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2009.11.28
今日は清明院から緊急のお知らせです。
先日、政府の行政刷新会議の事業仕分け作業で、医療用漢方製剤を健康保険から外すという案が、なぜかほとんど何の議論もないまま出されました。
私の所属する(社)日本東洋医学会および、(社)北辰会では、これに対して断固反対の意向を表明し、署名活動を開始しました。
以下、(社)日本東洋医学会からの呼びかけ文を載せておきます。↓
(以下本文)
この議論は長年、自民党政権時代に政府ならびに財務省が再三提案しては消えた案件ですが、今回の仕分け作業の中で、他の課題と一緒くたになって提出されました。
過去には平成5年、6年に(社)日本東洋医学会が署名活動を行い、それぞれ、2週間で24万名、3ヶ月で148万名の皆様から署名を頂戴しております。
しかしながら今回は平成5年、6年にあった保険給付はずしと異なり、診療報酬の問題等大きな問題の中で埋もれたまま、仕分け作業班の意見が通ってしまう可能性もあります。
仕分け作業が終わるのが11月下旬、審議に持ち込まれる12月上旬には政刷新会議仕分け結果の審議が行われ、そこで決定されると他の案件とともに、漢方の保険給付がはずされる危険性が大です。
漢方は現在、医療の現場で医師の7割以上が用いて、がん患者さん、更年期障害などの女性疾患、花粉症などのアレルギー疾患、腰痛、膝関節症などの疼痛管理などに、医療の現場で医師が使うことによって、大きな効果を挙げており、医療として欠かせない薬です。
また、全国の医学部・医科大学でも医学教育の中に漢方教育が取り入れられ、日本東洋医学会で専門医教育も行われ、専門家育成も進んでいます。
今回の行政刷新会議の判断は国民不在のものであり、断固として阻止すべきと考えます。
平成21年11月20日
社団法人日本東洋医学会会長 寺澤捷年
日本臨床漢方医会理事長 石川友章
NPO健康医療開発機構理事長 武藤徹一郎
医療志民の会共同事務局長 木戸寛孝
本趣旨にご賛同いただけます皆様からのご署名をお願い致します。
メールアドレスをご記入の上、連絡の可否の欄を可にしていただいた方には、漢方関連のニュースをお知らせ致します。
(以上)
・・・とあります。
僕個人としても、鍼灸と漢方は同じ「東洋医学」という一家の家族みたいなものと考えているので、署名しようと思います。
患者さんにもご賛同いただける方には是非協力していただきたいと思います。m(__)m(以下に電子署名サイトURL↓)
http://kampo.umin.jp/contents02.html
医療費削減しないといけないのは分かるし、他の案件も山積みで忙しいのも分かるけど、自分たちが一生懸命仕事でやってることを、
こう勝手に話進められちゃったら、そりゃカドたっちゃいますよ、誰だって。
数字とか合理性もいいけど、「医療」っていうのは「患者さん」という弱者のためのものなんだから、現実の患者さんの声をまずはよく聞かないとねぇ。
・・・ただ、この件で僕が思うのは、漢方薬も鍼灸も、キチッとした東洋医学的な診断に基づいて処方するから、医療として初めて成立する(効果が期待できる)んであって、
訳も分からずに「カゼに葛根湯」とか、「くしゃみ3回小青竜湯」みたいな使い方をしているDrがいるから、こういう案が出てしまう面がある、
ということも考えなくてはいけないと思います。(鍼灸の場合もしかり)
僕レベルでも、患者さんから、
「病院で漢方薬もらったけど全然効かなかった」
という残念な言葉を耳にすることは実際しばしばあります。
詳しく聞くと、専門でない僕から見ても、どう見てもメチャメチャな処方がされていることも珍しくありません。
いくら漢方、鍼灸が広まってよかった、といっても、「効かない」「意味ない」という評判が広まっていいはずありません。
こういう現実を踏まえた時、今やらなくてはいけないのは、東洋医学の現場の医療の、教育制度、資格制度も含めた、現実的な構造そのものの改革じゃないのかな、と僕は思います。
例えば、漢方薬を処方できるのは認定専門医のみにするとかね。(薬局もしかり)
コンビニや薬局の店頭で売っていいのは、濃度をかなり抑えた「漢方サプリ」的なもののみにするとかね。
(まあエキス剤ってそういうことなのかもしれないが、そうであればそれに保険が使えるのはおかしい、ともなる。)
漢方薬はあくまでも「薬」であり、サプリメントや栄養ドリンクとは目的からして違います。
「薬」の目的は病気の治療であり、日々の健康維持や、疲労回復、栄養補助は補足的な意味であって、薬の本質ではないのです。
お隣の韓国や中国では、もうとっくに東洋医学と西洋医学の二本立て医療が実現しているというのに…。
ちなみに余談ですが、今や欧米では東洋医学振興の動きが高まっていますし、韓国では若い女性が結婚したい職業のNO1は韓医師(鍼灸、漢方を扱う医師)なんだそうです。(苦笑)
・・・なんか遅れてないですか??
日本の医療って。
どうして?やっぱまたお金と利権の話?と思う方も多いんじゃないでしょうか。(苦笑)
基本的には明治の初期の制度をそのまま踏襲していますし、我々鍼灸マッサージ師に関する法律(あはき師法)は、戦後間もない昭和22年から基本的には変わっていません。。。
(社)北辰会代表理事、藤本蓮風先生の言葉ですが、
「医療とは、正しく患者に働きかける意志と行動である。」
という、いい言葉があります。
(アルテミシア『臓腑経絡学』「総合と総体」参照)
日本の医療も、客観的に見てそう思える医療であってほしいんですがね・・・。
・・・皆さんは、いかが思われますでしょうか?
2009.11.20
何といっても、「東洋医学」というものを考える上で、はずせないのがこの素朴な疑問ですね。
実際に思ったことのある方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。
僕も、たまーに患者さんから、
「気って何ですか?」
と、聞かれることがあります。
僕は大体、
「人間の体に流れる、目には見えないエネルギーみたいなものだよ。」
と、”よくある”、”平凡な”答え方をすることが多いです。(笑)
これは、あれこれ難しいことを言うよりも、このように答えれば、患者さんの何となくの納得が得やすいために、そうしています。
(この質問が来る度に、古代中国哲学の講義やってたら、とても回りません。(笑))
・・・しかしこの答え、まあ間違ってはいないと思いますが、細かく言えば突っ込める所がたくさんあります。
例えば
”エネルギー「みたいな」もの”
という表現です。
「じゃ、エネルギー「です」、でいいじゃん。エネルギーと「気」ってどう違うの??」
・・・という突っ込みです。
(患者さんにこう突っ込まれたことはないけどね。ちなみに僕は鍼灸学生時代、あらゆる先生に、これ、突っ込みまくってました(笑))
これはですねー・・・、僕はあえて、「みたいなもの」と、ぼやかして答えているんです。
というのは、
「気は人間の体に流れる目に見えないエネルギーです。」
と言い切ってしまうと、気=エネルギー、となり、気にもエネルギーにもそれぞれの語義がちゃんとあるだけに、不正確な答え方になるんです。
だから”気≒エネルギー”、と答えた方が正確さが増すわけです。
(・・・一見ね。)
ただ、では「気」とはなんだろうか、と完璧に伝えるために深く考えていくと、一冊の本が出来てしまうような壮大な話になってしまいます。
これでは患者さんに、
「その説明、もういいです。(+_+)」
て言われちゃいますし、
「こいつ、ヤベエやつだ。( ゚Д゚)」
って言われちゃいますんで(苦笑)、上記のような答え方にしているわけです。
・・・でまあ、今日ははなはだ簡単ではありますけど、この摩訶不思議な「気」というものについて、どういうものか極力簡単に紹介してみたいと思います。
Wikipediaを見ますと、
「気」とは中国思想や道教や中医学(漢方医学)などの用語の一つ。。
と、出てきます。
古代中国人は、最初、人間の呼吸、風や湯気(ゆげ)等、目に見えないけど確かに存在するものを、
「氣(気の本字(もともとの字)」
と名付けました。
それが発展して、この世のすべてのものはみーんな「氣」から出来ている、「氣」が集まれば形になり、「氣」が散れば形がなくなる、と、
自然現象のすべては、この「氣」の動きによるものなんだ~!、と解釈しました。
(『荘子』知北遊萹など)
・・・てことは当然、人間自体も「氣」が凝集して形をなした姿であり、そしてその体の中にもまた、この「氣」が満ちていて、人体内の「氣」が動くことによって、
あらゆる人間の正常な活動(食べたり飲んだり出したりetc..)がなされるんだ~!と、考えたわけですね。
・・・で、もしそうだと仮定すると、「氣」が順調に、滞りや過不足なく人体を動いてれば「無病」でいられる、即ち健康でいられる、と、考えられる訳ですね。
・・・で、さらに、もしそうならば、「病気になる」ということは、「氣」が順調に動いていないからである、となり、さらにそれを仮定していくと、
じゃあそれを改善させることが出来れば「病気の治療」ができるよね!という仮説が、当然成り立ちます。
ではその「氣」の動きを効率よく改善させるためにはどんな方法があんのかな、と、当時の医者たちが真剣になって、色々試しまくった経験の、
気の遠くなるほど長い追試の挙句に考え出された、最高の道具こそが、鍼灸であり、漢方薬なのであります。
そしてさらに、その経験(気を動かして病気を治す時の法則)を数千年も集積し、
「こりゃあ確かに言えてるぞ!間違いないぞ!」
と、絶対の自信を持って体系化されたのが、「東洋医学」なんです。
(ここでは「氣の動きが悪い時のパターン分類とその治し方の見本集」と言ってもいいかもしれません。)
・・・ですから、一番正確かつ短時間で答える答え方は、
「気は気です。」
となるんだけど、これこそ患者さんからしたら
「?」
とか
「禅問答ですか?」
って話になっちゃうんで(笑)、僕の場合は、冒頭に述べたような答え方にしてる訳です。
どうでしょうか?
「気ってなんですか?」という疑問は、いくらか解けましたでしょうか?
コメントありましたら是非お願いいたします<m(__)m>
◆参考文献
『気の思想』東京大学出版会
『鍼灸医学と古典の研究』創元社
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