東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学 3

2018.02.16

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前回のお話

 

暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学

暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学 2   参照

 

 

では続きいきましょう。

 

 

◆暈厥の弁証

 

 

暈厥には、どんな証が考えられるかというと、以下の通り。

 

1.気虚

2.血虚

3.血気上逆

4.肝陽上亢

5.痰濁上擾

6.暑熱

 

『症状による中医診断と治療』には、以上の6つが挙げられています。

 

(成書によっては、多少多かったり、少なかったりする場合があります。)

 

 

1.2.は虚証、3.4.は肝の病変、5.6.は実証です。

 

 

臓腑では「肝の臓」の異常が中心であり、病態に虚実あり、ということですね。

 

 

だから、一口に暈厥とっても、治療法は、倒れたメカニズムによってそれぞれです。

 

 

もし失敗すれば悪化して、深刻な状態になることも考えられます。

 

 

ですので、やはり「的確な診断」が重要です。

 

 

・・・で、こないだの先輩のケースはどれに該当するかな~・・・、と考えていく訳ですが、ここ(成書)に挙げられているのはあくまでもひな形的なパターンの羅列であって、

 

これらが時には複合的に、あるいはここに書かれていないパターンでも、暈厥は起こってきます。

 

 

ですので、あまり上記の弁証分類に縛られ過ぎて、無理やり当てはめて考えるのも、失敗のもとだったりします。

 

(教条主義を排す、ってやつね。)

 

 

また北辰会方式としては、どういった機序(病因病理)で、上記の証による暈厥に至ったのか、の把握が重要でしょう。

 

(これは、予後にも関わるからです。)

 

 

まあ、あくまでも実際の体表所見、当日の患者像を参考に、何が起こったのかを考えるべきだと思います。

 

 

そういったことを十分に鑑みつつ、慎重に考えると、あの日、その先輩は倒れる直前に、ホテルの豪華な食事を、普段よりも多くとり、普段ほとんど飲まない酒(ビール)も多く飲んでいました。

 

(瓶ビール二本ほどかな?)

 

 

この時点で、脾胃に常ならぬ負担を強いていたことは十分に考えられます。

 

(飲食不節→湿困脾土、湿熱中阻、脾失健運、胃失和降などの”病因→病理”が考えられます。)

 

 

しかも朝から早起きし、熱海への移動疲れもあったことと思いますし、研修会ですから、精神的緊張もあったことと思います。

 

(睡眠不足→気虚や血虚、新幹線での長時間同一姿勢、精神的緊張→肝鬱気滞、気滞血瘀などが考えられますね。)

 

 

しかも倒れる直前に、露天風呂にて長湯をしている。

 

 

長風呂では、肉体的緊張は緩み(理気活血疏肝)つつも、あまりに長ければ、疲労(気虚や血虚)は助長される面があります。

 

 

また、冬場の露天風呂ですから、そこで風寒邪を感受した可能性もある。

 

(その場合は気が急激に上逆傾向になります。)

 

 

ただ、横で見ていましたが、湯舟には肩まで浸かっておりましたし、一緒に入っていて、そこまで風も強くなく、冷たい風を受けていた感じはしませんでしたね。

 

(そして、風呂から上がった瞬間、一瞬”左に”フラッとよろめいたのが少し気にはなりました。)

 

 

風呂場での会話にも特に参加しておらず、そこで何か七情が乱れるようなことはなかったのではないかと思います。

 

(これは推測ですが。)

 

 

その後、脱衣所で急に後ろにバターンと倒れた時、すぐさま駆けつけて脈を診ていた先生が、

 

「沈んで細くて堅いけど、力はあります。重按がやや弱いです。」

 

と仰っていました。

 

 

この脈は、その後すぐに意識がついた時、その瞬間に、緩みながら浮いてきたそうです。

 

 

ここで、気虚や血虚の暈厥では、顔面蒼白、脈無力が特徴で、肝の病変や暑熱では顔面紅潮が特徴ですが、顔色としては、土気色、という感じで、蒼白でも紅潮でもなかったですね。

 

 

 

また、血虚で倒れると、目が落ちくぼんで輝きがない、というのが特徴のようですが、倒れた瞬間、目は一点を見つめ、妙にギラっとしていました。

 

 

血気上逆では歯を食いしばるのが特徴ですが、口は開いて、歯は食いしばっていなかったです。

 

 

倒れた時に上腹部を触った先生は、極端に冷えていたと仰っています。

 

 

また、ご本人が意識がついてから、

 

「倒れる寸前に悪心がして、気付いたら倒れていた。」

 

と仰っています。

 

 

舌診は、意識がついてすぐの舌は舌背が紫暗、舌腹は淡白傾向、特に舌下静脈が淡白気味だったようです。

 

(血虚と瘀血の所見が両方出ていますが、血虚が本と診てとれますね)

 

 

これらの情報を総合すると、成書の分類からいけば、5.の痰濁上擾が中心でありつつも、背後に若干、2.の血虚があるのでは??となります。

 

 

さて、これを治療して、今後同じ状況にさらされても、暈厥を起こさない体にするにはどうしたらいいでしょうか。

 

 

 

続く

 

 

 

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七死の脈⑨ 附録 結代脈について

2018.02.06

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これまでのお話

 

七死の脈① 雀涿脈

七死の脈② 屋漏脈

七死の脈③ 弾石脈

七死の脈④ 解索脈 

七死の脈⑤ 魚翔脈

七死の脈⑥ 蝦游脈

七死の脈⑦ 釜沸脈

七死の脈⑧ 附録 数脈について   参照

 

 

 

◆結代脈について

 

 

まあここまで、山延年『脈法手引草』に書かれている「七死の脈」について、蓮風先生の御著書『胃の気の脈診』の見解を中心に、紹介してきました。

 

 

ここまで見てきて気付くのは、七脈すべて、数脈結代脈(不整脈)ですね。

 

 

そもそも、脈診所見というのは、

 

律動的(速さがなるべく一定)で、速すぎず遅すぎず、強すぎず弱すぎず、

 

が良いものであるわけです。

 

 

遅数で言えば、遅いより、速いものの方が原則としてはマズいでしょう。

 

 

したがって、

 

リズムがおかしい(結代脈)であって、しかも速い(数脈)、

 

というのは非常にヤバい脈である、と考えます。

 

 

それでも、治療して徐々にでも改善してくるものはまだ大丈夫。

 

 

正しい治療をやっているのに、かえって硬くなるもの、速くなるもの、リズムが崩れるものは、いよいよ良くないです。

 

 

今日はこのうちの結代脈(不整脈)について考えてみます。

 

 

不整脈とは、西洋医学的には、心臓の律動的な動きを支えている電気信号が上手く流れないことによって起こるもので、

 

遅くなるもの(徐脈)、

 

早くなるもの(頻脈)、

 

脈拍が飛ぶもの(期外収縮)

 

とに区別されます。

 

 

注意が必要なものとして、急に脳血流の異常から失神するものや、日常生活レベルの負荷でも強い動悸、息切れを感じるものがありますが、治療法として、

 

徐脈にはペースメーカーや、

 

頻脈にはカテーテルアブレーション、

 

期外収縮はほとんどのケースでは経過観察

 

となります。

 

 

そのほかに抗不整脈薬も多く開発されており、不整脈が見つかったからといって、それほど心配することはない、というのが現代西洋医学の見解のようです。

 

 

注意が必要なものとしては、急に失神するものや、日常生活レベルの負荷でも強い動悸、息切れを感じるものがあります。

 

 

東洋医学では、不整脈は

 

結脈(けつみゃく:ゆっくりで不規則)

 

代脈(たいみゃく:弱々しく不規則)

 

と呼ばれ、結脈と代脈の特徴を兼ねた脈については、合わせて

 

結代脈(けったいみゃく)

 

と呼ばれることもあります。

 

 

多くは問題ないのですが、東洋医学的に危ない脈になる時は、この結代脈に「堅さ(緊脈、弦脈など)」「速さ(促脈、数脈など)」が加わった時です。

 

 

しかもこれが、治療しても改善しない、あるいは改善しても一過性であり、すぐに戻ってしまう、また、脈以外の所見にもアブナイ所見が出ている、

 

こうなった時は極めて迅速な判断が要求されます。

 

 

患者さんを診ていますと、

 

「私、もともと不整脈なんです。」

 

という方に出会うことはさほど珍しいことではないですが、ちょっと注意しておく必要があります。

 

 

 

続く

 

 

 

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「弁病」について

2018.02.05

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中医学の用語の中に

 

「弁病(べんびょう)」

 

という言葉があります。

 

「弁証」と紛らわしいね~~(~_~;))

 

 

これは読んで字の如く、

 

「東洋医学的な”病名”を”弁(わきま)える”」

 

ということです。

 

 

中医学では、例えば喘息のことを

 

「哮喘(こうぜん)」

 

と呼んだり、胃痛のことを

 

「胃脘痛(いかんつう)」

 

と呼んだり、顔面神経麻痺のことを

 

「口眼喎斜(こうがんかしゃ)」

 

と呼んだりと、言わば、

 

「東洋医学における固有の病名」

 

というものがあります。

 

 

これが分かれば、その病名や症状には、どういった「病因病理」や、どういった「証」が考えられるか、ということが、ある程度、場合によっては一気に、絞り込むことが出来ます。

 

「病因病理」を含む記事

「弁証」を含む記事     参照

 

 

清明院に、初診予約の電話がかかってきたときに、西洋医学的な病名や、メインになる症状をお聞きするのは、それさえ把握できていれば、来院される前に、

 

中医学ではどのような「病因病理」「証」が考えられるのかを、あらかじめ問診を担当するスタッフが予習しておくことが出来るからです。

 

(もちろん、必ず中医学の成書に強引に当てはめて考えるわけではないですよ。参考にする、ということです。)

 

 

言わば、東洋医学的な「鑑別診断」「除外診断」が相対的に容易になるわけですね。

 

 

丸腰でいくよりは、自信もって臨めますし、対策も立てやすくなります。

 

 

またもちろん、西洋医学の病名の中には、東洋医学では未だに概念が整理されていないものもあります。

 

 

そういう場合は、西洋医学的な病名をそのまま「弁病名」とすることもあります。

 

 

こういうことをコツコツやっていくと、いずれ西洋医学の先生方ともコミュニケーションがとりやすくなると思いますね。

 

 

このようなことから、

 

「弁病」を踏まえ、

 

「弁証」を踏まえ、

 

「病因病理」の把握をして、

 

常に優先順位を考えて治療を進める、これが、

 

「北辰会方式の弁証論治」

 

をやっていく上では欠かせないのです。

 

 

 

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七死の脈⑧ 附録 数脈について

2018.02.04

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これまでのお話

 

 

七死の脈① 雀涿脈

七死の脈② 屋漏脈

七死の脈③ 弾石脈

七死の脈④ 解索脈 

七死の脈⑤ 魚翔脈

七死の脈⑥ 蝦游脈   参照

 

 

 

◆数脈(さくみゃく)について

 

 

ここまで、脈診上、非常に危ない脈(七死脈、怪脈)のお話をしてきました。

 

 

ヤバい脈の大まかな特徴として、

 

堅さ、速さ、不規則(不整脈)、極端に浮いている、極端に沈んでいる、

 

これらの異常が重なると非常にマズい、アブナイ、というお話をしました。

 

 

今日はその中の、数脈(さくみゃく)について考えてみます。

 

 

数脈というのは、基本的には速い脈(いわゆる頻脈)のことです。

 

 

中医学の教科書では、90回/分が基準と言われ、術者(平常人)の1呼吸に5回以上拍動するもの、と言われます。

 

 

数脈に対する北辰会的な見解については、今から35年ほど前、1983年に、蓮風先生が『迎隨』という雑誌に、

 

「数脈は必ずしも熱にあらざるの論」

 

という論考を投稿しています。

 

(谷口書店『鍼灸医学における実践から理論へ パートⅠ』にも掲載)

 

 

これを簡単に説明すると、それまで、『難経』9難の説を参考に、「数脈」は熱証を示すものと考えられてきたが、それに異を唱えている医家も多く、

 

とりわけ、蓮風先生の大尊敬する、明代の名医である張景岳は、

 

「数脈は必ずしも熱ではない!」

 

と、著書『景岳全書』脈神章に明記している、さらに蓮風先生自身のいくつかの症例からしても、そのように思える、という内容です。

 

「張景岳(ちょうけいがく)」という人物   参照

 

 

・・・だから、脈だけで診断を即決してはいけない、東洋医学を行うものは、必ず多面的観察をして、慎重に診断はなされなければならない、

 

と、指摘して下さっています。

 

 

そしてさらに、同年、1983年の『胃の気の脈診』の中でも、張景岳の16脈状診を参考に、数脈を”胃の気”と絡めて解説し、結論として、

 

「数脈は胃の気の逼迫である。」

 

と表現しています。

 

 

重症の患者さんに数脈が出た時、あるいは重症でない患者さんでも、数脈が出ており、それが治療しても緩まない時は、近々何かが起こると考えて、

 

ほぼ間違いないと思います。

 

 

僕の経験で、数脈で印象深いのは、これはウソみたいな本当の話なんですが、3.11東日本大震災の時、その一週間くらい前から、妙に数脈を打っている患者さんが多い、

 

しかもそれが治療してもなかなか緩まない、というのを、当時のスタッフと話していたら、あの大地震が来たことがありました。

 

 

 

そういうパターンもあるんですね。

 

 

 

続く

 

 

 

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七死の脈⑥ 蝦游脈

2018.02.02

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これまでのお話

 

七死の脈① 雀涿脈

七死の脈② 屋漏脈

七死の脈③ 弾石脈

七死の脈④ 解索脈 

七死の脈⑤ 魚翔脈           参照

 

 

 

◆蝦游脈(かゆうみゃく)

 

 

今回は蝦游脈です。

 

 

「蝦游」というのは、蛙が一瞬水面に出てきて、また水中にもぐるように、何もない水面にフッと蛙が現れて、またいなくなるように、

 

たまに打ったかと思うとまた打たなくなる、そういう脈のこと言います。

 

 

カエルが遊ぶ、蝦游脈ね。

 

 

これは、「脾胃の絶脉」と言われます。

 

 

具体的には、浮位(軽く触れた位置)でたまに触れるがすぐになくなる、他の七死脈の中では「魚翔脈」に近い脈です。

 

 

「魚翔脈」との違いとしては、より不安定、ということでしょう。

 

 

魚が静止した状態でひらひらと尾ひれを動かしているような脈が「魚翔脈」、蛙が時たま水面に出てきて、探そうとすると全然どこにもいない、神出鬼没な脈、

 

これが「蝦游脈」だということです。

 

 

蝦游脈について、蓮風先生は『胃の気の脈診』の中で、発作性頻脈(※1)で最終段階のもの、チェーンストークス呼吸(※2)が起こったり、

 

場合によってはそれも起こらずに他界する場合がある、と注釈を入れています。

 

 

※1発作性頻脈・・・急に脈が速くなるタイプの不整脈。

 

※2チェーンストークス呼吸(交代制無呼吸)・・・徐々に深くなり、徐々に浅くなる、重篤な状態で現れる特徴的な呼吸。

 

 

これは脾胃の絶脉ですから、もともと脾胃を中心とした病理の患者さんが弱ってきて、この脈を呈したら、いよいよかな、となります。

 

 

あるいは、五臓全てが弱っているような患者さんが、ある時急激に脾胃に負担をかけて、この脈が出たら、「マズい!」となります。

 

 

ここからは私見ですが、魚翔脈もそうですが、この脈が興味深いのは、触れてしばらくすると少し安定する場合があることです。

 

 

触れた瞬間、すぐに拍動がなくなり、そのまましばらく見つからなくても、触れていると、それなりに安定してくるように思います。

 

 

脈とは患者の病態を映し出すもの、というのは間違いないのですが、そう一方向性の単純なものではなく、術者との双方向の気の動きが反映される面があることが分かります。

 

 

 

続く

 

 

 

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七死の脈③ 弾石脈

2018.01.28

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◆弾石脈(だんせきみゃく)

 

 

今日は弾石脈です。

 

 

これも読んで字のごとく、石を弾いたように堅い、しかも速い脈のことです。

 

『脈経』「・・・堅ニシテ促・・・」とあります。)

 

 

なんですが、強く押さえると消えてしまう脈です。

 

 

蓮風先生の解釈では、大きな石を手に乗せて、それを金槌でガツンと叩いたときに、手に感じる衝撃のような脈だそうです。

 

 

この脈は、腎と肺の終絶の脈と考えられています。

 

 

『脈経』「腎膀胱部」『素問』平人気象論(18)には、腎の病脈として出てきます。

 

 

特に冬場にこの脈、あるいはこれに近い脈が出ると、「腎がかなり病んでいる、場合によってはヤバい!」と判断できます。

 

(比較的、冬場に強い痛みを訴えている老人に、たまにいらっしゃると思います。)

 

 

これが出ていても、治療で緩み、力が出て来るようなものは大丈夫ですが、緩まず、力が出ず、あるいは一過性にしかいい変化を見せないものはマズいです。

 

 

ここでは詳細は省きますが、これは、胃の気の脈診② 四時陰陽に従う脈にも書いたように、季節と臓腑の関係にも繋がってきます。

 

 

僕の経験上では、肺結核で亡くなった患者さんを診ていたことがありますが、その患者さんが亡くなる寸前に打っていた脈が、ちょうどこのような脈でした。

 

 

 

続く

 

 

 

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七死の脈② 屋漏脈

2018.01.27

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前回のお話

 

七死の脈① 雀涿脈      参照

 

 

では続きいきます。

 

 

 

◆屋漏脈(おくろうみゃく)

 

 

今回は屋漏脈です。

 

 

これもまあ、読んで字のごとくなんですが、まるで雨漏りのように、一回脈を打ったらしばらく打たなかったり、しばらく打たないと思ったら急に何回も打ったりと、

 

そういう不安定な脈(不整脈)で、しかも少し指を沈めたところで打っている脈です。

 

 

最近の住宅ではあまりないと思いますが、雨漏りの時のあの漏れ方を想像してもらえれば分かりやすいと思います。

 

(因みに、清明院はこないだ雨漏りしました。ビル古い(苦笑))

 

 

これも、亡くなる寸前なんかに、それまで律動的に打っていたのが、急に不安定になったようなものならば、

 

「ん、ヤバい!」

 

と分かりますが、それまで特に異常がなかったのに、しかも全身状態がいいのに、急に不整脈を打った時も、注意が必要です。

 

 

この脈については、王叔和(3世紀)の『脈経』「診三部虚実決死生第八」にも記載があり、この脈は胃の気の衰絶を意味し、慢性病であれば10日ほどで亡くなる、とあります。

 

(因みに孫思邈(581?-682)の『千金方』では「14日で死す」との注があるようです。)

 

 

・・・こうしてみると、雀涿脈といい、不整脈というのは非常に良くない、ということが分かりますね。

 

 

 

現代的には不整脈についてはキチッとした治療や考え方がありますので、この辺についても最後にまとめましょう。

 

 

 

続く

 

 

 

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七死の脈① 雀涿脈

2018.01.26

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北辰会では、以前少し語ったように、脈診については「胃の気の脈診」と名付けて、胃の気の盛衰を診ています。

 

 

ここでいう「胃の気」というのは「生命力」そのもののことです。

 

 

生命力が盛んであるか、衰えているかは、脈に如実に映し出される、それを明確に感知できるようになれば良い、という立場です。

 

 

どんな治療であれ、治療後に胃の気が回復したことを確認できれば、それはうまくいっている、と判断することが出来ます。

 

(ただ、いくら良性の変化でも、もちろん一過性ではダメですが。)

 

 

・・・ところで、脈の中には、「ヤバい脈」というものが存在します。

 

 

診た瞬間、「ん、これは良くない!」と判断できる脈です。

 

 

こういう脈を見つけたときは、手を出さない方が無難ですが、手を出しても変化が見られないときは、すぐさま自分よりもウデのいい先輩なり、

 

信頼できる専門病院なりに送るべきです。

 

 

そういう脈のことを「怪脈」とか、「七死の脈」と言います。

 

 

これについては、江戸中期、山延年(やまのべみのる:名前の読み方について諸説あり)の著書『脈法手引草』の中に書かれています。

 

 

『脈法手引草』は、昭和38年に、医道の日本社より、岡部素道先生によって校閲版が出版されています。

 

(岡部先生、サスガいい仕事してくれてますね~~)

 

 

そしてこの中にある「七死の脈」については、蓮風先生も『胃の気の脈診』の中で解説しておられます。

 

 

一つ目は「雀涿脈(じゃくたくみゃく)」

 

 

これは簡単に言うと、やや沈んだ不整脈の、速くて堅い脈です。

 

 

橈骨動脈の拍動部を少し押さえないと触れず、しかも堅い、速い、不整である、この条件が揃うと、「ヤバい!」となります。

 

 

「雀啄(じゃくたく)」というのは、刺鍼の際の補瀉の技術でも使われるいい方なんですが、読んで字のごとく、「雀が啄(ついば)むように」といいうことで、

 

自然界の雀の嘴の動きを見てると分かるように、速く鋭く、チョンチョンと指に触れる脈、という意味です。

 

「雀啄」を含む記事 参照

 

 

この脈を診たら、あと4、5日は持つけど、脾胃が動いていない脈なので、終いには亡くなってしまう、と書かれてます。

 

 

これに相当する脈は、末期がんの患者さんなどで、亡くなられる寸前に何度か診たことがありますが、現代では、病院に入院している患者さんで診ることが多く、

 

その場合は点滴が入っていることが多く、まるで”ふやけた”ように、強制的に血脈が緩まされていて輪郭がぼやけている面があるため、

 

「堅さ」についてはさほど感じない、という印象が、個人的にはあります。

 

 

 

続く

 

 

 

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今年は脈診の年か?

2018.01.25

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来年度の北辰会のカリキュラムスケジュールが発表されました。

 

 

今年は私の担当科目に「胃の気の脈診」が当たっています。

 

 

北辰会の脈診法である「胃の気の脈診」については、以前このブログでも簡単に紹介しました。

 

胃の気の脈診⑧ 衝和と弦急の脈   参照

 

 

しかもこのテーマは毎年、学生さん用に少しレベルを落として、東洋鍼灸専門学校では喋っています。

 

 

北辰会で喋るのは5年ぶりくらいですかね。

 

 

しかも今年は偶然にも、四国医療専門学校で三月に喋る内容も「胃の気の脈診」です。

 

来春、四国で喋ります!! 参照

 

 

まあ鍼の神からの、

 

「今年は脈診をやれい!」

 

という啓示でしょう。

 

 

謹んで、慎んで、やらせていただきます。<m(__)m>

 

 

山延年『脈法手引草』にある「七死の脈」の話を書こうと思ったら、全然違う文章になってしまった。。。

 

 

まあこれはこれで、また書きます。(笑)

 

 

 

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「紅汗」について考えてみましょう。15

2018.01.21

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このシリーズ、ちょっと空きましたが、せっかくなんで、『金匱要略』、現代中医学の内容くらいはカバーしましょうかね。(笑)

 

「紅汗」について考えてみましょう。目次

 

 

◆小建中湯と衄

 

 

『金匱要略』「血痺虚勞病脉證并治第六」にこうあります。

 

 

「虚勞裏急.悸..腹中痛.夢失精.四肢痠疼.手足煩熱.咽乾口燥.小建中湯主之.」

 

 

簡単に訳しますと、

 

 

「正気の弱りが中心の病で、動悸、鼻血、腹痛、夢精、四肢のだるさや痛み、手足のほてり、口やのどの渇きがあるものは、小建中湯がいいよ。」

 

 

となります。

 

 

ここで、「小建中湯」という薬は、「麦飯」ってどうでしょう?? 7でチラッと紹介しましたが、有名な「桂枝湯」の中の芍薬という生薬の量を倍にし(桂枝芍薬湯)

 

そこにさらに膠飴(こうい:水あめのこと)を加えたものです。

 

 

僕も飲んだことがありますが、非常にスッキリと甘くておいしい漢方薬です。(笑)

 

 

ここで説かれているのはそもそも虚労の病ですから、体力を回復させる必要があります。

 

 

しかし、ここで面白いのは、正気の弱りが本質だとしても、腹痛のような冷えっぽい症状と、鼻血や火照りなどの熱っぽい症状が混在していて、

 

それを同時に調整するのに小建中湯を使うところです。

 

 

だいぶ昔に書きましたが、脾胃は上下や陰陽のバランサーとしての機能があります。

 

脾・胃 参照

 

 

「建中」というくらいで中焦の気を建てることで、バランサー機能を発揮する。

 

 

鍼でも非常に色々なやり方で治すことが出来ます。

 

 

生理と病理が分かると、大変楽しい世界です。

 

 

 

続く

 

 

 

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