東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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五神⑦

 

 

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こんばんは。齋藤です。

 

 

 

前回の続きです。

 

 

 

前回の話はコチラ

 

 

 

以前も、記載しましたが、『素問・霊蘭秘典論』には、君主臣使を用いて、臓腑の機能を分別して列挙しています。

 

 

 

例を挙げますと、肺は「相傅の官、治節焉より出ず」、肝は「将軍の官、謀慮焉より出ず」といった感じで、位を用いて説明を行っており、心が一番偉いため「君主の官、神明焉より出ず」と記載されています。

 

 

 

身体には十二の臓腑があるため、当り前ですが合計十二官となります。

 

 

 

その十二官の機能を調整する通路を、『内経』では「使道」と呼んでいます。

 

 

 

この「使道」とは、気血が流通する通路と考えられており、『内経』では、「血気は神なり」(霊枢・営衛生会篇)、「経脈は、いわゆる血気をめぐらす」(霊枢・本臓篇)「心は全身の血脈を主る」(素問・萎論篇)などなど記載されています。

 

 

 

また、歴代の医家王冰も「使道とは、神気が行って、使いをする道」と説明しています。

 

 

 

この様な事から、考察すると「使道」とは、経絡を指していることが分かり、経絡は気血を運載する機能を有するだけでなく、各臓腑器官組織を連絡し、作用していることが分かります。

 

 

 

神の調節作用を担う中枢は心であり、十二経脈の別脈が体内では五臓六腑に属し、多くは心と相通じていると、『霊枢・経脈篇』『霊枢・経別篇』に記載されています。

 

 

 

このことから、心あるいは経脈の病変は、臓腑の機能失調としてあらわれて、心に影響を生じると考えられています。

 

 

 

その他の臓腑器官の病変も、経脈を通じて心神に影響を及ぼし、関連する部分の機能失調を引き起こします。

 

 

 

甚だしい場合は、全身の機能失調を引き起こし、生理的、心理的異常を生じます。

 

 

 

心身一如とはいったもので、心を中心として、その他臓腑は、経絡を通じて相互に繋がっており、影響をしあっていると、何千年前から考えられ、『内経』を中心とした古典に記載していたというから、本当に先人達は凄いですね!!

 
 
 
 

参考文献 

『現代語訳 黄帝内経素問』 編著:南京中医薬大学 監訳:石田秀実、白杉悦雄 訳:白杉悦雄、松木きか、島田隆司、勝田正泰、藤山和子、前田繁樹 (東洋学術出版)

『意釈黄帝内経運気』 共著:小曾戸丈夫 浜田善利 (築地書館)

『素問 ハンドブック』 著:池田政一

『基礎中医学』 編著:神戸中医学研究会 (燎原)

『鍼灸 臨床能力 北辰会方式 理論編』 監修:藤本蓮風 編著:一般社団法人 北辰会 学術部 (緑書房)

『中医病因病機学』 主編:宋 鷺冰 訳:柴﨑 瑛子 (東洋学術出版社)

『中医心理学』 主編:王米渠、王克勤、朱文鋒、張六通 監修:磯島正、高口眞一郎 翻訳:小野正弘、松永樹浩 (たにぐち書店)

  
 
 
 

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は「アレルギー」についてお話ししていきたいと思います。
 
 
 
アレルギーとひとくちに言っても、症状は様々です。
 
 
 
ある特定の飲食物を摂取したり、特定の植物、動物と接触すると、呼吸困難や蕁麻疹が出るなど、多様です。
 
 
 
問診時に重要になってくるのは、
 
 
 
1.いつから症状が出ているのか
 
 
2.どのような条件で症状が出てくるのか
 
 
3.どのような症状なのか
 
 
 
以上ですので、問診時に得られるように積極的にお話ししていきます。
 
 
 
今回はアレルギーの中でも「アトピー性皮膚炎」を例にお話ししていきたいと思います。
 
 
 
アトピー性皮膚炎は、中医学の概念には存在せず、現代病と言われています。
 
 
 
日本皮膚科学会による「アトピー性皮膚炎診療 ガイドライン 2018年版」には、次のように定義されています。
 
 
 
増悪・緩解を繰り返す、掻痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはアトピー素因を持つ。
 
 
 
アトピー素因とは、家族歴・既往歴(気管支喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎のうちいずれか、あるいは複数の疾患)があること、またはIgE抗体を産生しやすい素因をさす。
 
 
 
アトピー性皮膚炎の診断基準としては、
 
 
 
1.掻痒がある
 
 
 
2.特徴的皮診と分布がみられる
 
 
 
皮診は湿疹病変である。
 
 
 
急性病変では、紅斑、湿潤性紅斑、丘疹、漿液性丘疹、鱗屑、痂皮がみられる。
 
 
 
慢性病変では、湿潤性紅斑、痒疹、鱗屑、痂皮がみられる。
 
 
 
分布は左右対称性、好発部位は前額、眼囲、口囲、口唇、耳介周囲、頚部、四肢関節部、体幹である。
 
 
 
年齢による特徴は、乳児期は頭、顔に湿疹ができ始め、体幹、四肢に下降していき、
 
 
 
幼小児期は頚部、四肢屈曲部に病変が現れ、
 
 
 
思春期・成人期は、頭、顔、頚部、胸、背といった上半身に皮疹が強い傾向がある。
 
 
 
3.慢性・反復性経過
 
 
 
皮疹が慢性もしくは反復性を持って発現し、新旧の皮疹が混在する。
 
 
 
乳児では2ヶ月以上、その他では6ヶ月以上を慢性とする。
 
 
 
ガイドラインによると、以上の1~3の項目を満たすものを、症状の軽重を問わずアトピー性皮膚炎と診断し、
 
 
 
その他は急性、慢性の皮疹とし、年齢や経過を参考にして診断するそうです。
 
 
 
北辰会方式では、アトピー性皮膚炎の原因として、
 
 
 
空気や水、食物の汚染、七情の過不足、様々な内熱要因、飲食の不摂生を挙げています。
 
 
 
これらの病因によって、結果的に肺の機能が失調して、皮膚に発疹が出ます。
 
 
 
アレルギーのなかでも、喘息、喘息様症状として、咳嗽、痰咳が現れることからも、肺の臓が不調を起こしていることが分かります。
 
 
 
また、湿疹を治そうと薬を服用し、一時的に皮膚症状が治っても、肺気の失調が喘息という形で顔を出して来てしまうということが起きます。
 
 
その為、服薬の有無、服薬後の主訴の変化だけでなく、新たに身体症状が出ていないか、問診にて確認しておく必要があります。
 
 
 
空気や食物の汚染については、身体に蓄積されていくことで、何かをきっかけに発病することがある為、
 
 
 
これまでの生活環境や発症のきっかけについても、詳しくお話を伺っていきます。
 
 
 
乳児が発病する場合、親の体内の邪気が子供に受け継がれたことが考えられる為、親の妊娠中の精神状態の問題や飲食不節が無かったかといったところまで、お話を伺っていきます。
 
 
 
七情の過不足といいますと、精神的ストレスのことを指しますが、アレルギーが現代病といわれるのも、患者さんを取り巻く社会環境が複雑化しており、様々なストレス刺激を受けやすい状況になってきていることが関係していると言えるのではないでしょうか。
 
 
 
「アレルギー」についてのお話は、以上です。
 
 
 
次回は「むくみ」について、お話ししていきたいと思います。
 
 
 
 
 
【参考文献】
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 下』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 
 
 

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