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2009.11.20
何といっても、「東洋医学」というものを考える上で、はずせないのがこの素朴な疑問ですね。
実際に思ったことのある方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。
僕も、たまーに患者さんから、
「気って何ですか?」
と、聞かれることがあります。
僕は大体、
「人間の体に流れる、目には見えないエネルギーみたいなものだよ。」
と、”よくある”、”平凡な”答え方をすることが多いです。(笑)
これは、あれこれ難しいことを言うよりも、このように答えれば、患者さんの何となくの納得が得やすいために、そうしています。
(この質問が来る度に、古代中国哲学の講義やってたら、とても回りません。(笑))
・・・しかしこの答え、まあ間違ってはいないと思いますが、細かく言えば突っ込める所がたくさんあります。
例えば
”エネルギー「みたいな」もの”
という表現です。
「じゃ、エネルギー「です」、でいいじゃん。エネルギーと「気」ってどう違うの??」
・・・という突っ込みです。
(患者さんにこう突っ込まれたことはないけどね。ちなみに僕は鍼灸学生時代、あらゆる先生に、これ、突っ込みまくってました(笑))
これはですねー・・・、僕はあえて、「みたいなもの」と、ぼやかして答えているんです。
というのは、
「気は人間の体に流れる目に見えないエネルギーです。」
と言い切ってしまうと、気=エネルギー、となり、気にもエネルギーにもそれぞれの語義がちゃんとあるだけに、不正確な答え方になるんです。
だから”気≒エネルギー”、と答えた方が正確さが増すわけです。
(・・・一見ね。)
ただ、では「気」とはなんだろうか、と完璧に伝えるために深く考えていくと、一冊の本が出来てしまうような壮大な話になってしまいます。
これでは患者さんに、
「その説明、もういいです。(+_+)」
て言われちゃいますし、
「こいつ、ヤベエやつだ。( ゚Д゚)」
って言われちゃいますんで(苦笑)、上記のような答え方にしているわけです。
・・・でまあ、今日ははなはだ簡単ではありますけど、この摩訶不思議な「気」というものについて、どういうものか極力簡単に紹介してみたいと思います。
Wikipediaを見ますと、
「気」とは中国思想や道教や中医学(漢方医学)などの用語の一つ。。
と、出てきます。
古代中国人は、最初、人間の呼吸、風や湯気(ゆげ)等、目に見えないけど確かに存在するものを、
「氣(気の本字(もともとの字)」
と名付けました。
それが発展して、この世のすべてのものはみーんな「氣」から出来ている、「氣」が集まれば形になり、「氣」が散れば形がなくなる、と、
自然現象のすべては、この「氣」の動きによるものなんだ~!、と解釈しました。
(『荘子』知北遊萹など)
・・・てことは当然、人間自体も「氣」が凝集して形をなした姿であり、そしてその体の中にもまた、この「氣」が満ちていて、人体内の「氣」が動くことによって、
あらゆる人間の正常な活動(食べたり飲んだり出したりetc..)がなされるんだ~!と、考えたわけですね。
・・・で、もしそうだと仮定すると、「氣」が順調に、滞りや過不足なく人体を動いてれば「無病」でいられる、即ち健康でいられる、と、考えられる訳ですね。
・・・で、さらに、もしそうならば、「病気になる」ということは、「氣」が順調に動いていないからである、となり、さらにそれを仮定していくと、
じゃあそれを改善させることが出来れば「病気の治療」ができるよね!という仮説が、当然成り立ちます。
ではその「氣」の動きを効率よく改善させるためにはどんな方法があんのかな、と、当時の医者たちが真剣になって、色々試しまくった経験の、
気の遠くなるほど長い追試の挙句に考え出された、最高の道具こそが、鍼灸であり、漢方薬なのであります。
そしてさらに、その経験(気を動かして病気を治す時の法則)を数千年も集積し、
「こりゃあ確かに言えてるぞ!間違いないぞ!」
と、絶対の自信を持って体系化されたのが、「東洋医学」なんです。
(ここでは「氣の動きが悪い時のパターン分類とその治し方の見本集」と言ってもいいかもしれません。)
・・・ですから、一番正確かつ短時間で答える答え方は、
「気は気です。」
となるんだけど、これこそ患者さんからしたら
「?」
とか
「禅問答ですか?」
って話になっちゃうんで(笑)、僕の場合は、冒頭に述べたような答え方にしてる訳です。
どうでしょうか?
「気ってなんですか?」という疑問は、いくらか解けましたでしょうか?
コメントありましたら是非お願いいたします<m(__)m>
◆参考文献
『気の思想』東京大学出版会
『鍼灸医学と古典の研究』創元社
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