東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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2014.02.22

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とある、末期癌、言語障害の患者さんに往診に行った。


認知症はないので、意思の疏通はしっかり図れる。


最近、ちょっとした手術をしてから、耳が遠くなってしまったという。


医師や看護師は、患者さんの耳元で、大きな声で話しかけるが、当の患者さんはまったく無視。


しかめっ面のまま、押し黙っている。


医師や看護師は、耳が遠いため、聞こえていないものと判断しているようだ。


因みに、家族が話しかけてもそう。


家族は、手術の前にはそんなことなかったので、手術によって体力が弱って、耳が遠くなってしまったのだと思い込んでいる。


ところが、僕が行って、普通の声で話しけると、別に今まで通り、うなづいたり、首をふったり、

”ハイ、ハイ”

と、明確に、以前と同じ、普通の反応。


それを見て、ご家族はビックリ。

「なに、お父さん、聞こえてるんじゃないのよ!」

と怒る。


・・・いやいや、違うって。


聞きたくないんだよ。


もっと言うと、この期に及んで、手術なんてやりたくなかったんだ。


言葉にはしなくても、僕には何となく、お父さんの目から、声なき声として、そう聞こえました。



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