東洋医学 伝統鍼灸 清明院

お電話

03-6300-0763

10:00~21:00(完全予約制)

休診日:日曜(土曜、祝日の診療は18時迄)
〒151-0053東京都渋谷区代々木2-15-12クランツ南新宿601
初診・再診の御予約、予約の変更、
その他お問い合わせはこちら

Search Results for: 飲食

梅雨と梅

 

清明院では現在、求人募集しております。

募集内容の詳細はこちら

 

 

**********************************************************************************************
      にほんブログ村 健康ブログ 鍼灸(はり・きゅう)へ

 

  ↑↑↑        ↑↑↑
こちらを、1日1回クリックに是非ご協力下さい!<m(__)m>

クリックしていただくと、ランキングポイントが上がります!!
**********************************************************************************************

 

 

 

こんばんは、三鬼です。

 

 

皆様、いかがお過ごしでしょうか。

 

 

 

我が家には、叔母から大きな青梅が届きました。

 

まだ堅く、爽やかな香りをまとったその実を手に取りながら、「ああ、今年も梅雨の季節だな」としみじみ思います。

 

 

 

梅雨と梅——名前を共有するこのふたつに、どのような関係があるのか。

 

 

 

私たちが当たり前のように過ごす季節のうつろいの中に、東洋医学は昔から深い意味を見いだしてきました。

 

 

 

実は二千年以上前、中国最古の医学書『黄帝内経』には、

人与天地相参也、与日月相応也(人は天地と参じ、日月と相応ず)」

という一節が記されています。

 

これは、人間は自然界と深くつながっており、天地の変化とともに生きている——という考え方を示すものです。

 

つまり、自然界で起こることにはすべて意味があり、人にとって必要なものが、必要なときに現れる。

 

 

 

そんな視点から梅雨と梅を見てみると、この季節に青梅が実るのは、偶然ではないことがわかってきます。

 

 

 

実際に、梅雨の季節になると、多くの人がなんとなく不調を感じます。

 

体がだるい、食欲がわかない、頭が重い、よく眠れない、むくみやすい——そうした声を多く聞きます。

 

東洋医学では、こうした症状の原因を「湿邪」と呼びます。空気中の湿気が体に入り込み、体内の巡りを滞らせてしまうのです。

 

 

 

古代の医書『素問』には、「諸湿腫満、皆属于脾」という記述があります。

湿気が原因の不調はすべて「脾」(=消化器系)の働きの低下と関係しているという意味です。

 

現代風にいえば、湿度が高い環境では、消化力が落ち、体の水分代謝がうまくいかなくなるということ。これは私たちが梅雨に感じる倦怠感やむくみとも一致しています。

 

 

 

ところが、まさにこの季節に実るのが「梅」。

 

自然はこの不調に対する答えを、すでに用意してくれているのです。

 

 

 

薬草の古典『本草綱目』には、「梅、酸温、斂肺気、澀腸胃、止嘔逆」と書かれています。

 

酸味と適度な温かさを持つ梅は、乱れた呼吸を整え、胃腸を引き締め、吐き気や不快感を鎮めてくれます。

 

 

 

さらに東洋医学には「酸甘化陰(さんかんかいん)」という美しい概念があります。

 

酸味と甘味を同時に摂ることで、体に必要な潤い=体液が生まれるという理論です。

 

梅はまさにその象徴で、酸味とともに自然な果糖の甘さを持ち、高湿度で乱れやすい体内の水分バランスを、優しく整えてくれます。

 

これは現代でいう「電解質の補給」とも一致する、理にかなった自然の処方です。

 

 

 

東洋医学では、こうした自然のサイクルを「時令相応(じれいそうおう)」という言葉で表します。

 

必要な時に、必要なものが実る。

 

 

 

梅がちょうど梅雨に熟すというのは、偶然ではなく、自然界の見事な計らいなのです。

 

 

 

この考え方をさらに深く理解するために、東洋医学の「五行説」に目を向けると、より納得がいきます。

 

五行では季節を「春(木)・夏(火)・長夏(土)・秋(金)・冬(水)」に分けます。

梅雨は「長夏」にあたり、全体の調和をつかさどる「土」の季節です。

 

 

 

一方、梅は「木」の属性を持ちつつ、その酸味には「金」の性質=引き締めの作用もあります。「木」と「金」のバランスを持つ梅が、「土」の季節に実る。これは、五行の中でも特に繊細な調和の現れといえるでしょう。

 

 

 

こうした自然と体の調和を重んじる東洋医学の理想は、「未病先防(みびょうせんぼう)」という言葉に凝縮されています。

 

病気になる前に、その兆しを察知し、自然の力で防ぐこと。

 

 

 

季節ごとの植物を食し、自然とつながりながら暮らすことは、単なる健康法ではなく、暮らしの哲学そのものです。

 

 

 

現代では、梅雨の不快さをエアコンや薬で乗り切ろうとするのが一般的かもしれません。でも、そうした人工的な手段に頼る前に、まず自然のリズムに身を委ねてみることで、体は自ずとこの季節に適応していきます。

 

それは、静かで力強い「本来の回復力」を目覚めさせる行為なのです。

 

 

 

この根底にあるのが、古代中国の「天人合一(てんじんごういつ)」という思想です。

 

 

 

人と自然は分かれておらず、一体の存在である。

 

この思想を日々の暮らしに生かしていくことで、私たちはより健やかに、豊かに生きることができるのではないでしょうか。

 

 

 

雨音がやわらいだ午後、雫を纏った一粒の梅の実。

その一粒は、もしかしたら二千年前の医師たちが、私たちに遺してくれた自然からの処方箋なのかもしれません。

 

 

時代が変わっても、身体が求めるものは変わらない。

 

自然が授けてくれる恵みも、きっと変わらないのです。

 

 

 

【参考文献・出典】

『黄帝内経・素問』

 李時珍『本草綱目』

 矢数道明 編『漢方医学大辞典』

 東洋医学教育振興財団『東洋医学概論』

 『中医飲食営養学』(中国医薬科技出版社)

 『現代語訳 黄帝内経 素問・霊枢』丹波康頼 訳注

 中医薬研究会『中医臨床のための中薬学』

 

 

読者の皆様、1日1回、こちらをそれぞれ1クリックお願いします!!

 

 

 

 

   にほんブログ村 健康ブログ 鍼灸(はり・きゅう)へ

 

 

「エキテン」清明院サイト

 

 

清明院オフィシャルホームページ(PC)

 

 

清明院院長のブログ 「最高の鍼灸の追求」

癇(かん)とは①

 

 

清明院では現在、求人募集しております。

募集内容の詳細はこちら

 

 

**********************************************************************************************
      にほんブログ村 健康ブログ 鍼灸(はり・きゅう)へ

  ↑↑↑        ↑↑↑
こちらを、1日1回クリックに是非ご協力下さい!<m(__)m>

クリックしていただくと、ランキングポイントが上がります!!
*********************************************************************************************

 

 

 

こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は「癇(かん)」について、お話していきたいと思います。
 
 
 
癇(かん)とは、「てんかん」に相当し、俗に「羊癇風」と呼ばれています。
 
 
 
大発作の特徴としては、突然の意識障害、手足の痙攣、口から泡をふく、両目の上方注視、うめき声などを呈します。
 
 
 
回復した後は、疲労無力感はあるものの、飲食、睡眠は問題なく行え、発作は不定期なことが特徴です。
 
 
 
小発作では、一時的な意識混濁を呈し、前方凝視、欠伸、口角の引き攣り、口をすぼめるなどの動作を伴うことがあります。
 
 
 
癇については、『素問・大奇論』『霊枢・経脈』に最初の記載がみられます。
 
 
 
ただし、『素問・奇病論』に記載の「癲疾」や『千金方』に記載の「五癲」のように、歴代の文献に記載されている「癲(てん)」は、実際は「癇」を意味しています。
 
 
 
明代の『済生方』には、「大人は癲といい、小児は癇といい、その実は一疾なり」と記載があります。
 
 
 
葉天士は、「癲と癇は、証に不同あり」という言葉を残しており、現代の説と一致しています。
 
 
 
「痙」「中風」、小児の「急驚」「慢驚風」なども突然の意識障害、痙攣、後弓反張などの症状を伴います。
 
 
 
一見、「癇」との見分けが難しいように感じられますが、「癇」の発作症状には、昏倒、うめき声、口から泡をふくという症状がみられ、反復的に発作がみられるという特徴を持つため、他の病証と鑑別の参考にします。
 
 
 
上記内容は、王肯堂が『証治準縄・幼科』にて、「癇病は卒中痙病と相同じ、ただし癇病の仆するとき、口中は声を作し、まさに醒めんとするとき涎沫を吐し、醒後また復発し、連日発するものあり、一日に三五発するものあり。中風、中寒・中暑の類は、すなわち仆時に声なく、醒後に涎沫なく、醒後は再び発せず。痙病はまた時に発し、時に止むといえども、然して身は強直し、反張は弓のごとく、癇の身ごとく軟ならず、あるいは猪犬牛羊の鳴のごとくあらざるなり」と述べている通りです。
 
 
 
つづく
 
 
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 上』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 
 
 
 

読者の皆様、1日1回、こちらをそれぞれ1クリックお願いします!!

 

 

   にほんブログ村 健康ブログ 鍼灸(はり・きゅう)へ

 

 

「エキテン」清明院サイト

 

 

清明院オフィシャルホームページ(PC)

 

清明院院長のブログ 「最高の鍼灸の追求」

 

RSSリーダーで購読する

ブログ内検索
おすすめ記事一覧
カテゴリー
最近の投稿
アーカイブ