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2018.01.11
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先日の鍼灸医学史研究会の後の懇親会で、尊敬している某先生と「五行」や『易』の話になった。
で、すぐに過去の論文を送っていただき、読ませていただいた。
10年前(2008年)の『季刊内経』の別刷で、内容は
「『難経』に罪はない」
というもの。
これは、当時の内経医学会の会長であった島田隆司先生への反対論文、という感じのもの。
(反対論文と言っても、この論文を書いた先生と、島田先生は普通に仲良いようですよ。仲いいけど、意見が違えば論文で主張し合う、いいことです。)
島田先生の『難経』へのご見解に対して、同意できる部分と出来ない部分を分けて、特に同意できない部分に関して、その理由を論じています。
非常に分かりやすく、陰陽五行の歴史、『難経』の内容をまとめてくれております。
今から15年くらい前、難経を1難から81難まですべて通読しましたが、その時に感じた一番の感想は、
「難経と言えば”五行”というイメージがあったけど、何これ、思いっきり”陰陽”の本じゃん!」
というところです。
私のその感想を、思い出させてくれました。
そして、陰陽調和を説くのに、なぜあそこまで五行論を縦横に用いるのか、『難経』が成立した歴史的背景から推測、考察しておられます。
〇
今年は、香川で、東京で、「胃の気の脈診」について講義します。
久々に『難経』の話を大いに盛り込んでいこうと思います。
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2017.12.04
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前回のお話
では続きいきます!!
◆『宋本傷寒論』の「辨陽明病脉證并治第八.」の条文
ここに、
「陽明病.口燥但欲漱水.不欲嚥者.此必衄.」
と、出てきます。
簡単に訳しますと、
「陽明病にかかって、口が乾燥するけど、すすぐだけで飲みたがらないものは、鼻血が出るはずだ。」
と言っています。
「陽明病」というのは、カゼがちょっと深く入ってしまったやつのことを指し、
「胃家実是也(いかじつこれなり)」
という言葉で言い表されます。
陽明病というのは、胃腸の実証病変を言う、というほどの意味です。
そして陽明病というのは、浅い位置から深い位置まで、熱が籠ったような病変が非常に多いのが特徴です。
胃腸の実熱を、深さに応じて上手に治療するのが、陽明病の治療の眼目でしょう。
この条文の場合は、口が乾くけど飲みたがらないということは、熱が胃の腑に籠ったわけではなくて、もっと上の部位の、陽明胃経の経絡上に籠ったことを示唆しています。
・・・で、内熱によって血脈が内から破けて、出血すると。
だからこれは「陽明病の変証」であり、熱が籠っている部位を特定し、綺麗に清熱しないといけません。
「太陽病」の時のように、単純に治る兆しとは考えない方がいいでしょう。
続く
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2017.11.25
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以前、「鼻血」についてチョコっと書きました。
鼻血の色々 参照
カゼの治りかけの時に、ドロッとした鼻血が出てスッキリしたとか、経験ある方も多いんじゃないでしょうか?
今日はもう少し専門的に、この「鼻血」という現象について考えてみましょう。
鼻血のことは東洋医学では「衄(じく)」「鼻衄(びじく)」と言います。
有名な『傷寒論』に、「衄」という記載が21カ所、散見されます。
『宋本傷寒論』の弁脉法のところに、
「趺陽脉浮.浮則爲虚.浮虚相搏.故令氣籌.言胃氣虚竭也.脉滑則爲噦.此爲醫咎.責虚取實.守空迫血.脉浮.鼻中燥者.必衄也.」
と出てきます。
これを簡単に訳すと、
『足背動脈の拍動が浮いてたら虚だよ。胃の気が弱ると気が上逆して嚥下困難が起こるよ。もし脈が滑でしゃっくりが出るのは医者の誤治によるものだよ。
虚を実として治療しちゃったからだよ。また、脈が浮いてて鼻の中が乾いていたら、鼻血が出るよ。』
という条文です。
まあここでは、足背動脈の拍動の状況を調べるという、珍しい脈の診方を提示してくれているところと、この場合の鼻血はちょっと良くないやつのことですね。
鼻の中が乾く理由は色々ありますが、正気の虚によって乾くとすれば津液の虚ですね。
理由は腎虚や脾虚など、色々考えられると思います。
とりわけ脾が弱っていると、鼻血に結び付きやすい。
続く。
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2017.11.11
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11月に入りますと、もう忘年会シーズンです。
清明院では、12月はバタバタするので、11月のうちに大きい忘年会は済ませてしまいます。
二十四節気でも立冬を過ぎ、四時陰陽の微石の脈を頭に置きながら治療にあたっています。
古代人は面白いとこ診てますねえ。
冬は収斂、収蔵の季節。
この時期の睡眠不足+暴飲暴食(特に酒)は、ヤバい場合があります。
それは冬に出なくても、春にとびかかってきます。
よくよく気をつけましょう。
(半分以上自戒。(苦笑))
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2017.10.21
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こないだ、何となく書き始めたシリーズ。
せっかくなんで、もう少し紹介しましょう。
患者 30代 男性
主訴 慢性扁桃炎による痰、咳、咽喉の異物感
随伴症状 咽喉の渇き、めまい
現病歴 清明院初診の3年前より発症。病院、漢方、鍼灸と、色々試したが良くならない。
(何か治療をすると、症状少し落ち着くが、完全には改善しない状況。ピーク時を比較すれば症状の強さは半分以下の状況)
既往歴 突発性難聴 慢性鼻炎
弁証 肺胃不和 湿痰
配穴 明らかにしない
経過 初診後、咳、痰が改善。
遠方であり、多忙でもあることから、漢方の先生の力を借りる。
(処方名は明らかにしない)
現在、経過良好。ほとんど崩れなくなっている。
他の治療院の鍼灸や漢方でダメでも、清明院のやり方考え方でならうまくいく症例、というのがある。
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2017.07.09
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これまでのお話
では続きいきます!!
◆もち米、東洋医学的にはどうか。
これまで書いてきたように、もち米のことを東洋医学では「糯米(だべい)」と呼びます。
糯米は、古くは単に「稲(イネ)」と呼ばれ、春秋戦国時代には、かの孔子が食養生に薦めたことで有名なようです。
そして、糯米の根やとぎ汁、ぬか、発芽した糯米にもそれぞれ薬効があると考えられており、重視されてきました。
ただ、前回述べたように、糯米は粘りが強く、消化に負荷がかかるため、小児や老人等、消化機能の低下した人には常食はあまりお勧めできません。
常食すると動悸、皮膚炎、眠気、酒とともに摂ると酔いが抜けにくくなるなどと、僕の好きな李時珍先生の『本草綱目』に書いてあります。
(上記の症状への解釈はまあ、熱化する、脾胃をいためる、というほどでいいんじゃないでしょうか。)
性味は温で甘、苦、臓腑では脾肺を養うといわれ、効能としては補中益気、温中止痢、止消渇、止汗とあります。
(肺を養うのが意外な気がしますが、経絡や東洋医学的な肺の生理を知っていると、なるほど、と分かります。)
脾虚による慢性の下利や脱肛、軽い貧血なんかには、お粥にして摂るといいようです。
(ただし、陰虚内熱型にはダメですよ☆)
温性であるため、内熱や陰虚のきつい人が食べてしまうと、状態を悪化させる恐れがありますね。
現代の研究では白濁尿の原因であるフィラリアや象皮病の原因であるマレー糸状虫(いずれも寄生虫の一種)に効くとか。
ちなみに、有名な漢方薬である「小建中湯」に含まれる重要な生薬である「膠飴(こうい)」、つまり水あめの原料は糯米粉(あるいは粳米粉や小麦粉)であり、
糯米から作った膠飴が一番いい、といわれているようです。
(温性、粘り気の観点で、他をリードしているのでしょう。)
桂枝湯の中の芍薬を倍にしたら桂枝加芍薬湯、それに膠飴(水あめ)を加えたら小建中湯、という、『傷寒論』を勉強していると良く出てくる言い回しがありますが、
膠飴は中焦と肺を温め潤しつつ、症状を緩和し、一部の毒を解毒してくれるわけですね。
続く
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2017.07.07
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これまでのお話
では続きいきます!!
◆白米、東洋医学的にはどうか。
今日は白米の東洋医学のお話。
かなり前にチョロッと書きましたが、東洋医学では白米(うるち米)のことは粳米(こうべい)といい、もち米のことは糯米(だべい)といいます。
もうあの記事から6年半も経っていることにひきましたが(苦笑)、今回はもう少し詳しく述べてみましょう。
粳米は性は平、五味は甘、苦であり、脾胃を養う、と言われます。
効能としては補中益氣、健脾和胃、徐煩渇、止痢、と言われます。
(要は胃腸、消化吸収機能をシャンとさせて、上下のアンバランスを調えるわけですな。)
しかし、当然ながら、粳米ばかりでは偏りますから、色々な食材を足しましょう、と、よく言われます。
家庭療法として面白いのが、鼻血が出た際に、米のとぎ汁を少し飲む(同時にゴマ油か大根の汁を点鼻する)とか、
乾煎りした米を煎じて飲み、夏バテや食欲不振や乳幼児の嘔吐に使ったり、お粥に蓮子を入れて不眠に使ったりと、
幅広い応用法があるようです。(゜o゜)
ただいずれにしても、お米のみ、という偏った摂り方は止めましょう、と言われます。
(まあ、別にそんなんしねーよ、って感じですがネ。(*‘∀‘))
次回はもち米(糯米)について考えてみましょう。
続く
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2017.07.03
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前回のお話
参照
では続きいきます!!
◆麦飯と東洋医学
東洋医学的に考えていく場合、麦飯は大麦を炊いたものですので、大麦について知らなければなりません。
大麦とは、人類最古の作物の一つと言われ、原産地は西アジアですが、9000年前のイラクの遺跡からも発見されたとか。
日本では飼料やビール、麦茶、麦芽糖、みそ、しょうゆ、焼酎の原料として利用されています。
まさに我々の生活になくてはならない作物ですね。(゜o゜)
東洋医学的には、五味は甘、鹹、性は微温(涼性という説もある)であり、気を下げ、潤す性質をもち、脾の臓、胃の腑、膀胱の腑を養うと言われます。
発芽した大麦(外皮が付いたモミ)は「麦芽」という生薬として、漢方薬に使われます。
効能としては清熱消渇、益気調中、凉血利水、強心養血、寛腸消積とあり、主に中焦(脾胃)を調整する効果があります。
現代の研究では、前回述べた血糖値降下に作用する以外にも、消化促進、有機リン解毒作用、潰瘍抑制作用も期待出来ると言われ、
こういうものを日常的に摂っていた日本人、サスガ、って感じです。(笑)
ただ、注意点としては消化にやや負荷がかかるため、胃腸の虚弱な人や下痢しやすい老人や小児は、控えめに摂った方が良いでしょう、という感じです。
因みに、「大麦の苗」は一部の青汁の原料にもなっており、熱証、湿熱証の人は積極的にとるべきものですが、これも、
冷えのキツイ「陽虚」型の人は気を付けるべきでしょう。
このように、体にいいからと言って摂りすぎるのは問題ですが、西洋医学的に血糖値の問題といい、東洋医学的に内熱の問題といい、
胃腸虚弱やキツイ冷え体質でもない限り、現代人は白米に麦を混ぜた方が良い気がしてなりません。
続く
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2017.06.11
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これまでのお話
糖尿病と東洋医学 2 参照
では続きいきましょう!!
◆三多と三焦での分類
『実用中医内科学』によれば、消渇の特徴的な病変は
多飲、多食、多尿
の「三多」が中心であり、病が進んでいくと
消痩、尿が甘くなる
などの病変が現れるそうです。
中医における消渇は、西洋医学の糖尿病のみならず、尿崩症(※)も包括した概念であるそうです。
※尿崩症・・・様々な原因で多尿となり、必要な水分まで排泄されてしまい、体内の水分のバランスを崩し、皮膚乾燥や口渇、ひどくなれば脱水、低血圧、意識障害などを呈する病気。
また、よく消渇は「上消渇」「中消渇」「下消渇」と、上焦、中焦、下焦のどこに病変が集中するかで分けられます。
上消渇は「肺の蔵」、中消渇は「脾の臓」「胃の腑」、下消渇は「腎の臓」が、病変の中心となります。
心包・三焦 参照
とりわけ、消渇は本質的には「腎の病」を治療することに主眼が置かれます。
熱がこもって、陰液を消耗すると、最終的には腎にしわ寄せが来やすいのですね。
こういう特徴があると、いきおい、西洋医学の腎臓と、東洋医学の腎の臓を結びつけて論じたくなりますが、何度も書いているように、臨床的にはそのように短絡しない方が正解です。(*‘∀‘)
続く
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2017.05.12
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本日、一時的ではありましたが、清明院のブログ(院長ブログ、スタッフブログともに)の記事が全て消えるという
実にコワ~い事態がありました。
約8年書いてて初めてです。(゜o゜)
当然、毎日、全てのデータは管理会社と清明院の両方でバックアップしていますので、問題なかったんですが、こええ~
超こええ~~
・・・ですので、今日僕が一生懸命書いた胃の気の脈診の第3弾は消え去りました!!orz
我ながらいい記事だったのに。。。
うー、もう一回書くのめんどくせえ~~~
今日はもう、呑んで寝る~~~(゚∀゚)
ガルルー
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2012.07.08
2016.05.09
2016.04.12
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2015.06.04
2012.12.23
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2024年4月の活動記録2024.05.01
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(一社)北辰会、組織再編。2024.04.02
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2024年2月の活動記録2024.03.01
2024年 3月の診療日時2024.02.15
2.17(土)ドクターズプライムアカデミアで喋ります!2024.02.04
3.10(日)(公社)群馬県鍼灸師会で講演します!2024.02.03
3.3(日)「浅川ゼミ会」にて講演します!2024.02.02
2024年1月の活動記録2024.02.01
2.25(日)順天堂東医研、第5回特別公開シンポジウム「日本とインドの伝統医学」に登壇します!!2024.02.01
2024年 2月の診療日時2024.01.11
2023年、9月~年末の活動一覧2024.01.05
診療再開!!2024.01.01
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2023年、鍼療納め!!2023.12.21
(一社)北辰会、冬季研修会のお知らせ2023.12.01
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患者さんの声(60代女性 背部、頚部の痒み、首肩凝り、高血圧、夜間尿)2023.11.25
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12.3(日)市民公開講座、申し込み締め切り迫る!!2023.11.21
今週からの講演スケジュール2023.11.16
日本東方医学会学術大会、申し込み締め切り迫る!!2023.11.01
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清明院14周年!!2023.10.04
12.3(日)市民公開講座やります!!2023.10.01
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第41回、日本東方医学会学術大会のお知らせ2023.09.22
第55回、順天堂東医研に参加してきました!2023.09.21
第27回、日本病院総合診療医学会で発表してきました!!2023.09.20
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診療再開!!2023.08.01
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第53回、順天堂東医研に参加してきました!2023.07.23
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Dr’s Prime Academiaで喋ってきました!2023.07.21
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第52回、順天堂東医研で喋ってきました!!2023.06.08
第14回 日本プライマリ・ケア連合学会学術大会に登壇しました。2023.06.01
2023年 6月の診療日時2023.05.31
日本東方医学会、医鍼薬地域連携研究会(DAPA)について2023.05.30
生薬観察登山に行ってきました!