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鍼治療の臨床試験における標準化と柔軟性を両立させるマニュアル⑧

 

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こんばんは 謝敷です。
 
 
 
 
 
 
6月に入りましたね。
近くに田んぼのない都心では、道端の紫陽花に心の癒しを求めますが、
姉の住む長野では、この時期、水を張った田んぼが綺麗なようで、
雨音を聞きながら、そんな景色を思い浮かべています。
 
 
 
 
 
 
 
さて、鍼治療研究の方法論に関するガイドラインを見ています。
これまで、鍼灸介入と言っても様々な概念や手技があるため、その背景をしっかりと分類して、適切な研究デザインを検討すること、
また、研究プロトコルの検討では、先行研究を参照するものの、英文のエビデンスにはそれ自体に偏りがあるため、
熟練した臨床家との臨床家への調査や
専門家パネルなどを開くことが重要であることが提案されていました。
 
 
 
 
 
 
 
今日は「用語」の取り扱いについて書かれている部分を見ています。
 
 
 
 
 
 
 
中医学の言語は、独特の概念体系を反映しているため、
翻訳が難しく、言葉としての分かりやすさを優先すると、
臨床的な正確さが犠牲になる傾向があると指摘しています。
つまり、理解しやすいように、現代の生物医学に基づく概念へ置き換えてしまうと、
生物医学的概念と、伝統医学的な概念が混在し、
そのズレが、研究という場面において、有効性の評価や内的妥当性の検討という点において課題となると指摘しています。
 
 
 
 
 
 
例えば「気」という概念を、理解しやすい「エネルギー」という言葉に訳してしまうと、
「気」という言葉が本来包含する概念は、「エネルギー」と完全に一致しているわけではないため、
鍼の作用機序を科学的に探究際のバイアスとなるという指摘です。
 
 
 
 
 
 
 
臨床試験においては、有効性を示す上で、評価者で見解が一致することが重要になります。
しかし、こうした用語について、一貫した概念が存在しない場合、
評価者における一致を得ることが難しく、
その結果、概念についての内的妥当性を評価すること自体が困難となる、ということです。
 
 
 
 
 
 
 
 
よって、中国医学や鍼研究では、
単ある単語の翻訳ではなく、中医学そのものの実際の考え方に則して
適切な用語の定義が成されるべきであるとしています。
そして、臨床研究を行う際は、単に方法論的なプロトコルの厳密さを求めるだけでなく、
こうした用語の定義にも留意されなければいけないとしています。
 
 
 
 
 
 
 
現在、中国医学の用語は、翻訳基準が未だに十分整っていないという課題があると指摘しています。
また、こうした中医学用語の構造や相互関係を正確に反映した英語訳を作成したとしても、
初心者には理解しづらく感じられ、敬遠される可能性もあります。
それでも研究を行う際には、このような用語解釈の複雑さを踏まえて、
研究方法を検討する必要があると述べています。
 
 
 
 
 
 
 
このレポートは2002年のものですが、
その後、2007年にWHOが伝統医学のterminology(用語集)を発表し、
翌2008年には、経穴部位の標準化も行いました。
よって、用語の共通理解については、少しずつ土壌が整得られてきているのかもしれません。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(参考文献)
Schnyer RN, Allen JJ. Bridging the gap in complementary and alternative medicine research: manualization as a means of promoting standardization and flexibility of treatment in clinical trials of acupuncture. J Altern Complement Med. 2002 Oct;8(5):623-34. doi: 10.1089/107555302320825147. PMID: 12470444.
 
 
 
 

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鍼治療の臨床試験における標準化と柔軟性を両立させるマニュアル③

 

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こんばんは 謝敷です。
 
 
 
 
 
 
5月に入りましたね。
今年度は2か月目ですが、暦年では、今年ももうすぐ半分…

青々と輝く自然の緑に力をもらいながら、今月も頑張っていこうと思います。
 
 
 
 
 
 
鍼治療研究の方法論に関するガイドラインを見ています。
今日からはいよいよ具体的な手順に関する内容に入ります。
 
 
 
 
最初に取り上げられているのは
概念的枠組みの確立」。
 
 
 
 
 
 
総括的な内容ということで、さらりと読み流してしまいそうではありますが、
個人的にはとても重要な部分であると思っています。
鍼灸は、東洋医学的にも西洋医学的にも活用することができ、
背景となる概念(世界観)の違いによって、治療のみならず、人体観が大きく異なるからです。
 
 
 
 
 
このマニュアルでは、鍼灸治療の研究を行う上での課題として、
以下のような視点が示されています。
 
 
 
 
 
 
・評価プロセスの一環として、東洋医学的評価や問診を含める必要性
・東洋医学的な診断に基づいた個別化治療を提供することの必要性
・研究対象となる鍼灸の流派を明確にし、
 その流派に合致した方法に基づいて臨床試験の基準を策定する必要性
 
 
 
 
 
 
上記の中でも、論文では「流派の特定」について説明しています。
 
 
 
 
 
鍼灸治療は、多様な治療様式からなる多様で豊かな医療であり、
同じ症状でも、流派や理論体系によって治療アプローチ
(診断、選穴、鍼の刺し方等)は大きく異なることが説明されています。
 
 
 
 
 
そのため、使用された特定の流派やその流派の理論を明確にしないまま
鍼治療の有効性を評価したり、
臨床試験の結果を「鍼灸治療」として一般化することは不正確であると述べています。
(激しく同意します!)
 
 
 
 
 
 
そもそも伝統医療的な鍼灸では、
治療は臨床評価(問診や触診、聴診、嗅診、そして観察によって患者さんに関する情報)を通じて、
患者さんの病状の経過が収集され、
これらの情報が、中医学を含む様々な理論によって解釈、整理され、治療方針へとつながっていきます。
 
 
 
 
 
 
一方で、流派によっては、複数の概念(理論)を組み合わせて取り入れているものもあり、
近年では、伝統的な概念に基づかない、現代的な鍼灸の流派も開発されています。
 
 
 
 
 
 
 
このような多様性を踏まえたうえで、検討すべき事項として、
そもそも伝統医学における記載が、臨床的な有効性と関連しているのか、という課題の検討が必要であるとしています。
「伝統的に正しいこと(古典の記載)=実際に効果があること」とは必ずしも一致しない可能性がある、として、
まずは、こうした伝統医学の有効性の検討も必要であると述べています。
(北辰会と同様の姿勢ですね)。
 
 
 
 
 
 
その上で、鍼治療の検討においては、
第一に、研究対象となっている鍼治療が、伝統医療の理論(実践や概念)を正確に反映しているのか
第二に、もしも現代的にアレンジされた鍼治療である場合、その理論や方法は、伝統医療の観点や現代科学的な観点から見て妥当なのか
を明確にすべきである、と書かれています。
 
 
 
 
 
 
 
研究ではいつも「言葉の定義を明確に!」と言われますが、
まさに、”この研究、この論文で述べる「鍼灸」とは何か”、
ということを明確にして、
その上で、有効性を検討すべきであると述べていますね。
 
 
 
 
つい「結果(有効か、無効か)」にばかり目が行ってしまいがちですが、
鍼灸の豊かさを研究の中で失わないためにも、
そして研究としての厳密さを保つためにも、
まずは「どのような鍼灸についての研究しているのか」を明確にすることが大切なのですね。
 
 
 
 
 
 
 
(参考文献)
Schnyer RN, Allen JJ. Bridging the gap in complementary and alternative medicine research: manualization as a means of promoting standardization and flexibility of treatment in clinical trials of acupuncture. J Altern Complement Med. 2002 Oct;8(5):623-34. doi: 10.1089/107555302320825147. PMID: 12470444.
 
 
 
 

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