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2018.08.31

↑↑圧倒的貫禄。これは墓マイラー 森道伯先生で紹介したお写真をもとにした肖像画らしいんですが、素晴らしい出来栄えですね。
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昨日、墓マイラー 森道伯先生という記事を書きました。
・・・まあ、東洋医学をやっている者にとっては言わずと知れた、「一貫堂医学」の創始者であります。
このブログにも、これまでチョイチョイ、名前だけは登場していました。
・・・さて、どんな人物か。
〇
1867年、大政奉還の年に、水戸藩(現茨城県中・北部)の、代々武家の家系に生まれる。
父は白石又兵衛という。
遠い祖先に清和源氏・源頼義がいる。
(清和源氏とは、清和天皇の血を引く源氏姓の一族。後述しますが、皇室とご縁がありそうです。)
2歳の時、水戸藩の内乱を逃れて、今の茨城県、笠間城下の陶器商である森喜兵衛の養子となる。
(だから森姓なわけね。)
12歳で養父が死去。
この時、養母を連れて東京に出て、すでに東京にいた長兄・又二郎とともに、鱉甲彫刻をして生活する。
(なんて立派な12歳なんだ!( ゚Д゚) 現代にはこんなんいないでしょうな。。。)
この時の荷物の中に、実父の白石家に伝わる家伝の医書があったそうです。
(この一冊が原点か。因みに詳細不明。)
1887年(明治15年)、15歳の時、実父の勧めにより、東京(浅草蔵前)で開業していた、実父の知己であり、仙台出身の産科の名医である、
遊佐大蓁(ゆさたいしん:正しくは快慎かいしんというらしい)について、3年間医学を学ぶ。
因みにこの遊佐先生の先祖は大庄屋で、医家としての初代の人物は、婦人科で有名なあの賀川玄悦(1700-1777)の学統であり、
道伯が師事したのは医家としての遊佐家の2代目で、4代目の遊佐寿助は宮城県薬剤師会の初代会長であったらしい。
墓マイラー 14 参照
(繋がるね~~(゜o゜))
・・・ともかく、その後も鱉甲職人を続けながら、清水良斉という漢方医について漢方を学ぶ。
この清水先生がまた謎の人物で、名医だったそうだが大酒呑みで、ある時、旅に出ると家を出たまま、忽然と姿を消したそうで、その後を継ぐ形で「道伯」と号し、診療を行うようになったそうです。
(まあ、神が道伯先生に診療所を与えたんでしょうかね。。。)
因みに道伯は鱉甲彫刻職人としても「西町の豊光(彫刻師としての道伯の号)」と呼ばれ、名が売れていたらしい。
(サスガです。<m(__)m> きっかけは生活の為でも、やるからにはマジ、って感じだったんでしょうな。)
明治24年、24歳で最初の結婚。
26歳で長男義之介、30歳で次男光隆が生まれる。
(結婚してすぐに長女が生まれたそうですが、出生後すぐに亡くなってしまったそうです。)
明治32年、32歳の時に妻が妊娠中に腸チフスに罹り、流産し、亡くなる。
この時、道伯自身も、水戸に旅した際に風湿に中たり、強烈な黄疸を発し、清水良斉の治療を受けるも、生死を彷徨う。
(この時のエピソードについては後述します。)
1902年(明治35年)、35歳で「日本仏教同志会」創立、社会教化運動を行う。
(これは明治39年には解散したらしいですが。。)
↑↑こういうところも、道伯先生の面白いところです。
医家であると同時に、彫刻家であり、宗教家、社会活動家でもあったんですね。(゜o゜)
道伯先生は大変博学で、禅宗、真言密教にも精通しており、熱心に観音信仰をしていたそうです。
また政治や経済にも明るく、観劇に行く趣味もあったとか。
30代の頃、清水良斉先生の失踪後、「一貫堂」の看板を掲げて「道伯」と号し、診療を行うようになったそうです。
「一貫堂」はかつて師事した遊佐先生の診療所からとったもので、論語の里仁第四にある「吾道一以貫之」に基づいているそうです。
明治41年、41歳で再婚し、42年、道伯先生にとっては第4子である敬三郎が出生。
1918年(大正7年)、51歳の時、スペインかぜが大流行した際、病のパターンを胃腸型、肺炎型、脳症の3つに分け、それぞれ漢方で治療し、
大いに効果を挙げたという逸話はあまりにも有名です。
1923年(大正12年)、56歳で関東大震災に遭遇、居所保護法の建議案を訴えて、上野公園で演説を行う。
(こういう、政治活動家的な側面もあったようですね。)
1926年(大正15年)、59歳の時、門人・西原学氏が「漢方専門」と標榜したところ、医師会から圧迫を受けたことをきっかけに、森先生は憤慨し、
長野市善光寺にて「漢方医道復興大講演会」を開催し、
「漢方を滅さんと欲せば、まず森道伯の首を刎ねよ!!」
との有名な文句を叫び、専門科名認可の訴訟を起こし、ついにこれを獲得しました。
(スゲエ!(゜o゜) でも森先生は無資格!!みたいなね。。(笑))
・・・この、魂の籠った一言が、昭和の「漢方復興運動」の第一声と言ってもいいでしょう。
今日、街中に当たり前に「〇〇漢方クリニック」とか、総合病院内の中に「漢方外来」なんてのがあるのは、古くは森先生のこの行動のお陰と言ってもいいでしょう。
1930年(昭和5年)、63歳の時、森道伯の名声を伝え聞いた竹田宮、北白川宮から治療の依頼あり。
(ここで皇室と繋がるわけです。何かの縁なんでしょうね。)
同年8月、歩行困難を訴え、9月には病床に伏せ、脊髄炎、尿毒症を起こす。
1931年(昭和6年)、64歳で逝去。
亡くなる3年前には、自分の死期を家人に告げていた。
(ということはやはりあの墓石は自分で建てたっぽいですね。。。)
道伯先生は32歳の時に大病をした時に、観音菩薩に、
「寿命をもう32年延ばしてくれ、そしたら残りの人生は東洋医学の復興のために生きる」
と日夜お願いし、鍼灸と漢方薬で全治した経験があるらしく、その予言の通り、64歳でこの世を去った。
臨床でも、非常に直観が冴えており、不問診で患者の状態をピタッと言い当てたり、患者がこれからかかる病を予言し、その通りになったりと、
霊能力者っぽい逸話も多い先生であります。
〇
以前書いた丸山昌朗先生といい、自分の死期を正確に悟っていたエピソードは、他の先生でもけっこうありますね。
名医らしいエピソードだと思います。
また道伯先生は
「術は以心伝心で初めて伝わるもの」
とし、著述を好まず、書籍は残っていないそうです。
もっとも有名な弟子である矢数格(道斎)先生の『漢方一貫堂医学』が、森先生を知る重要な手がかりだと思います。
また、この先生は臨床において漢方だけでなく鍼灸も非常に重用したようであり、弟子には「人迎脈口診」の研究で有名な小椋道益先生や、
『漢方医術復興の理論』の著者で、昭和の時代に経絡治療を唱道したことで知られる竹山晋一郎先生、また婦人科医で、現在私が講師としてお世話になっている
東洋鍼灸専門学校の校長でもあった石野信安先生、他にも刺絡で有名な工藤訓正先生や、道伯先生と直接は会っていないようですが柳谷素霊先生門下の西沢道允先生など、
鍼灸師に与えた影響や、鍼灸そのものとの縁も深いです。
お弟子さんの諸先生方の後日談によって、この先生の臨床でのエピソードはたくさんあるのですが、特に印象に残ったものを二つ紹介します。
矢数格(道斎)先生の弟君である矢数道明先生が、漢方を学びながらも西洋医学にも興味を持ち、こっそりと患者の尿検査をしていたところ、それが道伯先生の耳に入り、
「試験管で小便の検査をしなければ治療が出来ないような漢方家になるならやめてしまえ!破門だ!!」
と怒鳴られたとか、あるお金持ちの患者さんが、処方を渡されて、帰るときに受付で
「これで本当に治るんでしょうか?」
と尋ねると、
「疑うような薬なんか飲むな!」
と一喝し、一旦渡した薬を引き取った事があるそうです。
(後日この患者さんは自分の態度振る舞いを反省し、無事治ったそうです。)
・・・とまあ、アツい臨床家、という感じの森先生。
この情熱が、多くの患者さんを救い、多くの優秀な後輩の心に火をつけ、現代まで脈々と続いているのでしょう。
「漢方医学復興」といえば、森道伯と同じ時代を生き、似た主張をした大人物である和田啓十郎先生とは、親交や面識があったかどうかは分かりませんが、
和田先生の場合は先に西洋医学を学び、その後に東洋医学に傾倒した人物で、業界に対して、ある種のイデオローグ的な言行を取ったのと違い、
森先生は最初からまさに「一貫して」漢方医学であり、生涯一臨床家であったと、後の竹山晋一郎先生は両者をともに”天才”と評価しつつ、
対比、比較しています。
また、和田啓十郎先生の息子さんである和田正系先生と、森道伯先生の高弟である矢数格(道斎)先生が、千葉医専(現千葉大学医学部)の同級生であったことは、
単なる偶然でない気がしてなりません。
・・・以上、どんなにコンパクトにまとめても僕の頭と文章力ではこれぐらいになってしまうので、肝心の「一貫堂医学」がどういうもので、
鍼灸ではどういう風に応用が利くか、みたいな話は、また違うところで書きましょう。(笑)
イヤーなんか、森家と和田家と矢数家、そして大塚家、柳谷素霊先生、千葉大学、北里大学、東洋鍼灸専門学校と、一連の近代日本東洋医学の歴史の流れ、重みを感じます。
また、僕としては、一貫堂も、森道伯先生の弟子には鍼灸師もいるのに、どこからか、鍼灸師と漢方医が一枚岩でなくなってしまったような感じがして、それが悔やまれますね。。。
◆参考引用文献
『漢方一貫堂医学』矢数格
『漢方一貫堂の世界』松本克彦
『漢方医術復興の理論』竹山晋一朗
『森道伯先生生誕百年祭記念文集』仁性会
『森道伯先生伝並一貫堂医学大綱』道齋矢数格編
『漢方治療百話 第八集』矢数道明
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2018.08.18

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こないだ、更年期障害様ののぼせとめまいで、数年前から定期的に通院されている患者さんが仰った。
この2,3年は、長いこと安定していたが、今年の夏前くらいから、軽いものの、少しメマイが出ているのが気になっていた。
やや怪訝に感じながら治療をしていたんですが、ある日、
「ヨモギ茶をやめて、麦茶に変えたら、ずいぶん調子いいみたい。」
と仰った。
この瞬間、
「あーなるほど!!チェックしとけば良かったーー!!!」
と、僕は思ったんですが、さあこれ、鍼灸師の皆さん、意味、分かりますか?
この患者さんに何が起こったか、即座に予測できますか??
ヨモギの生薬名は「艾葉(がいよう)」です。
性味は「苦・辛・温」、帰経は「肝・脾・腎」、効能は「散寒除湿・止痛・温経止血・袪湿止痒」、禁忌は「陰虚血熱」です。
まあ要するに、深い部分を温め、冷えによる痛みを止める効果がある訳です。
ポイントは「陰虚血熱」のものには禁忌で、冷茶として飲んだとしても、性質的には温める作用が強いことを意味しています。
「ヨモギ茶」というのは、ヨモギの煎じ液のようなものですね。
ヨモギの葉っぱを完全に乾燥させたものを、香りがたつまで炒ってから煎じるようです。
そして「艾葉」は何といっても我々にとって重要な、「お灸」の原料であります。
お灸は、ヨモギの葉の裏にある線維から製造します。
我らが東洋医学が、陰の治療が鍼(金属)だとすれば、陽の治療には灸を、そしてその素材として、数ある植物の中から、ヨモギを選んだんですから、
温める作用は相当強く、確かである、と考えていいでしょう。
それに対して、麦茶はどうかと言うと、「大麦」の種子を煎じたものであります。
大麦については以前書きましたが、生薬名としては「麦芽(ばくが)」と言われ、種子を発芽させた状態で使うようです。
これは性味は「甘・平」、帰経は「脾・胃」、効能は「健脾開胃・行気消食・舒肝・回乳(母乳の出をよくする)」、注意点は「回乳に働くので、授乳期」とあります。
(母乳が出過ぎちゃう可能性がある、ってことかな。)
・・・まあ要は、脾胃を調え、気の巡りをよくするものと思っていいと思います。
麦茶が冷やすのか、温めるのかについては、色々な考えがあるようですが、麦茶の製法については発芽した種子ではなく、種子そのものを水洗いして、
乾燥させたものを軽く焦げ目がつくまで炒って、それを煮出すようです。
ですので、寒熱についてはなかなか複雑です。
以前書いたように、「種子」を食べる、と考えれば陰分が強いかな、と思うが、それを乾燥させてしかも炒ってある、しかもそれを煎じた液体を飲む、
という話なので、陽に思いっきり傾けた種子を煎じた液体、と、思えます。
そいでまた、それをキンキンに冷やして飲むと美味いという。。。
(苦笑・・・まあ、”陰的な作用(気味)”のみを抽出した液体、と考えてもいいのかもしれませんね。)
寒熱に関してはそのように、微妙に調整してあるので、温めるとか冷やすという効能よりも、脾胃を調整する、気の巡りをよくする、ここが麦茶のいいとこでしょう。
・・・と、このように考えていくと、熱証の人が夏場にヨモギ茶を飲むよりは、麦茶の方がはるかに良さそうだ、となるわけです。
冒頭の患者さんは、私の診立てでは思いっきり陰虚で熱証(+大いに湿痰)です。
こういうことがあるので、患者さんが日々良かれと思って飲んだり食べたりしているモノには、注意を払わなくてはなりませんし、こちらから先手先手を打って誘導しないといけません。
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2018.08.17

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清明院には、毎日アトピー性皮膚炎の患者さんが見えます。
思えば、今から18年前、僕が初めて(一社)北辰会の勉強会に参加したのは、東京衛生学園で行われた、藤本蓮風先生による、アトピー性皮膚炎の公開臨床でした。
(思えばこの時、問診も蓮風先生が公開でとったんだよね。あれが最後じゃないかな。今にして思うと貴重だね。(^^))
清明院のアトピーの患者さんは、まあ程度は千差万別ですが、どちらかと言うと重いものが多いと思います。
それも、いわゆる「生まれつき」のような、病気というよりは「体質そのもの」といったような患者さんが多いと思います。
そういう場合、「一獲千金の劇的効果」みたいなものを狙うのではなく、今の症状が10だとすれば、まずは5を目指して、治療はもちろん、生活上の間違いを見つけては、
場合によってはステロイドなんかの力も借りながら、徐々に徐々に根気良く、生活上の間違いや症状を是正していくことが非常に重要だと思っています。
こないだ、患者さんから聞かれました。
「某メーカーの化学繊維の肌着を着たら悪化した気がする。。。」
と。
さっそくネットで調べると、そのメーカーの肌着を着たところ、悪化したという人と、逆に改善したという人がいます。(苦笑)
基本的に皮膚病の患者さんに化学繊維の肌着は良くない、というのは昔からよく聞きますが、かえって楽になるケースもあるんですね。
最近の肌着は、皮膚にピタッとくっつき、汗をかくとすぐに乾燥するような構造になっているものも多いですね。
単純にポリエステルだから、ポリウレタンだから、とも言い切れず、この化学線維の、特殊な繊維構造まで考えないといけなそうです。
発汗がすぐに乾くことで、必要な津液も飛んでしまい、かえって皮毛における陰虚や血虚が悪化し、乾燥して局所的な内風(風燥)が悪化する人もいると思うし、
発汗が急速に乾くことで、燥湿化痰の効果が生まれ、湿痰や湿困脾土や湿熱邪による皮毛レベルの気の停滞が緩和され、良化する人もいるし、
そもそも肌着の素材の時点で合わず、皮毛レベルの気の停滞がきつくなり、悪化する人もいるでしょう。
アトピーアトピーと一口に言っても、結局はそのアトピーの病因病理~体質素因までがしっかりと東洋医学的に明瞭に斬れているか、というところに帰結すると思いますね。
現代の、安価で機能的な肌着というのも、一考の余地ありだと思います。
ただ、これは多種多様な製品があり、ちょっとバリエーションが多すぎるので、まずは試してもらってみて、主訴がどうなるかで、帰納法的に考察した方がいいように思います。
臨床は千変万化、臨機応変性の大事だね。
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2018.03.19

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清明院の治療は、お身体をよーく診て、一本鍼して、数分置鍼、で、抜鍼後、一定時間寝ててもらう、というやり方が主です。
(北辰会方式です。)
この、置鍼している間の時間、抜鍼後に寝ている時間、患者さんはなるべく脱力し、リラックスした状態でいることが非常に重要です。
そのためには、治療室の温度、湿度、音(音楽)、照明の暗さ、匂い、雰囲気、ベッドの硬さ、患者さん自身の姿勢などの管理は非常に大事です。
とりわけ、枕の硬さと高さ、素材は重要です。
これが、その患者さんに合っていないと、ある種の患者さんとしては、寝ている間の首肩の違和感が非常に強く、置鍼されて動けないという緊張感も相まって、
イライラや不快感が募り、全く逆効果、なんてことにもなりかねません。
逆に、枕の高さや硬さ、素材感などがバッチリだと、非常にリラックスし、「気が流れやすい状態」を作ることが出来ます。
(鍼の効果を非常に高めてくれます。)
ここで、どんな枕の高さが適正か、という説には様々あるようで、整形外科的には仰向けであれば15度程度前傾した角度がいいとか、またある考え方では下顎と前額が床面と並行になるようにするのがいいとか、
全てもっともらしい理由とともに説明されています。
僕もその昔、非常に高度な手技療法を行う整骨院で働いていたことがありまして、そこの先生方は、この問題に非常にこだわっておられました。
素材は、そば殻やもみ殻などの天然素材がいいとおっしゃっていましたね。
ダメな素材も仰っていましたが、実際に流通しているため、あえて伏せます。(苦笑)
また、高さと硬さはある程度患者さん個人個人の好みに合わせて臨機応変にしつつ、気道や椎間孔を狭めないように配慮した角度であるべきだ、と教わりました。
個人的にはこの「患者さんの好みに合わせて」という部分が非常に重要だと思います。
これが患者さんによって全然違うのです。
患者さんがもともと持っている身体の歪みに、ある程度合わせないといけません。
清明院も、今は既成品の枕とバスタオルとで調整していますが、この問題、もっと拘ろうかな。。。
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2018.02.16

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前回のお話
では続きいきましょう。
◆暈厥の弁証
暈厥には、どんな証が考えられるかというと、以下の通り。
1.気虚
2.血虚
3.血気上逆
4.肝陽上亢
5.痰濁上擾
6.暑熱
『症状による中医診断と治療』には、以上の6つが挙げられています。
(成書によっては、多少多かったり、少なかったりする場合があります。)
1.2.は虚証、3.4.は肝の病変、5.6.は実証です。
臓腑では「肝の臓」の異常が中心であり、病態に虚実あり、ということですね。
だから、一口に暈厥とっても、治療法は、倒れたメカニズムによってそれぞれです。
もし失敗すれば悪化して、深刻な状態になることも考えられます。
ですので、やはり「的確な診断」が重要です。
・・・で、こないだの先輩のケースはどれに該当するかな~・・・、と考えていく訳ですが、ここ(成書)に挙げられているのはあくまでもひな形的なパターンの羅列であって、
これらが時には複合的に、あるいはここに書かれていないパターンでも、暈厥は起こってきます。
ですので、あまり上記の弁証分類に縛られ過ぎて、無理やり当てはめて考えるのも、失敗のもとだったりします。
(教条主義を排す、ってやつね。)
また北辰会方式としては、どういった機序(病因病理)で、上記の証による暈厥に至ったのか、の把握が重要でしょう。
(これは、予後にも関わるからです。)
まあ、あくまでも実際の体表所見、当日の患者像を参考に、何が起こったのかを考えるべきだと思います。
そういったことを十分に鑑みつつ、慎重に考えると、あの日、その先輩は倒れる直前に、ホテルの豪華な食事を、普段よりも多くとり、普段ほとんど飲まない酒(ビール)も多く飲んでいました。
(瓶ビール二本ほどかな?)
この時点で、脾胃に常ならぬ負担を強いていたことは十分に考えられます。
(飲食不節→湿困脾土、湿熱中阻、脾失健運、胃失和降などの”病因→病理”が考えられます。)
しかも朝から早起きし、熱海への移動疲れもあったことと思いますし、研修会ですから、精神的緊張もあったことと思います。
(睡眠不足→気虚や血虚、新幹線での長時間同一姿勢、精神的緊張→肝鬱気滞、気滞血瘀などが考えられますね。)
しかも倒れる直前に、露天風呂にて長湯をしている。
長風呂では、肉体的緊張は緩み(理気活血疏肝)つつも、あまりに長ければ、疲労(気虚や血虚)は助長される面があります。
また、冬場の露天風呂ですから、そこで風寒邪を感受した可能性もある。
(その場合は気が急激に上逆傾向になります。)
ただ、横で見ていましたが、湯舟には肩まで浸かっておりましたし、一緒に入っていて、そこまで風も強くなく、冷たい風を受けていた感じはしませんでしたね。
(そして、風呂から上がった瞬間、一瞬”左に”フラッとよろめいたのが少し気にはなりました。)
風呂場での会話にも特に参加しておらず、そこで何か七情が乱れるようなことはなかったのではないかと思います。
(これは推測ですが。)
その後、脱衣所で急に後ろにバターンと倒れた時、すぐさま駆けつけて脈を診ていた先生が、
「沈んで細くて堅いけど、力はあります。重按がやや弱いです。」
と仰っていました。
この脈は、その後すぐに意識がついた時、その瞬間に、緩みながら浮いてきたそうです。
ここで、気虚や血虚の暈厥では、顔面蒼白、脈無力が特徴で、肝の病変や暑熱では顔面紅潮が特徴ですが、顔色としては、土気色、という感じで、蒼白でも紅潮でもなかったですね。
また、血虚で倒れると、目が落ちくぼんで輝きがない、というのが特徴のようですが、倒れた瞬間、目は一点を見つめ、妙にギラっとしていました。
血気上逆では歯を食いしばるのが特徴ですが、口は開いて、歯は食いしばっていなかったです。
倒れた時に上腹部を触った先生は、極端に冷えていたと仰っています。
また、ご本人が意識がついてから、
「倒れる寸前に悪心がして、気付いたら倒れていた。」
と仰っています。
舌診は、意識がついてすぐの舌は舌背が紫暗、舌腹は淡白傾向、特に舌下静脈が淡白気味だったようです。
(血虚と瘀血の所見が両方出ていますが、血虚が本と診てとれますね)
これらの情報を総合すると、成書の分類からいけば、5.の痰濁上擾が中心でありつつも、背後に若干、2.の血虚があるのでは??となります。
さて、これを治療して、今後同じ状況にさらされても、暈厥を起こさない体にするにはどうしたらいいでしょうか。
続く
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2017.11.21

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11.19は、大阪で行われた(一社)北辰会エキスパートコース大阪会場へ。
今回、午前中は実技。
ベテランの開業鍼灸師の先生方と、鍼のやり合いです。
術者によって注目点が違う、勉強になりましたねー。
午後は藤本蓮風先生による症例報告「湿熱黄疸」。
黄疸に関しては、僕の少ない経験の中でも、何度か相まみえたことがあります。
・・・苦い思い出も多い、大変難しい症状だと思います。
僅かな期間で、劇的に治した、素晴らしい症例でした。
午後2コマ目は堀内齊毉龍先生による「症例の傷寒論的解析」。
これは先日、日本東洋医学会で発表なさった講演の、ロングバージョンです。
堀内先生の講義は何時も非常に論理的で、僕的には大変分かりやすかったのですが、傷寒論の用語に慣れていない人にとっては、ちょっと難しかったかもしれません。
でもまあ、北辰会のエキスパートコースですから、あれでいいと思います。
最後は橋本浩一先生による「内経気象学」。
橋本先生の講演は毎年、着実にレベルアップ、ブラッシュアップしています。
以前私から、雨といっても色々な雨があり、内経気象学的にはそれによってどう違うか、という質問をさせていただいたことがあったのですが、
今回、それをキチッと調べてきてくださり、大変ありがたかったです。
いやー、今回も盛りだくさんの内容で、大満足でした。(゚∀゚)
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2017.10.21

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こないだ、何となく書き始めたシリーズ。
せっかくなんで、もう少し紹介しましょう。
患者 30代 男性
主訴 慢性扁桃炎による痰、咳、咽喉の異物感
随伴症状 咽喉の渇き、めまい
現病歴 清明院初診の3年前より発症。病院、漢方、鍼灸と、色々試したが良くならない。
(何か治療をすると、症状少し落ち着くが、完全には改善しない状況。ピーク時を比較すれば症状の強さは半分以下の状況)
既往歴 突発性難聴 慢性鼻炎
弁証 肺胃不和 湿痰
配穴 明らかにしない
経過 初診後、咳、痰が改善。
遠方であり、多忙でもあることから、漢方の先生の力を借りる。
(処方名は明らかにしない)
現在、経過良好。ほとんど崩れなくなっている。
他の治療院の鍼灸や漢方でダメでも、清明院のやり方考え方でならうまくいく症例、というのがある。
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2017.07.10

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これまでのお話
では続きいきます!!
◆麦飯ととろろ。
さて、麦飯の話から始まり、白米(うるち米ともち米)の現代医学的、東洋医学的なお話までしました。
ここで、話を麦飯に戻しましょう。
麦飯のよさは大体分かった。
でも、それを食おうと思ったら、牛タンとろろの「ね〇し」にでも行かないと、なかなか外では食えませんね。
ちなみに「ね〇し」の牛タンとろろ定食はもともと仙台の名物ですが、これは戦後、食べ物がない中で「太助」というお店が出し始めたのがきっかけといわれ、
麦飯ととろろについては、食感を良くする為とか、消化を助けるためとか言われているようです。
あとはまあ、刑務所の麦飯が有名ですね。(笑)
これはもともと受刑者を管理する上で、脚気の予防のために与えられていたようです。
(他にも海軍とかね。)
刑務所の食事と、生活リズムや運動量の半強制的な是正が、体に与える影響は、ホリ〇モンの出所後の姿を見たら一目瞭然ですね。(笑)
現代人の食生活(運動睡眠その他も含めて)はおかしい、だから生活習慣病になる、当たり前の話なんです。
公衆衛生の状況が悪かったら疫病が流行る、食べ物がなかったら栄養失調、飢餓が流行る。
大概のもんはこうやって「ごく当たり前」に起こってきます。
〇
・・・ところでなんで、麦飯にはとろろ(山芋)なんでしょうか。
単に食感の問題のみでもない気がします。
今回はそれを考えてみましょう。
とろろといえば山芋です。
山芋は漢方では、「山薬(さんやく)」という名前の生薬です。
(すげえネーミングだ(゜o゜))
山薬は有名な六味丸や八味地黄丸に入っている生薬で、性味は甘・平であり、脾・肺・腎を養うといわれます。
「山薬」といわれるぐらい超優秀な山芋くん。
効能は補脾止瀉、養陰扶脾、養肺益陰、止咳、補腎固精、縮尿、止帯とあり、
「補気して滞らず、養陰して滋でなく、中気培補する最も和平な品で、渋性もあり、収斂の効能も持つ」
と言われます。
これを 「麦飯」ってどうでしょう?? 3 で述べたような麦飯(大麦)の東洋医学的効能と合わせて考えると、
1.「大麦」で気を下げ、潤し、清熱利湿しながら
2.「山薬」で気を傷らない様にしつつ、陰をフォローすることで、
効果を助ける、という感じになるので、相性がいいとされてきたのではないでしょうか。
・・・まあ、ネットで見ると、栄養学的にはそこまで大きな意味はないとか、単に食感をよくするためだけの問題とか、
昔は食べるものが少なかったから云々・・とか、そういうのばっかり出てきますが、この組み合わせが現在も残っているのは、
僕からみるとこういう、東洋医学的意味づけが背後にあるからなんじゃないかと思いますね。
(どなたか詳しい方、何かご存知でしたらご教示ください。)
続く
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2017.07.03

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前回のお話
参照
では続きいきます!!
◆麦飯と東洋医学
東洋医学的に考えていく場合、麦飯は大麦を炊いたものですので、大麦について知らなければなりません。
大麦とは、人類最古の作物の一つと言われ、原産地は西アジアですが、9000年前のイラクの遺跡からも発見されたとか。
日本では飼料やビール、麦茶、麦芽糖、みそ、しょうゆ、焼酎の原料として利用されています。
まさに我々の生活になくてはならない作物ですね。(゜o゜)
東洋医学的には、五味は甘、鹹、性は微温(涼性という説もある)であり、気を下げ、潤す性質をもち、脾の臓、胃の腑、膀胱の腑を養うと言われます。
発芽した大麦(外皮が付いたモミ)は「麦芽」という生薬として、漢方薬に使われます。
効能としては清熱消渇、益気調中、凉血利水、強心養血、寛腸消積とあり、主に中焦(脾胃)を調整する効果があります。
現代の研究では、前回述べた血糖値降下に作用する以外にも、消化促進、有機リン解毒作用、潰瘍抑制作用も期待出来ると言われ、
こういうものを日常的に摂っていた日本人、サスガ、って感じです。(笑)
ただ、注意点としては消化にやや負荷がかかるため、胃腸の虚弱な人や下痢しやすい老人や小児は、控えめに摂った方が良いでしょう、という感じです。
因みに、「大麦の苗」は一部の青汁の原料にもなっており、熱証、湿熱証の人は積極的にとるべきものですが、これも、
冷えのキツイ「陽虚」型の人は気を付けるべきでしょう。
このように、体にいいからと言って摂りすぎるのは問題ですが、西洋医学的に血糖値の問題といい、東洋医学的に内熱の問題といい、
胃腸虚弱やキツイ冷え体質でもない限り、現代人は白米に麦を混ぜた方が良い気がしてなりません。
続く
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2017.06.07

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今日、患者さんに問われました。
「ルイボスティー飲んでもいいですか?」
と。
アフリカ原産のマメ科植物、ルイボスの葉を使うルイボスティーは、紅茶の代用品なんだそうで、ネット上にあるいくつかのサイトを見てみると、
抗炎症作用があり、不妊、便秘、冷え性、むくみ、ダイエット、美肌などなど、とてもたくさんの効能が謳ってあります。
(どれも、健康に敏感なアラサー女子が飛びつきそうなものばかりですな。。。)
で、ルイボスの葉っぱを乾燥させたものを煎じてお茶にして飲む、という訳だそうです。
何でもこのお茶はアフリカでは「奇跡のお茶」と呼ばれているんだとか。(゚∀゚)
・・・こういうのね、たまに聞かれます。
患者さんに聞かれると、その食品にどういう作用があるかについては、『東方栄養新書』『東方養生新書』『東洋医学で食養生』あたりを中心に、
清明院に10冊ほどある食養生の本から探したりするのですが、ルイボスティーについては見つかりませんでした。
(まあ”最近話題”っていうくらいで、最近になってから日本のメディアで紹介されたのでしょう。)
・・・で、うちの蔵書になければ、仕方なくネットの情報から探す訳ですが、僕と同じようなことを考えている人が何人かいました。
(因みに、ネットでも無理な場合は最終的にS先生に聞きます。(笑))
まあたいがい、アフリカなどの暑い国で採れるものというのは、人体の熱を取る作用があるものが多いです。
結果的に気の巡りが良くなったり、浮腫みがとれることもあるでしょう。
こう考えると、東洋医学的には実熱型、湿熱型の人には、”過度にならなければ”いいのかもしれません。
で、反対に陽虚型、虚寒型の人が過度に飲めばよくない、と考えること出来ます。
ただ、昔から「身土不二」という言葉があるように、上記のように、体に籠った熱が取りたいとか、気血の巡りをよくしたいとか、浮腫みを取りたいとか言うなら、
わざわざアフリカ原産のものをとらんでも、毎日ガブガブ飲んでる水分の量減らして、軽い運動して、その辺の八百屋で売ってるキュウリでも食っときゃいんじゃないすかね。(゚∀゚)
横文字とか、ド派手な広告をありがたがるのは、そろそろヤメにしませんかね。
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