に基づいて治療して、結果的に、脈が調い、舌の色が調い、
腹診や背侯診や経穴の病的な反応もゆるんだが、患者さんの症状は全然楽になってない、治っていかない、という状況がもしあったらば、これは西洋医学と同じではないのか。
中医学だって「証」を診て、病人を診てないじゃないか、と言われかねないのではないか。
・・・まあ、言われるかもしれないが、実はこれは違う。
東洋医学的に、もし本当に正確に「証」を立てて、正確に論理的に治療したならば、早いとか遅いとかの時間的な問題や、状況的な得手不得手の問題、
患者さんが治療者からの養生指導をきちんと守ってくれるかの問題とか、術者と患者が人間的、性格的に合う合わないという問題はあれども、
「誤診」や「逆証」でない限り、必ず病は治癒する方向には傾けられる筈です。
(僕はそう思っています。)
東洋医学的な診察の結果、治療時点における「証」や、その症状が出るに至った「病因病機」を捉まえることが出来れば、少なくとも患者さんに起こっている異常はキャッチ出来ています。
どうしても治療直後に症状が少しでも楽になっていないとイヤだとか、お金の問題で治療にたまにしか来れないとか、そういう場合は別の問題です。
主訴が治っていかないのであれば原因は必ずあるので、それを冷静に考えて、修正すべきを修正していくことになります。
しかしそこで、四診上の異常所見と、それが改善したかばかりに目をやって、患者さんの心理状態を無視してしまえば、けっきょくは同じような批判を受けることになるでしょう。
これでは、東洋医学の良さを活かしきれているとは言えないのではないかと思います。
〇
では、両医学の本質的な違いは何か。
そもそも、西洋医学や中医学のベースになっている、この「唯物論」というもの、そのものが抱える問題はないのか。
こないだ書いた、マルクス主義の歴史の流れを学ぶと、唯物論そのものに、なにか大きな問題があるような気がしてなりません。(苦笑)
マルクスの弁証法 5 参照
現在、私が教鞭をとらせて頂いている、東洋鍼灸専門学校の二代目校長である医師、丸山昌朗先生の遺稿集『鍼灸医学と古典の研究』の序文に、
御令息である丸山太郎氏がこう書いています。
「・・・人間不在の現代医学に対し、人間性を基盤とした東洋医学こそ医学の正統であるとの信念をもって父はその生涯を貫きました・・・」
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2015.04.05
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我々がやっている治療を、東洋医学の専門用語でいうと、「弁証論治」と言います。
「”証(しょう)”を”弁(わきま)”えて”論”理的に”治”療する」
でしたよね。
ここで、北辰会方式では、まず治療時点の「証」を弁えるときに、それが「順証」 なのか、「逆証」なのか、という判断をしています。
これは、その患者さんの病が、その術者にとって治せるものであるか、治せないものであるかの、極めて重要な判断です。
簡単に言うと、
順証・・・治せる、治っていく病
逆証・・・治せない、治っていかない病
のことです。
因みに中医学の成書では「順証」「逆証」という言い方は、外科の分野以外ではあまりしないようですが、
「一般に、表から裏へ伝入するのは、悪化する”逆”であり、裏から表へ出るのは軽快する”順”である」
とあります。
(燎原『基礎中医学』P144 参照)
因みに因みに、「順逆」や「逆順」、「順」や「逆」という熟語、単語は、古典では『黄帝内経』『難経』『傷寒論』『金匱要略』にも多数散見されます。
また、日本では江戸期や幕末の川越衡山(1758-1828)や浅田宗伯(1815-1894)が、『傷寒論』を解釈する中で、「順逆」という考え方を使って解説しています。
まあ、もともとの意味としては
順・・・ノーマルな、セオリー通りの病の進み方や組み合わせや、病が快方に向かう時の表現
逆・・・アブノーマルな、イレギュラーな病の進み方や組み合わせや、病が悪化する時の表現
というほどの意味であり、病の予後(転帰)に関していう際は、『黄帝内経素問』平人気象論(18)の
「人無胃氣曰逆.逆者死.(患者さんに胃の気がないものを”逆”といって、逆の人は死んでしまうよ)」
を、基本として理解していいと思います。
そして、順逆は当然、医者のウデによって変わってきます。
ある先生にとっては逆証であっても、ある先生にとっては順証、ということは十分にあり得ます。
これが初診時に正確に判断できれば一番いいのですが、場合によっては少し経過を追ってみないと分からない場合もあります。
仮に、治せない病を、いつまでも診ていた場合、患者さんと術者に、精神的、肉体的、経済的にかかる負担はハンパじゃないです。
また、ここの判断のユルさは、患者さんからの評価を大きく二分します。
ヤブ医者と言われるか、名医と言われるか、です。
前者であれば、辛い鍼灸師人生です。
後者であれば、幸せな鍼灸師人生です。
非常にシビアな判断が要求されます。
そして、全病気、全患者さんの中の、自分が診た場合の「順逆」の割合のうち、順証の割合を極限まで高めるのが、我々鍼灸を天職とする者の使命でしょう。
◆参考文献
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論編』緑書房
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践編』緑書房
『中医基本用語辞典』東洋学術出版社
『基礎中医学』燎原
論説『『傷寒論』で少陽病篇が陽明病篇のあとに位置する理由』藤平健
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2015.03.29
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前回のお話
では続きいきます!
今日は、「易」が提示する、3つの真理について。
一つ目は「変易(へんえき)」。
これは、全てのものは変化していく、という考え方です。
ギリシャ哲学のヘラクレイトス(万物は流転する)も、仏教の釈迦(諸行無常)も、似たようなことを言っておりますが、
易の場合は少し違います。
どう違うかというと、まず2つ目の「不易(ふえき)」。
変化流転していくのだが、その中に不変のものがある、と説いたわけです。
(まあこれは、ヘラクレイトスも不変のものとして”ロゴス”を挙げていますが。)
そして「易」の言う、その不変のものこそが、3つ目の「簡易(かんえき)」、つまり単純なもの(法則性)であるということです。
この単純にして深遠な法則性が、「陰陽」である、という訳です。
ここで言う単純というのは浅薄という意味ではなくて、あらゆる複雑怪奇な事象を、単純明快な論理に純化したという意味での「単純」です。
これによって、あらゆる事象が、今後どうなるか、という未来予測が出来るようになります。
因果律(原因と結果)ですね。
だから、医学に応用が出来る、という訳です。
ここが「医易同源」と言われる所以ではないでしょうか。
それも、東洋医学的な「気」への働きかけということの背景が、いかに壮大なものであるか、ということに気づきます。
また当然ながら、「占い(占術)」にも応用可能になるわけですな。
陰陽については『黄帝内経』の中にあらゆる形で説かれていますが、その変化のメカニズム、原理については『易経』なんです。
であるからして、真の東洋医学の医者であろうと思うならば、「易学」をやらないわけにはいかない、となるのです。
中国漢代、張仲景『傷寒論』原序
「陰陽に会通すれば、玄冥幽微にして変化極り難し」
「張仲景(ちょうちゅうけい)」という人物 参照
中国明代、張景岳『類経附翼 医易義』
「陰陽は『内経』に備わるといえとも、変化は『周易』に大なるはなし」
「張景岳(ちょうけいがく)」という人物 参照
【参考文献】
『周易と中医学』楊力 医道の日本社
『易と人生哲学』安岡正篤 致知出版社
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2015.03.27
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今日は哲学的なお話。
まあ哲学なんて、とんでもない膨大、莫大な学問分野であり、僕なんてズブの素人なんですが、東洋医学を実践する上では、避けて通れない問題なので、
たまには自分なりに考えてみました。
西洋医学では、
「人体は、60兆個の細胞の集まり」
と、説きます。
(因みに近年では37兆個説が定説となっているようです。まあ、個人的にはどうでもいいが。。。)
この立場から、さらに細かく考えれば、人体も、人間を取り巻く大自然もみんな、原子、電子、分子、つまり物質と、その物質間に働く電磁力の集合体、と考えられます。
この立場からすれば、我々の精神、意識の活動(喜怒哀楽などなど)なんてのは、単に脳の特定部位の神経細胞の興奮(活動電位)の結果、ということになりますし、
あらゆる自然現象は全て物質の移動、変動、電位変化の観察により解析可能なのではないか、ということになります。
また、この立場からすれば、「生命」というのは遺伝子を自己複製する精巧なシステムであり、「死」はそのシステムの活動停止である、となり、
神仏?霊魂??気や経絡???・・・んなもんないっしょ、って話になります。
・・・とまあこのように、この世の森羅万象の根本は「物質(素材的なもの)」である、とする考え方を、「唯物論(ゆいぶつろん、Materialism)」と言うそうです。
因みに、その物質の集合体である生命も、そこに働いている物理的法則が分かればすべて理解可能、というスタンスを「生命機械論」と呼んだりします。
北辰会が治療方式の用語と理論のベースに置いている、中華人民共和国が1950年代にまとめあげた「中医学」というのも、この「唯物論」の考え方でもって、
それまでの中国伝統医学をまとめた医学であります。
さてここで、数千年の歴史を持つ、「東洋医学(中国伝統医学)」の深遠な世界が、この「唯物論」でもってすべて把握できうるか、説明できるか、
本当の意味で「東洋医学的に」人間を診る医学として、その理解は正当か、という問題になると、かなり疑問が残る、という話を、随分前にしました。
東洋医学と中医学 参照
(もう、あの記事から5年も経つのか・・・。( ゚Д゚))
じゃあもし、「唯物論」では東洋医学が表現、理解しきれないとすれば、どういう考え方ならば出来るのでしょうか。
唯物論の対義語として、
「観念論(かんねんろん、Idealism)」
とか、
「唯心論(ゆいしんろん、Spiritualism)」
という言葉があるそうです。
「観念論」は、事物の存在と存り方は、事物よりも認識主体側の、当の事物についてのidea(イデア、観念)によって規定される、という考え方であり、
物質よりも精神、理性、言葉に優位性を置く理論のことだそうです。
「唯心論」は人間・社会において、心、もしくはその働きこそは至上の要因であるとする立場の一つで、心やその働きは、あくまでも物質に還元されない独特な性質を持っているとして、
物質的存在がその存在を容認されるのは、「意識」によるものである、したがって、意識こそが存在を決定づける、という論だそうです。
観念論も唯心論も、唯物論に対する言葉だそうで、要は「非」唯物論なのでありますが、観念論と唯心論は同義ではなく、
観念論は認識論(哲学の分野で、人が理解できる限界について考察する学問)における考え方
であり、
唯心論は存在論(哲学の分野で、存在するものの意味や根本規定を考察する学問)における考え方
なんだそうです。
東洋医学の背景にある古代中国の自然哲学では、大宇宙も、小宇宙である人間も、すべて「気」から出来ている、と考えます。
(これを”気一元論”と言います。)
そして、宇宙の開闢については、無(太極)から陰陽(両儀)が生まれ、それがさらに陰陽に分かれ(四象)、さらに分かれ(八卦)、という風に分化して万物が成った、と考えます。
(by『易経』繋辞上伝)
また、
「道は一を生じ、一は二を生じ、三は万物を生ず」
という考え方もあります。
(by『老子』42章)
因みにこの『易経』『老子』と同じような考え方は、『淮南子』天文訓にも出てきます。
まずこのような、大枠としての自然観、宇宙観、宇宙生成論が前提としてあり、その中にある、小宇宙たる人間、という風に説きます。
ここに出てくる「気」や「太極」や「道」といった考え方を、「物質が根本」という考え方で説明しきれるでしょうか。
中国伝統医学は、人間を、大宇宙と相似性、同一性を持ち、なおかつ大宇宙と常に連関する存在、という風に考えますが(天人合一思想)、それについても、
いわゆるニュートン物理学の言うような、「質量を持った物質」における物理法則の範疇で理解可能でしょうか。
中国伝統医学は、もともと、そういう独特な考えでもってとらえた「人間」「患者」に対する、最良の医学医療はどうあるべきか、という風に考えを進めて、
悠久の歴史の流れの中で、絶え間ない臨床実践(ある意味人体実験)を繰り返す中で、永久不変の真理としての実効性、普遍性、再現性を備える形で、
少しずつ、でも堅実に、堅牢に構築され続けてきたものであるとすると、現代的な唯物論で説明するよりも、本来は”非”唯物論で解釈した方が、
より正確に理解が出来そうな気がしてきます。
現状において「現代中医学」が世界中の東洋医学教育のグローバルスタンダードになっているからと言って、こういう根本哲学に関わる部分まで、
まったく無批判に、悪く言えば盲信的に受け入れていては、問題が生じるのではないか、というのが、北辰会の立場です。
中国伝統医学を理解するにあたって、「唯物論」に対して「観念論」的、「唯心論」的で、さらには、それらをもすっぽりと包むように「気一元論」的に解釈し、
「生命機械論」に対して「生気論」的に解釈しようとする姿勢を重視しています。
(だから臨床実践において”直観”とか”魂”というものを、論理と同じかそれ以上に重視している訳ですね。)
日本という国は、いつの時代も、大陸から流入した新しいものを、自国の風土や価値観と見事に習合させ、ピューリファイ(精錬、純化)してきた歴史があります。
中医学に対しても、日本人としてはそうあるべきではないでしょうか。
この問題については、私もまだまだ理解が浅いですが、一生かけて、もっともっと深く考えていかないと、と思っています。
【参考文献】
『哲学事典』平凡社
『哲学・思想事典』岩波書店
『詳解 中医基礎理論』東洋学術出版社
『気の思想』東京大学出版会
『鍼灸医学と古典の研究 丸山昌朗東洋医学論集』創元社
『医学の哲学』誠信書房
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2015.03.01

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これまでのお話
小半夏加茯苓湯と船酔い
小半夏加茯苓湯と船酔い 2
小半夏加茯苓湯と船酔い 3 参照
では続きいきます!!
ここまでで、和歌山の加太の船の上で、油谷真空先生から何気なく渡された「小半夏加茯苓湯」にインスピレーションを得て、ツラツラと書いてきました。(笑)
今日は「小半夏加茯苓湯」を構成する3つの生薬(半夏・生姜・茯苓)に関して、解説しておこうと思います。
サトイモ科、カラスビシャクの根茎であり、医歯薬出版株式会社の『中医臨床のための中薬学』によれば性は温、味は辛、帰経は脾胃、とのことですが、
まあ簡単に言うと、脾の臓、胃の腑、肺の臓あたりに作用し、温め、余分な水分を飛ばしてくれる生薬です。
これは生で食べると軽い毒性がありまして、かつて蓮風先生が若い頃に生で試しに食べてみたら、ノドがカラカラになった感じがして、
呼吸するのもきつく、エライ目にあったという話をされておりました。(笑)
(因みに生で使う場合は外用薬として使い、皮膚の化膿に効果があるようです。)
そして、その半夏の毒性を消してくれるのが生姜なのです。
◆生姜(しょうきょう)
家庭に良くある、ショウガ科ショウガの根茎。
皆さんよくご存じの、しょうが焼きの生姜であります。
性は微温、味は辛、帰経は肺、脾、胃、とのことで、半夏とほぼ同じなんですが、半夏は水分を飛ばす作用が強く、生姜は胃を温める作用が相対的に強い、と見ていいと思います。
つまり半夏と生姜のコンビネーションで余分な水を飛ばしながら胃を温める、ということでしょう。
田畑隆一郎先生の『傷寒論の謎 二味の薬徴』では、半夏と生姜のコンビネーションについて
「嘔、嘔吐を治す主薬にして、停水、宿飲を除き嘔、嘔吐、喘欬、噦(えつ:しゃっくり)、噫(い:げっぷ)を治す」
とまとめて下さっています。
◆茯苓(ぶくりょう)
これはサルノコシカケ科マツホドの菌核を輪切りにしたもの。
主に松の根に寄生する茯苓は、利水作用に優れた生薬として知られています。
性は平、味は甘淡、帰経は心・脾・胃・肺・腎とあり、簡単に言うと、心の臓、脾の臓、胃の腑、肺の臓、腎の臓に作用して、停滞した水を動かし、
結果的に利尿作用だったり、鎮静作用を発揮する生薬です。
これは、分かりやすく言えば松の木の根っこに生えるキノコです。
キノコなんですが、地表に顔を出しているわけではなく、地下に生えているジメッとしたやつで、見つけにくいことから、
”幻のキノコ”
とも言われるそうです。(笑)
この幻のキノコが、みぞおちのところの深い部分に入り込んで停滞してしまった、余分な水分を動かすのです。
地面に埋まっているキノコ(菌類)が、人体の深い部分の水を動かす。
面白いですね~。(*‘∀‘)
そしてこの3つの生薬はどれも植物の”根っこ”、あるいは”根っこに寄生するもの”です。
陰陽で言うと、明らかに”陰の場”である地面の下にある”根っこ”と、そこにくっつくキノコを使って、深い部分に支えた水を動かし、結果的に全体としての気を下げる・・・。
古代中国人、面白い発想しますねー☆
小半夏加茯苓湯と船酔い 5 に続く
◆参考文献
神戸中医学研究会編著『中医臨床のための中薬学』医歯薬出版株式会社
田畑隆一郎『傷寒論の謎 二味の薬徴』源草社
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2015.02.01

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これまでのお話
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 2
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 3
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 4
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 5
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 6
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 7
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 8
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 9 参照
では続きいきます!
ややあっちこっちに話がそれた感じがありますが、ここらで、このシリーズもいったん終わりましょう。
◆脳の鍼灸治療はどうやる??
ここまで、西洋医学、東洋医学における「脳」と「心の臓」のお話をツラツラとしてきました。
では実際に、東洋医学では脳の病気をどのようにとらえ、治療しているのでしょう。
1998年に出版された、
『中医脳病学』中国医薬科技出版
という本があります。
ここには、中医学における脳に対する考え方が総論で述べられ、脳病の各種の症状、治療法が各論で述べられています。
因みに治療法では、主に漢方薬が記載され、鍼灸での治療はほとんど書かれていませんが、ここはまあ、処方名を鍼灸での治療に読み替えて、そこから鍼灸での治療を考えることが出来ます。
因みに脳の異常として代表的な「脳卒中」については、以前少しだけ書きました。
脳卒中と鍼灸 その7 参照
まあ東洋医学では、脳の異常で起こった様々な症状に対しても、ほかの病と同じように、その病の表裏寒熱虚実の傾き、五臓六腑のアンバランスの程度、
気血津液の状況、正気と邪気の状況、邪気の種類などに注意を払って、総合的に陰陽バランスを調整していく、というのが常套手段です。
別に脳の病気だからと言って、なにか魔法の杖や、特別な方法論がある訳ではありません。
ただ、その患者さんに起こっている現象が「脳の異常」によるものなのかどうかの判断と、そのメカニズムに対する理解は重要だと思います。
それを明確にした上で、治療を進め、治療の可否を厳密に判断せねばなりません。
それをするのに、道教の考え方は参考になる面があります。
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2014.12.10

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本日、東洋鍼灸専門学校にて、「顔面診」のお話をしてきました。
『黄帝内経素問』刺熱篇(32)というところには、顔面の左側で肝の臓を、右側で肺の臓の異常を見る、という考え方が載っています。
「肝熱病者、左頬先赤。心熱病者、顏先赤。脾熱病者、鼻先赤。肺熱病者、右頬先赤。腎熱病者、頤先赤。」
(『黄帝内経素問』刺熱篇(32)より)
よくこれのことを、
「左肝右肺(さかんうはい)の論」
なんて言いまして、これが何でなのか、という疑問は、けっこう東洋医学によく出てくる議題の一つだったりします。
ネットで見ると、色々な中医学の先生が、色々なことを言っているようですね。
(中国語サイトです。)
顔面の他に、腹診でも同じように、左肝右肺の考え方で診たりもします。
これは鍼灸の聖典として有名な『難経』16難に書いてあります。
学生さんから、
「何で左で肝を、右で肺を見るんですか?」
という質問が来ました。
ド直球の、いい質問だと思います。
(学生さんからしてみれば、解剖学的に肝臓は右上腹部にあるのに何で?というぐらいのつもりだったのかもしれませんが。。。)
そういう素朴な疑問を常に持ち続け、曖昧にしないことが、東洋医学を深く理解していく上で、たいへん重要なことだと思います。
素朴な疑問、略して「素問(そもん)」です。
(・・・冗談です。(微笑))
まあともかく、こういう風に、東洋医学の古典の中に当たり前のように書いていることというのは、本当の本当のところは、一番初めに言い出した、
書いた人に聞いてみるしかありません。
しかし、書いた人は数千年前の外国人ですから、聞けるはずもありません。(笑)
だから、自分達で考えるしかありません。
優秀な先輩方の見解を参考にしながら。
長くなったんで、続く。
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