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こんばんは、三鬼です。
皆様いかがお過ごしでしょうか。
最近、帯状疱疹を耳にする機会が増えました。
今夜は、からだを“ビル”にたとえて、モニターをのぞくように、そのわけを静かに追いかけます。
深夜のビルを想像してください。
管制室のモニターに、あるフロアの廊下が赤く点滅しています。
管理担当は原因を探ろうと配線図と空調ログを重ね、外壁・照明・非常電源の状態まで確認するでしょう。
からだの内側でも、よく似た出来事が起こります。
帯状疱疹という現象は、片側の皮膚に“帯”のような痛みと発疹が連なることですが、その奥では三つのレイヤー――配線図(神経)/空気と水の流れ(経絡)/ビル全体の管制(五臓)――が同時に映り合い、“どこで何が起きているのか”を物語っています。
まず、配線図です。
背骨の両脇には、皮膚の感覚や汗腺・立毛などを担当する神経の支配帯(皮節)が整然と並び、一本の神経は背骨から片側へ扇状に広がっています。
胸では肋骨のアーチに沿って半環状の帯を描き、顔では三叉神経の枝に沿ってエリアが分かれます。
左右の担当は原則として独立しているため、表示は“片側の帯”になりやすい。
一本の細い線に見えないのは、末梢で神経が細かく枝分かれし、皮膚の受容系が感作されることで幅が生まれるからです。
形(かたち)はこの配線図が決めています。
次に、空気と水の流れ――東洋医学で言う経絡の話に移ります。
からだの内には、背面を縦走する太陽経、体側を貫く少陽経、そして腰腹を水平にめぐる奇経の帯脈という、いくつもの回廊が走っています。
これらは単なる線路ではなく、空気の通り道です。
ここに流れる“空気の質”が、同じ「帯」でも手ざわりを変えます。
たとえば、風が強ければ痛みは走り(ピリピリ、チクチクと速く移る)、湿がこもればまとわり(赤みや水疱のねばり)を残し、熱が勝てば灼ける赤みとほてりが前に出る。
ビルでいえば、ドラフト(風)・リーク(湿)・オーバーヒート(熱)のログが、同じ廊下の体感をまるごと変えてしまうのと同じです。
質(てざわり)は、この回廊に流れる空気と水が与えています。
そして、ビル全体の管制にあたるのが五臓です。
肺は外壁とエアカーテンのように境界を締め、肝は風量とスケジューラのように全体の巡りを調律し、脾は排水・搬送として湿のさばきを担い、心は照明と警報の系として火の勢いと“神”の明るさを司り、腎は非常電源と貯蔵槽として底力を保持します。
どれかに偏りが生じると、回廊の一部にドラフトやリーク、ヒートが偏在し、帯が“締まる”感覚として知覚されやすくなります。
締まり・ゆるみは、この管制の巧拙が決めるのです。
帯状疱疹の“帯”がとりわけくっきり見える場所があります。
少陽経は外界と内側のはざまを走る外周ゾーン、帯脈は全身テンションを水平に束ねるリングダクト。境界×水平が重なる体側や肋間では、環境の変化や情緒の揺れ、姿勢の偏りがダイレクトに空気質を揺らし、回廊の表示が輪郭を増します。
ビルで言えば、外周に近いリングダクトのひと区画に風量と温度が集中して、監視画面に赤いテープが“ぐるり”と現れる場面です。
時間の流れも、画面の読みを変えます。
立ち上がりの緊急モードでは風と熱が先行して赤が一気に伸び、やがて減勢モードに入ると“赤”は弱まるものの湿のリークがねばりを残す。赤みや発疹がおさまっても、体の中に「流れの滞り」や「うるおい・元気の不足」が残っていると、警報灯は消えても感知器は過敏なまま。わずかな刺激でも痛みが響く――いわば“残響”の状態です。
同じ場所に出る帯でも、運転モードが変われば、読み取る意味も変わるというわけです。
こうして重ねてみると、帯状疱疹は単なる“皮膚の病名”ではなく、配線図がルートを描き、回廊の空気が手ざわりを与え、ビルの管制が締まり・ゆるみを決めるという三層の地図が、一枚の監視画面に同時に映ったものだとわかります。
赤いテープそのものを凝視するよりも、「なぜその回廊に赤が灯ったのか」を読む――それが東洋医学の役目です。
からだというビルは一夜で建ったわけではなく、日々の運転と微細な調整の蓄積で現在の状態を形づくっています。
帯が帯として現れるとき、その背後にはいつも三つのレイヤーの語り合いがあります。
形は神経の地図がつくり、質は経絡の空気が決め、締まり・ゆるみは五臓が管理する。
帯状疱疹――それは、三つの地図が重なって見える現象なのではないでしょうか。
※気になる症状がある場合は、早めに医療機関でご相談ください。
【参考文献】
日本皮膚科学会 帯状疱疹診療ガイドライン策定委員会(浅田秀夫 ほか).帯状疱疹診療ガイドライン2025(第1版).東京:日本皮膚科学会;2025.(https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/Taijouhoushin2025.pdf ),最終閲覧日:2025年8月28日。
厚生労働省,国立感染症研究所.帯状疱疹ワクチン ファクトシート(第2版).2024.(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001328135.pdf),最終閲覧日:2025年8月28日。
MSDマニュアル家庭版編集部.帯状疱疹:原因・症状・診断・治療.MSDマニュアル家庭版;改訂 2023年12月.(https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/16-%E6%84%9F%E6%9F%93%E7%97%87/%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%9A%E3%82%B9%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9%E6%84%9F%E6%9F%93%E7%97%87/%E5%B8%AF%E7%8A%B6%E7%96%B1%E7%96%B9),最終閲覧日:2025年8月28日。
日本ペインクリニック学会.神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン 改訂第2版.(学会サイト掲載).(https://www.jspc.gr.jp/Contents/public/kaiin_guideline06.html),最終閲覧日:2025年8月28日。
日本理療科教員連盟・公益社団法人東洋療法学校協会(編).新版 経絡経穴概論 第2版.横須賀:医道の日本社;2023.
浅川 要(編著).古典から学ぶ経絡の流れ.東京:東洋学術出版社;2017.
天津中医薬大学・学校法人衛生学園(編).針灸学[経穴篇](改訂版).東京:東洋学術出版社;2021.
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