東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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鍼灸に関するRWD研究(乳がんサバイバーの疼痛)

 

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こんばんは 謝敷です。
 
 
 
 
 
雨がずーっと続きますね。
先週あった束の間の晴れ間に、秋の空気を感じて、今年も残すところあと3ヵ月と少しなのだということを感じました。
秋になると、乾いた空気にのってくる金木犀の香りに、何か寂しさのようなものを感じます。
シルバーウィークも丁度半ばでしょうか。皆様素敵な休日をお過ごしください。
 
 
 
 
 
 
さて、先週までは米国におけるHospitalist(病院総合医)という職業についての論文を読んできました。
AIの浸透や発展にも思うことですが、
Hospitalist(病院総合医)について調べながら感じたのは、
社会のニーズに合致した仕組みは、想像以上の速さで、
地域的にも、その役割の内容としても広がっていくのだということでした。
 
 
 
 
 
 
その過程では、当初は想定していなかった変化や影響も生まれてくるのではないかと思います。
 
 
 
 
のんびり屋の私としては、そうした急速に広がるものに、少し不安を感じます。
 
 
 
 
 
 
速く育つ木の密度が少し粗いように、大切な哲学や文化、思考のようなものが形骸化し、
物質的な部分(制度や人数)のみが先にどんどんと育ってしまう可能性があると思うためです。
 
 
 
 
 
そうした若干の不安を抱きつつ、
社会の大きな潮流として今後さらに広がっていくであろうものの一つに、
RWD(リアルワールドデータ)を用いた研究があります。
 
 
 
ただ不安だから避けるのではなく、その波と勢いの中に入りながら、
「これらの検討から本当に何が分かるのか」
を考え続ける必要があるのではないかとも感じています。
 
 
 
 
 
 
これまで医学研究、とりわけ治療の有効性を検証する臨床研究では、
研究目的に合わせて対象者や評価項目、データを取得する時期や方法を
あらかじめ定め、必要なデータを収集する方法が中心的な役割を担ってきました。
 
 
 
 
 
一方で、人々の生活や医療のさまざまな場面がデジタル化される中、
研究のために新たに集めるデータだけでなく、
日常の診療や生活の中ですでに生まれているデータを研究に活用することが可能になってきました。
 
 
 
 
 
例えば、商業の世界では、人々の行動から生まれるさまざまなデータを分析し、
購買傾向の把握やサービス、製品の開発などに活用しています。
 
 
 
 
 
 

同じように医療の世界でも、
診療や保険請求の過程で日々生み出されるデータの電子化・蓄積が進み、
それらを研究や医療政策に活用する動きが広がっています。

 

 

 

 

病院を受診した際に生じるレセプトデータ、
電子カルテのデータ、
病院での診断や診療行為、在院日数などを含むDPC(診断群分類包括評価)データ、
さらに近年では、ウェアラブル機器によって日常生活の中で取得される生体情報なども、
研究に活用されるようになってきました。

 
 
 
 
こうしたデータは、日常の医療の中で実際に生じた情報を捉えられる一方で、
決して患者さんの「リアル」そのものではありません。
 
 
 
 
例えば、データ上では薬が「処方された」ことは分かっても、
本当にその薬が服用されたかまでは分からないことがあります。
また、ある傷病名が記録されていたとしても、
それだけでその疾患が確定診断されたと判断できるとは限りません。
 
 
 
何をもって病気や治療、アウトカムを捉えるのか。
データとして記録されている情報が、私たちの知りたいものを本当に表しているのか…
RWD(リアルワールドデータ)を扱う上では、こうした点を慎重に考える必要があります。
 
 
 
 
 
 
 
また、何万人、何百万人という患者さんを含む匿名化されたデータベースを扱う場合、
その一人ひとりがどのような生活を送り、
どのような思いで医療機関を受診したのかまで辿ることはできません。
 
 
 
 
 
 
しかし、RWDを活用するからこそ見えてくる情報、検討できる問いがあるのだと思います。
 
 
 
 
 
 
最近私は、医療の中でこうしたRWD(リアルワールドデータ)が
何を、どのように捉え、どのように活用されているのかに興味を持つようになりました。
 
 
 
 
 

そして同時に、日々の臨床で出会う、
「多くの病院を巡り、“ストレスのせい” “年齢のせい” “原因不明”と言われ、
それでも苦しみ続けた末に来院される患者さん」の実態や経緯を、
こうしたデータから捉えることはできるのだろうか。
その中で東洋医学や鍼灸の役割や有用性を検討したり、示すことはできるのだろうか…

 
 
 
 
 

そんなことを考えるようになりました。

 

 

 

そこで次回から、乳がんを経験し、疼痛を有する患者さんを対象に、
鍼灸治療が鎮痛薬の使用や医療資源の利用にどのような影響を与えていたのかを検討した、
米国のRWD(リアルワールドデータ)研究を読んでいきたいと思います。

 
 
 
 

 

Ng DQ, Lee S, Lee RT, Wang Y, Chan A.
Real-world impact of acupuncture on analgesics and healthcare resource utilization in breast cancer survivors with pain.
BMC Med. 2024 Sep 16;22(1):394. doi: 10.1186/s12916-024-03626-2. PMID: 39285302; PMCID: PMC11406884.

 
 
 

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こんばんは 謝敷です。
 

 

 

雨が続きますね。
9月にして肌寒さを感じつつ、
秋晴れや紅葉の季節が近いことが楽しみにもなります。

 

 

 

「ホスピタリスト」について、見ていましたが、今日が最後となりそうです。
今日は、研究者としてのホスピタリストを見ていきたいと思います。

ホスピタリストは、日々急性期の乳井患者さんを最前線で診療してきました。
そのため、日常臨床から、
・新しい疾患
・診断の難しい症例
・治療や退院のタイミング
・病院内の患者動線
・医療安全
・教育のあり方 といった研究課題が生まれやすい立場にもあります。

 

 

 

 

実際、COVID-19、静脈血栓塞栓症、
敗血症、診断エラー、医療の質改善、病院運営や患者の流れ、医学教育等、
幅広い分野で研究を行ってきたことが紹介され
ホスピタリストの学会から、専門誌が創刊されるに至っています。

 

 

 

 

また、複数の施設が連携して研究を行う
Hospital Medicine Reengineering Network、HOMERuNも設立されました。

 

 

 

 

一方で、研究を担うホスピタリストの数は、決して多くありません。
2,000人以上のホスピタリストを対象とした調査では、
研究を主な役割の一つとする臨床研究者は、全体のわずか3.1%でした。

 

 

 

その背景には、ホスピタリストの臨床業務が多忙であることに加えて、
研究者としての訓練や、研究時間、指導者、研究費などが十分ではないという課題があるようです。

 

 

 

 

また、大学における従来の昇進制度では、
論文数や研究業績が重視される一方で、
ホスピタリストが大きく貢献してきた、
医療の質改善や病院運営、医学教育や医療安全といった活動は、
必ずしも十分に評価されないという組織的な障壁もあるようです。

 

 

 

そのため、一部の大学では、こうした活動も
昇進の評価対象に含める新しい基準が作られはじめ、また新たな体制変化が生まれそうです。

 

 

 

ホスピタリストの誕生から発展までの歴史を見てきました。

 

 

最初は「入院患者を専門に診る医師」として始まった職種が、
その役割を果たしていく中で、少しずつ活動と役割を広げてきたことが分かります。

 

 

 

論文の最後には、
ホスピタリストが、医療の質や病院運営におけるさまざまな課題に対して、
柔軟かつ実践的に対応してきたことが、
この領域の発展を支えてきたとまとめられています。

 

 

 

実際、1996年に、「入院患者を専門に診るジェネラリスト」として生まれたホスピタリストは、
25年余りの間に、病院の中だけでなく、
教育、情報、経営、研究、そして病院外の医療まで支える存在へと発展してきました。

 

 

 

まずは社会や現場の「ニーズ」をしっかりと捉え、得意とするところを伸ばしていくことで、
むしろ仕組みの方が変わっていったということでしょうか。

 

 

 

 

個人的に興味深いと思った点は、様々な実績が評価される中で、研究を担うホスピタリストは少なかったという点です。
日々の臨床において着実に「良い!」「役に立つ!」と評価される実績を積んでいけば、必然的にそのフィールドは広がっていく…

 

 

 

 

 

もちろん、その有用性を示すには、何らかの形で効果や価値を検討、証明する必要がありますが、
その「証明」は、日々の診療や業務の中で蓄積される記録から示せるのかもしれません。
そう考えると、これは一つの理想的なエビデンスの形だなとも思いました。
そんな視野で、もう一度鍼灸や東洋医学についても検討してみたいと思いました。

 

 

 

 

参考文献
Kulkarni SA, Wachter RM. The Hospitalist Movement 25 Years Later. Annu Rev Med. 2024 Jan 29;75:381-390. doi: 10.1146/annurev-med-051022-043301. Epub 2023 Oct 6. PMID: 37802086.
 
 
 
 

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