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2010.06.24
毎日毎日患者さんを診ていますと、たまに面白いことをおっしゃる患者さんがいます。
初診の時、
「私は肝腎陰虚証(かんじんいんきょしょう)なので、お願いします!」
・・・とか、
「病院で、昔”貧血”と言われたことがあって、東洋医学的には”血虚”だと思ったので、三陰交にお灸をしてますので、据えて下さい。」
・・・とか、
「私は独学で中医学を学んでいまして、自分で漢方を服用して大体の症状は治せるのですが、先生の場合だとどういう診立てになるのか興味があってまいりました。」
・・・とかです。orz
大概そういう方に、
「ほー、それで結局、現在はどうなっていますか?」
と聞くと、なんだかんだいって結局は治ってない、ということが多いように思います。
・・・これ、何でですかねえ?
おかしいですねえ??
いっぱい「独学」したのにねえ???
あのー・・・ですねえ、コレねえ、正直ですね、そしたら、鍼を売ってあげますから、ご自分で「独学で調べて」「知人の方にでも」やっていただいたら如何でしょうか?と、
申し上げたくなります。
(苦笑・・・もちろん言いませんよ。険悪ムードはやだしね。まあやんわりとお勧めはしますがネ。)
コレは別に僕らの職業に限らず、現代は様々な分野の専門家の方々が、皆さん頭を抱えていらっしゃるところなんじゃないかと思います。
現代はかつてない情報化社会、知りたいことが瞬時に、インターネットを通じて知れる世の中です。
例えば自分の症状や、病院で告げられた病名をPCに打ち込んで検索すれば、その状態の人によく使われる漢方薬やツボの名前が即座に分かり、
それらをやってみようと思えば簡単に出来ます。
・・・で、その漢方薬を飲むなり、そのツボを刺激するなりして、もし治れば、治ってしまえば、その人はあたかも自分が専門家になったかのような錯覚に、
徐々に徐々に陥ることがあります。
(錯覚ですよね)
まあ、陥ったまま、幸せに暮らしていただければ何も問題はないのですが、僕らのように、いやしくも「専門家」を標榜して生計を立てている人間の前に来て、
冒頭のような態度を最初からとりにくるのはいかがなもんでしょうか。
普通に考えてこれは、”失礼”、”無礼”ではないでしょうか。
よく言われることですが、医療者と患者さんというのは、治療効果を最大限に高めるためにも、なるべく親しくなって、「信頼関係」を築かなくてはなりません。
その方がいいに決まってます。
というかそうしないと「病治し」というのはなかなか上手くいきません。
僕の経験からも、それは明らかです。
ですから、こちらもなるべく患者さんの悩みを詳しく聞くし、それに対してそれぞれの専門の見地から、最大限のご提案をさせていただこうと思っている訳です。
いつもブログに書いているように、僕の場合であれば”東洋医学”という、独特の人体のとらえ方をする医学の見地から、西洋医学の場合であれば、
最新の見解や研究データをもとに、”最善”を尽くそうとする訳です。
なのにいきなり初対面から、
「俺が(私が)こう思うからこうやれ。」
と来られても、信頼関係も、プロの技術も、へったくれもないですよ?
「あのー・・、なにか勘違いしていませんか?」
・・ってなるだけです。
偉そうに言う訳ではもちろんなく、我々の業界に限らず、素人と専門家は明らかに違います!
僕もこれまで、医療関係はもちろん、車やバイク、建築、スポーツなどなど、あらゆる、その道の専門家と接する機会を持ってきましたが、
その知識の深さから経験値から、素人とはまっっっったく「別モノ」です。
我々専門家というのは、国が定める教育課程を修了し、国家資格を取得し、なおかつ数年から十数年にわたる実地臨床の経験を経て、自信がついた段階で、
ようやく開業している訳です。
(借金コンクリートでガチガチになってまで・・です。(笑))
そこに至る努力や苦労なんて理解できない、というようなら、わざわざそういうところに相談に行く必要なんてないと思います。
時間とお金と労力の無駄です。
清明院は、大切な人を大切にします。
患者さんが人間であるように、僕らも人間なんですから。
「感情」というものがあるんです。
・・・なんか今日は愚痴ブログみたいになっちゃったけど、コレって大事なことだと思います。
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2010.06.23
今日、患者さんからこんな質問をいただきました。
その内容が、今つづっている「脾って何ですか?」にもちょっと関わるので、紹介します。
・・・その患者さんは、お酒をよく飲まれる、坐骨神経痛の男性です。
初診時から、経過は良好なのですが、たまにお酒を飲み過ぎると、症状が出てくることがあります。
今日も、前日にお酒を飲み過ぎたことによって、若干症状が出た、とおっしゃいました。
しかし、いつもの、飲み過ぎた時の症状とは若干違います。
体表観察してみると、今日の場合は「酒のせい」というよりも、
お酒というより、全体的に水分全般を取り過ぎてること+体の外からの冷え
によって症状が出ている、と判断しました。
そこで患者さんに再度確認してみると、
「自分では飲み過ぎたような印象があったんだけど、よく思い返してみると、量的にはいつもと変わらないか、少し少ないぐらいだった。」
と言いました。また、
「昨日仕事中にエアコンがきつすぎて寒かった。」
ともおっしゃいました。
・・・で、
”あー、ヤッパリネ”
ということで、治療が終わり、治療後に、
竹「お酒も含めて、少しお水の取り過ぎに注意して下さいね~。」
と声をかけると、
患「先生、体に余分なお水が多い時、お酒の量は変えずに、他の水分の量”だけ”減らしたら、それでも症状軽くなるの?」
と聞かれました。
僕は即答で、
竹「なります。この場合はね。酒がたくさん飲みたいんなら、酒以外の水分を極端に減らせば、ある程度の量飲んでも症状が悪化しにくいですよ。」
患「なるほど。へへへ・・・。(笑)」
竹「ただ、”今日みたいな場合は”ですよ!!いつもそうとは限らんよ!」
・・・という会話でした。専門家の先生方なら、この会話の時点で大体どういう患者さんかお分かりになるかと思いますが(笑)、今日はこの会話から、
一つの問題を取り出して解説してみようと思います。
☆お酒とその他の水分の違い
清明院で使用している(一社)北辰会専用カルテの問診事項には、飲酒の頻度と一回量を記載してもらう欄があります。
ここに問題がありそうな患者さんであれば、そこからさらにお酒の種類は何か、ペースはどうか、酔うとどういう状態になるかなどなど、
さらに突っ込んで問診していきます。
・・・なぜこのように、”お酒”を医学的に特別視するんでしょうか。
酒のことを東洋医学では、
”大辛大熱(だいしんたいねつ)”
と言って、適量であれば、大いに気血を巡らせる作用があるが、過度になれば体内に余分な熱を生じる飲み物、と考えています。
また発泡酒(炭酸が入ったお酒)の場合は、
上記の作用+気血を体の上(つまり頭部、胸部)に持ち上げる作用がある、
と考えます。
よく、「酒は百薬の長」と言われますが、これはお酒が持つ”気血の巡りをよくする”作用のことを指して言っているのであって、過度に飲んで、
結果的に体内に”余分な熱”や”余分な水分”を生じることを指して言っているのではありません。
よく西洋医学で、酒は利尿作用があり、呑んだ量よりも出ていく量の方が多いから、結果的に脱水状態になり、水分補給にはならない、と説かれますが、
酒を呑んでいる人をよく観察していると、かえってトイレに行かなくなる人もいます。
そういう人の場合は浮腫みます。
このように、「どういう人が」「どういう酒を」「どの程度の量」呑んだかによって、その後起こる現象は一様でなく、これをよくよく聴取して、
酒がその患者さんに何をもたらしているか、個別に考えるべきです。
(因みにあの、”チェイサー”というのはとてもいい方法だと思います。)
こうしたことから、日頃よくお酒を飲む、という初診の患者さんには、量、頻度、種類、ペース等々、詳しく聞いておくことが、「正しい」東洋医学的な診断をする上ではとても大事になります。
冒頭の患者さんも、こうした「お酒」というものの特徴から考えると、ちょっと考えにくい症状、所見を呈していたので、冒頭のようなやり取りになった訳です。
お酒以外の嗜好品では「カフェイン類」というのも見逃せませんが、それはまた今度語ることにします。(笑)
まあ、いずれにしても最近のようなジメジメした時期を快適に過ごそうと思ったら、酒だろうがカフェインだろうがジュースだろうが、
お茶やお水であっても、過度に飲まないことです!
「脾」は湿気(余分なお水)を嫌いますのでネ・・・。
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2010.06.09
これまでのお話・・・
「心」って何ですか?(その1)
「心」って何ですか?(その2)
「心」って何ですか?(その3)
「心」って何ですか?(その4)
「心」って何ですか?(その5)
「心」って何ですか?(その6)
「心」の働きについては、これまでであらかたは述べてきたと思います。
・・・ということで、ここら辺で一旦完結しようと思いますが、(その1)で述べたように、
「心」は”君主”
ですから、これが病気になると、命に関わる場合もあります。
今日は最後に、東洋医学の言う「心」がもし病気になった場合、具体的にどんなことが体に起こるのか考えてみましょう。
西洋医学の言う「心臓」の病気と言えば、「心筋梗塞」とか「狭心症」、症状としては「動悸」、「息切れ」なんていうのが有名です。
それ以外でも、ちょっと詳しい人なら知ってると思いますが、
「不整脈」とか、「心タンポナーゼ」とか、小児の「心室中隔欠損症」
などなど、挙げていけばキリがないほどあります。
西洋医学においても、「心臓」の病気は命に関わることが多い、という点では、東洋医学と共通しています。
しかし、これらの病気が、同じように東洋医学の言う「心」の病気になるかというと、当然ながら、必ずしもそうではありません。
西洋医学の病名によって、鍼灸をする経穴や、漢方薬の処方内容が決まるはずはありませんよ!!
もし巷にそんなことをうたっている人がいたら用心して下さいね!
(苦笑・・・山ほどいるような気もしますが・・。)
・・・でも僕は、初診の際にはその患者さんが、西洋医学的に何という病名なのか、どんな処置を受けているのかは、必ず聞きます。
なぜなら、その病名を持っている、ということは、こんな症状があって、あんな症状があって、という「予測」が出来、それをもう一度東洋医学の理論に置き換えることが、
正しい「東洋医学的な診断」をするにあたって大変有用だからです。
・・・まあ、こういう話はこのブログ上で何度も言っていますがね。
現代でちゃんとした東洋医学をやろうと思ったら、西洋医学の基本的な知識は必須でしょう。
さて、では実際に、「心の臓」を病むとどうなるか、についてですが、これは実際には非常に多岐にわたります。
冒頭で述べたような西洋医学的な心臓疾患なども、もちろん東洋医学的な「心」の病変で起こりうるケースもあります。
また、これを言うと、一般の方にとっては、
「エ?なんで??」
ってなっちゃうと思いますが、ある種の「目の病気」や、「喘息」、「不眠」、「胃の痛み」や「胆石の痛み」などなど、東洋医学の言う「心」を病むと、
実に様々な(というか意外な)症状を呈することがあります。
これら一つ一つのメカニズムについてまでは、いちいち解説はしませんが、要するに、
”「精神」と「感覚」の調整役”
であり、
”全身への「血」の安定的な供給”
というのが「心」の主な働きですから、これがうまくいかなくなった結果、と考えれば、あらゆる可能性が、なんとなく想像できるんじゃないかと思います。
このように多種多様な症状から、その人の病を分析して、その不調和の根幹を特定し、それを是正するのが東洋医学だ、ということです。
・・・一応、「心の臓」についてはこれで一旦完結しますが、言いだせばキリがないほど、情報はありますので、また機会があったら書きます。
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2010.05.25
久々に、「患者さんの声」をいただきましたので、載せさせていただきます。
本症例の患者さんは、今年(平成22年)の2月に他界されました。
以下の文章は、お孫さん(現在清明院に通院中)が書いて下さったものです。
80代 女性
症状:全身転移による末期癌による浮腫み、呼吸困難、歩行困難、全身の痛みなど
昨年(平成21年)の秋頃、祖母の細い足が急にゾウの足のように浮腫み、それをきっかけに病院の検査で調べた結果、癌の末期と宣告されました。
足の浮腫み以外は特に身体に大きな不調がなかったので、家族にとっては大きな衝撃でした。
専門医の先生は祖母の年齢、体力を考えて、手術や抗癌剤治療は勧めませんでした。
家族で慎重に話し合った結果、祖母には病気の事は伝えず、これまで通り、普通の生活をしながら祖母を看病し自宅で看取ることを決めました。
祖母は以前から足腰の不調等で竹下先生にお世話になっていたので、祖母の身体に関しては、引き続き竹下先生に全面的にお任せすることにしました。
これは私達家族からの願いでもありましたが、竹下先生の目指すところは、なるべく苦しませずに逝かせてあげること、でした。
昨年の10月頃から竹下先生と松木先生が交代で週に3~4日、往診にきてくださり、特に大きな変化は無く新年を迎えられました。
癌患者とは思えないほど食欲はあり、癌の末期だなんて誤診ではないか、と疑ったくらいでした。
若干のふらつきがありましたが、鍼のあとはふらつきがなくなり、元気と自信を取り戻している様子でした。
その後徐々にふらつきが強くなり、家の中を動く事もままならなくなった頃、さすがの祖母も不安を覚え、落ち込んでいる事が多かったのですが、
やはり竹下先生と松木先生に優しく励まされ、支えて頂いていたように思えます。
鍼が終るとニコニコしていて
「心配しなくていいよ。」
って言われた、とうれしそうに話していました。
2月に入った頃からたまに腹部に痛みを訴えたり、ちょっと動くと息切れがひどかったり、食欲が減ってきたり、
と色々出てきましたが、ほぼ全て鍼で対処して頂き、穏やかに過ごさせていただきました。
年明けくらいからは近所の内科医院の先生も往診にきて下さっていて、介護保険を使って介護ベッドや酸素の機械や、
浮腫みをとるマッサージ機などをレンタルして下さり、病状に合わせて薬を出して下さっていました。
なんとなく外枠のケアを西洋医学で、内側を東洋医学で、といった感じの西洋医学と東洋医学のコラボレーションだったように思えます。
2月の中旬に体調が急に悪化し、2月末に亡くなるまで、竹下先生がお忙しい合間を縫って毎日来てくださいました。
先生が毎日来て下さる事は祖母にとっての安心でもありましたが、私達家族の安心でもあり心の支えでもありました。
先生の月に唯一のお休みの日まで
「いつでも携帯に電話してください。」
とおっしゃってくださった先生に、本当に感謝の気持でいっぱいでした。
昨年の10月の時点で全身に癌が転移していて、手のほどこしようがない、という状態だった祖母が、亡くなる数日前まで食べたい物を美味しい、と言って食べていられた事、
癌の末期患者として苦しんだのは最後のほんのちょっとだけで、しかもその頃はほとんど意識が無かったと思うので、祖母はおそらく自分が重い病気であることに気付かないまま亡くなっていけた事は、
祖母自身にとっても私達家族にとっても、幸せな事だったと思います。
鍼治療の不思議を見せて頂きました。
そして何より竹下先生と松木先生が一生懸命やってくださったおかげだと思っています。
心から感謝しています。
約半年間、祖母の事でお世話になり、先生方はすっかりうちの親戚一同のヒーローとなり、死ぬときは清明院にお世話になる、と決めている人たちもいるので、
私を含め家族、親戚ぐるみで今後ともよろしくお願いいたします。
◆清明院からのコメント
この症例は、末期癌と判明してから、亡くなられるまでの約4カ月間を、ご家族の要望により、ほとんど鍼のみで対応した、貴重な症例であります。
上の文章にもある通り、本症例の目的は、なるべく患者さん御本人を楽に逝かせてあげることでした。
「腎虚水泛(じんきょすいはん)、血熱(けつねつ)」と証を立てて最後まで治療し、それはなんとか達成してあげられたと思いますが、
最後は亡くなってしまった訳ですから、僕にとっては、もっとこうしてあげられたんじゃないか、ああしてあげられたんじゃないかと、今でも、
色々と考えさせられる症例でもあります。
人間は早かれ遅かれ、誰でもいつか必ず亡くなります。
悲しいけど、それは皆が分かっていることです。
ただ、最後亡くなる時ぐらいはなるべく苦しみたくない、周りに迷惑をかけたくない、というのが、多くの患者さんの考え方です。
この患者さん自身もそういう方でした。
この症例のように、現代西洋医学的には手の施しようがない状態の患者さんにも、鍼は強い味方になります。
鍼をして、安心し、痛みが楽になる、よく眠れる、結果、そんなに苦しまずに、比較的安らかに最期を迎えられる。そういう症例を、僕の短い臨床経験の中でも、何例も経験しています。
反対に、病院から手の施しようがない、と言われているにも関わらず、開腹手術、抗癌剤治療を選択し、酷い副作用に苦しみながら、本人もご家族も泣きながら亡くなっていった患者さんも、これまでに何人か診ています。
この方が亡くなられる前日の、意識があった最後の往診の時、帰り際に、
「明日も来るからね。」
と声をかけると、それまで苦しそうにしていたのに、ニコッと笑って頭を下げた、この患者さんの笑顔を、今でも昨日のことのように思い出します。
「東洋医学」とは何なのか、“人の生き死に”に対して何が出来るのか、限界は果てしない、と僕は思っています。
2010.05.18
今日は、僕が以前勤めていたこともある、とある病院へ、開業の御挨拶に行ってきました。
なぜこんなに遅くなってしまったかというと、正直、去年の10月の開業以来、バタバタしていたからです(笑)
しかも向こうの都合もあるだろうから・・と思うと、後回し後回しにしているうちに、今日にいたってしましました・・・。(早い!)
まだまだ片付けなければいけない案件は山ほどありますが、一段落してきたので、今回、ようやくご挨拶に伺ってきました!
(病院の場所やら名前やら、ここに書いてもいいんだけど、病院側の許可を得ていないのであえて書きません。そのうち紹介しますネ。)
そこで、面白い話が出来ました!
こないだも書いたけど、エビデンスについてだとか、西洋医学の現場の様子、「医師」という職業をめぐる現状、東洋医学に対する興味や認識などなど、時間は短かったけど大変有意義で、ついついテンション上がっちゃいました。(笑)
医師の先生方も、積極的に東洋医学を現場で効果的に用いたい、という、”人情”の部分と、現実的にはなかなか導入しにくい、という、”論理”の部分との葛藤があるようです。
まあ、このブログでも何度も述べているように、鍼灸は数千年もの間、患者さんの支持を得てきた医学であり、技術な訳ですから、しっかりと学べば、あらゆる病気に対応可能であることは間違いなさそう、というのは、誰でも分かる話です。
しかし現在の医療業界の中ではなかなかそれを本格的に導入する制度や機会がない、というのが現状なんですね。
高度で、なおかつ確度が高くて、良質な東洋医学を患者さんに提供しようと思ったら、現状の医療界では、やっぱり開業鍼灸師、あるいは開業薬剤師、という形が一番やりやすいようです。(苦笑)
だから僕はもっともっともっともーーーっと、頑張らなくてはなりません。
だって、やりたいことを、やりやすい環境でやらせてもらってる訳だからね。これで怠けたら、バチあたります。(笑)
2010.05.17
以前、花咲く清明院でお伝えした、この花↓の名前なんですが・・・、
多くの患者さんの御協力で、「クチナシ」と判明いたしました!!
・・・まったく、クチナシの実と言えば、かの有名な漢方薬、「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」の構成生薬の一つ、梔子(しし)じゃないですか!!!
いくら湯液家じゃないにしたって、東洋医学をやっているもののはしくれとして、あー、情けない情けない・・・(>_<)
とんだ恥をさらしてしまいました・・・。今度からはこういうの書く時は気をつけよ・・・。(反省)
清明院の往診患者さんには、代々農家をやっておられる患者さんが何人かおられます。
今日はその患者さん達の、「クチナシ」にまつわる雑学の多さに圧倒されました・・・。(やっぱ患者さんは先生。)
上の写真の、清明院の鉢植えのクチナシは、品種改良された「八重咲き」というクチナシだそうで、このクチナシはいくら大きく育てても実はつかないそうです。
また、クチナシの果実を乾燥させると食品を黄色く着色するのによく用いられ、お正月の栗きんとん、たくあんなどの着色によく使われるそうです。
また、クチナシの果実=梔子(しし)は、つぶして火傷や炎症が起こっているところの患部に貼って、湿布として貼るとよく熱が取れるとか、女の子のいる家には「嫁のクチがナシ」ということでゲンが悪いから植えない、とかetcetc…
出るわ出るわ、「クチナシ」にまつわる雑学の数々・・・。
即席「クチナシ博士」となりました。。。
教えて下さった患者さま各位、ありがとうございました<m(__)m>
2010.05.14
皆様、今流行りの(笑)「エビデンスベイスドメディスン」という言葉、御存知でしょうか?
知らない方はこちらをどうぞ(wiki)
また以前、スタッフがまとめてくれました。
スタッフブログ『清明なる日々』 カテゴリ「EBM」 参照
この考え方については、なるほど確かにね、と思わされる部分が多く、僕自身、積極的に取り入れるべき考え方だな、と思う面もあります。
・・・今日、往診中にとあるドクターとかち合いました。
僕も長いこと往診というものをやっているので、ドクターとかち合うことなんて大して珍しくはないのですが、今日かち合ったドクターとは少ししゃべりました。
普通は、往診でドクターとかち合うと、お互いに”譲り合って”、
「あ、先生先にどうぞ。」
すると、
「いえいえ、そちらこそどうぞ。」
・・・みたいな感じで、お互い西洋と東洋で畑違いなんだから、変に口出したりしないで、見て勉強しよっと。
みたいな感じにになることが多いのですが、今日の患者さんはちょっとケースが違いまして、面白かったので書こうかな、と思います。
今日の患者さん(70代男性)はお伺いした時、発熱していました。(39.5度)
もともと脳梗塞でほぼ寝たきり状態の患者さんです。
ご家族に話を聞くと、今朝の段階では何ともなかったらしいのですが、昼にちょっと食欲がないかな、と思ったら、そのあと少し寒気を訴えたので、
熱を計ってみるとすでに高熱が出ていた、とのことでした。
そしていつも往診で来ている主治医の先生から、薬をもらって、すでに飲んだけど、下がらない、そこで今度はリハビリ訓練で往診スタッフを派遣している病院の先生が、
心配して診に来た、という状況でした。
僕としてはこの時点で、東洋医学的には様々な病が想定できます。
それぞれに治療法もあります。
さーて脈でも診てみるか、と思っていると、そのドクターが、
「高熱が出ている時に鍼をするんですか??」
と、不審な顔で聞いてきました。
僕が、
「ええ、東洋医学ではそういう時の対処法もはるか昔からあります。」
と答え、さらに患者さん自身に対して、
「お父さん、東洋医学で、熱が下がる、早く楽になる、と言われている鍼のやり方があるんだけど、やってみたいですか?」
と聞くと、
「うん。」
とのこと。(笑)
そして、いつも通り治療いたしました。
置鍼中、そのドクターが、何とも言えない表情で、
「まあ鍼もいいんでしょうけど、エビデンスがちょっとねー・・・。」
と、話しかけてきました。
僕は内心は、
「3千年以上も連綿と続いている方法論に対して、今さらエビデンスもへったくれもないんじゃないかなー・・・。」
と思いつつも、
「確かにねー。エビデンスが明らかになると、もっといいんでしょうけどねー・・・。」
な~んて言いながら、治療を終えました。
(実はまだまだ書きたいことはあるんだけど、誤解を招くのが嫌なんで、こんぐらいにしときます。)
あのねー、一つ言うと、鍼が本当に効くのかとか効かないのかとか、そういう議論、僕ら現場の臨床家から言わせれば、ちょっともう”どうでもいいよ”と感じる部分がねー、正直あります。
・・・だって効くんだもん。(笑)
効くからこそ、数千年もの間、「患者さん」の支持を得てきたし、それに人生を捧げる医者もたくさんいたワケでしょ?
効くと分かってるものを何で今さら「現代科学的に」あるいは「現代統計学的に」検証しないと信用できないんでしょ?
そうやって検証したら、鍼というものが今よりよく効くようになるんでしょうか??
・・・この辺は、言えば言うほど誤解を招く可能性があるんで、ま、いーや、明日も効く鍼を打ちます!!(笑)
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2010.04.28
最近、というかずいぶん前から、初診の患者さんで、
「病院で”ストレスでしょう”って言われて、湿布と痛み止めしかくれなかったんです・・。」
という話を聞くことがあります。
患者さんはこれを言われるときついんですよね。
・・・だってそんなん、どうしようもないからです。
で、その痛みが取れなかったら、
「心因性のものだから・・・。」
とか、
「”うつ病”が心配だから・・・。」
と、心療内科に回されて、今度は向精神薬なんかがドシドシと処方されます。
そして、それでも症状が取れないと、さらにドシドシと薬が増えて、気がつくと精神安定剤と痛み止めを10種類以上も飲んでいた、
でも症状は以前よりも悪化している、なんていう患者さんを、たまに見かけます。
いくら、会社の人間関係が辛い、家庭の問題が辛い、友人、恋人関係が辛い、会社が傾いた、毎日借金取りが来るetcetc..
な~んて言っても、なかなか自分の力でそれをどうにかすることなんて出来ませんわな。
しかし、どんなに、はたから見てきついであろう、大変だろう、と思われる環境の中にあっても、なんの症状もない人もいます。
・・・ということは、確かに環境に一因はあるかもしれないが、それが全てではなく、そのきつい環境の中にいる、
「その患者さん自身の側」
に、もともと何か問題があるのではないか、という事が考えられます。
東洋医学では、そこを是正しようとします。
そこを正すことによって、外的な精神的ストレスと、その人自身が上手に付き合えるようになればよい、と考える訳です。
外的な強いストレスにさらされても、その影響がカラダにさほどでなければ良いワケです。
カラダが変わればココロが変わる、で、心身が変われば周り(世界の見え方感じ方)が変わり、結果的に環境が変わり、健康に生きられるようになる、という「ポジティブな変化」を狙う訳です。
・・・そこでよくポイントになるのが、五臓の中の「肝(かん)」という臓です。
(何度も何度も言うけど、西洋医学の肝臓=liverのことじゃないですよ!)
「肝」については、このブログでもたびたび登場している割に、「肝」自体に関する説明が今までなかったので、ここらで説明しようと思います。
でも前置きが長くなっちゃったので、次回はこの続きから・・。(笑)
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2010.04.20
まずはこの記事をご覧ください。
・・最近、多いですね。生活保護の制度を利用(悪用)した犯罪。こういうニュースの度に思いますが、コレには幾つもの問題が重層的に絡んでいますねえ。
上記のニュースを例にとって考えれば、まずは不景気。要はこれがあるから、失業者が増え、生活保護世帯が激増する訳ですね。
普段患者さんの話を聞いていて思いますが、不景気に負けない「気合い」を持って、社会生活を送る、ということは、多くの人たちにとっては、大変しんどいことのようです。
僕もしんどいのでよく分かります(笑)
次に高齢化。高齢者でも、身寄りのある人はいいけども、ない人は当然体が言うこときかないから仕事できない、年金暮らしはきついし、医療費もかかるから医療費が無料になる生活保護を申請・・・。
核家族化が進み、全国的に「寂しい」お年寄りが増えています。何とか出来ないものか・・。
大きなものとしては上記の理由から、今後も生活保護世帯は増加の一途でしょうネ・・。中には、財産があるのを「隠して」でも生活保護を受けようとする人もいるようです。
なんていう時代なんだろう・・・。
僕も仕事で、新宿や渋谷の福祉事務所に伺うことがこれまでに何度かありましたが、そこで見た混雑の凄さから見て、制度そのものを考え直さない限り、この流れは止まらんでしょう。
そして、うつ病をはじめとした、精神疾患患者の激増。これについては、様々な原因が考えられていますが、僕個人としては、意外と社会環境がどうとか言うよりも、その個人の内面にすでにして問題がある場合が多いように思えてなりませんが・・。
冒頭の記事の犯人は、この2つを利用してお金を儲けようとした、という訳です。
こんなことが、いつまでもいつまでも、繰り返し繰り返し続くようだと、日本の未来って、どうなんでしょ??
不景気で心を病んだ日本人にも、寂しい高齢者にも、それらを利用して悪だくみする輩にも、心身一如の「東洋医学」が必要に思えてなりません。
(何故か今日のブログ、太字になってしまった・・・。PC難しい・・。)
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清明院に皆様のお力を!<m(__)m>
2010.03.26
これまでのお話
鍼灸には保険が効かない!?(その1)
鍼灸には保険が効かない!?(その2)
鍼灸には保険がきかない!?(その3)
鍼灸には保険が効かない!?(その4)
ここまでのお話では、「日本」における鍼灸の保険制度の現状を軸にしてお話を進めてきました。
ここらで、「海外」の現状を調べてみましょう。
いかに「日本」という国の医療制度がおかしいか、お気づきになる部分も多いかと思います。
まずはお隣、このブログでも何回か紹介していますが、「韓国」の現状です。
韓国では50年以上も前から、鍼灸、漢方薬を専門に扱う「韓医師」の資格が制定され、保険も当たり前に使えます。
【参考】
全日本鍼灸学会雑誌掲載論文「韓国韓医学界の現状と~~」(2002.11.1)
次に、東洋医学発祥の地である「中国」です。
中国でも50年以上前から伝統医学の普及に力を入れ始め、現在韓国と同じように、多くの「中医師」の資格を持つ東洋医学の専門家を育成し、
国民の健康に寄与しています。
ただ、国民皆保険制度そのものについては、日本と比較して遅れている面はあるようですが、近年になって改革が進んでいるようです。
【参考】
次に「アメリカ」です。
アメリカでは、19世紀末にヨーロッパや中国系移民から鍼灸が伝わったものの、つい40年前まではほとんどメジャーでなかったようですが、ニクソン大統領の時に、
「針刺麻酔での手術成功」
のニュースが流れると、一気に国民の関心が高まりました。
(この話は有名ですね。しかし、鍼麻酔についてはちょっと鍼の本質とは離れている、と個人的には思っていますがね。)
現在では、制度の面では確立されていない部分はあるものの、国民の重要な医療の一つとして、確固たる位置を占めています。
(アメリカにおいては、西洋医学以外の、東洋医学を筆頭としたいわゆる”代替医療”が非常に盛んであり、医療を受ける患者の全体の60~70%が受けているという報告もあるようです。)
次にヨーロッパ諸国ですが、国によって違いはありますが、歴史的に彼らは良くも悪くも(苦笑)、
かなり昔からアジア人に「興味」を抱き続け、16~17世紀にはすでに鍼灸は伝わっています。
それから20世紀にかけて、国民に大いに受け入れられたようです。現在では、国民の医療の一つとしてしっかりと定着しているようです。
もちろん保険制度にも組み込まれた形で、です。
次にオーストラリアですが、こちらも近年ですが、かなり認知度は上がってきていて、一般化がかなり進んでいるようです。
治療費も公的ではないようですが、民間の保険でかなりカバーされるようです。
・・・調べていくと、止まらなくなりますのでこの辺にしておきますが、
「先進国の中で、日本ほど西洋医学を絶対視し、その他の医学を認めない国もないんだな~・・・。」
ということが次から次に分かってきて、こっちはため息が止まりません。(苦笑)
・・・コレ、なんで??お金?利権?・・・まったく意味分かりません。患者さんはドコいった?
今現在、先進国の医療界では、一人の患者に対して、最も有効な治療法を、東西とか方法論とかを問わずに、
あらゆる側面から考えてあげられる医療を実現させよう、という動きが活発化しています。
そのようになってくれば当然、医療者間の利害の対立(韓国なんかでは実際に問題になっている)を招くこともあるでしょうが、そんなんも結局、患者さんに何か関係あんの?
一人の患者さんのために、色んな専門家が知恵出し合って、その中で好きな医療を患者さんが選び、
その医療費を第3者(とりわけ国家)が税金から一部持ってくれるなんて、むしろ理想的だと思います。
(患者さんにとっても、こちらにとっても、です。)
いずれにせよ最終選択権は患者さんにある以上、「どの」医療を選択するか、という場面になった時に、制度で差をつけるのは、患者さんにとっては不利益な話です。
選択の幅が最初から狭まる、という意味でね。
・・・そう思いませんか?
(次回に続く)
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