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このシリーズ、ちょっと空きましたが、せっかくなんで、『金匱要略』、現代中医学の内容くらいはカバーしましょうかね。(笑)
◆小建中湯と衄
『金匱要略』「血痺虚勞病脉證并治第六」にこうあります。
「虚勞裏急.悸.衄.腹中痛.夢失精.四肢痠疼.手足煩熱.咽乾口燥.小建中湯主之.」
簡単に訳しますと、
「正気の弱りが中心の病で、動悸、鼻血、腹痛、夢精、四肢のだるさや痛み、手足のほてり、口やのどの渇きがあるものは、小建中湯がいいよ。」
となります。
ここで、「小建中湯」という薬は、「麦飯」ってどうでしょう?? 7でチラッと紹介しましたが、有名な「桂枝湯」の中の芍薬という生薬の量を倍にし(桂枝芍薬湯)、
そこにさらに膠飴(こうい:水あめのこと)を加えたものです。
僕も飲んだことがありますが、非常にスッキリと甘くておいしい漢方薬です。(笑)
ここで説かれているのはそもそも虚労の病ですから、体力を回復させる必要があります。
しかし、ここで面白いのは、正気の弱りが本質だとしても、腹痛のような冷えっぽい症状と、鼻血や火照りなどの熱っぽい症状が混在していて、
それを同時に調整するのに小建中湯を使うところです。
だいぶ昔に書きましたが、脾胃は上下や陰陽のバランサーとしての機能があります。
脾・胃 参照
「建中」というくらいで中焦の気を建てることで、バランサー機能を発揮する。
鍼でも非常に色々なやり方で治すことが出来ます。
生理と病理が分かると、大変楽しい世界です。
続く
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2017.10.21
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こないだ、何となく書き始めたシリーズ。
せっかくなんで、もう少し紹介しましょう。
患者 30代 男性
主訴 慢性扁桃炎による痰、咳、咽喉の異物感
随伴症状 咽喉の渇き、めまい
現病歴 清明院初診の3年前より発症。病院、漢方、鍼灸と、色々試したが良くならない。
(何か治療をすると、症状少し落ち着くが、完全には改善しない状況。ピーク時を比較すれば症状の強さは半分以下の状況)
既往歴 突発性難聴 慢性鼻炎
弁証 肺胃不和 湿痰
配穴 明らかにしない
経過 初診後、咳、痰が改善。
遠方であり、多忙でもあることから、漢方の先生の力を借りる。
(処方名は明らかにしない)
現在、経過良好。ほとんど崩れなくなっている。
他の治療院の鍼灸や漢方でダメでも、清明院のやり方考え方でならうまくいく症例、というのがある。
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2016.04.28
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「患者さんの声」をいただきましたので紹介します。
60代 女性
【症状】関節リウマチによる手足の痛み、シェーグレン症候群による乾燥症状
【既往歴】子宮内膜症、胆石、自律神経失調症
十年ほど前に患ったリウマチの痛みが、昨年末からまた出てきてしまいました。
治癒したと思っていたのでショックでした。
検査結果は、やはりリウマチの値が出ており、シェーグレン症候群も合併していました。
幸い、検査値はどちらも軽度でしたが、手足の痛みをベースに日替わりで身体の様々な箇所が痛み、辛い状態でした。
処方してもらった抗炎症鎮痛剤があまり体に合わず、免疫抑制剤を服用することにも不安がありました。
今まで働き続けてきてくれた体の何処にも弊害を及ぼすことなく、対症療法ではなく、体全体が元気になりたいとの思いが強く、
治療方法を色々探していた時に、友人が鍼治療を勧めてくれました。
鍼といえば、肩こりや腰痛治療のイメージだったのですが、リウマチも治療して下さるとの事でお世話になることにしました。
治療開始当初は痛みが増したように感じたり(好転反応)、日によって痛む場所が変わるのでモグラ叩き状態でした。
正直な所、鍼一本刺すだけで本当に効果があるのかなあと思ったこともありましたが、痛みはあっても体が軽くなってきたり、
食欲も増し、口内の渇きが気にならなくなってきたりと、
治療を重ねる毎に心身共に楽になっていきました。
治療して頂いて二カ月経った現在、日替わりの痛みはなくなり、手足の痛みも軽減していて、とても有難く、嬉しく思っています。
竹下先生には食べ物をはじめ、色々な養生を教えて頂き、質問にも丁寧に答えて下さって感謝しています。
痛みが完全に無くなることを願いつつ、治療をして頂きながら養生に心がけ、「大丈夫!」と明るい気持ちで過ごさせてもらいたいと思っています。
これからも宜しくお願い致します。
【清明院からのコメント】
本症例は、初診がH28年の2月、とある鍼灸院さんからの紹介でした。
関節リウマチやシェーグレン症候群というのも、清明院では意外と多く診る疾患です。
西洋医学的には痛み止めやステロイドを使って、効果薄だと、免疫抑制剤を使ったりしてコントロールするしかなく、
いずれにしても対症療法的であり、たとえうまく症状がコントロールできていたとしても、患者さんとしては非常に先行きが不安な疾患でもあります。
こういうものに、東洋医学が力を発揮します。
東洋医学的な考え方に基づく、「根本的な体質改善」が見込める可能性がある、ということです。
西洋医学的な数値がどうであれ、リウマチの関節炎や、シェーグレンの乾燥症状が起こる状況、外的環境にさらされても、
それが起こらない体質に改善される場合がある、ということです。
本症例の患者さんは、初診の10年前にもリウマチの痛みを発症したことがあり、今回、10年ぶりに再発してしまったこと、
病院から出された薬があまり効かなかったことに、非常に不安感を覚えておりました。
また、10年前に発症した時は漢方薬で治したそうで、もともと東洋医学に理解のある患者さんでした。
このように、どんな病気であれ、東洋医学の考え方に肯定的な患者さんは、治療がうまくいきやすい傾向があると思います。
初診時、「痹証(肝鬱痹≒著痺:脾湿肝鬱)」と証を立て、治療を開始すると、初診治療後から非常に手応えのある変化を見せました。
多少、治療後に瞑眩が出たり、症状が右往左往することはありましたが、5診目には症状が緩解し始め、そのままブレずに、
冷静に有効打を与え続け、2か月後、20診目には関節炎の消退をみました。
今後も、外部環境がいかに変化しても、リウマチやシェーグレンの症状が出ないような体質になるよう、治療を進めさせていただこうと思います。
また、本症例で興味深いのは、リウマチによる関節炎を主な標的として治療を進めていたのですが、シェーグレン症候群による渇き症状も、
同時に改善していることは、注目に値すると思います。
東洋医学は、全身のバランスを整えることによって、その患者さんの「治る力」を最大化しようとする治療です。
化学物質による強引な対症療法ではありません。
ですので、こういう、嬉しい副産物が付いてくることはよくあります。
アレルギーや自己免疫疾患など、西洋医学が比較的苦手とするような疾患に、伝統鍼灸、試してみては如何でしょうか。
試す価値「大」だと思います。
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2015.02.28
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これまでのお話
では続きいきます!
前回までは、「小半夏加茯苓湯」の元になった「小半夏湯」について、簡単に紹介しました。
本日はいよいよ本題である「小半夏加茯苓湯」についてです。
これも、「小半夏湯」と同じく、『金匱要略』の中に出てきます。
一つ目は「痰飲欬嗽病脉証治」という章の中であり、小半夏湯の”支飲”という病の、言わば親戚のような関係である、”水気”という病証を治療するパターンの一つです。
急に嘔吐して、しかもみぞおちが詰まった感じがして、横隔膜の部分(東洋医学の言う”膈”)に余分な水分が停滞し、めまいと動悸を伴うものに使いなさい、と出てきます。
因みに東洋医学の言う”膈”と、西洋医学の言う”横隔膜”の違いはこちら↓↓
〇
そしてもう一箇所、『金匱要略』の同じ部分の後半に出てきます。
ここでは、まず喉が渇き、それによってたくさん飲み、みぞおちに水が痞え、後で吐くものに使いなさい、という指示で出てきます。
こういう人のことを金匱要略では
「飲家(いんか)・・・常に余分な水分を持っている病人」
と呼んでおります。
このように、みぞおちや横隔膜周辺あたりに水が痞えたものに、「小半夏加茯苓湯」は使える、という考え方のようです。
次回、さらに深く、半夏、生姜、茯苓という3つの構成生薬について、考えてみたいと思います。
小半夏加茯苓湯と船酔い 4 に続く
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2015.02.27
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前回のお話
小半夏加茯苓湯と船酔い 参照
では、続きいきます!
前回、「小半夏加茯苓湯」は、漢の時代の、東洋医学を代表する古典の一つである『金匱要略』に記載されている方剤で、現代では妊娠悪阻(つわり)に応用されているお薬である、というお話をしました。
では今日は、この方剤の元になった「小半夏湯」という薬について、ちょっと専門的に考えてみたいと思います。
「小半夏湯」が『金匱要略』に登場するのは「痰飲欬嗽病脉証治」という章の”支飲”という病証の項に出てくるのが一点目で、ここでは、
嘔吐しても、まだノドの渇き感が出ず、嘔吐が止まらないものを治療する薬として紹介されております。
(嘔吐してもまだ余分な水分が出し切れておらず、みぞおちに支(つか)えている、という判断です。)
次は、「黄疸病脉証治」という章の”黄疸の治法”が紹介されているところに出て来るのが二点目なんですが、ここでは、黄疸そのものの治療というよりも、
黄疸の治療をミスして、結果的に脾胃が冷えてしまって、しゃっくりが止まらなくなった時に使うように、という形で紹介されております。
最後は、「嘔吐穢下痢病脉証治」という章の”嘔吐の治療法”が紹介されているところに出てきます。
ここでは、単に中焦(脾胃)に水分が停滞している場合の嘔吐の治療に用いるように、との指示で出てきます。
このように、「小半夏湯」は総じて
嘔吐や、脾の臓、胃の腑の異常、中焦の水分の停滞
に、用いられております。
これは、この方剤の中の構成生薬である”半夏”に、水分の停滞を取り除く効果があること、また”生姜”には、胃を温め、結果的に気を下げて吐き気を止める効果があることから、
上記のような症状に使われるのですね。
ではこれ(小半夏湯)に”茯苓”を加えた「小半夏加茯苓湯」はというと・・・?
小半夏加茯苓湯と船酔い 3 に続く。
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2014.08.17
清明院では現在、スタッフを急募しております!!
ぜひ我々とともに、切磋琢磨しましょう!!詳細はこちら。
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最近も相変わらず、映画ばっか観ています。(笑)
2014.01.23
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前回のお話
腎着(じんちゃく)? 参照
せっかく触れたんで、もうちょっと掘り下げときます。
この”腎着証”、東洋学術出版社『中医弁証学』によると、
1、疲れて汗をかいている時に外寒を感受した場合
2、衣服が雨に濡れたり、湿地に居たりして水湿邪が侵襲した場合
3、腎経が虚冷で、なおかつ風湿の邪気を感受した場合
という3パターンで発症するそうです。
(まあ要は、これらの原因で、腰が冷えて体が重くなるのです。)
「痹証」と非常に似ていますが、痹証の場合は関節部を中心とした痛みであり、「腎着証」の場合は腰部や背骨の際を中心とした痛みなんだそうです。
痹証についてはスタッフブログ 痹証(その14) 参照
もともとこの病名は『金匱要略』という、漢方の大古典に出てきます。
『金匱要略』についてはこちら参照(wiki)↓↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E5%8C%B1%E8%A6%81%E7%95%A5
『金匱要略』には、
「・・・身体重く、腰中冷え、水中に座っているが如く、浮腫みがあるが、咽喉の渇きはない。小便がよく出て、食欲は普通のものを言う。・・・これには、甘姜苓朮湯がよく効くよん!」
・・・と出てきます。
昭和の漢方医学の大家である大塚敬節先生は、この苓姜朮甘湯を使って、坐骨神経痛の頑固なやつを治したとか、田畑隆一郎先生はきつい腰痛と冷えを治したとか、
近現代の色々な先生も臨床で応用されているようです。
さて、じゃあ我々鍼灸家はこの”腎着証”を前に、どうしたらいいのか。
続く
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2013.04.11
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難病の患者さんを多く診ている。
難病の患者さんがカゼをひくと厄介だ。
皮膚表面が冷え、熱が発散できなくなって、熱がこもる。
すると、籠った場所にもよるが、色々な症状が出てくる。
例えば、喉の渇き。。。
そうすると、どうしてもたくさん飲んでしまうことがある。
そうすると今度は、飲み過ぎた水によって、胃腸や、その他の五臓に負担がかかる。
そうすると、結果的に「気血」が作りだしにくくなる。
全身のパワーダウンにつながる。
難病、進む。
・・・この流れ、非常にヤバい。
今日、それをどうにか食い止めた。
表面的な冷えをとりつつ、籠った熱をとりつつ、胃腸の働きをフォローする意図で、鍼を一本。
所見、好転するものの、まだ完ぺきに安心できないと思ったので、「陰陽水※」を飲ませ、脈の変化をうかがう。
バッチシ。
東洋医学最高。
※陰陽水とは、冷水を熱湯で割ったぬるま湯。患者さんに合わせて微調整が必要。(出典は『多識編』か。)
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2010.08.31
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これまでのお話・・・
「肺」って何ですか?(その1)
「肺」って何ですか?(その2)
「肺」って何ですか?(その3)
「肺」って何ですか?(その4)
・・・ちょっと空いちゃいましたが、続いていきます!!
☆「九節」について
「氣管」というのは、要は”天空の清らかな気”と、”体内の濁気”の通り道であり、なおかつ「肺の臓」と「心の臓」をつなぐ連絡路でもあります。
ここに、「九」という数字が乗せられている意味は一体何なんでしょうか。
・・・「九」という数字は、ひとケタの数字の中で最大ですよね?
そして、「奇数」、つまり、数字を陰陽に分けた場合の”陽”に属する数字の中でも最大、ということになります。
このことなどから、「九」は”陽の極みを示す”なんて言われたりします。
古代中国で、人々に偏愛された吉祥数字のうち、「五」の次が「九」だ、と言われるほど、「九」を特別視する風潮があります。
これには、文化的、神話的、宗教的に、ヒッジョーに様々な理由がありますが、どれも要は「九」が”陽の極み”だ、という解釈の延長です。
この世の森羅万象を「陰陽」に二分した時、
相対的に”動的”なものは「陽」
相対的に”静的”なものは「陰」
となりますので、「九」は
”最も極端に動的なものの象徴”
という扱いを受けることとなったようです。
ではそれが何で氣管に、ということですが、これは、
五臓六腑の中で、最も高い位置に存在する「肺の臓」よりもさらに高い位置に存在し、
「潤い」を好み「渇き」を嫌い、
清濁の氣が絶え間なく「動く」
という、”機能的”、”位置的な”特徴を、その形態に「九」という”陽の極み”の数字を当てることで表現した、と考えられます。
P.S
実は前回の「八葉」の時も、もっとマニアックな解説を一度書いたんですが、あとで読み返した時に、
「こりゃとても一般人に向けた内容じゃないなあ・・・。(汗)」
と思ったため、削除して書き直した経緯があり、今回の「九」の解説もこんな感じとなりました。(笑)
専門家の方々、一部のマニアの方々、申し訳ない!
今回の「九」も、「九星」「九宮」「九州」とか、仏教の「九天」の論とか、書いてもよかったんだけど、誰も着いて来れなくなったらいやなんで、こんな感じにしました。
あしからず。
数字概念に対する僕なりのマニアな世界は、いつかこのブログにまとめて書こうとは思っています。
◆参考図書
『中国神秘数字』青土社
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2010.08.01
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これまでのお話・・・
「胃」って何ですか?
「胃」って何ですか?(その2)
「胃」って何ですか?(その3)
「胃」って何ですか?(その4)
「胃」って何ですか?(その5)
「胃」って何ですか?(その6)
「胃」って何ですか?(その7)
☆「胃」と「熱」と「狂」(続編)
今日のお話は、ちょっと難しいかもしれないけど、大変興味深い部分でもありますので、続き、いきます!
以前、「脾」って何ですか?(その5)にて、”脾は湿気が嫌い”というお話をしました。
その時、「脾はもともと湿っている臓だから、過剰な湿気を嫌うのだ」と書きました。
また、「胃はもともと乾いている腑だ」とも言いました。
・・・ということは、”胃は熱が嫌い”という考え方が、当然あります。
なぜならば、よけい乾いちゃうからです。(笑)
(ここには、実は難しいお話(・・というか意味)がありますが、割愛します。(笑))
つまり「脾胃」は、人体のど真ん中である「中焦」に存在し、かたや湿り(脾)、かたや乾き(胃)、乾と湿のバランスをも、とってくれている訳です。
「胃」って何ですか?(その5)で述べたように、「脾胃」は全身の気血の「昇降のバランサー」でありながら、「乾湿のバランサー」としても一役買っている訳ですネ。
(カッチョイー!)
・・・東洋医学では、体内、および体外の過剰な”熱”のことを「邪熱(じゃねつ)」と言い、様々な症状、病気を引き起こすもとと考えます。
そして特に「胃の腑」が過剰に熱を持つと、それを「胃熱(いねつ)」と呼び、分かりやすいところでは、強いのどの渇き、あるいは食べても食べてもすぐに腹が減る、
暑さを極端に嫌がる、などの症状の原因になります。
”非”生理的な「邪熱」、および生理的な「熱」というのは、通常、どんどん体外に発散しなくては、正常な体の状態を保てません。
大便なり、小便なり、汗なりで、です。
「熱」がうまく発散、排泄出来ずに、どんどん「胃」に籠ると、徐々にマズイことが起こってきます。
前述のような症状はもちろん、マグマのようにブスブスと籠った熱は、やがてまるで”火が付いた”かのように、突然、一気に激しく「上焦」に向かって突きあげます。
これを東洋医学では「胃火(いか)」と言います。
(そのまんまだネ。)
そして突き上げた先の”上焦”には、「心」と「肺」という臓が存在します。このうち、特に「心」が「胃火」の影響を強く受けると、狂乱、錯乱状態になることがあります。
言わば、燃え盛る「胃火」が、「心の臓」に燃え移ってしまった、という状況です。
「心の臓」が蔵している「神(しん)」というものが、”顕在意識を清明たらしめているもの”という話は以前「心」って何ですか?(その6)に書きました。
その働きが侵されるために、正常な判断を失い、まるで”もののけ”でも憑いたかのように叫び、わめき、暴れ出します。
また、体内の邪熱が極まっているために暑くてしょうがなく、衣服を脱ぎ捨てる、というような状況となります。
まさに、前回のブログで紹介した事件のような状況、となる訳です。
しかもあの事件の場合は「朝8時ごろ」という時間帯にも大きな意味があると思いますが、それの解説は長くなるので、またそのうち致しましょう。(笑)
しかしまあ、あの事件の女性の発言から考えるに、おそらく悪い男に弄ばれたとか、そういうことがあった後のことでしょうから、もしそうだとすれば、
ある意味、言ってることにスジは通っています。
また、パンツ1枚の姿だった、とか、実際にベランダから飛び降りはしなかった、ということは、少しは理性が残っていたのかも知れません。
そういう意味ではそれほど強烈な「胃火」ではなかったか、「心神」がそこまでは弱っていなかったのでは、と考えられます。
まあ、いずれにせよ、ああなる前に治療させてほしかったナー、近いんだし・・・。
という感じです・・・。
次回に続く
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2012.07.08
2016.05.09
2016.04.12
2016.04.28
2015.06.04
2012.12.23
2014.02.17
2014.04.26
2024.05.10
2024年4月の活動記録2024.05.01
2024年 5月の診療日時2024.04.13
(一社)北辰会、組織再編。2024.04.02
2024年3月の活動記録2024.04.01
2024年 4月の診療日時2024.03.14
2024年2月の活動記録2024.03.01
2024年 3月の診療日時2024.02.15
2.17(土)ドクターズプライムアカデミアで喋ります!2024.02.04
3.10(日)(公社)群馬県鍼灸師会で講演します!2024.02.03
3.3(日)「浅川ゼミ会」にて講演します!2024.02.02
2024年1月の活動記録2024.02.01
2.25(日)順天堂東医研、第5回特別公開シンポジウム「日本とインドの伝統医学」に登壇します!!2024.02.01
2024年 2月の診療日時2024.01.11
2023年、9月~年末の活動一覧2024.01.05
診療再開!!2024.01.01
2024年 1月の診療日時2023.12.30
2023年、鍼療納め!!2023.12.21
(一社)北辰会、冬季研修会のお知らせ2023.12.01
2023年 12月の診療日時2023.11.26
患者さんの声(60代女性 背部、頚部の痒み、首肩凝り、高血圧、夜間尿)2023.11.25
患者さんの声(70代女性 耳鳴、頭鳴、頭重感、腰下肢痛、倦怠感)2023.11.22
12.3(日)市民公開講座、申し込み締め切り迫る!!2023.11.21
今週からの講演スケジュール2023.11.16
日本東方医学会学術大会、申し込み締め切り迫る!!2023.11.01
2023年 11月の診療日時2023.10.10
清明院14周年!!2023.10.04
12.3(日)市民公開講座やります!!2023.10.01
2023年 10月の診療日時2023.09.23
第41回、日本東方医学会学術大会のお知らせ2023.09.22
第55回、順天堂東医研に参加してきました!2023.09.21
第27回、日本病院総合診療医学会で発表してきました!!2023.09.20
Dr’s Prime Academiaで喋ってきました!2023.09.01
2023年 9月の診療日時2023.08.18
第54回、順天堂東医研で喋ってきました!2023.08.17
順天堂東医研の学生さんと、「森のくすり塾」へ。2023.08.16
診療再開!!2023.08.01
2023年 8月の診療日時2023.07.24
第53回、順天堂東医研に参加してきました!2023.07.23
(一社)北辰会関東支部に参加してきました!2023.07.22
Dr’s Prime Academiaで喋ってきました!2023.07.21
第73回 日本東洋医学会に参加してきました!2023.07.01
2023年 7月の診療日時2023.06.12
(一社)北辰会関東支部定例会に参加してきました!2023.06.11
(一社)北辰会本部会に参加してきました!!2023.06.10
Dr’s Prime Academiaで喋ってきました!2023.06.09
第52回、順天堂東医研で喋ってきました!!2023.06.08
第14回 日本プライマリ・ケア連合学会学術大会に登壇しました。2023.06.01
2023年 6月の診療日時2023.05.31
日本東方医学会、医鍼薬地域連携研究会(DAPA)について2023.05.30
生薬観察登山に行ってきました!