東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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「四逆散」というお薬 2

2015.06.09

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前回のお話


「四逆散」というお薬 
   
参照

 

この「四逆散」という薬を何でこんなにフィーチャーするかというと、蓮風先生の話の中によく出てくるんですね。

 


蓮風先生の実技デモなんかで、刺鍼しながら、

「この鍼は四逆散の効果を狙っています。」

とか、よく出てくるんです。

 

そして、私自身の臨床上でも、そういう考えで鍼をすることが少なくない。

 


ですので、この薬について深い理解をしておくことは重要です。

 

・・・という訳で、前回は和田東郭先生の解釈と症例を紹介しましたので、今日は他の先生の見解を見てみましょう。

 


現代でもコンビニで売ってる”浅田飴”で有名な浅田宗伯先生(1815-1894)は、このように述べています。

 

『傷寒論』の四逆散の条文は、熱厥(熱がこもったことによって気が巡らない状態)の軽いやつのことを言っています。

四逆散の状態は、真武湯の状態に似ています。

『傷寒論』の中の、四逆散が出てくる章である、「弁少陰病脉証并治」というところは、少陰病の色々なパターンを示しています。

熱邪が内に籠って、うまく発散出来ずに、結果的に四肢が冷えるときは、水気までもが籠ってしまって、気血の滞りを助長するので、

下痢になったり、咳が出たり、動悸が出たり、小便が出にくくなったり、腹痛になったり、渋り腹になったりするわけです。

ここで、咳とか動悸とか小便の症状は真武湯に似ています。

腹痛とか下痢は四逆湯に似ています。

ただ、渋り腹の症状のみは、真武湯とか四逆湯の状態では出ない症状なんで、渋り腹があれば、熱厥と考え、

四逆散だと判断していいのです!

考えてみると、四逆散とは四逆湯と同じく、手足逆冷を治す薬です。

ただし、四逆湯は寒厥を治し、四逆散は熱厥を治す。

同じ四肢逆冷でも、その原因が違う時に使い分けるのです。

そして、四逆散は大柴胡湯の応用バージョンなんで、邪を散らし、気を通じさせる効果がメインなのです。

『傷寒論識』より抜粋意訳 by竹下

と、長々と述べております。(笑)

 


まあ、四逆散は真武湯とか四逆湯とかと似てるけど、原因が違うんだから、誤診するなよ!ってことです。

 


四逆散は熱、四逆湯は冷えね。

 

四逆散は気の停滞の実、四逆湯は陽気の虚と。

 


「四逆散」というお薬 3   
に続く。

 

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「四逆散」というお薬

2015.06.08

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こないだ、

和田東郭という人物

という記事を書きました。

 

そこに出てきた、有名なお薬である「四逆散」

 


今日はこの薬について、まとめておきます。

 


四逆散が歴史上に初めて登場したのは『傷寒論』です。

『傷寒論(しょうかんろん)』という本 参照

 

ここに、柴胡、芍薬、枳実、甘草という4種類の生薬を配合した漢方薬として登場します。

 

『傷寒雑病論』【弁少陰病脉証并治 328条】
 
少陰病.四逆.其人或欬.或悸.或小便不利.或腹中痛.或泄利下重者.四逆散主之.

 

効能は上記にある通りなんですが(笑)、まあ簡単にいうと、カゼをこじらせたやつで、手足がキンキンに冷えて、咳したり、動悸がしたり、小便が出にくかったり、

 

腹痛があったり、下痢したり、渋り腹(しきりに便意を催すのに排便が ごく少量で、すぐまた行きたくなる症状のこと。)だったりする者は、

 

四逆散を飲むとバッチリ治るよ、と書いてあります。

 


四逆散の”四逆”というのは”四肢逆冷”の略といわれ、手足が非常に冷える症状のことを言っています。

 


ここで重要なのは、病的な冷えには大きく分けると2種類あって、


1.温める力自体がないもの(陽虚、気虚など)

2.温める力はあっても、何らかの阻害要因があり、それが万遍なく全身に及ばないもの(陰邪を中心とした邪気実によるものや気滞など)


が考えられる、ということです。

 


四逆散の場合の手足の冷えは、2.の場合なんです。

 


これについて、和田東郭先生は、

「四逆散というのは、大柴胡湯の応用バージョンです。

腹はみぞおちとか肋骨の下の部分が張って、その凝りが胸にも及ぶ位のもので、両わき腹も強く張るもの。

でも熱実じゃないから大黄、黄芩は使わず、ただみぞおちとか、両肋骨下を緩めることを主とする薬だよ。

全体の腹形、みぞおち、肋骨下の状態をよく診て、それらに悪い反応があって、なおかつ手足がキンキンに冷えるものは、

この薬にて治すといいよー。

本当に温める力が無くなった、重篤な四肢の冷えとは、脈も腹なども、全然違うよーん。」  

(『蕉窓方意解』より抜粋意訳 by竹下)

 


と、述べておられ、また症例として、

 

「ある女性が、産後、意識もうろうとする症状が出た。

色々あん摩や薬などを試したけど治らない。

診るとみぞおちから肋骨の下から脇腹まで、キツク張って、強くこれを押しても弾力が無く、動悸もなにもなく、吐きそうになる感じという。

その人に、四逆散に生地黄、紅花を加えて飲ませてみたら著効したよん。

この紅花、生地黄は、瘀血に対して使ったのではなく、甘味の四逆散に組み合わせて、肝火の上逆を潤し緩める狙いで使ったよーん。」


『蕉窓雑話』より抜粋意訳 by竹下 

 

とも述べて、四逆散の応用的な使い方も示してくれています。

 


「四逆散」というお薬 2  に続く。

 

 

 

 

 

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内外合邪と新月と

2015.05.19

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東京新宿、外はスゴイ湿気です。

風が吹いている時はいいのですが、風が止むと、部屋の中はどんよりと湿気が沈んだ感じになり、患者さんはベタベタの汗をかき始めます。

(因みに僕も。(苦笑))

もともと体内に水邪の停滞を持っている人は、、自然界の湿気がキツくなると、内と外の邪気が結び付き、

湿邪、水邪による病を起こします。

これを「内外合邪」と言います。

内外合邪 を含む記事 参照

意外と、水邪の影響というのは多岐に渡っており、水分の停滞だから、下痢だの浮腫みだの、倦怠感だの冷えだの、

というのは分かりやすい話ですが、それ以外にも、精神的に沈鬱な気分になったり、不安感や不眠、動悸、咳、こういうものも、

水邪の影響で起こる場合があります。

そういう時、理論的には、水邪をバサッと散らしたい。

ネチネチした、湿邪の反応を示す経穴に鍼を打って、ガンガン捻鍼して散らしたい。

そうすると脈が浮いてきて、症状が楽になり、めでたしめでたし、かというと、そんなに甘くない。

全然甘くない。(笑)

迂闊な瀉法、危ないです。

特に今週は。

月齢と補瀉 参照。

しかも、相対的であれ、上焦の虚がある患者さん、これは十二分に気を付けたい。

最近、久々に3.11の津波の映像を見ましたが、水って、場合によっては非常に恐ろしいです。

”まだ全然使えるモノ”を、一気に破壊しますな。

あれが人体で起こったら・・・、実に怖い。

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「カゼひいちゃったんですけど、今日診てくれませんか?」

2015.04.30

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患者さんシリーズ第3弾です。

「体調が悪いので治療を休みます。」という電話

とか、

「検査受けた方がいいですかねえ?」という質問

だけ書いて終わらせると、なんかダサい感じがするので(苦笑)、上記のような事を聞かれる事の方が少ないのであって、

普通はこうだよ、こうなるよ、というのを書いて、終わろうと思います。

最近、立て続けに何人か診ました。

「カゼひいちゃったんですけど、今日なるべく早く診てくれませんか?」

と仰る患者さん。

高熱が出ている患者さんもいました。

喉が痛い患者さん、咳の止まらない患者さん、鼻水や寒気のきつい患者さん、吐き気や胃痛を伴う患者さん。

みんな治りましたよ、鍼一本で。

西洋薬で症状を強引に抑え込む感覚を体感したことある人なら分かると思いますが、確かに症状は楽になった、

しかし、妙な残り方をしたり、一番辛い症状が楽になった代わりに違う症状が出てきたとか、そういうのが嫌なんですね。

・・・で、鍼で風邪症状を治したことのある人は、実にいい感じの治り方を体感されたことと思います。

それを分かってる患者さん、あるいは、清明院の言っていることをよく理解されてる患者さんからは、上記のような電話がかかってくるなんてのは全然珍しくないです。

むしろ普通です。

西洋薬も、即効で症状を抑えるにはいいけどね。

あまりそういう無理をやると、身体には大きな負担かかります。

んー、やっぱ「治る力」の最大化でしょ。

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小児喘息と霊台 4

2014.04.12

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これまでのお話・・・

小児喘息と霊台 
小児喘息と霊台 2 
小児喘息と霊台 3    参照

 


続きいきます。

 

前回、”霊台”という経穴の「霊」という文字に着眼して、精神的なもの、それも根が深いものに作用する経穴なのではないか、と述べました。

で、そういうものがバックボーンにあるような小児喘息には効果を示すであろう、とも述べました。

で、今日は、それ以外にはどんな効果があるか、というお話。

我々がバイブルとする『黄帝内経素問』の中の「刺熱論(32)」という篇には、この「霊台」の使い方が書いてあります。

そこには、

 

六椎下間.主脾熱.

 

とあり、要は

”霊台は脾の臓の熱を取る”

と書かれております。

(脾の臓については 「脾」って何ですか?(その9) 参照)

 


これも大変重要な記載だと思います。

 


小児喘息の主な症状と言えば、咳、痰、呼吸困難です。

 


この大きな原因となる”痰”の生成には、脾の臓の異常が大きくかかわります。

 

”痰”については


「怪病多痰(かいびょうたたん)」という言葉
「痰(たん)」「瘀血(おけつ)」について     参照

 


つまり、脾の臓が熱をもって、結果的に痰が生じ、呼吸を阻害しているパターンの小児喘息であれば、「霊台」の使用価値が高い、となります。

 

これも極めて重要。

 

続く

 

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「柴胡桂枝湯証」という状態 その4

2014.02.09

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これまでのお話・・・

 


「柴胡桂枝湯証(さいこけいしとうしょう)」という状態
 
「柴胡桂枝湯証」という状態 その2
            
「柴胡桂枝湯証」という状態 その3
                      参照

 

 


では続きです。

 

 

ここまでで、柴胡桂枝湯という薬は、小柴胡湯と桂枝湯を合体させた薬であり、東洋医学的なカゼひきのパターン分類である、

「”太陽病”と、”少陽病”が同時に存在する場合」

に治療する薬である、というお話をしてきました。

 


今日はこの、

1.東洋医学的なカゼ引きのパターン

と、

2.そのパターン分類が、同時に存在する場合

について簡単に触れておきます。

 

1.については、張仲景が書いた、東洋医学の大古典である『傷寒論』の中に、詳しく述べられております。

「張仲景(ちょうちゅうけい)」という人物
『傷寒論(しょうかんろん)』という本    参照

 


カゼを引いた経験なんてのは、ない人はいないだろうと思います。

 


軽いものでは、寒気が中心だったり、ノド痛が中心だったり、鼻水や咳、くしゃみや痰が中心だったり、熱が出たり、頭痛や節々の痛みがしたりします。

 


中等度のものでは、場合によっては下痢になったり便秘になったり、食欲不振になったり吐き気がしたり、めまいがしたります。

 


重症例では肺炎を起こしたり、内臓の機能不全が起こって、命を落とす場合もあります。

 

『傷寒論』にはこういう、いわゆるカゼ引きの各レベルの状況とその治療法が、詳細に述べられております。

 

これが約1800年前の話です。

 

1800年前も、人間はもちろんカゼをひいていたし、医者はそれに真剣に対峙していたんです。

 

『傷寒論』は、著されて以降、約1800年もの間、中国、朝鮮半島、日本で歴代の有名な医師達によって踏襲されつつ批判され、現代でもその価値を失っていないという、怪物のような書物です。

 

 

因みに、単純なカゼにとどまらず、西洋医学的には「腸チフス」や「インフルエンザ」、「マラリヤ」など、重篤な感染症の治療法も含む書物、という解釈もあります。

 

『傷寒論』では、浅いレベルのものから、深いレベルのものまで、

 


太陽病(たいようびょう)     浅い
  ↓               ↓
陽明病(ようめいびょう)    
  ↓               ↓
少陽病(しょうようびょう)
  ↓               ↓
太陰病(たいいんびょう)
  ↓               ↓
厥陰病(けついんびょう)
  ↓               ↓
少陰病(しょういんびょう)    深い

 


という名称を付けて分類し、論じています。

 

(この順番については、諸説ありますがネ。)

 


それぞれのレベルにおいて、

”どういう症状を呈し”、

”どういう所見を呈し”、

”どういう治療をすればよくなり”、

”それはどうしてか”

までが、キッチリと、理路整然と、説いてあります。

 


このパターン分けが前提となり、例えば太陽病と少陽病が同時に現れたり、太陽病と陽明病が同時に現れたりする場合についても論じられております。

 


今回のテーマである柴胡桂枝湯は、要するにこの中の太陽病と少陽病が同時に存在する場合に使う薬なんですね。

 

ちょっと話題が広がってきたので、調子に乗って「柴胡桂枝湯証」という状態 その5 に続く(笑)


(この話題、いいね少ないけど、お構いなし!(爆)・・・決して読者に阿らないアティテュード。)

 

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「柴胡桂枝湯証」という状態 その2

2014.02.04

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前回のお話・・・

 


「柴胡桂枝湯証(さいこけいしとうしょう)」という状態
   参照

 

では続きです。

 

前回、柴胡桂枝湯は、「小柴胡湯+桂枝湯」である、というお話をしました。

 


・・・ということは、柴胡桂枝湯を理解するためには、まずは小柴胡湯と桂枝湯を理解せねばなりません。

 


まず、「小柴胡湯」という薬は、

・柴胡
・半夏
・生姜
・黄芩
・人参
・大棗
・甘草

という、七味の生薬で構成されています。

 


この薬は、東洋医学的には無数にある、カゼひきの病態パターンのうち、”少陽病”という概念でとらえられるパターンの代表格です。

 


ここで、「少陽病」というのはどういうものかというと、

 


「口が苦くて、咽が乾いて、めまいがして、暑がったり寒がったりし、脇腹から肋骨の辺が詰まった感じがし、食欲不振、

胸がモヤモヤして嘔吐したり、あるいは胸がモヤモヤするだけで嘔吐しなかったり、あるいは腹痛し、あるいは動悸し、

小便の出が悪く、あるいは咽の乾きがなく、微熱があったり、咳が出るもの」

という、長ったらしい、しかもややこしい定義の、カゼの1パターンです。

 


これは非常に幅が広い概念だといえます。

 


でまあ、これを治す代表選手が小柴胡湯、ってわけです。

 

・・・で、「桂枝湯」はどうかといえば、

・桂枝
・芍薬
・生姜
・大棗
・甘草

という五味で構成されております。

(因みにこのうちの生姜、大棗、甘草の三味は、小柴胡湯とカブっていますね。)

 


桂枝湯は、”太陽病”というパターンの中の、”太陽中風証”というカゼ引きの、代表的な薬といわれます。

 

ここで「太陽病」というものの定義は、

「脈が浮いて、頭やうなじが痛くて寒気がする状態」

であり、その中の「太陽中風証」というのは、上記の状態に加えて、

 

「汗がダラダラ、ジトジトと止まらないような状態」

 

のことです。

(かなりザックリ言うと、ですが。)

 


太陽病というのは、カゼを引いた、つまり、風邪(ふうじゃ)や寒邪(かんじゃ)を中心とした外邪に侵襲された場合、最初(初期)になりやすい状態です。

 


まあ、それを治す代表選手が桂枝湯、ってわけです。

「風」「火」について
「寒燥」について   参照

 

 

この「桂枝湯」という薬は、実は漢方薬の王様みたいな薬でして、かの後漢代に著された、漢方薬の聖典とも言われる『傷寒論』の一番初めに出てくる薬も桂枝湯ですし、

 

清代の温病学の聖典とも言われる『温病条辨』の一番最初に出てくる方剤も桂枝湯なのです。

 

 

このことは重く見る必要があると思います。

 

 



 

まあまとめると、少陽病と太陽病が同時に起こっているような場合に、それを治す薬が柴胡桂枝湯である、と言えます。

 


また、小柴胡湯と桂枝湯、この2つの薬の構成生薬を見ると、小柴胡湯に、桂枝と芍薬を加えたのが柴胡桂枝湯、とも言えます。

(それぞれの分量抜きに考えれば、ですよ。)

「柴胡桂枝湯証」という状態 その3   に続く。

 

 

◆参考文献

 

神戸中医学研究会 編著『中医臨床のための方剤学』医歯薬出版株式会社

神戸中医学研究会 編著『基礎中医学』燎原

 

 

 

 

 

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腎着(じんちゃく)? その3

2014.01.25

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前回のお話


腎着(じんちゃく)? 
腎着(じんちゃく)? その2
  参照

 

ここまで、”腎着証”について説明してきました。

 


もし、患者さんの病態がこの”腎着証”そのものであるならば、「苓姜朮甘湯」という薬がよく効くよ、ということが『金匱要略』に書いてあります。

 


・・・では、鍼ならどうするか。

 


それを考えるには、この苓姜朮甘湯がいかなるものか、を考えなくてはいけません。

 

この薬の中身は

・茯苓(ぶくりょう)・・・水腫・痰飲の治療および健脾に使用

・白朮(びゃくじゅつ)・・・主として補脾

・甘草(かんぞう)・・・緩和、緩解、鎮咳、鎮痛、去痰薬として

・乾姜(かんきょう)・・・陽虚あるいは寒凝による冷え、寒がり、疼痛

でございます。

 


ザーッとみて気付くのは、腎の臓に対する生薬が入っていないことです。

 

ま、ここがポイントかな、と思います。

 

あくまでも水邪を動かし、散らし、結果的に脾の臓、腎の臓を活性化し、腰に憑りついた水をどかすことで、各症状を治すのです。

 

ということは、刺鍼するポイントは、寒邪、水邪、痰飲を動かす経穴、となります。

 

(全身にたくさんあります。)

 

ちなみに腎、脾、水邪については

「腎」って何ですか?(その11)
「脾」って何ですか?(その9)
カテゴリ 邪気(発病因子)   参照

 

 

・・・とまあ、こんな感じで、漢方薬の話というのは、鍼灸に翻訳して考えることができるのです。

 

東洋医学の文献には、治療の部分が、漢方薬中心に論述されている古典が多いですが、すべて鍼灸に置き換えて考えることができます。

 

そしてそこには、鍼灸治療の様々なヒントや、新たな考え方が隠されています。

 

終わり

 

 

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うれしいお便り

2014.01.21

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以前、このブログで紹介した、間質性肺炎の患者さん。


不思議な現象が起こる 参照


その後、患者さん自身が忙しいこと等もあって、去年の10月末を最後に、なかなか治療に来れないでいた。

検査の結果はどうなったかと、気になっていた。

すると、今朝一通の手紙がポストに。

見ると、その患者さんから。

内容は、検査の結果、肺の影は不変だったが、炎症の数値が激減していた、とのこと。

症状的にも、あれだけひどかった咳は忘れて暮らしているそうです。

鍼、素晴らしい。


一安心。


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出べその病理 その2

2013.10.29

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前回のお話

出べその病理

 

では、続きいきます。

今日は、では東洋医学では、「小児臍突(しょうにさいとつ)」をどう考えるか、というお話です。

これは、女児に多く、小腸や腹腔の脂膜が飛び出すもの、と言われ、この点は西洋医学と変わりません。

東洋医学では、これが起こる原因を2種類に分けます。

1.もともと弱い体質で生まれたパターン

2.体に熱が籠ってしまっているパターン

という風に、です。

1.の場合は、泣くときに咳をし、大便をいきむときに臍が飛び出してしまう、指で戻せば戻るが、泣き出したりすると、また出てきてしまう、というものです。

2.の場合は、1.の症状プラス、夜になっても眠れず、落ち着きがない、という症状などを伴います。

1.のパターンであれば、おへそが出てこないようにガッチリ固定し、自然修復を待ち、無理なら手術も考慮する、とあります。

2.のパターンであれば、治療としては籠った熱を冷ますように、うまく発散されるように治療しなくてはいけません。

成人の場合でも、要は弱りが中心か、邪熱が中心か、あるいはその両方か、です。

例え、手術で見た目を改善したとしても、弱りや邪熱が改善されたわけではないので、再発することもあり、根本的な治療が必要でしょう。

こういうのを放っておくと、徐々に強力な病が形成されてしまうことがあります。

問診時、こういう情報が出た場合、キッチリ聞いておくことが重要です。

その人の体質、および今後どうなっていくか、を教えてくれる場合があります。

参考文献 『中医症状鑑別診断学 第2版』 人民衛生出版社

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