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2010.01.26
清明院では、「一本の鍼の効果」というものに、大変こだわっております。
これはなぜかというと、一本の鍼で患者さんがどのように変化したかを正確に捕まえることによって、自分の診断が正しかったかどうかが明確になり、
正しくなかった場合は「どこがどう」間違っていたかがハッキリするためです。
あっちもこっちも鍼を打ってしまうと、患者さんの肉体的な負担が増える上に、治療の焦点がボケるため、何が効いてて、何が効いてないかを考えることが非常に難しくなります。
(しかしもちろん、そのやり方でも治ることはあります。その場合はいいのですが、大事なのはむしろ治らなかった場合だ、と僕は考えています。)
ですので、まったくごまかしのきかない治療であります。
「鍼の究極は一本だ!」というのは藤本蓮風先生の言葉ですが、僕も全くその通りだと思います。
・・・これまでこのブログに書いてきたように、患者さんの「陰陽」のアンバランスを整えるのが鍼灸治療だ、という考え方で、「五臓六腑」だとか「邪気」だとかいう存在を意識して治療を行う場合に、
問題点を色々な方法で絞り込んで絞り込んで、突き詰めていくと、最終的には二者択一になる、というのは当然のことだと思います。
結局、それが一番シャープな変化を患者さんの体に起こさしめる訳ですね。
毎日患者さんを治療していると、このことを非常に実感します。
あっちこっちいじくり回した結果、結局治らなかった、あるいは治ったけども、いま一つどうしてだか分からない、という苦い経験を、僕は何度もしています。
今日も明日も、「一本の鍼の効果」というものを凝視し続けようと思います。
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2010.01.20
前回は、「寒燥」についてのお話をしました。
今回はその逆の「湿熱(しつねつ)」について書いてみようと思います。
最近の気候は、前回述べたように、まさに「寒燥」という感じであります。
それとまったく逆なので、時期外れのように感じますが、日々、患者さんを診ていますと、今の「寒燥」の時期であっても、この「湿熱」という邪気が問題になることがあります。
・・・コレ、なぜでしょうか?
これは、現代の食生活と、発達した空調機器に、問題の中心があるのではないかと愚考しています。
◆「湿」について
「湿邪(しつじゃ)」というのは、外界では湿度の高さ、人体内では水分の停滞が過剰に存在することで、人体に病的な異常を起こす「邪気」の一つであり、
性質の上から「陰邪」に分類されます。
つまり、「湿邪」というのは、平た~く言うと、
「余分なお水」
を意味しますので、単純に水分(お酒も含む)の摂り過ぎ、あるいは食べすぎで胃腸が弱った場合にも、水分がうまく捌けなくなって、結果として体内に「湿邪」が生じます。
体外の「余分なお水」は、というと梅雨時期や夏場のムシムシ、ジメジメした時期に湿度が高くなる、まさにあれのことです。
(もちろんそれが人体に悪影響を及ぼした時に、”湿邪”という邪気として認識する訳ですね)
◆「熱」について
それに対して「熱邪(ねつじゃ)」というのは性質的には「陽邪」に分類され、からだの内外に存在する”余分な熱”のことを言います。
ここで勘違いしてほしくないのは、現代人は「熱」と聞けばすぐ体温の「発熱」を想像しますが、東洋医学の言う「熱」というのはそれだけではなく、
ある種の咽喉の渇きや便秘、過食傾向、またカゼや感染症の原因などになるもの(邪気)として「熱邪」というものを位置づけています。
こういう、東洋医学と西洋医学の概念の混同が、東洋医学が正確に理解されにくい原因の一つだったりします。
前もこんなようなこと言ったかもしんないけど、カゼひいて熱がある人をみた時に、「すごい熱だね~」ではなく、
「体温がHOTだね~。」
とか、
「HEATだね~。」
とか言ってくれれば、混同されにくいのにな~・・と思います。(笑)
体外の「熱邪」は、というと、夏場の暑い時期や、冬場でも過剰な暖房などで不快なほど熱すぎる状況の時に、人体に悪影響を及ぼした時に「熱邪」と考えます。
(分かりやすく言うとね。)
この2つ、「湿邪」と「熱邪」が合体したものを、東洋医学では「湿熱の邪気」と呼び、「寒燥」と同じように、陰邪と陽邪ががうまいことバランスをとっている、邪気の中でも「手強い奴」な訳です。
現代は、外が寒くて乾燥していれば、家の中は暖房と加湿器を使って快適を得ようとします。
しかしやりすぎれば、秋冬なのに「ムシ熱い室内」になってしまいかねません。
そうなれば「寒燥」ではなく、季節外れの「湿熱」の病になりやすくなります。
また冬場は、寒いからと、あまり外に出歩くことも少ない人が多く、運動不足になりやすく、忘年会や新年会などで、暴飲暴食、過食傾向になりやすいです。
こうなると胃腸は弱り、水分が捌き切れず、体内に余分なお水である「湿邪」が増えます。
さらに、汗もかきにくい時期ですので、体内の余分な「熱邪」を汗によってうまく排出(発散)することも出来ず、結果、体内に「湿熱の邪気」が生じてしまう場合があります。
こうして現代では、冬場なのに「湿熱」の病が問題になることがある訳です。
「湿熱」については、大変面白い部分でもありますので、もっと細かく書こうかなとも思うのですが、時期的に梅雨時期とかの方が実感しやすいかな、
と思うので、その頃になったら、また詳しく述べてみようかなー、と思っています。
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2010.01.19
それにしても、最近寒いし、空気が乾燥してますねー。
東洋医学では、空気の乾燥が人体に悪影響を与えることを「燥邪(そうじゃ)」と呼んで問題視する、ということは以前このブログでも紹介しました。
「乾燥」に強い清明院 参照
ではこの「寒さ」の方はどうか、というと、こちらも、もし人体に悪影響を与えたならば、病の原因の一つと考え、東洋医学では、「寒邪(かんじゃ)」と呼んで問題視しています。
最近はこれら2つが合わさっていますね。
すなわち「乾燥」ではなく「寒燥」の日々です。
最近の寒さや乾燥によってかぜをひいたり、体調を崩したりした場合、東洋医学では、「寒邪と燥邪」によって「正気(せいき・・・人体の正常な気)」の働きが阻害されたもの、と考え、治療します。
この場合、治療するにあたって、厄介なことがあります。
東洋医学は何でも陰陽に分けますが、「邪気」にも、「陽邪」と「陰邪」の2種類があります。
性質の上から、「寒邪」は陰、「燥邪」は陽、と分類されます。
となると、「寒(陰)」と「燥(陽)」の合体した「寒燥の邪気」というものは、邪気の中でもある意味、陰陽のバランスのとれた、「手強い奴」なんです。
通常、極端な「冷え」であれば積極的に温めればいいわけだし、極端な「熱」であれば積極的に冷ませばいい、というのは誰が考えても分かりやすいと思います。
ところが、邪気がその両面の性質を持つ場合、
「この二者がどういうバランスで人体に悪影響を与えたか」
ということをよく分析して、明らかにした上で治療しないと、ミスを犯す場合があります。
「寒燥の邪気」の例で言うと、「寒邪」による「冷え」が中心なのか、「燥邪」による「乾き、乾燥」が中心なのかで、治療のやり方や、養生指導が変わってきます。
単純に、
「冷えたんだから温めりゃいい!」
・・・と考えて温めてみたら、咽がチリチリに乾燥して全然治らんかった、とか、
「乾燥してんだから潤せばいい!」
・・・とか言って飲み物飲みまくってたら、体が冷えちゃって全然治らんかった、ということになります。
(経験のある方もいるのでは?)
冷えが中心であれば、温まるように治療し、乾きが中心であればからだが潤う(必要な水分を取り込み、不要な水分を排出する力を高める)ように治療するのが東洋医学です。
・・・結局、健康な人体のバランスをキチッと整えるためには、からだ側(正気)のバランスと、それを阻害する因子(邪気)のバランスを正確に把握できてないと難しい、ということです。
東洋医学ではそれをキチッと把握する「学」と「術」を、数千年に渡って研究し続けて、膨大な成功例、失敗例を集積し、もっとも確からしい理論を採用し、現代に伝えています。
非常に信憑性の高い医学だと思います。
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2010.01.08
たまーに、治療の予約が入っている患者さんから、その日になって電話がかかってきて、
「ちょっと風邪ひいちゃったみたいで熱があるんですけど、鍼しても大丈夫なんでしょうか?」
と聞かれることがあります。
僕の答えは当然、
「もちろん大丈夫です。高熱で、歩くのもお辛いような状態じゃないのであればお越しください。鍼にはむしろ熱を早く下げる効果もあります。」
と、答えています。
ここでもし、
「いやあ、歩くのもつらい状態なんですけど…。」
と言われてしまったら、そのときの状態(症状)を電話で聞ける限り聞き、出来る限りの養生のやり方をお伝えするか、
場合によっては救急で病院に行ってもらうのを勧めることもあります。
・・・一般的には、発熱時は鍼灸はやっちゃダメ!という認識が根強くあるようです。
鍼灸学校で使われる『はりきゅう理論』という教科書では、鍼灸施術の禁忌として「⑤高熱症状を呈している場合」という表現で記載されています。(旧版P28)
(ある意味、微熱ならいいってことですね。)
なぜこうなのかについてはまた今度語ることにして、東洋医学では、数千年も前から、風邪のみならず、熱の出る病気に対しては、あらゆる考え方や方法論が試されています。
もちろん、古代中国には水銀式の体温計はなかった訳ですから、医者が患者の体を触っての熱感をもって、治療、診断の対象にしています。
そういうものに対して、ちゃんと鍼灸や漢方で対応し、結果を出してきたと、あらゆる文献に残っていますし、現代でも、中国や韓国などでは、
風邪をひいて発熱したときに鍼するなんてことは、別に当り前のことだそうです。
(韓国では、風邪をひいて発熱した時は、家庭にある鍼で自分で治療を行う、とか、中国でも、高熱を出してぐったりしている状態で中医学の病院に普通に運ばれてくる、なんて話も聞いたことがあります。)
また、(公社)全日本鍼灸学会の鍼灸論文検索サイト「JACRiD」で「発熱」と検索すると、この通り、いくつかの論文が出てきます。
ここで、
「風邪をひいて熱が上がっている状態」
というのを、東洋医学でどう考えるかというと、外から入ってきた冷えや異物(邪気と呼びます)に対し、患者さんの体の恒常性を保とうとする力(正気)が、
邪気を排出しようと一生懸命戦っている状態、と考えます。
ということは、体の「陰陽」のアンバランスを整えて、「治る力」を増強する鍼灸治療は、体にしてみたら、この戦いの強い味方なんです。
よって、熱があっても鍼して全然問題ない、むしろやるべき!という風に、僕は考えています。
ちなみに、今日来た患者さんでも、風邪をひいて38℃弱発熱している方がおられましたが、治療後体温を計ってみると、多量の発汗とともに36.6℃まで下がっていました。
・・・信じられないかもしれませんが、まあ、事実だからしょうがないですね。(笑)
効くものは効きます。
(ただ、断わっておきますがどんな発熱でも鍼すれば間違いなくその場で下がる訳ではないですよ。誤解なきように!)
ですから、最近話題になった新型インフルエンザなんかも、鍼では全くお手上げかというと、学術的には全然そんなことないです。
しかし、ああいった感染力の強い、未知の感染症の場合は、保健所への届け出等、法律的な問題も関与してきますので、
現状の日本の一般の鍼灸院で診るケース自体が少ない、ない、ということなんです。
・・・ちなみに、今日書いたのは、あくまでも僕が思う、「東洋医学的に正しい鍼灸」をやった場合においての話です。
皆様に、この医学に対する「正しい」認識をどうか持っていただきたい、と思っています。
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2009.12.30
東洋医学には、「瞑眩(メンケン)」という言葉があります。
(なぜか、「メイゲン」とは読みません。)
これは何かというと、
①服薬後に一時的に表れる種々の予期しない反応。例えば悪心、瞑眩、胸悶など
(『尚書(書経)』説命萹上「もし薬瞑眩せざれば、その疾癒えず」)
②頭がふらつき、目がくらみ、目を開けていられない症状のこと
だそうです。(燎原『漢方用語大辞典』P1173)
また、(一社)北辰会代表である藤本新風先生がかつて、藤本彰宣(あきのり)名義で、『鍼灸OSAKA』誌114号に、瞑眩に関して論考を書いたこともあります。
(鍼灸家、必ず読むべし!!)
「瞑眩」という熟語自体に、いわゆる「めまい」のような意味もある訳ですね。
清明院でも、患者さんから、
「鍼の直後は少しだるくなって眠くなるんだけど、翌朝えらく体がスッキリしてます。」
とか、痛みのある患者さんなんかで、
「鍼した後、帰る時に一度痛みが強くなったんだけど、次の日になったらすっかり痛みが取れていて驚いた。」
とか言われることがあります。
この、
「少しだるくなって、眠くなる」
であるとか、場合によっては
「一時的に症状が強くなる」
しかし、結果的には症状、及び全身状態の好転につながる状態を東洋医学では”メンケン”と言います。
・・・なぜ、こんなことが起こるんでしょうか?
東洋医学では「気」を動かし人体の「陰陽」のバランスを整え、「治る力」を最大化することによって、病気を治療します。
・・・ということは、何度も述べた通りです。
その結果、深い位置の病(五臓六腑の病)が浅い位置(皮膚、筋肉etc..)に浮き上がってくることがあります。
また、経験的には、もともと急性の病だったものが、治らずに慢性化してしまっているものは、治っていく過程の中で、一度急性の時の新鮮な状態に戻る場合があります。
この変化に関しては、こちらもある程度は予測できますが、具体的にどういった現象が、どの程度起こるか、ということまでピタリと当てるのは、
正直僕には、実際はなかなか難しいです。
上に紹介したように、「瞑眩」という字を見ても分かるように、「瞑」は瞑想の瞑で、「目をつむる」の意味があり、「眩」は「目がくらむ」ですから、
要は判断がつきにくい変化である、という意味があります。
そこで、こういった変化が、治療の失敗による「悪化」なのか、「メンケン」なのかを適切に判断する意味でも、
1.初診の時にしっかりと問診をとらせていただき、
2.しっかりと体表観察して「証」を立て、
3.その患者さんの病歴、体質などをキチッと踏まえておいた上で、
「治療」に入るということが極めて重要になります。
こうすることにより、患者さんの術後の変化が、「悪化」なのか「メンケン」なのかがハッキリする訳です。
ゆえに、「初診」はそういう意味でも大変重要であり、僕にとっては欠かすことのできない大事な段取りな訳です。
まあ、鍼灸治療を受けて、思わぬ変化が表れた場合は、慌てず騒がず、治療した先生に相談するといいと思います。
(ここで狼狽して、ガチャガチャいじくりまわすと、訳が分からなくなります。。。)
ちゃんとした先生であれば、適切に対応して下さるはずです。
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↓↓ ↓↓
2009.12.27
これは、たま~に患者さんから言われます。(苦笑)
・・・てゆーかコレ、フツーに若干失礼ですよね??
大体の場合は、ウチの鍼灸は痛くないよ、恐くないよ、という説明をした後に来るのがコレです。(苦笑)
まあ答えは当然、
「効きます。だから生活できてます。」
なんですが、要はコレってね、鍼灸治療を受けたことのない患者さんにとっての「鍼灸治療」とは、痛いところや凝ってるところを中心に、
全身に鍼を刺されまくり、灸をすえられまくり、拷問のような治療に耐えたのちに、凝りや痛みのとれた体をめでたくGET出来るもの、
という先入観+固定観念から、勝手にそういう風に想像しているのではないでしょうか?
であればそれは全然違います。
その認識は間違ってます。
少なくとも清明院では、そのような乱暴な治療はしませんし、治療の刺激は驚くほど軽いものです。
使う鍼は多くて3本程度、全身状態を詳しく診察したのちに、「ここぞ!」というところにピタッと鍼が入れば、痛みをまったく感じないか、
感じても蚊に刺された程度で、数秒で治まります。
そして、鍼を打ったまま数分、場合によっては数十分安静にしていると、体の冷えている部分は温まってきて、熱っぽい部分はスーッとしてきます。
そして、大体の患者さんは寝てしまいます。
それが、体の「気の流れ」「陰陽のアンバランス」が整っていく感覚であり、清明院が理想とする、刺鍼に対する反応であります。
これを繰り返していくことによって、あらゆる病に対応していきます。
きつい刺激を人体に与えることは、かえってマイナスになると思っています。
「じゃあ病院が行う外科手術は超キツイ刺激ですけど、人体にマイナスなんですか!?」
という突っ込みに対する答えは、
「はい、患部(例えば癌化した内臓)以外にとってはマイナスです。」
となります。
現代は麻酔の技術が発達しているため、手術に痛みを伴うことはありませんが、
とりたい組織をとるために、正常な組織を切り開いていく必要がありますので、切り開かれた正常な組織にとっては、要は大怪我をしたのと同じことです。
当然、癒着など、後遺症の原因になったりもします。
東洋医学が考案された時代は、麻酔の技術そのものがなかった訳ですから、医者のテーマは人体の「形態」ではなく、「機能」に相対的に焦点が当たっていたであろう、
という話は、以前お話しした通りです。
人体の「機能」を整える、すなわち、東洋医学の言う、「気」を上手に動かして「陰陽」のバランスを整える、最高にシンプルな道具が「鍼灸」なんです。
なので、むしろ刺激量が極力少ない「正確な」鍼の方が、気の動きが分散しないため、効くんです。
間違ったキツい鍼を何本刺しても、マイナスです。
お分かりいただけましたでしょうか?
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2009.12.20
(その1)では、現代人は水分を飲む量が多過ぎてることが多いように思う、というお話をしました。
今日はその続きとして、飲むものの種類(質)について考えてみたいと思います。
清明院では初診時、(一社)北辰会専用カルテを使用しています。
ここには、一日の水分摂取量と、尿の量の比較、また、カフェイン類(コーヒー、紅茶etc..)をどのくらい摂っているか、飲酒量と飲酒頻度はどうか、
などなど、詳しく質問事項が並べてあります。
「飲み物」というのは、当然それぞれの種類によって、体内に入った時に人体に及ぼす影響は異なります。
東洋医学では、単なる「水」でさえも、30種類程度に分類して考えている(ホジュンにも出てきましたね☆)ほど、飲み物が持つ作用というのは、
時には薬にもなり、時には毒にもなる、と考え、大変重要視しています。
つまり、飲み物の種類、量、出入りのバランス、体表所見や症状をトータルで考えて、摂取している水分がその人にとって余分な「毒」になる場合、
結果的に体内に「余分なお水」が増えてしまって、それが結果的に「ムクミ」となる訳です。
ここで、この世の全ての飲み物について解説することなど、到底出来ませんし、そういった専門書もたくさんありますので、ここでは、患者さん向けに、
おおよその傾向を述べますので、参考にしていただければ、と思います。
1.甘い飲み物(糖分の多いもの。たくさんありますね。)
・・・心身の緊張を緩め、少量、適量であれば胃腸には良い。しかし飲み過ぎればかえって胃腸を弱らせ、便秘、のぼせ、慢性の炎症などのもとになる。
2.苦い飲み物(コーヒーが代表選手かな。)
・・・これも心身の緊張を和らげ、適量であれば便秘やのぼせの解消に役立つ。しかし飲み過ぎればかえってのぼせて、全身的には冷える。
3.酸っぱい飲み物(果汁100%ジュースとか、ああいうのの甘くないやつね。)
・・・これは体を引き締め、シャキッとさせますが、飲み過ぎれば血行を悪くし、体を冷やします。
4.冷たいものがいいのか、温かいものがいいのか
・・・これはその人の体質によってケースバイケースなんですが、基本的には極端に冷たいもの、極端に熱いものは避けて、一気飲みはしないように、チビチビ飲むのが無難でしょう。
5.お酒は?
・・・お酒は「百薬の長」という言葉があるくらいで、適量であれば、心身の緊張をほぐし、血行を良くする作用があります。
問題は飲み過ぎた場合、胃腸、肝臓、腎臓、その他内臓を弱らせ、慢性炎症、その他様々な症状の原因、引き金になりえます。
まあ、もろ刃の剣ですな。(苦笑)
6.カフェイン類は?
・・・これは、ここぞ!という時に使うべきであって、日常的に常用、過飲するのはお勧めできません。常用していると徐々に体の上下のバランスを大いに崩すようです。
(いわゆる冷えのぼせみたいな状態ですね。)
・・・とまあ、超簡単にザックリと示してみました。
まだまだ挙げていけばキリがないんですが、結局は、量的にも質的にも「偏らない」ことがとても大事だ、ということです。
色々な物をバランスよく、しかも全体量として行き過ぎない程度に飲む、というのが理想なんです。
ちなみに、これは何も東洋医学独特の考え方でなく、現代の最先端の栄養学でも、ほぼ同じような結論に至っているようです。
よく知られた言葉で、「医食同源(いしょくどうげん)」という言葉があります。
(因みに「医食同源」という言葉自体は東洋医学にはないようですが。参考サイト)
上記のような飲食物の特性を知っていれば、体調が悪い時、何かを控えて、何かを多めに摂るだけで、特別に鍼灸、漢方で治療なんてしなくても、
自分で十分に対応できちゃいます。
まさに「未病を治す」ことが出来る訳です。
普段の自分自身の食生活の傾向を知っておくことは大変重要ですので、この機会によく見直してみるといいと思います。
調子の悪い人はたいがい「偏り」があるはずです。
まさに東洋医学のいう「陰陽」のアンバランスなんですね。
◆参考文献
『東方栄養新書』メディカルユーコン
『中国伝統医学による食材効能大事典』東洋学術出版社
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2009.12.16
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今日は、「四診」シリーズの一つとして、「腹診」について書こうと思います。
詳しく述べたらキリがなさすぎる診察法なので、簡単に紹介しますね。
・・・たまーに、初めて当院に来られた患者さんのおなかを診ていると、
「おなかの状態と私の症状と、何か関係あるんですか?」
という質問をいただくことがあります。
(苦笑・・滅多にいませんけどね。)
・・・まあでも、肩が悪けりゃ肩だけ、腰が悪けりゃ腰しか診ない医療に慣れている患者さんからすれば、当然の疑問でもありますよね。
東洋医学では、どこの病気であろうと、「全身の状態を調える」ことに主眼を置きます。
ですので、すべての内臓をしまっている「胸腹部、特に腹部」という部位は、重要な情報源であり、「腹診」は我々にとって欠かすことのできない診察法です。
まず、「脈診」で述べたのと同じように、東洋医学の腹診と西洋医学の腹診はこれまた診ている「モノ」が違います。
東洋医学の腹診では・・・
1.内臓の状況
(どの内臓(東洋医学的な“五臓六腑”)が弱っているか)
2.全身の前後、左右、上下のアンバランス
(体全体の大きな傾き、捻じれ、血行の偏り)
3.病気の程度、勢い
(病気そのものの進行状況、これからどうなっていくかetc..)
4.その患者さんの生活習慣の中で何が一番問題か
(飲食の不摂生なのか、精神的なストレスなのか、睡眠不足等の疲労なのか、あるいは冷えか、など)
・・・他にも挙げればキリがないんですが、「腹診」というのは、大体これぐらいの情報を、おなかを触ることによって一遍にキャッチします。
鋭い人は気付くと思いますが、上記1.~4.は、「脈診」で挙げた内容とほぼ同じですよね?
・・・そうなんです。
東洋医学の診察では、色々な診察法を、「合目的的に」重ね合わせて用いることによって、
「現段階で最も正すべき、東洋医学的なアンバランスの起こっている部分」
をより絞り込んでいくのです。
それらによってはじき出された、「今、一番戻さなきゃいけない全身的なアンバランスの根幹部分」つまり“現時点における病気の東洋医学的な本質、病態”を指して、「証(しょう)」と呼ぶわけです。
ちなみに、東洋医学における「腹診」は、歴史的には中国よりも、むしろ日本において、江戸時代を中心に、盛んに研究されてきました。
(一社)北辰会代表理事 藤本蓮風先生曰く、
「まさに、日本人は相手のハラを探ろうとしたわけや。」
腹部を触ることによって患者さんの深層心理を探ろうとした日本人・・・。
この藤本先生の考え方、大変面白いですね。
〇
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2009.12.15
先日、とある患者さんのお母様から、何気ない会話の中で嬉しいことを言われました。
母「先生の治療を受けるようになって、娘が見違えるように元気になりました!」
竹「あー、それは良かったですねー。」
母「こないだ娘がね、
「お母さん、なんか最近生きる気がしてきた!」
って私に言うんですよ~。ありがとうございます~。」
竹「・・・(一瞬沈黙)ああ~、それはいいことですね~!(笑)」
この会話の赤字部分に、僕はけっこう本気で感動しました。
面白いもので、対象者(この場合、患者さんご本人)から言われるよりも、第3者から言われる方が、人間の感情を揺さぶる効果は高いですね。
これがなぜ効果的なのか、という問題は今度語ることにして、たとえ癌とかアトピーとか、それ以外のいわゆる「難病」じゃなくても、病院で病名もつかず、
「ストレスでしょう」
とだけ言われ、様々な辛い症状を治らないまま抱えておられる患者さんにとっては、毎日がまさに生き地獄だったりします。
仕事もつまんない、友達もいない、恋人もいない、家族ともうまくいかない、体のあちこちに色々な症状がある・・・
「いったい私はなんで生きているんだろう・・・。」
とか、
「これから何を目標にして生きていったらいいんだろう・・・。」
とか、色々と悩み、しまいには、
「どうしたらここから逃げれるんだー!」
とか、
「何かにすがりたい―!」
とか、クヨクヨ、ウジウジと弱腰に考えてしまって、余計に悪循環に陥ってしまい、暗い日々を送っておられる患者さんを、多く見かけます。
そういう患者さんの多くを笑顔に変えることが、「鍼」には出来ると思います。
当然ですが、鍼にすがりゃあオールオーケーという意味ではないですよ。
誤解なきように!
自助努力が大切なのは言うまでもないです。
鍼は魔法ではなく、患者さん自身の「治る力」を手助けする大変優れたツールだ、ということです。
なぜそういうことが出来るかと言うと、東洋医学っていうのは、人間の「精神面も含めた」「全体的な」アンバランスを診る、正す、という観点を絶対にはずさないからなんだと思います。
ということは、人間の「心」と「体」も、分けて考えないんです。
西洋医学では心は心療内科、体は内科や外科、ですよね?
東洋医学では心と体を分解して考える、という考え方自体がそもそもありません。
専門的に言うと分ける考え方もありますが、それは便宜上分けてるだけで、結局は一つのもの、という考え方が貫かれています。
それを「心身一如(しんしんいちにょ)」と言います。
(「心身一如」自体はもともと禅の言葉)
体の治療即心の治療、心の治療即体の治療、という考えのもとに成り立った医学であるため、この医学に基づいて「治療」を施すと、体の症状が良くなるにつれて心も穏やかになってくる、
前向きになってくる、という現象がしばしば起こります。
心の問題以外にも、肩こりの治療をしてたら胃痛が治った、とか、頭痛の治療してたら生理痛も治った、とか、東洋医学には副産物がたくさん付いてきます(笑)
副作用どころか副効果、です。
それで、上記のような言葉につながる訳です。
「人生を変える一本の鍼」
・・・これって、素晴らしいことだと思いません??
いや~しかし、冒頭の赤字部分の言葉、あとからじわじわ来ます(笑)
東洋医学は、鍼はほんとにスゴイです。今日も明日も明後日も、鍼が出来る、させていただける、ということを、誇りに思います。
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2009.12.11
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これまでも書いてきたように、東洋医学は、人間の体に対して、西洋医学とは違う独特の捉え方をしています。
ですので、当然病人を診る時の診断方法も、西洋医学の方法とは異なります。
それらを「四診(ししん)」というのですが、これからこのブログで、何回かに分けて、それらを紹介していきたいと思います。
まずは「脈診(みゃくしん)」からです。
↓↓脈診というのは、手首の内側(親指側)にある、血管の拍動を調べる診断法です。
「それは西洋医学でも診ますけど・・・?」
と思った方もいるかもしれませんが、東洋医学の「脈診」は西洋医学のそれとは診ている「モノ」が違います。
西洋医学の脈診では、主に「脈の速さ」や「律動性」を確認するために診ます。
ここで問題にするのは1分間に何回打つか、途中で途切れたりしないか、です。
これにより主に心臓などの循環器系の異常を窺うわけですね。
それに対して東洋医学の方では、脈の速さはもちろん、脈を打つ時の手首の血管の硬さ、拍動を打っている位置、皮膚表面からの深さ、左右差、
勢いや力の有無なんかも含めて、細かく細かく、それらを同時に診ています。
それをすることによって何が分かるのかと言うと・・・
1.その患者さんの全身状態
(今現在どの程度体力が弱っているか、場合によっては患者本人に自覚がなくても、緊急の処置が必要な脈もあります。)
2.どの臓腑に一番負担がかかっているか
(これは脈だけでは言いきれないけれども、おおよその見当は付きます。)
3.日常生活における一番の問題点は何か
(飲食の不摂生なのか、睡眠不足なのか、精神的なストレスなのかなど、これも脈以外の診断法と併せて考えなければいけないけど、おおよその見当は付きます。)
4.体の上下、左右、前後におけるアンバランスが起こっている位置
(え?何で脈で??と思う人もいるかも知れませんが、東洋医学では、体のあらゆる部分を全身の縮図と考えます。ですので、脈も全身の縮図と考えています。
だから、足の裏だけで全身が治療出来るとか、耳だけで全身が治療できるとか、そういう発想があるわけです。
脈もしかりです。ただこれも、脈だけで判断するのではなく、それ以外のあらゆる診断法と組み合わせて判断していきます。)
5.病気の勢い
(その患者さんの病気が、おとなしく経過する病気か、どんどん悪化していく病気か、古い病気か、もう治りかけているかなど、他の診断法と併せて、総合的におおよその見当をつけます。)
上記以外にも、専門的なことを言えばいくらでもあるんですが、いい専門書がいくらでもあるし、難しくなるのでここでは省きます。
(難しいことは省いてばっかり(笑))
・・・まあ要するに、東洋医学の脈診は、西洋医学の脈診と違って、患者さんのその場その時の「全身の状態」に意識の中心を置いている、ということが言えると思います。
これがある程度分かるようになると、大変便利です。
やっぱり、その場その時の患者さんの状態が確認できない状況で鍼をする、というのは、大変恐いことです。
そのため、「脈診」は僕にとっては、毎回の治療において欠かすことの出来ない大事な診察法です。
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