東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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「表裏」って何ですか?

2010.02.24

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・・・続いて、「表裏(ひょうり)」についてです。

 


日常会話の中でも、

「表裏一体」
とか、

「表裏(おもてうら)のない人」

とか、よく言いますよね。

 


要するに「表(ひょう)」というのは見えてる部分、「裏(り)」というのは見えない部分のことを意味します。

 


この意味から、「表の病」というのは、「見えてる病」「表面的な病」という意味を持ち、要は病気の位置が浅いですよ、ということを示します。

 


浅い、と言うと、じゃあアトピーなどの皮膚の病気は「表の病」か、ということになりますが、そうではありません。

 


症状の出ている部位のことではなく、あくまでも、主な病変部位(言わば主戦場、症状の原因となる、陰陽バランスの崩れた場所)が浅い部位にある病を「表の病」と言います。

 

 

ですので、慢性のアトピーなどでは、症状が出ているのは皮膚であっても、主な病変部位は内臓(臓腑)の機能異常、バランス異常だったりするので、

 

「裏の病」という判断になる訳です。

 


「表の病」の例を挙げると、体の外からガンガン冷やされたり、あるいは乾燥して喉が痛いなどの、かぜの初期段階なんかが相当します。

 


これに対して「裏の病」というのは、「見えない病」「深い部分の病」という意味を持ち、深い部分、すなわち、繰り返しになりますが「臓腑」に病があるものを言います。

 


これも、簡単に「深い」と言ってしまうと、西洋医学的な肝炎とか腎炎とか胃炎などの、内臓の炎症疾患とかを想像しますが、そういう意味ではありません。

 


東洋医学の言う「臓腑」の病変と、西洋医学の言う「内臓=organ」の病変とは、意味が違います。

 

 

東洋医学では、内臓の形体的な異常に注目しているのではなく、五臓六腑それぞれの機能のバランスの乱れに注目しているのです。

 

ここは混同しないようにしたいですね。

 

 


ですので、慢性の頑固な病気などは、ほとんどが「裏の病」の範疇に入ってきます。

 


たとえ、肩こりであっても、です。

 

 

このように、東洋医学では”表裏”という概念(ものさし)を使って、病変(陰陽バランスの乱れ)が起こっている部位(位置)を考えますので、この考え方を「病位」と言います。

 


我々は、前回、前々回とお伝えしてきた「虚実(病勢)」「寒熱(病性)」「表裏(病位)」という、東洋医学独特の分類概念を駆使して、

 

「病の趨勢」「病の性質」「病の部位」という観点から、まず大まかに患者さんの病気を大きく「陰陽」に分析する訳です。

 

 

この「虚実」の2つ、「寒熱」の2つ、「表裏」の2つの物差しを使って、まず病を大きく「陰陽」の2つに分けることを、

 

「8つの綱領を弁(わきま)える」という意味で「八綱弁証」と言います。

 

 

因みに個人的には「虚実」の2、「寒熱」の2、「表裏」の2をそれぞれ組み合わせると、「虚・寒・表」「虚・寒・裏」「虚・熱・表」・・・と、組み合わせが8通りできるので、

 

その8通りの組み合わせに、とりあえず全ての病を概括できるという意味で「八綱弁証」という理解の方が好きだったりします。

 

 

この分類概念(弁証法)は、実は他にもまだまだあります。

 


そのうち気が向いたら書こうかな、と思います(笑)

 


それで、「ここぞ!!」というところに鍼灸を施し、アンバランスを整え、治療させていただく訳ですね。

 

 


東洋医学は、とっても科学的で芸術的な医学なんです。

 

 

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「寒熱」って何ですか?

2010.02.23

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前回に続いて、今日は「寒熱(かんねつ)」についてです。

 

人間はみんな、体に

「冷やす力」



「温める力」

が同時に備わっています。

 


だから、少々の気候変動では、健康状態が左右されることはない訳です。

 


暑ければ薄着をして、それでもダメなら汗をかいて、体内の余分な熱を漏らし、寒ければ厚着をして、それでもダメなら鳥肌を立ててガタガタ震えて、小便を出して、体を温めようとします。

 


しかし、これら二つの力のうちの、どちらかが弱ったり、元々持っているその力を超えた、激しい気候変動にさらされたりすると、病変が出現します。

 

 

要は体が「熱側に」「冷え側に」傾いてしまうのです。

 


治療にあたっては、これらがどうなっているかを考えて、崩れた寒熱のバランスがうまく調うように治療します。

 


上記の二つのうち、人体が元々持つ「温める力」が弱ったり(陽虚)、自然界の「寒さ」があまりにも強い(寒邪の邪気実)ことによって病気になったものを

「寒証(かんしょう)の病」

なんて言います。

 


この場合、温める治療が主になります。

 


「温める治療」と言うと、お灸が思い浮かぶと思います。

 


基本的にはそうですが、これは鍼でも出来ます。

 


逆に、人体の「冷やす力」が弱ったり(陰虚)、自然界の「暑さ」があまりにも強くて起こる病気(熱邪の邪気実)を

「熱証(ねっしょう)の病」

と言います。

 


この場合は冷やす治療が主になります。

 


では「冷やす治療」はどうかというと、これは東洋医学では主に鍼で行います。

 


お灸でも出来ないことはないけれど、ちょっとやりにくいのであえて初手では使いにくい、と個人的には思います。

 


もちろん上記の両方とも、漢方薬でも治療は可能です。

 


この考え方も、治療する上では外せない考え方です。

 

 

”寒熱”という相反する概念を使って、病の”性質”を考えるわけですから「病性」と言ったりします。

 


この「寒熱」(病性)に、前回書いた「虚実」(病勢)を重ねて、さらには「表裏」(病位)も重ねます。

 


こうすることで、その患者さんの

「どこが」

「どのように」

「どの程度」

悪くなっているかが、徐々に明らかになってくる訳です。

 


・・・次回は「表裏(ひょうり)」について書きます!

 

 


ドンドン行きますよ~!!

 

 

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「虚実」って何ですか?

2010.02.22

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今日から、東洋医学独特のいくつかの考え方について、簡単に述べてみようと思います。

 


まずは「虚実(きょじつ)」についてです。

 


古代中国の自然哲学では、何もかも全てのもの(森羅万象)を「気」から出来ていると考え、それを「陰陽」の二つに分けて考え、その運動で持ってすべての事象を説明する、という話は、以前にしました。


「気」って何ですか?

「陰陽」って何ですか?  参照

 

 

・・・東洋医学では、この考え方を当然、人体においても用いている訳ですが、「病気」というものを考えた場合、問題になるのは、

その陰陽のバランスがどう崩れているか、

どうすれば元通りに出来るか、

というところですよね?

 

そこで使う考え方が

「虚実(きょじつ)」や、

「寒熱(かんねつ)」や、

「表裏(ひょうり)」

という概念です。

 


このうち、まず「虚実」ですが、

 

「虚(きょ)」というのは、字のまんまですが、「うつろ」とか「足りない」ということを意味します。

 

「実(じつ)」はその反対で、「充実している」「過剰である」という意味があります。

 


この考え方から、何かが足らなくなった病気を

「虚証(きょしょう)の病」

と言い、何かが過剰になった病気を

「実証(じっしょう)の病」

と言います。

 

 

「虚証の病」であれば、病気を試合や戦に例えれば、防戦一方、という感じになりますし、「実証の病」であれば、バチバチの殴り合い、激しい交戦状態を示します。

 

 

そこからして、この”虚実”のことを「病勢」と呼んだりします。

 


そして、さらに細かく具体的に、「どこの」「何が」足らないのか、「どこの」「何が」過剰なのかを考えて、それがいち早くもとに戻るように考えて、戦略的に治療します。

 


因みに、邪気と戦う「正気(せいき)」が過剰(実)で、「邪気(じゃき)」が足らない状態(虚)なんであれば、それは健康体ということですから、治療対象にはなりません。(笑)

 

「病体」というのは、必ず正気が虚、あるいは邪気が実、またはその両方が混在している、という状態になっている、と考えます。

 


我々が普段行っている診察(四診:望聞問切)というのは、ここからさらに


「虚」の中心(根本原因)

 

や、


「実」の中心(根本原因)


を突きとめ、明らかにするために行います。

 


そしてそれを突きとめたならば、うつろなところが充実するよう、あるいは過剰な部分が散って落ち着く(平均化する)よう、鍼灸を施したり、漢方薬を飲んでいただいたりする訳ですね。

 


故に、「虚実」は、鍼をする上で、絶対に外せない考え方の一つなのであります。

 

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「養生」と「鍼灸」

2010.02.19

明日から暖かくなるようですね。

ようやく、というところでしょうか。(苦笑)

・・・しかし、ここのところの寒さは異常ですね~。

そんなわけでかぜひきさんをよく診るんですが、よく患者さんから、

「「かぜ」って鍼で治療できますか?」

と聞かれることがあります。この質問に対して、僕はいつも

「もちろんできます。ただ、摂生が一番ですがネ。。」

と答えています。


東洋医学では古くから、現代医学で言うウイルスや細菌による急性の病気のことを指して、

「外感病(がいかんびょう)」

と呼んで、様々な治療法を考案し、成果をあげています。

(漢方薬はもちろん、鍼灸でも、です。)


この理論に従って治療をすれば、直後にその場でのどの痛みがとれたり、発汗して熱が下がったり、寒気や関節痛がとれたりすることはよく経験します。

(ちなみに今日もありました(笑))


・・・しかし、どんなに無理していようとも、鍼していればオールオーケーかと言うと、残念ながらそうではありません。


やはり基本は十分な睡眠、胃腸への負担の軽い食事、安静(無理に動かない)です。


それをやった上で、鍼で「病気と闘う力」、「治る力」を高めてやれば、より効果的で、早く治るよ、ということです。


「鍼」があまりにも高い効果を示して、それに慣れると、一にも二にも「養生」が大事だ、ということを忘れがちになります。


しかしこれは逆に言うと、まずはしっかり養生して、鍼灸で体のバランスを整えていれば、あらゆる病を予防できるよ、ということでもあります。

・・・あと少しで暖かくなります。


鍼と養生で、なんとか乗り切りましょう!

 

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「七情」まとめ

2010.02.06

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これまでのお話・・・

「七情」って何ですか?
「怒」について
「喜」について
「思」について
「悲」「憂」について
「恐」について
「驚」について


まあ長々と「七情」について書いてきましたが、今日が一応の完結編です。

日々生きる中で、人は精神的にも肉体的にも、あらゆる刺激にさらされています。

東洋医学では特に、精神的な刺激に対する様々な反応のことを「七情」と名付けて、まとめている訳ですが、現代人はコレの「過不足」が病気の根本原因となっていることが、

 

あまりにも多いように思います。

これは日々患者さんから話を聞いていて、ホントによく思いますね。

これについて、

「何でかな~・・?」

と考えると、1つには、例えば寒さや暑さといった、肉体的な刺激に対しては、文明の利器を使ってかなり回避することが出来るようになったけど、

精神的な刺激に対してはどうしても回避できないためなんじゃないかな~、なんて、思います。

なんぼ、クーラーや暖房を使って快適な空調環境で生活していても、そこに嫌いな人が一人いたらもう台無しですよね。(苦笑)

とたんにそこは不快な環境になりますよね?

また1つには、あらゆることがお手軽に、大した労力もなく出来てしまう世の中なので、いろんな場面で

「我慢する」

という考え方が出来にくくなっているんじゃないでしょうか?

 

だから、ちょっとした人間関係のもつれも我慢できない。

あるいは、職業選択にしろ何にしろ、生きる上での自由が保障され、生きる上での選択肢があまりにも多すぎて、結果的に余分なことまで考えるようになってしまい、

 

だんだん、何が何だかワケ分からなくなっちゃって、迷いに迷って、日々が楽しくなくなり、徐々に病気になる人もいます。

これらは要は、幸せすぎて不幸せになった、という、ある意味

「陰陽が転化した」

皮肉なパターンだと思います。

現代人というのは、高度な文明が生み出した様々な道具によって、外的刺激を上手に回避できるようになった分、もともと持っている、

 

外的刺激(精神的なものも含む)に柔軟に対応する力が弱くなっているんじゃないでしょうか?

(例えて言うなら、時には我慢して続け、時にはスパッとあきらめる、みたいなバランス感覚のことね。)

今後もますます文明は発達し、生活の利便性、快適性はもっともっと上がるでしょう。

それはそれで喜ばしいことなのは言うまでもありませんが、その分、内面、つまり「ココロ」を病んだ人間は増えるかもしれません。

現在、うつ病患者の激増が問題になっているのも、その前兆に思えます。

その時こそ、「心身一如」の考え方で「カラダ」を通じて「ココロ」にも同時にアプローチ出来る、東洋医学の出番でしょう。

長年、鍼灸治療をしていると、患者さんの顔つきが段々穏やかになっていくのが分かります。

蓮風先生がよく仰るように、体がほぐれると心もほぐれる、ということなんでしょう。

これを西洋医学のように「強引に」やらずに、常に全体のバランスを意識して「無理なく」やろうとするところが、東洋医学の良さじゃないかな、と思います。

(もちろん場合によっては「強引さ」も大事でしょうが・・・。)

以前、どこかで

「21世紀は東洋医学の時代」

なんていう言葉を目にしましたが、ホントにそうだと思います。色んな意味で。

・・・ただこのキャッチコピー、一見いいんだけど、本当は「東洋医学」の前に”確かな”を入れるべきです。

治療に鍼灸を使ったから、漢方を使ったから即東洋医学、ではなく、それらをキチッと、東洋医学が本来持つ意味、意義を分かった上で使いこなせる人間が使って、

初めて「東洋医学の時代」と言えるんだと思います。

エラソーに言ってますが、もちろん僕もまだまだ精進しなくては、ですがネ・・・。

・・・ちょっと話がそれたけど、「七情」のまとめとしては、要するにバランスが大事で、「過不足」がなければ問題ないんだから、しっかりとした自分を持って、

 

日々伸び伸びと生きていこう、感情を変に抑えずに「普通に」表現していこう、そうすりゃ病気にならないで済むよ、ということです。

・・・そんなの難しいから出来ない?(苦笑)

ちょっとは努力しましょうよ。

人生は一回コッキリです。(笑)

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「驚」について

2010.02.05

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七情シリーズ、ラストは「驚」についてです。

「驚」という感情は、前回の「恐」という感情とセットで書かれることが多いです。

「恐」について 参照

ダメージがいく臓は「心」と「腎」であります。

 

【参考】

燎原『基礎中医学』P118

『黄帝内経素問 経脉別論(21)』「・・有所驚恐.喘出於肺.淫氣傷心.・・」「・・驚而奪精.汗出於心.・・」

『同 挙痛論(39)』「・・驚則心無所倚.神無所歸.慮無所定.故氣亂矣.・・」

 

 

また、「心の臓」「腎の臓」以外にも、少陽、陽明、少陰、肝の熱など、あらゆる病機で、「驚」という現象が起こることを、『黄帝内経』では教えてくれております。

 


また、当然ながら「驚」「恐」の両者は違います。

「驚」・・・驚く、という感情は、多くは一過性のものです。

ある事柄があって、それに対して2年も3年も継続してずーっと驚き続けている人、見たことあります?

それとか、

「今まさに驚いているところです。」

ということを、驚いている最中に人に話したり、出来ますか?

・・・というのは、例えば物陰から急に飛び出して

「ワッ!」

と脅かされた場合、一瞬、

「うわっ。」

となって「驚」という感情変化をし、その後、腰が抜けたり、ドキドキしたりしますが、すぐに落ち着きますよね?

その直後に大体みんな、

「あ~ビックリ”した”~!!」

っていうのは、すでに過去の話ですよね?

それを考えれば分かるように、「驚」という感情変化は、それ自体が「一過性のもの」という特徴を持っています。

 

それに対して「恐」・・恐れる、という感情は、その対象に対して徐々に蓄積されたり、逃れようのない過去のトラウマ(心の傷)に起因していたりします。

ただし、じゃあ「驚」の方が体に与える影響が軽いかと言うと、そうではありません。

「一過性」であるだけに「慣れにくい」という面があり、同じパターンの事柄に何度も「驚く」という面があります。

また、最初に書いたように、「驚」「腎の臓」にも悪影響を与えつつ、「心の臓」にも悪影響を与えます。

「心」については「喜」のところで出てきました。

 ☞ 「喜」について 参照

「驚」は主に「心」の、正常な思考をつかさどる機能を障害するため、驚いた時、ドキドキし、訳のわからない行動や言動をしたりする訳ですね。

それを考えると「驚」「恐」もイヤなもんですねえ・・。(苦笑)

そしてこれら2つが、時にセットで生じて、人体の正常な状態を犯す、と東洋医学では考える訳です。

ちなみに、『黄帝内経 素問』挙痛論(39)という項には、

「驚けば気が乱れる」

という記載が出てきます。

 

逆に言うと、何らかの別の原因で「心の臓」や「腎の臓」が弱っていたり、他臓とのバランスが悪くなっていたりすれば、大したことない刺激にも「驚きやすく」なってしまい、

 

全身の気の流れが乱れやすくなってしまいます。

 

これが酷くなれば、いわゆる「精神病」と言われるような状態となっていきます。

また、デカルト科学で有名なデカルトさん(1596-1650)は、その最後の著作である『情念論』の中で、”基本6情念”なるものを定義し、

 

そのトップに「驚(驚き)」を挙げています。

この”基本6情念”というのは、デカルトさん曰く、あらゆる情念の基本となるものとし、色で言えば原色にあたるもの、と考えているようです。

それのトップに「驚」がきているのは大変興味深いですね。

・・・まあ、これ以上は難しくなるので解説はしませんが、興味ある人は読んでみて下さい。(笑)

次回は、「七情について」を、簡単にまとめてみようと思います。

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「思」について

2010.02.02

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七情シリーズ、続いて「思」についてです。

人間は普通、何か行動する時、常にその前にそれを、

「しようと思って」、

行動する訳ですよね?

これが思慮「深い」行動だと、人様から高く評価されたり、思慮が「浅い」行動をして、争いごとの種になったりすること、ありますよね??

しかし、東洋医学では、思慮深かったら無条件にイイ!という訳ではなく、「思慮過度」と言って、思慮しすぎてもいけないし、思慮が不足し、

 

遂げられなくても、体に悪影響だ、と考えます。

(ここでもやっぱり、問題は”過不足”、”バランスの不調和”です。)


「思」という感情は、東洋医学では五臓の中の「脾」という臓に悪影響を与え、食欲不振やお腹が張る、といった、様々な症状を出します。

(これは西洋医学の脾臓=spleenとは違いますよ!僕はこれを何度でも言います!)

 

【参考】

『素問 陰陽応象大論(5)』「・・在志爲思.・・」

『同 五運行大論萹(67)』「・・其志爲思.・・」


・・・まあ、クヨクヨ思い悩んで、食欲不振や消化不良、こういう経験、思い当たる人も多いのでは?

ちなみに東洋医学の言う「脾」というのは、いわゆる現代医学の言う、「胃腸の働き」そのものを指して言うことが多いです。

さらに、東洋医学では、短期記憶や、血流そのものや、血の生成などにも大いに関与する、と考えます。


(ざっくり言うとね。)


また、「思えば気が結す」と言って、思い悩んだ状態が長く続くと、全身の血行が悪くなり、ひどければ出血傾向(不正出血、鼻血etc..)の原因にもなります。

 

(『黄帝内経素問 挙痛論(39)』「・・思則氣結.・・」)


また、飲食の不摂生などによって、先に「脾の臓」(胃腸の働き)が弱って、結果として精神的に思い患いやすくなる、という

「逆のパターン」

もあります。

(これけっこう大事!)

現代人は、食生活のメチャクチャな人があまりにも多い気がします。

(時間といい、食べてるモノといい、です。)

現代は、昔と違って、欲望のままに簡単に何でも食べるものが手に入る、まさに飽食の時代ですので、これが、あらゆる病の原因となっているケースは非常に多いと思います。

(しかも欧米型の、添加物、着色料満載の加工食品ばっかり!)

・・・気を付けたいものですね。(苦笑)

江戸時代中期、観相学(南北相法)で有名な水野南北(1760-1834)は、

「食は運命を左右する。」

と言って、節食こそが運気を好転させる秘訣だ、という意見を述べています。

彼がもし現代にいたら、現代人の食生活を見て、どういう感想を持つでしょうか・・・。(苦笑)

・・・次回は「悲」と「憂」についてです。

 

 

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「喜」について

2010.01.31

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今日は「喜」について書きます。

「喜」という感情なんて、あればあるほどイイに決まってんじゃん!

なければそりゃあ病気になるだろうけど、ある分には病気になんかなる訳ないじゃん!

・・・と思った方は、すでにして「喜」の少ない毎日なんじゃないかとお察しします。(苦笑)

まあそれは半分冗談ですが、東洋医学では、一見プラスに思える「喜」という感情も、過多になったり、過少になったりすれば体に不調を起こす、と考えます。

「喜」は基本的には(正常範囲ならば)「喜は気を緩める」「喜は気を下げる」と言って、精神的、肉体的な余分な緊張を緩和し、気を下げてくれます。

 

【参考】

『黄帝内経素問 挙痛論(39)』「・・喜則氣緩.・・」

『同 調経論(62)』「・・喜則氣下.・・」

ですから、強い緊張を強いられる仕事をされている方なんかは、定期的に「喜」という感情がどうしても必要です。

これが「笑い」であったり、恋人や家族との「安らぎの時」であったり、趣味や何かに「没頭する時間」であったり、人それぞれ違うでしょうが、

 

要は「満足感に浸る時間」のこと、と言えば分り易いかと思います。

・・・しかしこれも、「気が緩み”過ぎ”」になると問題です。

東洋医学では、「喜は心をやぶる」と言って、「喜」という感情が過度になると、五臓の中の「心」という臓に悪影響を及ぼす、

と考えます。

(ここでいう”心”は、西洋医学の言う心臓(Heart)のことじゃないよ!)

 

(因みに出典は『黄帝内経素問 陰陽応象大論(5)』です。)

特に「心」の機能のうち、主に正常な精神活動をつかさどる機能が障害されて、情緒不安定や精神異常、不眠など、様々な症状を引き起こす、と考えます。

ですから、東洋医学では、健康な人生には、好きなことをして、

「気が緩む」

時も必要だけど、ここ一番、

「ピシッと緊張する」

時も人間には必要だ、と考えている訳です。

これもやっぱりバランスなんです。

・・・なるほど、確かにそうですよね?

自身の日々を振り返った時、実感される方も多いのではないでしょうか?

・・・ところで、今回は“緊張”と”緩和”の話になりましたが、

「緊張と緩和の法則」

と言えば、落語会の巨人である2代目桂枝雀さん(1939-1999)が提唱した「笑いの法則」ですね。

知ってる人は知ってるでしょうが、人は緊張する場面で、それが緩和する時笑うのだ、というやつですね。

東洋医学では、「笑い」という感情表現も「心(しん)」の働きと関与する、と考えます。

 

【参考】

『黄帝内経素問 陰陽応象大論(5)』「・・在聲爲笑.・・」

『同 調経論(62)』「・・神有餘則笑不休.・・」

『霊枢 本神(8)』「・・心氣虚則悲.實則笑不休.・・」 など

 

お笑い番組や落語を見ていて「笑う」という現象を東洋医学的に考えると、

まず面白いものを見て「喜び」、
  ↓
そして「気が緩み」、
  ↓
それにより「心(しん)」が正常に働いた結果、
  ↓
「笑う」

となる訳です。

・・・ま、そんなこと考えながらバラエティー番組見てる人もいないけど。(笑)

東洋医学ではこのように、五臓(肝・心・脾・肺・腎)が、それぞれある感情、ある感情表現にも関与している、と考えています。

そこらへんの話も、そのうち書こうかな。


では次回は「思」についてです。

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「怒」について

2010.01.30

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日常で、「怒」という感情を感じること、ありますよね??

ちなみに僕はほぼ毎日あります(苦笑)

・・・ただ、大事なのは、不愉快なことがあった時にこの「怒」という感情を感じること自体はまったく普通(当たり前)のことであり、

いたって健康的なことです。

これが過度になったり、変に我慢したりすると体に悪影響が出る、と東洋医学では指摘しています。

よく「怒」という感情を感じた時、「頭に来る」とか、「てっぺんに来る」とか、あるいは「怒髪天を衝く」なんて言い方、ありますよね。

これは要するに、体の上部に「気」が集まる、つまり上半身、頭部にのぼせる、ということを言っております。

 

こういった記載は、『黄帝内経』の中にも出てきます。

 

【参考】

『素問 挙痛論(39)』「・・怒則氣上・・」「・・怒則氣逆・・」

『霊枢 邪気蔵府病形(4)』「・・若有所大怒.氣上而不下.・・」

『霊枢 五変(46)』「・・怒則氣上逆.・・」、)

だから怒ってばかりいる人は「気」が頭部で渋滞を起こした結果、頭部の血行が悪くなって、鬱滞して鬱熱を生じ、結果的にハゲやすいんです。

(苦笑・・これは半分冗談、半分本気です。)


また、東洋医学には、

「怒は肝(かん)をやぶる」

という言葉があります。

 

『黄帝内経素問 陰陽応象大論(5)』です。)

面白いですね。感情の種類によって、ダメージを受ける部分が違う、という考え方は、現代の最先端の脳科学にも通じるものがあるそうです。


とはいえ、まあいつも言いますが、ここで注意しなくてはいけないのは、東洋医学の「肝の臓」と、西洋医学の「肝臓=liver」は別物だ、ということです。

 ☞ 「五臓六腑(ごぞうろっぷ)」って何ですか?   参照

 

ですので、怒ってばっかりいる人が西洋医学的に肝炎や肝硬変になりやすい、という訳では無いです。

 

 

東洋医学の言う「肝の臓」の病変を発症しやすい、ということです。

 


この場合、東洋医学の言う「肝」の色々な機能のうち、特に

「全身にバランスよく気血を巡らせる働き(中医学のいう”疏泄(そせつ)”の働き)」

が低下し、頭痛やめまいなどなど、上半身を中心に、全身の様々な症状が出てくることが多いように思います。

毎日患者さんを診ていますと、この「肝の臓」の異常によって症状を出している患者さんが、非常に多いです。

 

(ほとんどと言ってもいいと思います。)

現代人は、怒り過ぎ、あるいは我慢しすぎなんでしょうかね・・。(苦笑)

愉快なことがあれば、その分不愉快なこともある、これは当り前の話です。

それに対して「普通に」怒れる日々を送りたいですね。

(・・・コレがなかなか難しいんだけどネ(笑))

次回は「喜」についてです。

 

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「七情」って何ですか?

2010.01.29

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東洋医学では、常に人間の「心」の問題と、「体」の問題との関係性に注目して、この両者を分けずに、医学理論を構築しています。

 

 

講義などで、このことを「身心一如(しんじんいちにょ)」と言って説明することがしばしばあります。

 

 

因みにこの「身心一如」という言葉は、元々は東洋医学の言葉ではなく、仏教の言葉であるようで、日本人では道元(1200-1253)の主著である『正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)』の中でよく語られる言葉で、

 

そのもとは、中国唐代の禅僧である南陽慧忠(なんようえちゅう 675-775)の語である「身心一如、身外無余」という言葉が先なんだとか。

 

岩波『仏教辞典 第二版』P573 参照)


・・・人間の感情って、色々ありますよね?

時には怒ったり、泣いたり、笑ったり、憎んだり、恨んだりと、日々様々に変化します。

そういう人間の感情を、東洋医学ではサクッと7つにまとめています。

 


それを「七情(しちじょう)」と言います。

 

 

その内訳は・・


怒(ど)・・・怒る

喜(き)・・・喜ぶ

思(し)・・・思い悩む

悲(ひ)・・・悲しむ

憂(ゆう)・・・憂う

恐(きょう)・・・恐れる

驚(きょう)・・・驚く


の7つです。


当然、これ以外にも人間の感情というのは数え切れないほどある訳で、東洋医学の聖典と言われる、

『黄帝内経(こうていだいけい・・・約2500年前の世界最古の医学書)』

では、この7つ以外にも少し挙げているんですが、現代の中医学の教科書では、人間の体に、特にマイナスの影響を与えやすい感情として、この7つを挙げております。

 

(燎原『基礎中医学』P114 参照)



「七情」
という言葉には、実はまた別の感情を取り上げた分類もあったりするのですが、ここでは、現代中医学がオーソドックスに採用している、

上記の7つについて紹介します。

・・・「マイナスの影響を与えやすい」といっても、上記の7つの感情を過不足なく、バランス良く感じている分には、まったくの正常な状態であり、

 

健康を害することはありません。


しかし、何かのきっかけで、怒りすぎたり、恐れすぎたり、常にどれか一つの感情に偏ったり、あるいはどれかが足らなかったりすると、

「病気」になる、と考えます。

ここでもやはり東洋医学はバランスを重要視する訳ですね。

また、面白いことに、これらの感情の一つ一つの過不足が、それぞれ具体的に、体のどういう機能に悪影響か、ということについてまで言及しています。


次回から、そのことについて紹介していこうと思います。

 

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