東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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袋の中の大地

2025.06.26

 

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こんばんは、三鬼です。

 

 

皆様、いかがお過ごしでしょうか。

 

 

 

昨日、ある往診先でのこと。

 

ジャガイモの種芋を、プランターや米袋に埋めるだけで、簡単に収穫できるのだと教わりました。

 

コンクリートに囲まれた都市の暮らしの中で、たった一枚の袋が、「大地」となり得ることに、はっとさせられました。

 

畑がなくても、わずかな空間に「土」をしつらえることで、命はそこに芽を出し、根を張り、やがて実を結ぶのです。

 

 

 

私はこの小さな営みに、東洋医学における「脾」のあり方を重ねて見ました。

 

 

 

人のからだもまた、養いを得て、内側から満たされ、はじめて健やかさを得る。

 

その原理は、土のない場所で根を張ろうとする、小さな芋の命にも宿っているのです。

 

 

 

 

袋の中の大地 ― 「脾土」としての暮らしの場

 

 

 

東洋医学では、「脾」は五行の「土」に属します。

土とは、すべてを受け止め、育み、調和させる存在。

ジャガイモが地中で育つように、脾は私たちの「内なる根」を支える力です。

 

けれど現代では、多くの人が「土」を失っています。

 

どこで育ったか分からない食べ物、休む間もなく流れ込む情報

 

――それは、根を張る場所を見失った植物のようでもあります。

 

袋栽培は、そんな失われた「土」を、手のひらサイズで取り戻す試みかもしれません。

一枚の米袋が、「脾土」を思い出す小さな祈りとなるのです。

 

 

 

芽が出る場所を、しつらえる

 

ジャガイモは、地中という「見えない場所」で育ちます。

 

芽を出すには、深さと静けさが必要です。

 

 

 

東洋医学でも、「陰」は命の根を育むエネルギーとされます。

 

陰を養うには、ただ外へ向かうばかりでなく、内へと沈み込む余白が欠かせません。

 

 

 

袋栽培は、そんな「沈みこむ場所」を私たち自身が意識的につくること。

 

狭くても、小さくてもかまわない。

その環境が、やがて芽を出す力を育てていくのです。

 

芽が出る場所をしつらえる

 

――それは、からだにも心にも通じる深い「養生」です。

 

 

 

脾は空間の質を整える

 

 

 

「脾」は単に食べ物を消化吸収する臓器ではなく、空間や整頓、居場所といった感覚にも深く関わります。

 

 

 

ジャガイモの袋栽培を始めて、

「ここに置いた方が陽がよく当たるかも」

「風通しを良くしたい」

そんなふうに、自然と周囲を整えたくなったならば。

 

これは、外の空間を整えることが、「内なる脾の気」を整える作用をもっている証かもしれません。

 

土と触れ、芽を見守り、空間に手をかける。

 

その一つひとつが、脾の働きを活性化し、体内の「運化」

 

――気や水の流れを、滑らかにしてゆくのです。

 

つまり、ジャガイモを育てることは、自分自身の「内なる土地」を耕すことでもあるのです。

 

 

 

収穫という転換 ― 陰から陽へ

 

 

 

袋を開き、土の中から小さな芋が現れる瞬間

 

――そこには、陰から陽へと命が転じていく変化があります。

 

東洋医学における「気」とは、天地のはたらきの結晶。

 

芽が出ること、根が張ること、実がなること

 

――すべて「気」のめぐりあってこそ成り立つ現象です。

 

収穫とは、「気」の流れが一つの完成を見た証。

 

食べることは、命を「いただく」だけでなく、その循環を自らの内に通すことでもあります。

 

袋の中のジャガイモは、命の環の“終わり”であり、“はじまり”でもあるのです。

 

 

 

根を張る場を、自ら整える

 

 

 

「どこにも根を張れない」

 

そんなふうに感じるとき、それは、外のせいではなく、「根を張る場を、自分でつくっていないだけ」なのかもしれません。

 

ジャガイモは、土の広さを問いません。

袋でも、バケツでも、根を張ろうとする。

 

その姿は、どんな場所でも自分の「土」を見出そうとする、現代を生きる私たちへの静かな示唆に思えます。

 

土なきところに根を張る。

 

それは、いまという時代における、「新しい養生」の象徴です。

 

 

 

たった一つの種芋と、一枚の袋から、命の本質が、そっと顔をのぞかせるのです。

 

 

 

 

 

【参考文献】

浅川要訳『現代語訳 黄帝内経 素問』 東洋学術出版社

『東洋医学概論』 医道の日本社編

 

 

 

 

 

 

 

 

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