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2009.12.09
今日は、よく言われる「五臓六腑」とは何か、について書いてみたいと思います。
よく、うまい酒を飲んだ時に
「五臓六腑に染み渡るわ~!」
なんて表現がありますが、これは実はもともと、東洋医学の言葉なんです。
このブログの中で、何度も
「人間の陰陽のバランスを調えて病気を治すのが東洋医学です。」
と書いてきました。
もちろんこれはこれで、すごく大事な、根本的な考え方なんだけど、
「じゃあそうするためには、実際にどうしたらいいの?」
という疑問が当然浮かびます。
・・・コレに答えるためには、あくまでも「気」や「陰陽」という考え方(根本哲学)に則った、「人間の体のしくみ」をしっかりと理解する必要があります。
そこで考え出された(想定された)のが、「五臓六腑」という、人間の内臓に対する考え方です。
コレの内訳は・・・
・五臓:(肝・心・脾・肺・腎(かん・しん・ひ・はい・じん))
・六腑:(胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦(たん・しょうちょう・い・だいちょう・ぼうこう・さんしょう))
となります。
これらの一つ一つに対する解説はいくらでも専門書がありますし、難しくなるので今日は解説しませんが、いずれ簡単に解説出来たら、と思っています。
この分類に基づいた人間の内臓を図にすると・・・
↑こんな感じになっちゃいます(笑)
(張景岳『類経図翼』より)
・・・一見、
「は?何コレ?全然実際の人間の内臓と違いますけど・・・?」
と思いますよね?
・・・江戸時代、日本に蘭学(オランダの学問)が入ってきた時、日本の多くの医者は、西洋の写実的な解剖図(現在でもよく病院の待合室なんかに貼ってあるやつ)を見て驚嘆し、
「我々は間違った理解をしていた、なんてバカだったんだ!」
とか言って変に反省し、今日までの自分たちの医学は間違っていた!と考えてしまったのです。
そして、それまでの東洋医学独特の五臓六腑の学説の用語を、そのまま西洋医学の解剖学用語に訳語として乗せていきました。
いわばその延長線上にあるのが、現代の解剖学です。
しかし、その理解は、果たして良かったでしょうか。
この図は「ある意味においては」間違っておらず、もっと深い意味、意義があるのではないでしょうか。
・・・大体、中国だって日本だって、ちょっと分かる人にとっては、この図が実際に人体を解剖したものと違うことなんて、百も承知だったはずです。
江戸期から、舶来品を無批判に受け入れ、新しモン好きで付和雷同な日本人なんでしょうか。。。(苦笑)
まあともかくこの図は、「今まさに、実際に生きて動いている」病人や健常者を、医師が五感をフル活用して徹底的に観察し、数百年、数千年かけて徹底的に臨床レベルで実験しまくった末に考え出された、
「人間の生理機能」
と、
「体の表面に現れる様々な異常」
から類推した、
「“人体の構造と機能”を説明するための解剖図」
と言えます。
消毒も麻酔もない時代に、現代ほど外科手術が日常的に行われていたはずはなく、なるべく人体に負担をかけない方法で「生理機能」を調整して病気を治す、
というのが、医者の共通テーマだったはずです。
そこから編み出されてきたこの図が、江戸期に「実際の見た目と違う=まったく間違っている」と評価されてしまったのは、残念でなりません。
これはこれで正しい図なんです!
(写実的でないだけで、“機能”を説明した図である、という意味では)
ですから本当は、もともと「上の図における内臓の名前」だったはずが、西洋医学の解剖図の翻訳に使われちゃってるんで、結果的に混乱のもとになって、
なんか木に竹を接ぐ様なワケ分からんことになっちゃってるのが、日本の東洋医学教育の、一つの問題点だと思います。
(まったく問題にされないけど。)
患者さんが「胃が痛い」じゃなくて「stomachが痛い」と言えば、変に混同されることもないんだが。。。
・・・この辺の話題も、話し出すとキリがないんでこのぐらいにしときますが、要は「五臓六腑」とは、
・もともと東洋医学独特の、機能面におけるトータルなバランスに調和に着眼した内臓学の言葉で、
・東洋医学がこれを考える上で相手にしたのは“形態“じゃなくて、外から人間の五感でうかがうことの出来る“機能”ですよ、
ということです。
西洋医学もいいけど、東洋医学もいい!
とりわけ、東洋人には東洋医学がいい!!
やっぱりなんだかんだ言って、そもそもの体質や感覚に合ってる!
「伝統」というものをバカにするモンじゃない!
・・・そのように「強く」思っています。
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2009.11.29
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この疑問については、清明院HP内の「よくある質問」のコーナーに挙げてありますので、まずはそちらをご覧ください。
ここに書いてあるように、「経穴」というものは、
1.目には見えず、機械で測定することも出来ず、
2.緊張度や寒熱などが「変化する力」が大事であり、
3.「ある病気、症状=〇〇という経穴」という考え方は間違いである、
と述べてあります。
今日はさらにこのことを詳しく、分かりやすく、述べてみたいと思います。
なるべく患者さんに分かるように、専門用語は極力避けて、説明してみようと思います。
まず、1.目に見えない、機械で測定できない という定義づけですが、これは、”「気」って何ですか?”のところで述べたとおり、東洋医学のいう「気」というものは、
絶えず動いており、ギュッと集まれば形を成し、ふぁ~と散れば形を成さないものである、という、この宇宙の有形と無形の間を自由に行き来する存在であり、
人間の「カラダ」というものは、その「気」が集まった形であると考え、さらにそのカラダの中を「流れる気(経絡の気)」も、形のない存在、と考えます。
「気が集まって、形を成した姿」である人間の体を、縦横無尽にめぐる「経絡の気」は、「形のない存在、つまりここでは目に見えない存在」として、
ぐるぐると全身を廻りながら、人間の「陰陽のバランス、調和」を保っている、最も重要な存在、と考えます。
東洋医学ではそのように考えているため、目に見えない経絡の上にある「経穴」というものも、当然目には見えないですよ、となります。
で、この「気」そのものを物理的、あるいは数値に置き換えたりして、機械で捉えることは現状出来ていません。
だから非科学だ、ではなく、現状の最先端科学ですら追い付いていない、大いに研究対象とすべき「未」科学とはいえまいか、というのが、私個人の考え方です。
次に、2.経穴が変化する力の重要性 ですが、これは実際に、毎日毎日患者さんの経穴を診ていますと、それは実に様々に変化します。
時には冷えたり、熱を持ったり、ガチガチに硬くなったり、ふにゃふにゃに柔らかくなったりと、その場その時によってあらゆる変化を見せます。
・・・要するに、「経穴」はこうやって色々と変化しながら、時々刻々と移り変わる外界の環境に適応するべく、結果的に体全体の「陰陽のバランス調和」を保ってくれている訳です。
この変化する力が強ければ強いほど、「陰陽バランス」を保とうとする力が強い、すなわち、「生命力が強い」と考えます。
東洋医学ではこの、人間みんなが持つ「陰陽バランスを保とうとする力」すなわち生命力、言いかえれば自然治癒力(免疫力と言ってもいいかもしれません)、
さらに平たく言うと、人間もともと持つ「治る力」を、鍼灸や漢方で調えて、最大限活かしきることによって、病気を治そうぜ、というのが目的なんです。
まあ簡単に言うと”カラダにとって無理や負担の少ない、やさしい医学”ですね。
ですから、3.〇〇の病気には〇〇という経穴 という考え方で、同じ経穴に延々と処置をしていても、時々刻々と変化する、外界や人間の体の微妙な変化に、
到底ついていけるはずはないんです。
ただ、そういった本をよく見ますと、確かに〇〇という症状の場合に、変化の出やすい経穴が、大体紹介されていることに気付きます。
あるいは、有名な古典からの引用も多いです。
(つまりは、過去の名医の経験則です。)
なので、中には本に書いてある通りのことをやって、病気や症状がよくなる人がいるのはそのためなんです。
しかし、「経穴」というものはそういう、通り一遍の使い方をすると、場合によっては症状を悪化させることもあります。
そもそも、人間の健康に関することを、軽々に扱ってはいけません。
最近はインターネットもあるし、あらゆる情報が無数にあふれ、しかもそれを簡単に手にできる時代です。
その中にはもちろん正しく尊い情報もありますが、単なる「お金もうけ」のための、おかしな情報もかなり混ざっています。
あるいは、医療従事者ですらない者による、無責任な知識のひけらかし、単なる売名行為も少なくありません。
しかも、おかしな情報に惑わされない、冷静な自分を持つことすら難しい、ストレスフルな世の中ですしね(苦笑)
僕はこのブログで、自分が出来る限り最大限、「正しく尊い情報」を発信していこうと思っています。
(まあ、そうはいっても間違うこともあろうかと思います。もし誤謬を見つけて下さったら、ぜひご教示ください。)
・・・だいぶ前に、寝違いの患者さんを治療した時、うまくいって、治療直後に劇的に痛みが取れたことがあります。患者さんは信じられない、といった様子で、
「先生には”気の流れ”とかが見えるんですか??」
と聞いてきました。
僕は即座に、
「いえいえ、まったく見えませんよ。普通に東洋医学的に診立てて治療しただけですよ。(笑)すごいのは僕じゃなくて、東洋医学なんだと思います。
しっかりと勉強して経験を積めば、今のは誰でも出来ます。」
と、答えました。
患者さんは
「なるほどー・・・。」
と仰っていましたが、ここでもし、
「ええ、見えます。実は私には神通力があるんです。今後寝違いを2度と起こさないためには、このネックレスを100万円で・・・」
と答えてたら、今頃お金持ちになってたのかしら・・・。(苦笑)
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2009.11.26
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・・・「気」「陰陽」ときて、今日は「経絡」について書こうと思います。
「陰陽って何ですか?」のところでチラッと述べましたが、「経絡」というのは、ごく簡単に言えば
「体を流れる”気”の主な通り道」
です。
その通り道の上にあって、「気」の流れを調整するのに役立つ点を「経穴(けいけつ)」というわけですね。
・・・まあ最近、コンビニに売ってる本なんかで、『〇〇に効くツボ大事典』とか、『~ツボダイエット』とか、
ヒッジョーに、ある意味安っぽく、ある意味キャッチーに、経絡や経穴が扱われています。(苦笑)
どこそこのツボを押せば、間違いなく〇〇の病気が治る、とか、どこそこのツボを押せば、間違いなく痩せる、とかが、もし本当ならば、僕らはとっくに億万長者です。(苦笑)
この世に病気の人なんか、いなくなりまっせ?
我々、真剣に、医療として、東洋医学をもって病気と向き合おうとしている者にとっては、「経絡」や「経穴」というものがあまり軽々に扱われるのは心外です。
これまで、このブログで、古代中国の自然哲学では、この世のすべてのものは「気」から出来ていると考え(気一元論)、その「気」を「陰陽」の2つに分け、
それらがうまいことバランスをとることによって、あらゆる自然現象の「変化」を説明、理解したんだよ(太極陰陽論)、というお話をしました。
その「自然現象」には当然、人間のあらゆる活動(食べる、寝る、排泄するetc..)も含まれます。
これら一つ一つについても、東洋医学では細かく細かく、微に入り細に入り、説明されています。
どのように細かく説明されているかと言うと、人体のあらゆる器官(内臓、皮膚、骨や筋肉、目や耳などの感覚器)と、「経絡」というものを上手に結び付けて、
体の表面に出ている(というより体の表面からうかがい知ることのできる)様々な情報を、これでもか、と言うぐらい詳細に観察し、
そこから体の内部の機能(何が起こっているのか)を予測して、ひとつひとつ説明しています。
これは「蔵象学」とも言われ、昔から中国にある、「表をもって裏を知る」という、大変優れた考え方です。
『黄帝内経』はもちろん、有名な『管子』にも書かれているこの考え方は、現代でももちろん通じるものです。
・・・このことをもっと活用することが、実は現代の医療においても大変重要なんじゃないかと僕は思っています。
過剰、あるいは不必要な検査等によって患者さんにかかる肉体的、精神的、経済的負担を考えた時、このような考え方を最大限活かせば、
患者さんの負担をかなり軽減してあげることが出来ます。
もちろん、医療費削減にもつながるでしょう。
まあ、話がちょっとそれましたが、まとめますと・・・
1.東洋医学の言う「経絡」というものは、「人体における気の主な通り道」
2.人間の正常な状態(「陰陽」のバランスがとれた状態)を保つために必要不可欠なもの
3.経絡上にある特異な反応点である「経穴」を鍼や灸で刺激することによって、結果的に「気」の流れが調えば、体全体の気の流れの「陰陽」のアンバランスが調って、
正常な状態に近付くため、病気を治す力が最大化する、というわけです。
・・・簡単でしょ?(笑)
これが大まかに言った場合の、東洋医学の疾病観です。
このように、ごくシンプルな疾病観を持ってるから、逆に、どんなに複雑怪奇な病にも対応可能なんです!
病人における体全体の気の「陰陽」のアンバランスというのは、その人のもともとの体質や、病気の種類によっても違います。
また、時期によっても、地域によっても、さらには同じ人の同じ病気であっても、その場その時によって、違ってきます。
(ここらへんが難しいところなんです。)
「東洋医学」というのはそういう難しいことを、非常に分かりやすく、きれいに分類し、整理整頓して、実際に医療を行う者のため、ひいては患者さんのために、
極力運用しやすいような形で、何千年もかけて、上手にまとめてくれてあります。
・・・まあ、やればやるほど、勉強すればするほど、考えれば考えるほど、コレ(東洋医学)最初に考えた人って、一体何者だ!?凄すぎる!!と思います。
先人のそういった苦労には、ほんとに頭が下がります。
「経絡」って何ですか?(その2) に続く
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2009.11.23
この前、
“「気」って何ですか?”
という疑問に対する、僕なりの簡単な考えを述べました。
(読んでない方はこちら 参照)
その中で、古代中国の自然哲学では、
「この世の全てのものは「気」から出来ており」
そして全ての自然現象は、
「気の動きによる現象である」
・・・と考えています、という話をしました。
しかしそれだけでは、すべての細かい現象を説明するのにあたっては、あまりにもザックリし過ぎてないか?という印象を持った方もいると思います。
例えば、人間と、動物、植物、鉱物、その他のあらゆる自然界における
「もののありよう」
とか、
「変化の仕方の違い」
について説明するには、
「みんな気で出来ています。全ては気の動きです。」
と言われたところで、
「は?何それ?よく分かんないし、そんなん信じられないよ!おたく新興宗教ですか?」
・・・ですよね?
(笑・・・僕も最初はそう思いました。)
もちろん、そのリアクションというのは、程度こそ現代とは違うだろうけど、古代も同じだったんじゃないでしょうか。
なので、それをより細かく、分かり易く説明(というより理解)するために生まれていった考え方が
「陰陽(いんよう)」
や
「五行(ごぎょう:木、火、土、金、水)」
という考え方なのだと思います。
「気」を「陰気」「陽気」さらに「五行の気」という風に分けて、諸現象を説明していったわけです。
ただ、一応分けるけれども、前提として、あくまでも、全ては“気”で出来ている、という考え方を失わないように、です。
(ここが重要!)
これについて、説明する内容の幅を広げ過ぎると、あまりにも壮大な話になってしまうし、かといって細かすぎると、専門用語ばっかりの難解な話になってしまいます。
なので、ここでは、あくまでも患者さん向けに、東洋医学の言う、
「人体内における気の動き」
を理解するための「陰陽」というものについて、ごくごく簡単に紹介してみたいと思います。
まず、一番分かり易い例として、この世界に存在する人間には、男と女の2種類がいます。
今も昔も変わりません。
これを、男は陽、女は陰と分けました。
「陽」とは動的な気の実在、「陰」とは静的な気の実在を意味します。
じゃあニューハーフはどうするんですか?と思った方、彼らはもともとは男です。(笑)
じゃあ映画の『リング』に出てくる貞子みたいな、両性具有は?と思った方、あれは例外ですので、性別とは違った物差しを使って陰陽分類すればよいのです。
・・・ともかく(苦笑)、現在でも、オリンピックなどで100mを何秒で走れるか、幅跳びでどれだけ飛べるか、比べれば必ず男性の方がいい記録が出ますよね?
・・・まあ、「動く」ということに関しては男性の方が得意というか、女性と比較して相対的に、そういう「動的な性質」を持った「人間」である、といえます。
一方女性は、男性と比較して相対的に静的(別に動けない訳ではない)であると同時に、「妊娠し、出産する」という生物学的な特徴があります。
これは、男性にはどうやっても真似出来ない、女性特有の機能ですね。
静的である、ということはマイナスだとか、あるいは動的であることに比べて劣っている、ということでは全然なく、そういう、動と静がうまくバランスをとることによって、
自然界の一部である「人間」という動物、つまり”気の凝集体の集団”が平和に、永続的に維持される、と考えます。
陰と陽との「バランスの調和から起こる正常な変化の連続」こそが大事なんだ、という考え方です。
(ですので女性差別とかではないですよ。誤解なきようお願いしますね(笑))
ここで、では男には陽の気、女には陰の気しか流れてないかというと、それは違います。
相対的に陽である男性にも、相対的に陰である女性にも、「陰陽」の2つの気が流れている、と考えます。
そうすると陽の中にも陰陽が、陰の中にも陰陽がある、そしてその中にも・・・となるわけで、そのパターンはいくらでも無限に分けられる訳です。
人間一人一人の個性、微妙な違い、というものについては、DNAではなく、東洋医学ではこれで説明していきます。
男っぽい女は陽寄りの陰、女っぽい男は陰寄りの陽、という具合に。
先ほどのニューハーフは後者ですが、生殖能力を持つわけではありませんよね?そういう意味では結局は彼らも「陽」です。
ちなみに余談ですが、そういうのを生年月日や星回りその他から細かく細かくパターン分類し、整理して、「ある人間」に起こる過去、現在、未来の予測をするのが「占い」ですよね。
(細木和子さんは今どこへ・・・。)
東洋医学では、このように人間(男女)に流れる陰陽の気のバランスが大きく乱れたものを「病気」(ここにも“気”が!)と考えます。
(因みにもちろんこの考え方は動物にも応用され、”獣中医学”と言われる分野もあります)
そして人体の中のその「気」の通り道のことを「経絡」(けいらく)と呼び、その経絡の上にある、鍼したり灸したりすることによって、
陰陽の気のバランス調整に使える点を「経穴」(けいけつ=ツボ)と呼ぶわけですね。
「気」と「陰陽」という哲学が大前提として基盤にないと、「東洋医学」は成り立たないのです。
「東洋医学」が、もしまったくの空理空論であって、現実に成り立たないものなら、当院の患者さん達はもちろん、中国、日本で数千年に渡って患者さんの病気が治ってきた、
という事実はすべてウソで、何かの間違いだった、ということになりますし、もしそうならば、西洋医学が世界中に爆発的に広まっていく中で、東洋医学は確実に滅び去ったでしょう。
しかし現代において、いまだに滅んでいない、それどころか実際に患者さん達が治っている、ということは、「東洋医学」がれっきとした医学である証拠であり、
「気」と「陰陽」という哲学は、自然を理解する上での重要な一つの考え方である、何らかの真実をつかまえている、ということの証左だと思います。
「陰陽」とは、この世界を認識する時に、一つの仮説として「気」から全てのものが成り立っている、と考えた場合に、個々の違いと共通点、
諸々の自然現象を説明、理解する上で「必要な」考え方である、ということです。
・・・どうでしょうか。分かりにくいでしょうか?
僕なりにかなり配慮して書いたつもりですが、ご批判、ご感想いただけると幸甚です!
2009.11.17
本日、「腰痛」を訴えてみえた患者さんに、あるご質問をいただきました。
足の臨泣というツボに一本鍼をした後、
患「先生、このツボって何に効くんですか?」
竹「腰痛に効きます。」
患「あ、そうですよね(笑)」
・・・というやり取りでしたが、これ、もっと正確に言うと、
「腰痛以外の諸症状にも効く中で、もっとも腰痛に対して効果を発揮するであろうツボを選びました。」
と答えるのが正確なんでしょうネ。
しかし、あまり正確に答えると、経験上
「?」
とか
「・・・はい。」
と怪訝な表情になってしまうことが多いので(苦笑)、いつも患者さんからの質問にはなるべくサクッと簡潔に答えるようにしています。
教育の現場でもそうなんですが、正確性よりも分かり易さを優先した方が良い場合というのは、厳然とある。
患者さんからしてみれば、腰が悪いなら腰に、肩がこるなら肩に鍼を打つのが、なんとなく当たり前ではないか、と思うのは当然だと思います。
しかしこの考え方を延長していくと、脳が悪いなら脳に、心臓が悪いなら心臓に鍼をする、という風になってしまいます。
(・・・まあ、極端に言うと、ですがね。)
東洋医学的な鍼灸治療、というのは、あくまでも全身のバランスを診て、調える、という考え方をはずしません。
ですので患者さんが何を訴えてきても、必ず我々は全身を診ます。
その中で、もっとも患者さんの訴えを速やかに除去できる可能性が高い、精選された経穴を、”ごく少数”選ぶのです。
最適な鍼の深さ、太さ、長さでね。
なぜなら、それが治るまでの最短距離だと考えているからです。
もちろんその考え方でもって体を診察した結果、腰痛の患者さんの腰に鍼を打つ場合もありますが、経験上、それは意外と少ないケースだと思います。
例えば腰痛一つとっても、
・運動不足や睡眠不足からくるもの、
・飲食の不摂生からくるもの、
・精神的なストレスからくるもの、
・骨の変形や体の歪み
等々、様々な「東洋医学的に考えられる原因」があります。
また実際は、これらががんじがらめにあいまって、最終的に「結果」として、腰痛が出てきているものが多いのです。
そのがんじがらめに絡まった、「病気の東洋医学的なメカニズム」を考えた場合、「悪いところに打つ方式」は「結果」しか相手に出来ないケースが多く、
効果がマイルドすぎてしまうことがあります。
(よくある、そんときゃ少しいいけど、すぐ戻っちゃって、全然治っていかない、ってやつです。)
もちろん、軽く患部をマッサージすれば、症状がすべて解決してしまうような、軽症(局所の筋緊張や血行不良のみの問題)のものであれば、
それで良くなってめでたしめでたし、というものもあります。
しかし、慢性の病気や、重症の病気となると、そうはいきません。
なぜ慢性化しているか、なぜ重症化しているのかを「東洋医学的に」考え、必要最小限の適確な刺激を与えてやることが、当院の言う、
「治る力を最大限活かしきる」
ことに繋がるのです。
清明院ではこのように考え、お陰様で、これまでいい結果を得てきております。
以前、とある先輩が何気なく発した言葉に僕はハッとしたことがあります。
「最小は最大だよね。」
・・・これを書いていてふと、思い出しました。
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2009.11.12
今日はコレ↑について書こうと思います。
たまに患者さんから聞かれるのですが、
「清明院のロゴマークって、先生が考えたの?あれどういう意味?なんか意味がありそうだけど・・・。」
という質問があります。
これはですねー・・・、ちょっと難しいんだけど、韓国の国旗とかにある、「太極図(たいきょくず)」ってありますよね?
この図はとても有名で、いろんなところで使われてるし、東洋医学においても、とても大事な図なんだけど、この図のもとになった、
歴史的に最も古いと言われる図に、「周氏太極図(しゅうしたいきょくず)」という図があります。
(上記サイトに載っています。)
この図は、中国の宋の時代の、周敦頤(しゅうとんい)という人が書いたとされる図で、
要するにこの世の中のすべてのものの始まり、成り立ちを図で示したもの、とされています。
この図の、上から2番目の〇の図をちょっと僕なりに色塗りしたのが清明院のロゴマークです。
古代中国思想では、すべてのものを陰と陽、という2つに分けて考えます。
男と女、天と地などなど、挙げればきりがないです。
そしてその考え方は当然医学にも反映されていて、人体の機能や形態も陰陽に分けて考えます。
そういう考え方で人体を見ないと、
「鍼を打って、気のアンバランスを整えて、病気を治す」
という考えには結びつきません。
僕は、その見方、考え方から離れれば離れるほど、鍼というものはどんどん本質から遠ざかり、
結局、効きが悪くなる、守備範囲を狭くする、と考えています。
また、現代医学、科学が今後も発達すればするほど、この見方(気や陰陽という哲学)はむしろ意味が大きくなってくる、とも思っています。
だから清明院のロゴマークは、「陰陽」という考え方の大切さを常に意識しつつ、
伝統に対するリスペクトの気持ちから、もっとも歴史的に古い図から引用した訳です。
ちょっと難しかったでしょうか・・・?
大丈夫でしょうか?
こういうテーマだとどうしても難しい話になりがちなので、極力抑えたつもりですが、感想いただければと思います。
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2012.07.08
2016.05.09
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2024年 5月の診療日時2024.04.13
(一社)北辰会、組織再編。2024.04.02
2024年3月の活動記録2024.04.01
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2024年2月の活動記録2024.03.01
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2.17(土)ドクターズプライムアカデミアで喋ります!2024.02.04
3.10(日)(公社)群馬県鍼灸師会で講演します!2024.02.03
3.3(日)「浅川ゼミ会」にて講演します!2024.02.02
2024年1月の活動記録2024.02.01
2.25(日)順天堂東医研、第5回特別公開シンポジウム「日本とインドの伝統医学」に登壇します!!2024.02.01
2024年 2月の診療日時2024.01.11
2023年、9月~年末の活動一覧2024.01.05
診療再開!!2024.01.01
2024年 1月の診療日時2023.12.30
2023年、鍼療納め!!2023.12.21
(一社)北辰会、冬季研修会のお知らせ2023.12.01
2023年 12月の診療日時2023.11.26
患者さんの声(60代女性 背部、頚部の痒み、首肩凝り、高血圧、夜間尿)2023.11.25
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