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前回は「研究対象」としてのデータベースや
対象者の抽出方法について確認しました。
米国の商業用保険請求データーベースを用いて、
18~63歳の乳がんサバイバーの情報を抽出し、
疼痛関連で医療機関を受診した記録がある人を対象としています。
そして、1回以上の鍼治療の請求記録がある人とない人を比較しています。
今日は、これらのデータをどのように析するのか、というところを見ていきます。
解析では、DID(Difference-in-Differences:差の差法)を用いたとしています。
差の差…ということですが、
単に鍼を受ける前後での鎮痛薬等の使用量を比較した場合、
鍼治療後に鎮痛薬の使用が減っていたとしても、
それが鍼治療によるものなのか、
時間の経過とともに自然に痛みが軽減したためなのか、
あるいは、がん治療など他の要因が変化したためなのかは分かりません。
そこでまず、鍼治療群では、鍼治療を治療開始した日を基準日として、
その前後で鎮痛薬の使用や医療費等がどのくらい変化したかを調べます。
さらに、非鍼治療群においても、同様に、「前」と「後」という期間を設定します
非鍼治療群には当然「鍼治療開始日」がないため、
この研究では、鍼治療群が疼痛で受診してから平均236日後に鍼治療を開始していたことをもとに、
仮想的な基準日を設定しています。
そして、
鍼治療群の「前→後」の変化と、
非鍼治療群の「前→後」の変化を比較します。
つまり、各群の「前後の差」をさらに比較するため、
「差の差」の検討となるというわけです。
鍼治療群で鎮痛薬の使用が30%減っていても、
非鍼治療群でも同じ期間に20%減っていたとしたら、
単純に鍼治療によって30%減ったと考えることはできません。
このように鍼治療を受けなかった人にも生じている時間的な変化を考慮しながら、
鍼治療群での変化を検討するのがDIDという方法になります。
しかし、今回の研究はランダム化比較試験ではないため、
もともと鍼治療群と、非鍼治療群では、患者さんの背景に違いがある可能性があります。
そこで、この研究では、患者背景から、
「その人が鍼治療を受ける確率」をす雌「傾向スコア」を算出し、
その値を用いた逆確率重みづけ(IPTW)という方法で、
鍼治療群と非鍼治療群の患者背景をできるだけ近づけることを試みています。
そして、実際に両群の背景がどの程度そろったかを、
標準化平均差(standardized mean difference:SMD)によって確認しています。
さらに、感度分析(別の方法で検討しても結果が大きく変わらないかを確認する)として、
傾向スコアの近い鍼治療患者と非鍼治療患者を1対1で組み合わせる
傾向スコアマッチング(propensity score matching:PSM)でも
結果を確認しています。
研究のためにあらかじめ条件をそろえて収集したデータではないからこそ、
もともとの患者背景の違いや
時間とともに生じる変化をできるだけ考慮するために、
いくつもの統計的な工夫が重ねられていることが分かりますね。
Ng DQ, Lee S, Lee RT, Wang Y, Chan A.
Real-world impact of acupuncture on analgesics and healthcare resource utilization in breast cancer survivors with pain.
BMC Med. 2024 Sep 16;22(1):394. doi: 10.1186/s12916-024-03626-2. PMID: 39285302; PMCID: PMC11406884.
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今回は、方法のうち、この研究の対象についてみていきます。
まず、この研究では、米国の商業用保険請求データーベース
IQVIA PharMetrics Plus for Academicsのデータを用いています。
対象は2006年から2021年までのデータから、25%を無作為に抽出したもので、
データには、入院や外来の受診、処方薬、医療費、保険の加入状況等が、
患者さん単位で記録されており、継続した医療の利用状況を追うことができます。
このデータでは民間の医療保険データによって構成されているため、
対象となるのは、65歳未満の米国民間保険加入者を比較的反映していると考えられます。
その中でも、今回対象としているのが「18~63歳の乳がんサバイバー」。
乳がんの診断から少なくとも1年以上が経過しており、
さらに研究開始前の1年間に、疼痛関連で医療機関を受診した記録がある人が対象となりました。
研究では、鍼治療の前後1年間を比較するため、
前後合わせて2年間、継続して医療保険と薬剤給付に加入していることも条件とされました。
鍼受診については、保険請求データに記録されたコードを用いて判断し、
乳癌診断後に鍼治療の請求記録が1回以上あった人を「鍼治療群」とし、
鍼治療の請求記録がない人が対照群となりました。
上記の条件を経て、最終的に16,624人が対象となり、
495人(3.0%)が鍼治療群、16,129人(97.0%)が対照群となりました。
この方法のみを見ると、色々確認したい点が出てきますね。
次回以降、もう少しこ内容を確認していきます。
Ng DQ, Lee S, Lee RT, Wang Y, Chan A.
Real-world impact of acupuncture on analgesics and healthcare resource utilization in breast cancer survivors with pain.
BMC Med. 2024 Sep 16;22(1):394. doi: 10.1186/s12916-024-03626-2. PMID: 39285302; PMCID: PMC11406884.
2013.09.12
2013.11.14
2016.07.20
2016.06.08
2012.02.10
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2016.07.02
2016.04.30
2016.09.13
2016.09.05
2026.10.26
鍼灸に関するRWD研究(乳がんサバイバーの疼痛)⑥2026.10.24
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関節が痛い④2026.10.20
滑胎(かったい)とは②2026.10.19
鍼灸に関するRWD研究(乳がんサバイバーの疼痛)⑤2026.10.17
甘露2026.10.16
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関節が痛い③2026.10.13
滑胎(かったい)とは①2026.10.12
鍼灸に関するRWD研究(乳がんサバイバーの疼痛)④2026.10.10
癌について⑤2026.10.09
意欲の継続2026.10.07
関節が痛い②2026.10.06
胎位不正(たいいふせい)とは2026.10.05
鍼灸に関するRWD研究(乳がんサバイバーの疼痛)③2026.10.03
癌について④2026.10.02
調子を戻す2026.09.30
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子癇(しかん)とは②2026.09.28
鍼灸に関するRWD研究(乳がんサバイバーの疼痛)②2026.09.26
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新しい刺激2026.09.24
シルバーウィーク明けました2026.09.23
シルバーウィーク臨時休診最終日2026.09.22
現在、清明院は休診中です2026.09.21
鍼灸に関するRWD研究(乳がんサバイバーの疼痛)2026.09.19
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