東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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第1回|目と肝

2025.09.25

 

 

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こんばんは、三鬼です。

 

 

 

 

皆様いかがお過ごしでしょうか。

 

 

 

 

通勤の車内、待合室、眠る前の五分。

 

 

指先で画面を送るたび、目の奥で小さな“インク”が少しずつ減っていく——そんな感覚を覚えたことはありませんか。

 

 

 

東洋医学では、この“インク”を「肝血(かんけつ)」と考えます。

 

 

肝は「血を蔵し、筋(すじ)を主り、目に開竅(かいきょう)する」臓。

 

 

つまり、肝は血をたくわえ、身体の細やかな動きと、見る働きを支える要です。

 

 

だからこそ、見続ける行為は肝の血を細かく使う——「スクロールは肝血のインクを使う」といえます。

 

 

 

どうして目は疲れるのか——“インク”が減る理由

 

画面に集中すると、私たちのまばたきは自然と少なく、浅くなります。

 

 

まばたきは、目の表面に“薄い水の膜”を均一に敷き直す作業。

 

 

東洋医学でいえば、これは津液(しんえき)という潤いの配り直しです。

 

 

まばたきが減れば、膜はムラになり、乾きや滲み、ピントの引っかかりが生じます。

 

 

同時に、文字や映像を読み解くために目の筋(ピント合わせの筋、視線を動かす筋)がずっと働き続けます。

 

 

肝は筋を主るため、その微細な働きはすべて肝血の “インク”を使って行われます。

 

 

細かい作業を長く続ければ、インクの減りが速くなるのは当然です。

 

 

さらに、強い輝度・高いコントラスト・小さな文字は、東洋医学の言葉でいえば陽を強く立てる環境です。

 

 

陽が立ち過ぎると、気が上へと昇りやすく、胸のつかえや落ち着かなさ、入眠の遅れにつながります。

 

 

夜の強い光で目を刺激し続けると、「眠りのために内側へ沈むはずの気(陰)」が回収されず、からだは“休む構え”に切り替わりにくくなります。

 

 

 

姿勢と呼吸が、目の疲れに効くわけ

 

もう一つの見落としがちな要因が姿勢と呼吸です。

 

 

うつむいて画面に近づくほど胸は狭まり、呼吸は浅く速くなります。

 

 

肺の気がのびのびと巡らなければ、肝の疏泄(そせつ)——気血をなめらかに行き渡らせる働き——も渋くなりがちです。

 

 

呼吸が浅い=吐く力が弱い状態では、上へ集まった気を下へ降ろす力が足りません。

 

 

首や後頭が張り、目の奥の重さが抜けないのは、まさに「上で滞る」サインです。

 

 

だからこそ、胸をひらき、長く吐くという単純な動作が、意外なほど目の重さを軽くします。

 

 

 

20-20-20や短い散歩が本当に効く理由

 

・20-20-20(20分見たら20秒、2m先)は、ピント合わせの筋を休ませ、まばたきで津液の膜を塗り直す時間をつくります。

 

視野を“横に”“遠くへ”広げること自体が、肝の疏泄をほどく小さな体操です。

 

 

・夕方の5〜10分の外歩きは、足裏で地面を感じ、上に集まった気を下へ降ろす儀式。

 

肝は筋を主るので、大きい筋(脚)をやさしく動かすと、目の細かな筋ばかりに偏っていた負担が全身に分散します。

 

 

・通知を“自分から見に行く(Pull型)”にするのは、視覚の主導権を取り戻す方法。

 

点滅やポップアップに“見させられる”環境を減らすことは、肝の疏泄を乱す小さな突風を静めることでもあります。

 

 

 

一日の流れで整える——“インク”を守る生活設計

 

朝は自然光の近くで長い文章を。

 

明るさが十分な時間帯は、肝血の消耗が少なく、思考も伸びやかです。

 

 

昼は作業の切れ目に、窓の外をぼんやり眺めて視野を横へ広げる。

 

白湯を一口、ゆっくり含んで飲むと、からだの内側の潤い(津液)も整います。

 

 

夕方は短い散歩で、視覚中心の一日を脚の感覚へ戻す。

 

 

夜は画面の色温度を温かく、輝度を下げ、“デジタル日没”を就寝90分前に。

 

寝床へは端末を持ち込まず、読むなら紙の本へ。

 

肝血というインクを夜のあいだに満たして、翌日の視界に余白を残しましょう。

 

 

 

きょうからできる小さな三つ

 

 

①いまゆっくりまばたき10回——津液の膜を塗り直す。

 

②画面の色温度を一段あたため、輝度を下げる——陽を静める。

 

③夕方に外を5分歩く——上に集まった気を足へ降ろす。

 

 

 

「よく見る」ことは才能ではなく、肝血というインクを上手に節約し、補い、循環させる技術です。

 

 

スクロールの速さ、画面の明るさ、まばたきの数、歩く時間——その一つひとつが、目と肝の共同作業。

 

 

インクを守れば、世界はもう少しやさしい輪郭で見えてきます。

 

 

 

【参考文献】

『黄帝内経 素問・霊枢』東洋学術出版社

『難経』東洋学術出版社

張仲景『傷寒論/金匱要略』東洋学術出版社

神戸中医学研究会 編『東洋医学概論』緑書房,2019年

神戸中医学研究会 編『中医診断学』緑書房,2020年

伊藤 剛・伊藤 裕『中医気血津液学』燎原,2014年

 
 
 
 

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