お電話
03-6300-0763
10:00~21:00(完全予約制)
2020.10.01
◆患者さん各位
相変わらず、連日のコロナウイルスの報道ですが、TVに「第三波など来ない」という論を述べる識者も出てきたり、Gotoキャンペーンも東京も解禁になったり、
日々の煽情的な報道も、だいぶ風向きが変わってきたかにも見えますね。
芸能人、有名人の方も次々と感染していますが、一般的な風邪症状で経過し、特にコロナのための特殊な治療をせずに、退院して元気な姿で仕事している様子を見ると、少しは安心できますね。
しかしまあ、そうはいっても、まだ完全には安心できない、というのが、多くの国民の正直な気持ちではないでしょうか。
当然だと思います。
それでいいと思います。
未知の感染症に対しては、まず慎重であるというのが、普通の態度だと思います。
楽観論がある一方で、国外からの人の流入の増加による感染拡大、これからの秋冬本番のインフルエンザとのダブルでの流行の懸念など、悲観論や慎重論も根強くあることも事実。
また、このまま感染対策、感染対策と言って、自由経済を制限し続ければ、企業の倒産、個人の廃業が増加し、日々失業者が増え、借金苦や貧困からの精神病患者や自殺者が増えることは自明。
楽観論者と悲観論者が分断され、対立し、罵り合うのが一番不幸。
・・・という訳で、確定している、信頼できる情報を参考に、冷静に、出来る範囲で感染予防をしつつ、常に心身を調整し、最適化しておきましょう。
鍼灸も、大いにご活用下さい。
終息しない疫病はありませんので、ビシッと前向いていきましょう。
清明院では、感染対策については常に最大化、最適化し、この騒動中も、いつも通り不動心で診療しております。
なお、ネット等々の雑多な情報や、煽情的な極論の類に惑わされないよう、以下に参考サイトを示します。
【一般の方向けコロナ関連情報】
厚生労働省 「新型コロナウイルスに関するQ&A」(随時更新)
新型コロナウイルスに関する帰国者・接触者相談センター(各都道府県)
【専門家の方向けコロナ関連情報】
市中病院で経験した、 人工呼吸器装着が必要であった重症 COVID-19 肺炎の感染対策、治療について(症例報告)
自衛隊中央病院 クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」から搬送された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)104症例のまとめ
COVID-19 感染症に対する漢方治療の考え方 改訂第二版(金沢大学 小川恵子先生)
【緊急寄稿】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する漢方の役割(渡辺賢治ほか)
新型コロナウイルス肺炎診療ガイドライン第7版(中華人民共和国国家衛生健康委員会弁公庁)日本語訳版
新型コロナウイルス感染症の舌診について(医道の日本社 随時更新)
中国鍼灸学会「COVID-19のための鍼灸介入ガイドライン(第2版)」日本語訳版
広東省「肺炎1号方」に関して(広東省薬品監督管理局:中国語サイト)
◆清明院、2020年10月の診療日時
臨時休診日、休診時間等も、全てこちらに告知してあります。
御予約の際は、予めご参照下さい。
◆毎週日曜日は、外来診療、訪問診療とも、終日休診となります。
◆毎週月曜日は、外来診療のみ、終日休診となります。
(※往診事業部は稼働しておりますので、初診、再診のご予約、ご予約変更のお電話は受付可能です。)
◆火曜~金曜は14時から17時まで、土曜日は14時から15時は、昼休みとさせていただきます。
◆10.7、14、21、28(水)は院長が東洋鍼灸専門学校にて講義のため、外来は①14時~、②17時半~、③18時半~の3枠のみの受付とさせていただきます。
(初診、1年以上ぶりの再診の方は上記の限りではないので、お電話にてご相談ください。)
◆10.15(木)は順天堂大学医学部、東洋医学研究会のオンライン講義に参加のため、午後は18時~の再診受付、14時半~の初診受付が最終枠となります。
以上、診療時間外の活動等で、ご迷惑をおかけしますが、何卒ご理解ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
清明院 院長 竹下有
2019.11.21
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二十四節気、今日からいよいよ「小雪」に入りました。
「立冬」以降、風邪ひきさんの患者さんが増えていましたが、さらに増えるでしょうね。
東京では昨日からぐっと温度が下がりましたが、まださほどではないです。
明日はさらに下がるとか。
ワイドショーでは例年のごとく、インフルエンザインフルエンザと、国民の恐怖を煽りまくっていますな。(苦笑)
さんざん煽って、専門家が出てきて免疫に関してナンジャカンジャ喋って、結果的、最終的には毎年同じように
「ワクチン・手洗い・うがい」
と言います。
ここに鍼灸漢方入れろっつーの!( `ー´)ノ
2019.04.06
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ここんとこ、
というお話を書きましたので、ついでなんで、最近花粉症でよく使われている「小青龍湯」についても触れておきましょう。
まあ湯液の話を、私のような実践で使っていない、ズブの素人がするのも実に僭越なんですが、あまりにもこれを処方されていて、しかも効果を感じていないと仰る患者さんを診ることが多いので、
僕自身の備忘録的な意味と、彷徨う患者さんのために、この薬に関する基礎的な内容を書いておこうと思います。
この薬の出典は後漢の時代、あの張仲景が書いた『傷寒論』であります。
小青龍湯は、有名な麻黄湯という漢方薬の加減方と言われます。
(麻黄湯も傷寒論に出てくる薬です。)
麻黄湯も最近、
「インフルエンザに効く!」
とか、
「キムタクが常備してる!」
とかいわれて、非常に有名です。
これについても、後で簡単にまとめておきましょう。
この麻黄湯は、よくカゼのひき始めに使われます。
小青龍湯は、もともとはカゼのひき始めの状態が改善せずに、なおかつ「水邪」が存在する時に使う薬、と、『傷寒論』に定義されています。
『傷寒論』内の条文では
傷寒表不解.心下有水氣.乾嘔發熱而欬.或渇.或利.或噎.或小便不利.少腹滿.或喘者.小青龍湯主之.
傷寒心下有水氣.欬而微喘.發熱不渇.服湯已.渇者.此寒去欲解也.小青龍湯主之.
傷寒表不解.心下有水氣.乾嘔發熱而欬.或渇.或利.或噎.或小便不利.少腹滿.或喘者.宜小青龍湯.
とあり、また『金匱要略』には
病溢飮者.當發其汗.大青龍湯主之.小青龍湯亦主之.
欬逆倚息不得臥.小青龍湯主之.
婦人吐涎沫.醫反下之.心下即痞.當先治其吐涎沫.小青龍湯主之.
とも書いてあります。
漢方薬の専門家でもない僕が、あまり難しい解説をしてもしょうがないし、そもそも出来ないので、要はこれらを簡単に言うと、表面に寒邪があって、
なおかつ心下(みぞおち)に水邪がつっかえてる場合に使う方剤であって、これとは違ったメカニズムで症状の出ている花粉症には効かない、
あるいは害になりかねない、ということになりますね。
また、たまたま合っていたとしても、この薬を服用して、表邪の存在、心下の水気の存在が除去、改善された後になっても、この薬を継続して服用していたら、
今度はまた違った病変に結び付く可能性もあります。
漢方薬はサプリメントなどではなく薬なのであり、素人考えでドラッグストアで買ってきてメチャクチャな使い方をしたりするのは、厳に気を付けたいですね。
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2019.03.17
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イヤーしかし、老いも若きも男も女も、皆さん花粉症ですな。。。
インフルエンザの後は花粉症、次はなんだ、梅雨が来るから、うつ病か!?(~_~;)
今や国民の5人に一人が花粉症と言われ、国民病と言われますが、僕が子供の頃は、花粉症の人なんてほとんど見かけませんでしたね。
単純に花粉の飛散だけでなく、大気汚染や水質汚染、食品添加物や社会構造などなど、様々な問題が複合的に関与して、この現状になっているのでしょう。
僕自身は幼少の頃から、アレルギーは全くないと思っていましたが、今から約20年ほど前、東京に来てから、年によっては少し出るようになりました。(T_T)
しかし、抗アレルギー剤や、抗ヒスタミン薬、ステロイドなどの西洋医学的治療は、これまでまったく、マジで一回も使ったことがないです。
(苦笑・・・まあ、幸いにも不要で済んだ、というところですな)
あれらの対症療法としての効果は素晴らしいようで、患者さんを診ていると、ほとんどの方が何かしら飲んでおられますね。
ですので、鍼灸臨床サイドでは標本同治、あるいは本治のみ、という感じで処置をすることが多いですね。
最近では西洋医学的な根治療法と言われる「減感作療法」も、皮下注射じゃなくて錠剤や液体でやるんだとか。
・・・さて、今後はどうなるやら、って感じですね。
僕は何年か前に、咳が数カ月止まらなくなった時に、自分で鍼をしても漢方飲んでも、先輩にかかってもダメだった時があり、仕方なく初めて呼吸器内科にかかりまして、
その時に呼吸器の検査のついでにアレルギー検査をしたら、スギやヒノキに陽性が出ていました。
毎年、鍼と漢方でいよいよどうにもならなくなったら、西洋医学的対症療法にお世話になろうかな、と思っているのですが、今のところコントロール出来ています。(゚∀゚)
今度、ちょっと機会をいただいて花粉症に関して人前で喋るので、最新情報も踏まえて勉強し直そうと思います。
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2019.01.19
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二十四節気、明日で「大寒」ですね。
過去記事を読むと、2011年から、この時期になると春を感じ、何かしら書いていることが多いね。(笑)
大寒になったということは、立春の前であり、こないだも書いたが、「冬の土用」に入っていることを大いに意識するべきです。
(特に東洋医学の臨床家は。)
秋冬の陰から春夏の陽へ、陰陽が大きく変動する時です。
当然、それの影響を人体は受けますので、人それぞれに変化を感じます。
場合によっては崩れます。
その崩れ方の一つが、インフルエンザの大流行だったりするわけです。
インフル狂騒曲 参照
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2019.01.18
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世の中、インフル狂騒曲ですな。
テレビでもインフルインフル・・・。
ラジオでもインフルインフル・・・。
ネットでもインフルインフル・・・。
そしてお決まりの「予防接種って、意味あるんですか?」っていう、毎年恒例の質問も乱れ飛ぶ。(苦笑)
僕は今年の正月、狭い個室居酒屋で、おそらくインフルに罹患済みであったろう友人二人(飲んでいる時はじゃっかんカゼ気味で、二人とも翌日高熱で寝込んだ)と、
近い距離で長時間飲んでいましたが、まったく罹患しませんでした。(゚∀゚)
患者さんでも、
「インフルエンザなので、2、3日寝て、動けるようになったら治療に行きます。」
というキャンセルの電話をくれる人もいれば、
「インフルエンザなんですけど、診てもらえますか?」
という人もいます。(笑)
東洋医学で、鍼灸でやってくれと言われれば、僕はやります。
インフルエンザでも、あまりにも毒性が強いようなものであれば東洋医学的には「疫癘の邪気」という扱いになるんでしょうけども、毎年巷で流行する、
タミフルやリレンザやイナビルやゾフルーザやラピアクタが効いて、2、3日で回復するようなものであれば、通常の感冒と同じように、『傷寒論』『温病学』の考え方で対応し、
うまくいったケースはこれまでにも数多く経験しています。
基本的な六経弁証、衛気営血弁証、三焦弁証が大事ですね。
ただ、通常の風寒や風熱と比較すると、やはり邪気の勢いが強いのは強いようで、数脈が緩まない、あるいは緩んでもすぐに戻るものは要注意だと思います。
「感染症に鍼灸は効かない!」と、頭ごなしに言われますが、本来は西洋医学とも積極的に協力できるところだと思うんですがね。。。
まあもちろん、こういうものを扱えるだけの学術がないのに触ったら、危険でしかないのは言うまでもないですが。
『傷寒論』『温病学』を読んでおり、六経弁証、衛気営血弁証、三焦弁証について理解し、これを鍼灸で臨床応用出来る鍼灸師が、日本にどれくらいいるかを考えたら、
仕方ないことかもしれませんね。
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2018.09.16
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これまでのお話・・・
前回、森道伯先生が、大正時代に世界的に流行したスペインかぜ(強毒性のインフルエンザ)に対して、漢方薬で効果を挙げていたことを紹介しました。
また、ずいぶん前ですが、このブログ上で、広州中医薬大学の鄧鉄濤(とうてっとう)先生が、2002年から2003年にかけて世界中に感染者を出した
SARS(重症急性呼吸器症候群)に立ち向かって、漢方薬で効果を挙げたという話も書きました。
鍼灸でも、以前に蓮風先生が非結核性好酸菌症の症例を、内科医の村井和先生とともに『鍼灸ジャーナル 7号』に発表したことがあります。
日本では残念ながら論文数は少ないですが、中国韓国台湾を探せば、鍼灸で感染症を扱って効果を得たものは、他にもあるんじゃないでしょうか。
東洋医学は感染症に無力、と切って捨てる人がたまにいますが、果たしてそうでしょうか・・・?
むしろ東洋医学の歴史は、感染症との闘いの歴史なんじゃないんでしょうか?
現代の新興感染症にも使える叡智が多分に含まれているのではないでしょうか。
・・・で、今日は、一貫堂医学の番外編でもないが、東洋医学の感染症に対する考え方を述べてみましょう。
(一社)北辰会が理論と用語のベースとしている現代中医学の「弁証論治」という基本的な考え方ですが、これの大本は『傷寒論』を著した後漢の張仲景(150?-219)と言われます。
(”弁証論治”という言い方自体が、『傷寒論』の”弁〇〇病脈証并治”という言い方から来ているとか。。。)
・・・で、その『傷寒論』の内容は、『傷寒論』よりさらに前の『黄帝内経素問』の「熱論(31)」の内容や、『難経』58難が元になっていると言われます。
『黄帝内経』よりもさらに以前は、「病気」というのは、悪霊や鬼が患者に憑りついたもの、と考えられており、治療はもっぱら祝由(お祈り、呪い)であったようです。
それを『黄帝内経』では、この世界の全ては「気」から出来ているという「気一元の世界観」、そしてそこに働いている法則性である「大極陰陽論」を前提として、
自然現象である、人間の生老病死の「病→死」を、自然界、あるいは人体内にある「邪気」が、人体の「正気」を傷っていく過程、と考えるようになり、
そしてその「邪気」にはパターン分類があり、人体の側にもまた体質分類があり、それを適切に噛み分けて、何がどうなって病になっているのかを考え、
戦略的に治療すれば、病治しができる、という、医学医術の革新(ある意味科学化)を行いました。
それ以来、その枠組みを前提とした、様々な学説や治療法が開発され、その数千年に渡る膨大な臨床事実の集積は「中国伝統医学」と呼ばれ、
現代にまで脈々と受け継がれている訳ですが、この「邪気」という考え方の中でも、自然界にある外来の邪気、つまり「外邪」と呼ばれるものが、
現代の西洋医学の言う「細菌」や「ウイルス」のことを含む概念です。
(ザッと書いたので、もし間違っていたらご指摘ください。<m(__)m>)
・・・で、東洋医学における感染症の捉え方、治し方は、蓮風先生が以前よく仰っていたことですが、
「ここにアサガオの種があったら必ず発芽するわけではないように、種子が発芽するには土、水、空気などなど、それなりの条件が整わないと発芽しない。
感染症もこれと同様で、細菌やウイルスがあったら必ず発病する訳ではないように、発病しないように、また、発病しても軽く済むように、
患者の側を調えればいいのだ。
細菌やウイルスを顕微鏡レベルで分類し特定して、それを死滅させる、あるいは人体の側を強制的にそれに反応しないようにせしめるのが西洋医学、
それらが増殖しにくいような体内の状況を調えるのが東洋医学、という違いがある。」
ということです。
もちろん、細菌やウイルスがキチッと特定できて、抗生剤などの治療法も確立されているような感染症であれば、西洋医学のやり方は非常に優れていると思いますが、
中にはうまくいかないものもあります。
そういう時に、意外と効果を発揮するのが、東洋医学の論理と手法だと思います。
森道伯先生も鄧鉄濤先生も、そこんところを良く分かっていたんだと思います。
次回、ついでなんで、矢数道斎先生が若い頃、森道伯先生に、マラリアと肺炎の治療を実際に受けた話を書いておきましょう。
続く
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2018.09.15
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これまでのお話・・・
さて、マニアックな話、ドンドンいきましょう。
ドンドン読者を置いていきます。
そしてみんな離れていって、終いには一人になりそうです。(爆)
・・・ともかくここまで、一貫堂医学における「三大体質・五大処方」について書いてきました。
よく勘違いされがちなこととして、
「一貫堂って、全ての患者を3つの体質に分類するんでしょ?それも全部実熱でしょ??そんなん、無理あるっしょ~~!!(;’∀’)」
というミスリード。
普通に考えて、そこだけ切り取って、名医・森道伯を語れる訳ないですね。(・ω・)ノ
矢数道斎(格)先生のまとめた『漢方一貫堂医学』には、森道伯先生のほぼ晩年の3年間のカルテに使った方剤が集積して一覧表にしてありますが、
当然ながら「それ以前の」数十年がある訳です。(笑)
まあ、色々な症例やエピソードがあると思うんですが、有名なのは「スペインかぜVS森道伯」のエピソードでしょう。
まず「スペインかぜ」を簡単に説明しますと、1918年~1919年(大正7年~8年)にかけて起こった、アメリカ発の強毒性インフルエンザのパンデミック(世界的大流行)です。
アメリカ発なのにスペインかぜと呼ぶのは、情報源がスペインだったから、だそうです。
ちょうどこの時は第一次世界大戦(1914~1918)の末期であり、このスペインかぜが大戦を早期に集結させた要因の一つである、という見方もあるぐらいの大事件であったようです。
そのくらい被害は大きく、全世界で5億人が感染、死者は5千万人~1億人、とも言われています。
日本にも被害が広がり、現在タレント論客として活躍している竹田恒泰さんの曾祖父君にあたる竹田宮恒久王をはじめ、多くの日本人が感染しました。
この時、森道伯先生はスペインかぜを3つに分類し、
胃腸型・・・香蘇散+茯苓・白朮・半夏
肺炎型・・・小青竜湯+杏仁・石膏
脳症型・・・升麻葛根湯+白朮・川芎・細辛
で治療し、たいへん効果を挙げたそうです。
これらも、現在でもよく使われる、割かしなんてことない処方なんですが、この処方からしても、決して実熱のみを重視していたなんて思えません。
スペインかぜの弁証論治を、非常にシンプルな形に落とし込んだように見えます。
因みに各方剤の出典は、
香蘇散は北宋の国定処方集である『和剤局方』、
小青竜湯は後漢の張仲景(150?-219)による『傷寒論』、
升麻葛根湯は『閻氏小児方論』という本が出典で、有名な葛根湯の変方かと思いきや、やや似て非なる配合の薬です。(笑)
僕のPCに入れてある『東洋医学辞書』では
葛根湯は葛根5.0・麻黄・大棗各4.0・桂枝・芍薬・生姜各3.0・甘草2.0
升麻葛根湯は葛根5.0・芍薬3.0・升麻・乾生姜各2.0・甘草1.5
と出てきますが、『中医臨床のための方剤学』では
葛根湯は葛根12g・麻黄、生姜9g・桂枝、炙甘草、白芍、大棗6g
升麻葛根湯は赤芍6g・升麻、葛根、炙甘草3g
と、ずいぶん違います。
こういうの(同じ方剤名でも時代や文献で構成生薬が違う)も、方剤学のややこしいところですね。(苦笑)
まあともかく、
香蘇散は風寒表証+気滞の薬で、現代ではストレスからくる肩凝りだの胃もたれだのといった、肝鬱や肝胃気滞によく使われる薬です。
小青竜湯は風寒表証+脇下の水飲の薬で、現代では「くしゃみ三回小青竜」な~んていう、実に胡散臭い謳い文句があって、花粉症によく使われる薬なんですが、
何も考えずに長期服用すれば徐々に内熱が籠っていき、別の病を形成します。(~_~;)
西洋薬と比べて、副作用がなくて眠くならないから助かるわ、な~んつって、冬から春に長期服用している患者さん、ホントに多いです。
升麻葛根湯は、小児の麻疹(はしか)の薬として有名で、肺胃の熱毒を叩く薬です。
これらを強毒性のインフルエンザに巧みに応用した訳ですね。
・・・まあいずれにせよ、よく後世派と言われる一貫堂ですが、古方派の使うような方剤も臨機応変に臨床応用していたことが分かります。
(そういえば後世派、古方派についても書いてなかったですね。いい機会なんでこれが終わったら書きましょう。)
次回、感染症に対する東洋医学の考え方を書きます。
続く
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2017.12.16
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これまでのお話
では続きいきます!!
◆『宋本傷寒論』の「辨可發汗病脉證并治第十六.」の条文
前回までは、「辨不可發汗病脉證并治」といって、発汗させちゃダメなものをまとめてあるところから引っ張ってきましたが、今回は「辨可發汗病脉證并治」ですから、
汗かかせてもいいやつを集めた篇です。
そこに、
「傷寒脉浮緊.不發汗.因致衄者.屬麻黄湯證.」
と、出てきます。
簡単に訳しますと、
「寒邪に侵入されて、脈が浮いて堅くて、汗かかないで、鼻血が出てるものには、麻黄湯の類が効くよ。」
てなもんです。
寒邪が入ったことで汗が出せなくなって、熱が籠って、結果的に逃げ場がなくて鼻血として出る。
こういうものは麻黄湯で寒邪を払えばよしと。
最近、「インフルエンザに有効な漢方薬」なんつって話題になった麻黄湯。。。
キ〇タクがカゼ予防に飲んでるとか言って話題になった麻黄湯。。。
東洋医学では、インフルエンザだからこの処方、というような「病名診断」はしません。
それでやってたら、絶対に間違いのもとです。
・・・が、メディアではそういう言われ方をしてしまい、それだから漢方はバカに出来ないとか、漢方も捨てたもんじゃないとか、そんな評価のされ方をする。
実に嘆かわしい世界です。
・・・でもまあ、この条文は非常に分かりやすいですね。
続く
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2017.01.29
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先日、
という記事を書きました。
あの時期、一瞬落ち着いたかな、と思ったんですが、この一週間くらいで再び再燃した感じがありますね。
毎日毎日、軽いものも含めたら10人以上は診ますね、カゼの患者さん。
もう、延べで100人以上は診てるかもしれませんね。
発表では、インフルエンザの罹患者数が161万人だとか。
しかもこの一週間で激増なんだとか。
まあ、インフルエンザに対する清明院のスタンスについてはこないだ
という記事を書きました。
こないだNHKでパンデミックに関する特集がやっていましたが、これだけ世界が時間的空間的に狭くなっている現代、
いつあってもおかしくないですね。
パニックになるだろうなあ、東京。。。(~_~;)
そういう時に狼狽しないように、まずは適切な養生、そして次に鍼でガッチリ予防。
因みに、養生法を間違えないように。(苦笑)
で、もしなっちゃったら、そこでまた鍼。
鍼鍼鍼。(笑)
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2012.07.08
2016.05.09
2016.04.12
2016.04.28
2015.06.04
2012.12.23
2014.02.17
2014.04.26
2024.05.01
2024年 5月の診療日時2024.04.13
(一社)北辰会、組織再編。2024.04.02
2024年3月の活動記録2024.04.01
2024年 4月の診療日時2024.03.14
2024年2月の活動記録2024.03.01
2024年 3月の診療日時2024.02.15
2.17(土)ドクターズプライムアカデミアで喋ります!2024.02.04
3.10(日)(公社)群馬県鍼灸師会で講演します!2024.02.03
3.3(日)「浅川ゼミ会」にて講演します!2024.02.02
2024年1月の活動記録2024.02.01
2.25(日)順天堂東医研、第5回特別公開シンポジウム「日本とインドの伝統医学」に登壇します!!2024.02.01
2024年 2月の診療日時2024.01.11
2023年、9月~年末の活動一覧2024.01.05
診療再開!!2024.01.01
2024年 1月の診療日時2023.12.30
2023年、鍼療納め!!2023.12.21
(一社)北辰会、冬季研修会のお知らせ2023.12.01
2023年 12月の診療日時2023.11.26
患者さんの声(60代女性 背部、頚部の痒み、首肩凝り、高血圧、夜間尿)2023.11.25
患者さんの声(70代女性 耳鳴、頭鳴、頭重感、腰下肢痛、倦怠感)2023.11.22
12.3(日)市民公開講座、申し込み締め切り迫る!!2023.11.21
今週からの講演スケジュール2023.11.16
日本東方医学会学術大会、申し込み締め切り迫る!!2023.11.01
2023年 11月の診療日時2023.10.10
清明院14周年!!2023.10.04
12.3(日)市民公開講座やります!!2023.10.01
2023年 10月の診療日時2023.09.23
第41回、日本東方医学会学術大会のお知らせ2023.09.22
第55回、順天堂東医研に参加してきました!2023.09.21
第27回、日本病院総合診療医学会で発表してきました!!2023.09.20
Dr’s Prime Academiaで喋ってきました!2023.09.01
2023年 9月の診療日時2023.08.18
第54回、順天堂東医研で喋ってきました!2023.08.17
順天堂東医研の学生さんと、「森のくすり塾」へ。2023.08.16
診療再開!!2023.08.01
2023年 8月の診療日時2023.07.24
第53回、順天堂東医研に参加してきました!2023.07.23
(一社)北辰会関東支部に参加してきました!2023.07.22
Dr’s Prime Academiaで喋ってきました!2023.07.21
第73回 日本東洋医学会に参加してきました!2023.07.01
2023年 7月の診療日時2023.06.12
(一社)北辰会関東支部定例会に参加してきました!2023.06.11
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第52回、順天堂東医研で喋ってきました!!2023.06.08
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日本東方医学会、医鍼薬地域連携研究会(DAPA)について2023.05.30
生薬観察登山に行ってきました!2023.05.12
清明院のコロナ後遺症対応に関して