東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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小さな方剤、麻辣湯

2025.09.04

 

 

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こんばんは、三鬼です。

 

 

 

 

皆様いかがお過ごしでしょうか。

 

 

 

ここしばらく、麻辣湯(マーラータン)のお店があちこちに開き、夕方には湯気の向こうに人の列が伸びている光景をよく目にします

 

 

麻辣湯(マーラータン)は、花椒〈ホアジャオ〉の痺れと唐辛子の辛みをきかせた、具と辛さを選べる春雨スープです。

 

 

 

湿りを含んだ駅の空気、容赦なく冷えるオフィス、途切れない通知—

 

—いつも通りの一日の余韻に、この行列はどこか必然のようにも見えてまいります。

 

 

 

なぜ今、こんなにも麻辣湯なのか。

 

 

東洋医学の地図を手に取ると、その理由が静かに立ち上がってくるのではないでしょうか。

 

 

 

都市のからだは、湿度と空調、長い座位にさらされるほど、内側に寒湿という重さを宿しやすくなります。

 

 

 

そこへ情報の奔流や数値の目に見張られるような日常が重なると、気の切り替えを担う肝の疏泄がつかえ、胸脇の張りやため息といった気滞の相が前景に出やすくなる—

 

そんな日々が続いているのではないでしょうか。

 

 

 

そうであればこそ、夕暮れに私たちの手が、痺れる「麻」と鋭い「辣」、そして湯気の「温」へ自然に伸びるのだと思います。

 

 

 

辛は“散”として鬱をほどき、麻(花椒)は“通”として流れを押し進め、温は“行”として脾胃に火を入れ、立ちのぼる芳香は“化湿”として内に沈んだ重さを軽くしてくれます。

 

 

 

一杯の器にこの四つの矢印がそろうと、閉じがちな表面がそっと開き、内側の湿が微かに揮発し、滞りが解錠される—

 

—麻辣湯は、まさに都市の解錠のための小さな方剤なのではないでしょうか。

 

 

 

魅力は味の働きだけにとどまりません。

 

 

 

器の前に座ってから箸を置くまでの十五分ほどのあいだに、発汗と痺れ、温度差と香りが一斉に立ち上がり、“効いた感じ”がすっと胸に灯ります。

 

 

 

しかも辛さや痺れ、具材を自分で選ぶという小さな所作が、遠のいていた主導権をやさしく手元に戻し、滞った疏泄にささやかな拍を入れてくれるのではないでしょうか。

 

 

 

短い時間で決まり、短い時間で調う—

 

—この時間適合性こそ、分刻みの都市に寄り添う麻辣湯の実力だと感じます。

 

 

 

香りの説得力も見過ごせません。

 

 

 

陳皮や香菜、黒酢の酸香が鼻腔を抜けると、肺の宣発がふっとひらき、胸の上にわずかな空間が戻ってまいります。

 

 

 

視覚に偏りがちな一日から、嗅覚へと感覚を引き戻すこの瞬間に、からだは“今ここ”へ帰還するのではないでしょうか。

 

 

 

高湿の外気と低温の空調がつくる寒暖差の中で固く閉じた表面を、温辛と芳香がそっと開く。

 

 

 

ガラス越しに立ちのぼる湯気が、都市の夕景に不思議と似合うのは、そのためかもしれません。

 

 

 

また、都市は往々にして陰陽の交替が弱い場所でもあります。

 

 

 

夜の光が強く、仕事と余暇の境界が曖昧になるほど、心は冴えすぎ、内側は乾きがちになります。

 

 

 

ゆえに、強すぎない陽でひらき、のちに収める導線が必要になるのではないでしょうか。

 

 

 

麻辣湯で軽く開き温めたら、仕上げに黒酢や陳皮の酸香で小さく収め、夜は白きくらげなどの潤いでそっと着地する—

 

—「発散→調え」という二段の流れが、乱れがちな都市の陰陽を日々の食卓で微調律してくれるように思います。

 

 

 

行列の風景は、単なるブーム以上のものを映しているのかもしれません。

 

 

 

流行は嗜好の気まぐれに見えながら、体調の言語化ではないでしょうか。

 

 

 

湯気の向こうでからだが差し出す合図に耳を澄ませ、強い刺激でスイッチを入れたら、酸と香でそっと収める。

 

 

 

そうして十五分ののち、少しだけ調った景色の中を歩いて帰る—

 

その小さな儀式が、都市を生きる私たちの明日を静かに支えてくれるように思われます

 

 

 

【参考文献】

神戸中医学研究会(編)『中医臨床のための方剤学〔新装版〕』東洋学術出版社,2012年。

神戸中医学研究会(編)『中医学入門〔新装版〕』東洋学術出版社,2012年

滝沢健司『図解・表解 方剤学』東洋学術出版社,2018年。

 日本東洋医学会「漢方の診察 1-4 基本概念:気および気の異常」日本東洋医学会ウェブサイト(最終閲覧:2025年9月4日).https://www.jsom.or.jp/universally/examination/ki.html 

厚生労働省『統合医療情報発信サイト(eJIM)』(最終閲覧:2025年9月4日).https://www.ejim.mhlw.go.jp/ 

富山大学 和漢医薬学総合研究所『伝統医薬データベース(藿香)』(最終閲覧:2025年9月4日).https://dentomed.toyama-wakan.net/ja/%E7%94%9F%E8%96%AC%E5%AD%A6%E8%A1%93%E6%83%85%E5%A0%B1/%E8%97%BF%E9%A6%99/SCC000155?w=1  

 
 

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