東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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「東洋医学」と「数学」

2010.04.25

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清明院の患者さんは、何故か高学歴の患者さんが多いのですが、その中に、応用数理学をやっておられる方がおります。

(まあ、その方がやっておられる学問の世界なんていうのは、僕のようなズブの素人が見たら、まるで宇宙の言語のようでありますが・・。)

その患者さんと話していると、東洋医学に関する、非常に示唆に富んだ見解を得ることがあります。

(やっぱり患者さんは“先生”だね。)

この東洋医学というのは、何かと「数字」が出てきます。

「気一元の思想」の1、

「陰陽」の2、

「天地人三才思想」の3、

「東南西北」や「四神」や「四診」の4、

「五行」「五運」の5、

「六気」「六淫」の6、

「七死脈」「七竅」の7、

「奇経八脈」や「八風」や「八法」の8、

「九竅」「九宮」の9、

「十干」の10、

 


・・・などなど、挙げていけばキリがないほど、「数字」とその組み合わせのパターンで、自然界、および人体を考え尽くしています。

 


これって、単純に、なぜだろう・・・と、思いませんか?

 


まあ、古代中国人は農耕民族ですから、当然、

1.農作物の分配管理のための「計算」、

2.農地管理のための「測量」、

3.収穫時期を正確に知るための「天文学⇒暦法」

という3つの柱は、当然必要に迫られていたんであろうと思います。

 


この3つはそのまま、以下のように、数学の対象に置き換えられます。つまり・・

1.の「計算」は「量」と「構造」に、

2.の「測量」は「空間」に、

3.の「天文学⇒暦法」は「変化」に、

とね。

 


この様な考え方から、古代中国では自然発生的に

「現象を数字の変化に置き換えて、論理的に理解する」

という習慣がついていたんだと思います。

 

具体的に数学の話になると、やれ因数分解とか、展開公式とかっていう話になるけど、中国では「考え方」としては、数千年のはるか昔から、

 

生活に根付いていただろうし、詳しくはないが、実際に「算木(さんぼく)」という木を使った計算法もあったようです。

 


また、中国の数学は、西洋において数学が発展、発達する全然前から、かなり現代数学的にも正確な公式や定理が、ガンガン発表されていたようです。


現存する最も古いものとしては、『易』の洛書の魔方陣なんかが、興味深い例として有名ですね。

 


その他にも、円周率やらピタゴラスやら、大変高度な数学の問題を、西洋数学が証明する1000年以上も前から既に証明していたようです。

 

・・・ただですねー、やっぱりなんぼ美しく数学的、論理的に自然現象を切り分けてみたところで、実際の現実に起こる現象とは、若干の「ずれ」が生じることがありゃあしませんかねえ。

 


そうは言っても、一応は分けて考えなかったら、それはそれで難し過ぎますねえ・・・。(苦笑)

 

理解出来る人が限られ過ぎる、というかね・・・。

 

ここを克服(数理学を柔らかくする)する一番いい考え方として、先哲が考え出したのが、「気」であり、「陰陽論」であるのではないか、と思っています。

カテゴリ「気」

カテゴリ「陰陽」 参照

 

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ちょっとした養生法

2010.03.31

いや~しかし最近(この3~4日)、異常な寒さですね!

清明院の患者さんでも、

「ここ何年か出ていなかった腰痛が久しぶりに出た!温めると楽。」

・・・とか、

「5年ぶりにカゼひいた!鼻水が止まらない・・。」

とかおっしゃった方がおられました。

以前にも書いたけど、一体、

「暑さ寒さも彼岸まで」

という言葉はどこへ行っちゃったんでしょうか・・・。

まあとかくこういう、時知らずな寒さや暑さがあった時は、体調を崩すことが多いです。

しかしこういう時ほど、「養生(ようじょう)」がモノを言う時もありません。

では、具体的に何をすればよいかというと、それは患者さんによって違うので何とも言えません・・・。(笑)

まあしかし、そう言ってしまっては元も子もないんでネ、参考までに多少の注意点は書いてみましょう。

くれぐれも注意していただきたいのは、ここで紹介する養生法はあくまで参考です。

本来、養生法というのは、患者さん一人一人に合わせて個別に指導されるべきものです。

ですので、実際にお体を調べれば、もっと的確で効果的な養生法を指導してあげられる、ということを前提に、お読みください。

まずこの時期、「春」と言う時期は、こないだも書いたけど、ある意味、1年のうちで最ものぼせ易い時期になります。

(やや語弊がある気もするけど、極端に言うとネ。)

つまり体の「上下のアンバランス」が起こりやすい時期、とも言えます。

またこの時期は、年度末~年度初めの時期ですから、お仕事をされている方なんかは、何かと飲み会の増える時期でもあります。

(歓送迎会ネ。)

・・・ということは、

暴飲暴食+上下のアンバランス

というパターンから、何らかの病になる可能性が高い、ということなんです。

 

(実際に多いパターンです)

今回のブログの冒頭に紹介した腰痛、カゼも、「暴飲暴食」「上下のアンバランス」を起こしていたものに、ここ何日かの「冷え」が重なって起こったものでありました。

・・・ということは、事前に

「上下のアンバランスを整え」、

「飲食を控えめに」

していれば、外界がいかに寒くなろうが、高確率で病気知らず、未然に予防することが出来ます。

ここで、「飲食を控えめ」は簡単(分かりやすい)ですが、「上下のバランスをとる」には一体どうしたらいいんでしょう。

これ、一番いいのは「足を使った軽い運動」です。

散歩とかね。

ただ、これを言うとたまに患者さんに、

「ええ~、そんな時間ないよ~!」

とか、

「無目的にただ歩くのって、超苦手なんですけど・・・。」

って言われちゃいます。

(苦笑・・・都会人のサガなんでしょうかネ?)

そんな時は、せめてもの方法として、「青竹踏み」で足の裏を刺激することをお勧めしています。

これなら簡単に出来るし、時間もお金もかかりません。

しかもこれ、大概の患者さんは、やらせてみると右と左で痛み方が違います。

なのでそういう方にはその「左右差」が整うまで踏んでもらいます。

その左右差が整うまで踏むと、面白いことに、それだけで”のぼせ”がかなり引きます。

それが色んな症状の予防になるんですね。

東洋医学に基づいた、ちょっと工夫した養生法です。

だまされたと思って、やってみて下さい。

意外と効果てきめんな筈ですよ~。

(笑・・・ホントにだまされたりして♪)

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鍼灸には保険が効かない!?(その6)

2010.03.27

これまでのお話


鍼灸には保険が効かない!?(その1)

鍼灸には保険が効かない!?(その2)
鍼灸には保険がきかない!?(その3)
鍼灸には保険が効かない!?(その4)
鍼灸には保険が効かない!?(その5)


ここまで、日本における鍼灸を取り巻く保険の現状、歴史、アピール方法、海外の鍼灸事情について、甚だ簡単ではありますが、書き連ねてきました。

(分かりにくくなかった?ちょっと心配・・・。)

 


ということで今日は番外編というか、過去の記憶編にします。(笑)

 


こういうのをテーマに書いていて、患者さんから

「なんか最近のブログ、難しい話してるナー。」

とか、

「要は単に保険使えないってことでしょ?ならただそう書けばいいじゃん!くどいよー。」

とか思われやしないかと、内心ビクビクしながら書いてます。(苦笑)

 


・・・でもね、これは大事なことなんです。

 


僕は清明院のHP上でもこのブログ上でも、日々の臨床でも、盛んに東洋医学の素晴らしさをアピールしていますが、コレは逆に言うと、

「そうせざるを得ないと思った現状」

があるからであります。

 


初めからみんな東洋医学の素晴らしさが分かってたら、こんなにあの手この手でアピールする必要もないんです。

 


・・・初めてこの業界に入った時、とある病院の「整形外科のリハビリ室」というところに勤めたんですが(給料は月11万!常に餓死寸前でした(笑))、

そこの院長先生から、何人かまわりに他の先生がいる時に、

院「おい、お前将来はどうしていきたいんだ?」

と聞かれ、当時、東洋医学への理想に燃える僕は、

竹「ハイ!鍼の医者になりたいと思っています!!」

と答えました。

(美しいっしょ?コレを即答だよ?この状況でなかなか言えないセリフだよね。(笑))

 


・・・すると、

院「?・・・鍼なんかでどうやって食ってくんだ?(笑)」

と笑われました。周りの先生達にも失笑されました。

 


院長曰く、

院「お前なあ、日本は国民皆保険の国だぞ?知ってるか?鍼なんて仮に自費でやったって、単価も低いし、同意書を使って、保険でやったらもっと二束三文だし、

 

これからはその同意書すらも俺ら(医師)からは出なくなるぞ?」

 


当時ケンカっ早かった僕のコメカミが、「・・ミシッ」と音を立てます。

 


でもさらに院長は続けました。

院「そりゃあまあ”鍼の名人”なんて言われるようになりゃあ、そこそこ食えるかも知んないけど、そうなる頃にはもういいオッサンだぞ。若いうちにしっかり稼いでイイ女でも捕まえろ(笑)」

竹「(明らかに不愉快な顔しながら)・・・そうですか。じゃあどうしたらいいと思います?」

院「柔整(柔道整復師)とれ柔整。そんで接骨院やればまだそこそこ稼げる。あいつらの方がまだ独立して商売できる。頭は悪いけどな。ははは(笑)

 

俺が言うんだから間違いない、そうしとけ!ははは(笑)」

 


・・・その時、周りにいた柔整師の先生達も、なぜか一緒になって笑っていました。

 


当時「美しい」(笑)ココロを持って、理想に燃える僕には、到底理解出来る状況ではありませんでした。

(まあ、今でも理解したくありませんがね。)

 


当時の僕がこの時何を思ったかは、言うまでもありませんが、この時期の色んな感情が、今の僕の仕事に生きている面は多分にあると思います。

(そういう意味では必要な時期だったんだね。)

 


上記の会話、皆さんはどう思いますか?

 


これが一日何百人も患者さんの来ている、地元では有名な医者の言葉ですよ?

 


まあしかし、コレが現実です。 現実なんです。

 


いかに医療従事者といっても、「食っていく」とか「家族を養っていく」ということは生易しいことではありません。

 


でも、そのためなら何でもアリ、ではないでしょ?とりわけ、医療を真剣にやろうと思ったら、ねえ?

 


患者さんが、プライドも意地もなくした、食えてりゃ別にそれでいいや、という考え方の医療従事者に、どうしてかかりたい、自分の体をまかせたいなんて思うんでしょうか?

 


しかも、保険が使える=食える、保険が使えない=食えない、あるいはろくに食えない、だからやめとけ、という、制度に依存しきったような短絡的な考え方は、

 

真面目にやってる鍼の先生方、あるいはその患者さんへの冒涜でしかありません。

 


「病める患者さんをいかに救うか。」

白衣着てて、この部分を大事にしないなら、医療やってる意味なんてなくないですか!?

 


他にいくらでも稼げる仕事なんてあるよ。

 


・・・まあ確かに、今にして冷静に思えば、あの院長のおっしゃったことは、事実を言っているに過ぎない、とも取れます。

 


しかし、考え方が現実的過ぎるように思います。

 

 

だから言うんなら、現状を述べた上で、

「・・・そのぐらい大変な業界だけど、志を高く、頑張れよ!」

で、いいじゃないですか。

 

別にねえ、鍼医者目指して、もし失敗したって、人間そう簡単に死にゃあしませんよ。体とか、割と丈夫だし。

それに費やした時間だって、無駄になんかなる訳ないし。

 


このように、僕がこれまでにしてきた経験、苦い思い出は山ほどあります。

 


でもまあそれが今に繋がってると思うので、ちょいちょいこのブログで紹介していこうかな、と思ってます。

 


・・・まあ、ちょっとカタイ話が続いていたんで、今日はあえて番外編にしてみました。(笑)

 


保険が効くか効かないか、という問題は、「こんな考え方を生むぐらい」重要なんだ、ということを分かっていただきたかったのです。

 


だからこのことは大事なので、正しく理解し、それぞれにイイ方法を考えましょう。

 


(次回に続く )

 

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東洋医学と中医学

2010.03.18

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最近は、メディアに東洋医学が取り上げられることも増えてきましたね。

 


コレはとてもいいことだと思います。

 


それで、ちょいちょい耳にすることもあるんじゃないかと思いますが、「東洋医学」という言葉と、「中医学」という言葉があります。

 


今日は、

「この2者の違いはなぁに?」

という話でもしようかな~、と思います。

 


よく世間で「東洋医学」と言われているものっていうのは、


古代中国に端を発し、

「気」や「陰陽五行」という哲学をもって自然や人体を認識し、

それを基本とし、病の仕組みや治療方法を考え、

数千年にわたって結果を出し続け、患者から支持され続けている、

伝統的な医学


を指して言います。

 

 

「中国伝統医学」なんていう言い方をするときも、上記のような意味合いが強いと思います。

それに対して「中医学」というのは、


新中国(中華人民共和国)が、上記の考え方を踏襲しつつも、それまでの自国の伝統医学を、
「唯物論(ゆいぶつろん)」でもって、国を挙げて”いったん”論理的、体系的にまとめあげた医学

 

と言えるのではないかと思います。


(ちなみに、この中医学が、果たして本当に論理性が高いか、論理的か、という問題については議論がありますが、それについてはここでは触れません。)

 

 

因みに「中医学」は、先ほど言う「中国伝統医学」と区別するために、あえて「”現代”中医学」と言われることもあります。

 

・・・しかしこの、「唯物論」という発想は、自然界の全ては「物質」で構成されており、「物質」間に働く物理法則でもって理解可能、というのが基本スタンスですから、

 

この考え方の中にあっては、東洋医学のいう「気」というものも、

「気とは物質である」

ということになり、確かに理解しやすい部分がある半面、深く勉強していくと、色々な不具合、納得しにくい部分が生じてしまいます。

 

(少なくとも私はそう思います。)

 


要は、

 

「気」は現代物理学のいう、質量を持った「物質」とは、言い切れないのではないか?

 

ということです。

 


また、東洋医学のいう「陰陽五行」という認識方法、法則も、必ずしも物理現象の解釈、という範疇のみに用いるものでもありません。

 


新中国(中華人民共和国)は、主に1950年代に、現代まで続く「中医学」の国定教科書の第一作目を作成していった訳ですが、この「まとめる」という過程では、

 

当然、「そぎ落とす(端折る)」という作業をしなくてはなりませんので、まとめ上げられた完成品は当然、分かり易いし教育に使い易い反面、

 

東洋医学の悠久の歴史が持つ、全ての情報を網羅したものには当然なりえません。

 

 

「唯物論」の基軸からして、”例外”や”矛盾”や”説明しにくい因子”は、一定程度排除される訳です。

 

・・・こないだ、患者さん(とある科学者さん)と話していたのですが、どんな優れた論文でも、「まとめる」時には必ず、それを書いた人の「美学=美意識」が入り込んでしまうそうです。

 

(そりゃそうだわね)

 


なおかつ、その論文を評価する側、採用する側の「美意識」も、その論文がいかほど世の中に許容されるか、という意味では、大きく関与してくるそうです。

 

・・・ですので、当然、まとめられた当時(1950年代)の時代背景の影響や、編纂者のリーダーの美意識の影響なんかを多分に受けて、一貫した考え方(この場合は唯物論)、

 

美意識でもって、「東洋医学」を現代風にまとめ直したものが、いわゆる「中医学」だ、ということになります。

 

 


「唯物論」でもってまとめたたことの是非論についてはともかく、僕から見れば、少なくともこれをやったということには、大変意義があると思います。

 

僕自身、「中医学」というものがあったから、東洋医学を勉強する気になった、と言っても過言ではありません。

 

 


鍼灸の学生時代に、鍼の世界というのはオカルトや迷信や単なる神秘じゃなくて、れっきとした医学なんだ!と思えたのも、「中医学」というものの、

 

ある種の論理性に出会ったお蔭だと思っています。

 

 


そうして、知識を少しずつ深めていった後に、中医学の考え方だけでは説明がつかない部分や、また、日本の歴代(特に江戸期)の医者達の、面白い見解や独創なんかに出会っていく訳ですね。

 

・・・ちなみに「中医学」が中国独自の伝統医学だとすれば、韓国にも、それとよく似た「韓医学(かんいがく)」というものがあります。

 

 


両国ともに、西洋医師とは別に、それぞれに自国の伝統医学を修め、実践する専門資格である、「中医師」、「韓医師」という国家資格を設け、

 

大学教育、インターン含め10年ほどかかって取得させ、現在、両国の国民の健康に大いに寄与しています。

 

・・・となると、あれ? 日本はどうなの??

 

 


「日医学」は?

 

 


「日医師」は?(苦笑)

 

 


日本の明治維新以来の西洋化、富国強兵、産業立国という方向性が、医療制度において、思わぬところで周辺2国との「差」を生んだようですネ。


(あえて「違い」と言わずに「差」と言わせてもらいます。)

 

 


まあ今日のブログは、患者さんはあんまり興味ないかも知んないけど、日本の東洋医学の現状が少しは分かるんじゃないかな、と思って書いてみました。

 

 

医学、医療というのは、庶民の幸福な暮らしと直結するものであり、その時その時の時代の背景にある支配的な思想や哲学の影響をモロに受ける、ということです。


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『東洋医学の宇宙』

2010.03.15

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この間、(社)北辰会代表理事、藤本蓮風先生の新刊書籍が発刊されました。

タイトルは『東洋医学の宇宙 太極陰陽論で知る人体と世界』です!

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(さらに…)

三寒四温

2010.03.04

いや~、せっかく暖かくなってきたと思ったら、先週末ぐらいからまた寒くなっちゃいましたネ・・。

 


ところで昔から、この時期のことを「三寒四温」と呼んでいます。

 


これは、朝鮮半島や中国北東部でも同じような現象があるらしく、3日寒い日が続き、その後4日は暖かい日が続く、
という、7日間周期の独特な現象なんだそうです。

 


これが大体お彼岸(春分の日)ぐらいまで続くので、「暑さ寒さも彼岸まで」なんて言葉もあります。

・・・ところで我々東洋医学を実践する者にとっては、この時期はやっかいです。

 


なぜなら、人間の体には、暖かい日には皮膚がゆるんで、汗や水蒸気を発散して体にこもった余分な熱を発散し、寒い日には皮膚を緊張させて、

 

熱(陽気)を漏らさないようにするという、いわば

 

「自ら陰陽バランスを調節する」

 

霊妙で重要な働きがあるのですが、これがあまりにも頻繁に、交互に行われると、この働きがついていけず、病になることがあります。

 

 


しかも、春先という時期は気が上にのぼせ易い時期でもあります。

 

これについてもそのうち解説しようと思いますが、この時期によく問題になる「花粉症」なんていう病気は、その典型例です。

 


要は、寒いなら寒いまま、暑いなら暑いまま、であれば、体の調節機能も余裕で対応できるけれども、
これがあまりにも「頻繁で極端」だと、

 

ついていけなくなる人が出てくる、ということです。

 


これの治療を考える上では、発散できずにこもってしまった「熱」にとらわれたり、発散しすぎて冷えてしまった「寒」にとらわれ過ぎると、


治療した翌日の気候いかんによっては、症状を悪化させることがあります。

 


そこで、こういう不安定な時期は、あまり極端な治療はあえてせずに、治療した翌日が暑くても寒くても、患者さんが上手に、スムーズに対応できるような治療を考えなくてはなりません。


(もちろん患者さん一人ひとりに合わせて個別にね。)

 


ここら辺が、この時期のあらゆる病変に対する治療の、難しくもあり、面白いところでもあります。

 


・・・ところで、全然話変わるけど、もう終わっちゃったけど、「ひな祭り」ってなんでしょうかね?

 

 


次回はそのお話。

 

 

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「喜」について

2010.01.31

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今日は「喜」について書きます。

「喜」という感情なんて、あればあるほどイイに決まってんじゃん!

なければそりゃあ病気になるだろうけど、ある分には病気になんかなる訳ないじゃん!

・・・と思った方は、すでにして「喜」の少ない毎日なんじゃないかとお察しします。(苦笑)

まあそれは半分冗談ですが、東洋医学では、一見プラスに思える「喜」という感情も、過多になったり、過少になったりすれば体に不調を起こす、と考えます。

「喜」は基本的には(正常範囲ならば)「喜は気を緩める」「喜は気を下げる」と言って、精神的、肉体的な余分な緊張を緩和し、気を下げてくれます。

 

【参考】

『黄帝内経素問 挙痛論(39)』「・・喜則氣緩.・・」

『同 調経論(62)』「・・喜則氣下.・・」

ですから、強い緊張を強いられる仕事をされている方なんかは、定期的に「喜」という感情がどうしても必要です。

これが「笑い」であったり、恋人や家族との「安らぎの時」であったり、趣味や何かに「没頭する時間」であったり、人それぞれ違うでしょうが、

 

要は「満足感に浸る時間」のこと、と言えば分り易いかと思います。

・・・しかしこれも、「気が緩み”過ぎ”」になると問題です。

東洋医学では、「喜は心をやぶる」と言って、「喜」という感情が過度になると、五臓の中の「心」という臓に悪影響を及ぼす、

と考えます。

(ここでいう”心”は、西洋医学の言う心臓(Heart)のことじゃないよ!)

 

(因みに出典は『黄帝内経素問 陰陽応象大論(5)』です。)

特に「心」の機能のうち、主に正常な精神活動をつかさどる機能が障害されて、情緒不安定や精神異常、不眠など、様々な症状を引き起こす、と考えます。

ですから、東洋医学では、健康な人生には、好きなことをして、

「気が緩む」

時も必要だけど、ここ一番、

「ピシッと緊張する」

時も人間には必要だ、と考えている訳です。

これもやっぱりバランスなんです。

・・・なるほど、確かにそうですよね?

自身の日々を振り返った時、実感される方も多いのではないでしょうか?

・・・ところで、今回は“緊張”と”緩和”の話になりましたが、

「緊張と緩和の法則」

と言えば、落語会の巨人である2代目桂枝雀さん(1939-1999)が提唱した「笑いの法則」ですね。

知ってる人は知ってるでしょうが、人は緊張する場面で、それが緩和する時笑うのだ、というやつですね。

東洋医学では、「笑い」という感情表現も「心(しん)」の働きと関与する、と考えます。

 

【参考】

『黄帝内経素問 陰陽応象大論(5)』「・・在聲爲笑.・・」

『同 調経論(62)』「・・神有餘則笑不休.・・」

『霊枢 本神(8)』「・・心氣虚則悲.實則笑不休.・・」 など

 

お笑い番組や落語を見ていて「笑う」という現象を東洋医学的に考えると、

まず面白いものを見て「喜び」、
  ↓
そして「気が緩み」、
  ↓
それにより「心(しん)」が正常に働いた結果、
  ↓
「笑う」

となる訳です。

・・・ま、そんなこと考えながらバラエティー番組見てる人もいないけど。(笑)

東洋医学ではこのように、五臓(肝・心・脾・肺・腎)が、それぞれある感情、ある感情表現にも関与している、と考えています。

そこらへんの話も、そのうち書こうかな。


では次回は「思」についてです。

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「痰(たん)」「瘀血(おけつ)」について

2010.01.24

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これまで、「寒」「燥」「湿」「熱」「風」「火」の6つについて書いてきました。

 


この6つは、東洋医学では「六淫(ろくいん、りくいん)の邪気」と言って、人間の健康を阻害する「邪気」の中の代表選手、と位置付けられています。

 


では「邪気」はこれ以外にはないのか、というと、当然あります。

 


それらを全て書いて、そのパターン(組み合わせ)についてまで解説すると、東洋医学の教科書みたいな内容になっちゃうので、それは避けます。(笑)

 


・・・でもまあ、ここまで来たんで、簡単ではありますが、患者さんに少しでも東洋医学を理解してもらいたいので、
あまり専門的にならないように、

 

有名な「痰(たん)」と「瘀血(おけつ)」について書いてみたいと思います。

 

 


◆「痰」について

 


まずは「痰」ですが、これは簡単に言うと体内の「余分なお水が停滞したもの」です。

 


ですので、以前書いた「湿」の仲間です。

 


ただ、ネバネバしていて、なかなか動きにくい、「余分なお水」ですので、「湿」よりも凝滞性、粘滞性が強く、動きにくい頑固な邪気、と言えると思います。

 


なぜ、ネバネバと動きにくくなるかと言うと、体に余分なお水を排出する力がなくて、それが長いこと体にとどまったり、余分なお水に「熱」が加わって、

 

カレーのように少し煮詰まったような状況になると、体内の余分なお水はますますネバついてきます。

 


また、「痰」と聞くと、どうしてものどに絡むあの「痰(喀痰)」を想像しがちですが、東洋医学の言う「痰」は全身どこにでも溜まることがある、と考えます。

 

そしてこれは、症状で言うと、なかなか治りにくい「重ダルさ」や「神経痛」の原因となり、治療にも時間がかかることが多いです。

 


原因は主に暴飲暴食(特にお酒や脂っこい物、甘いもの)です。(苦笑)

 


気を付けたいですね。。。

 

 


◆「瘀血」について

 


次に「瘀血(おけつ)」ですが、これはちょっと東洋医学に興味のある人なら聞いたことはあると思います。

 


よく、ある種の生理痛や、体の痛みを起こすもとになります。

 


瘀血の「瘀」の字はもともと「とどこおる」という意味があります。

 


つまり、「瘀血」には「滞った血」という意味があります。

 


ま、いわゆる血行不良ですね。

 


それも、一時的な血行不良ではなく、慢性的で頑固な、体のある部分の凝り固まったような血行不良を指して「瘀血」と呼ぶことが多いです。

 


これは、かなり慢性的で頑固な「痛み」の原因になり易く、これもまた治療に時間がかかることが多いです。

 


原因は様々ありますが、冷えやストレス、繰り返す怪我から来るものなどが多いです。

 


実際の患者さんを診ていますと、これら「痰」や「瘀血」、その他の邪気が複雑に絡み合って症状を出しているものが多く、これらの割合やそれぞれの程度、

 

またその「邪気」が生じた成り行きをキチッと明らかにした上で治療しないと、なかなかうまくいかないのが実際です。

 


まあこのように、「五臓六腑」だとか「邪気」だとか、東洋医学の言う、色々な要素の強弱のコントラストを明らかにして治療し、こちらの予想通りの変化を患者さんが見せた時、

「あ~、この医学はホント芸術的だな~。」

となります。

 

 

これを何度も経験しちゃうと、もうやめられませんネ。(笑)

 

 


それにしても、最初に考えた人も、それを発展させた人も、ほんとスゴイ!

 

 

 

やってて、いつも感心します。

 

 

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鍼灸(師)批判について(その3)

2010.01.16

このシリーズはアツいです。まだまだいきましょう。今日は3、についてです。

3、「鍼灸って宗教みたいなもんでしょ?なんか胡散臭い。怖い。」

というご意見です。

 


こういう意見が出ること自体、日本ぽいですよね?

(僕はそう感じました。)

 


・・・というのも、日本人は基本的に無宗教と言われ、それぞれが自由気ままに、何も信仰していないか、何かを信仰しているか、です。

 

 

よく外国の人から、

 

「日本人は宗教の素養が無さすぎる!」

 

と批判されることがあるそうです。

 

(僕の友人でアメリカに留学したやつも、そんなこと言われたとか言ってたな。。。)

 


これはもともと「八百万の神様」という、自然界の全てのものに神が宿る、という多神教の考え方の影響なんでしょうかね。

 


それはともかく、宗教というものに対して胡散臭いとか、怖いという感情が想起されるのはなぜでしょうか。

 

 

まず大前提として、知らないものに対する警戒感、みたいなものがあるでしょう。

 


さらに加えて、一部の新興宗教によるしつこい勧誘だとか、近年の一部のカルト教団による無差別テロ行為や、「修行」と称した異常な行動の報道に対する、

 

悪い印象、インパクトが大きいからでしょうね。

 


また、体の不調などを、霊だとか前世のカルマだとかの”せいにして”高額なものを売りつけたりといった、悪徳商法が後を絶たないことも理由の一つでしょう。

 


・・・困ったもんですネ(ため息)。

 


ああいったものと、東洋医学、鍼灸治療とは全くの別物です。

 


何にも胡散臭くないし、怖がる必要もありません。

 


僕らは超能力者でも何でもないです。

 


自分でやんなるほど凡人です!(笑)

 


ただ、東洋医学の言う古典的な理論と手法に則って、日々一生懸命、鍼灸や漢方薬で治療をやっているだけです。


・・・故にもちろん、限界もあります。

 


そして東洋医学には、その判断基準(その術者による治療の限界)も明確に示されています。

 


万が一、上記のような不可解な行為を、皆さんがおかかりの治療院で勧められたら、直ちに警察に知らせるべきだと思います。

 


医療人と、その皮を被った、ただの犯罪者とは違います。

・・・「医療」と「宗教」というものの違いについては、僕も以前から興味を持ちまして、本で調べてみたり、色々な先輩に質問させていただいたことがあります。

 


その中で得た、僕なりの考え方を簡単に述べてみようと思います。

 


「医療」と「宗教」というものは、もともと「人を救う」という意味では同じ発想から始まっているのではないでしょうか。

(おそらく釈迦もキリストも、それぞれに個性、特長はあれども最初はこうしたシンプルな発想から始まったのでしょう。)

 


救わんとする対象物は両者ともに「人間」ですが、医療の場合は「病んだ人間=病人」を対象としていることが、大きな違いといえば違いでしょう。

「宗教」の場合は、その字のごとく、「あまねく教え導く」ですから、「全ての人間」が対象ですし、”病気の治療”以外の内容も大いに含むでしょうね。

 

 

そしてその教えを「信じる」というのがポイントですね。

 

 

まあ「医療」においても、この「信じる」気持ちというのは、治療効果を左右する面はあります。

 


僕レベルなんかでも、普段臨床をやっていて、患者さんを心身ともに救おう、と思ったら、患者-術者間の、

この医療(鍼灸)で治る!と「信じる気持ち」

とか、患者―術者間の、

お互いに対する「感謝の気持ち」

というものがどうしても不可欠になってくる、ということをよく感じます。

(要はそういう相互関係が、治療の相乗効果を生む訳です。)

 


ここら辺が欠けていると、

「体(症状)は治ったけど気持ちが全然楽にならない」

とか、

「症状がなかなか取れないことに苛立ち、しまいには術者を批判する」

とか、

「完全には良くなっていなくても、少し症状が良くなっていることに対する感謝が出来ない、もっともっとと、過剰なまでに要求するのみ」

というようになってしまったりする訳です。

 


僕はこういう苦い経験をこれまで痛いほどしてきました。

 


当然、こうなってしまうと、お互いに救われません(苦笑)。

 


本来の宗教(正教)というのは、医療(東洋医学も西洋医学もその他の民間医療も全て)をすっぽりと包む大きなもの、教え、と理解するのが正しいと思います。

 


ですので、「医療」は「宗教」の一部と考えたら分かり易いと思うのですが、良くないケースとして、そのように理解せず、「医療」の方が「宗教」よりも大きいぜ!偉大だぜ!とかいう風に考えだすと、

 

その医療者は最悪、広義の「神」になろうとしだします。

 


そうなった末路が、怖いとか胡散臭いとか言われるゆえんである、冒頭の犯罪者集団を形成していったりする訳です。

 

(あの麻原彰晃は元鍼灸師、オウムはこの点で好例かもしれません。)

 

・・・まあ僕としては、何があろうとも、何と言われようとも、そこはまったくブレずに、僕になし得る「最高の鍼灸」を患者さんに提供し続けるのみです。

 

自分が持つ鍼と灸を信じ、患者さんに感謝しつつ、です。

 


ですので鍼灸=宗教っぽい、というのは、メチャ広い意味では、あながち外れてもいませんが、それはどの医療も同じであり、ちゃんとした東洋医学に対して胡散臭い、怖いというのは間違いだと思います。

 

 

現代日本で圧倒的マジョリティーである西洋医学とは違う世界観、人体観を持った、伝統医療であるだけです。

 


ただ、「外見(見た目)」が胡散臭いとか、怖いのは「個性」ということで勘弁して下さいネ(笑)

 

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妊娠中は薬が飲めない!?

2010.01.06

これはですねー、今回正月に地元に帰った時、なんとめでたいことに、帰ったその日に友人の奥さんの妊娠が発覚しまして、その奥さんから聞かれた質問です。

「妊娠中ってつわりとか、体調が色々と変化するらしいけど、もし具合悪くても薬飲んじゃいけないんでしょ!?・・・ということはつらくてもただただ耐えるしかないワケ??」

・・・という質問でした。

 

 

結論から言うと、

「妊娠中の辛い諸症状を和らげる方法はいくらでもあります。鍼灸しかり漢方薬しかり。なのでご安心を。ただ、ツボ療法も西洋薬も漢方薬も、

 

服薬についてはよく専門家の話を聞いて、慎重にしないとダメですね。」

となります。

 


現代西洋医学の産婦人科領域では、胎児への影響を避けるため、妊娠中は極力服薬を避ける方向で考えることが多いようです。

薬の影響で新生児に奇形や先天異常を起こすケースが稀にあるからです。

 


それでも、あまりにも妊娠中の症状がひどい場合は、様子を見ながら安全な(要は新生児に異常が起こったという報告のない)薬を出すこともあるようです。

このときによく、東洋医学をほとんど勉強したことのない医師が、安易に症状のみを頼りに、適当な漢方薬を処方したりしているという、

 

残念な現実もあったりします。(苦笑)

(例えばよく、妊娠中に風邪ひいて、ひき始めには葛根湯ということで、病院でもらって、飲んでみたけど全然風邪が治らなかった、なんて話を患者さんから聞くことがあります。)

まあ、漢方薬で奇形が起こったとか、先天異常が起こったとかっていう報告はないらしいんですが、慎重に服用した方がいいのは間違いないでしょう。

(特に妊娠初期は。)

 


東洋医学には「安胎(あんたい)」という言葉があります。

 


要は胎児を安らかに育てる方法、という意味です。

 


ひとつ例を挙げると、江戸時代から近代まで、日本でよく使われた有名な安胎の薬で、『金匱要略』に出てくる「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」という有名な漢方薬があります。

(個人的には、現代日本人女性の「安胎」を狙おうと思ったら、上記の薬ではちょっとどうなんだろうな・・・と思う面もないではないんですが、

一応、江戸時代なんかは盛んに、妊娠中にこれら”安胎薬”を服用する、という行為が当たり前のように行われていたんだろうと思います。)

 


ちなみに、僕であれば、妊娠中の諸症状に関しては全て鍼灸と養生指導で対応します。

 


どうしても患者さんの方で、漢方薬を使いたければ、専門家の先生を紹介するようにしています。

 


妊娠中のご婦人に対して、東洋医学が出来うるサポート力は半端じゃないと思います。

 


ホントに、知らなきゃ損するレベルだと思いますね。


(知らない人がホントに多くて困ります(+_+)・・・頑張って広めます!)

 


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