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前回のお話・・・
ではでは、続きいきます!!
☆腎の形と位置
まずは東洋医学的な「腎の臓」の”形”と”位置”を見ていきましょう。
↑これが、東洋医学の言う「腎の臓」の図です。
(中国明代、張景岳『類経図翼』より)
「相変わらず、テキトーな・・・。」
と思う方もいらっしゃるでしょうが、このように、ザックリとした図にしていることに、むしろ大きな意味があると思っています。
東洋医学の言う「五臓六腑」というのは、そのほとんど全てが、背骨にくっ付いてぶら下がっている、と説きます。
(だから位置が大きくズレない、と考えていたのかどうかは分かりませんが。)
しかし、実際にその臓腑の図を見てみると、背骨との関連性をえらい強調した図になっているのは「腎」のみです。
(上の図でも、背骨と直接連結していますネ。)
ちなみに、「腎の臓」は、腰の部分の背骨(腰椎:ようついの2番)に付着している、と説かれています。
これは、「腎の臓」に異常が起きると、特に腰骨に変形などの異常を起こしやすい、ということを示しているのだと思います。
これについてはまたあとで解説します。
・・・まー、以前にも書きましたが、麻酔もない、精巧な手術器具もない時代に、東洋医学の医者達の興味はもっぱら、
「いかに人体の”機能”を整え、病を治す、あるいは予防するか。」
だったはずです。
また、
”人は自然の子供”
あるいは
”人は小宇宙(ミクロコスモス)”
であり、
”人と自然は一体不可分(天人合一思想)”
という思想的背景から、医療者側の観点からは、あまり病人をばらしていじくりまわすべきでない、あまり傷つけることなく、病人の「治る力」を最大限フル活用して治すべきだ~!
・・という考え方もあったのかもしれません。
・・・誤解されたくないので付け加えておくと、西洋医学の、外科手術の技術は言うまでもなく素晴らしいです。
東洋医学には出来ないことが、外科手術なら出来る、早い、という場面も大いにあるでしょう。
しかし、だからと言って全ての面での優劣を語ることは出来ません。
東洋医学にしか出来ないことも大いにある、と僕は思います。
これまでにも、腰椎椎間板ヘルニアや、脊柱管狭窄症など、腰の骨が異常を起こし、腰痛、坐骨神経痛を引き起こす病気で、整形外科医から、
「もう手術をするしかない。」
と言われた患者さんが、手術という選択肢を拒否して鍼治療を開始し、結果的に手術を回避することが出来た症例を、何例も経験しています。
次回に続く
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2010.12.01
これまでのお話・・・
「五行(ごぎょう)」って何ですか?(その1)
「五行」って何ですか?(その2)
「五行」って何ですか?(その3)
「五行」って何ですか?(その4)
「五行」って何ですか?(その5)
「五行」って何ですか?(その6)
「五行」って何ですか?(その7)
さて、そろそろこの話題を一旦まとめさせていただこうかと思いますです。
・・・まあ、「気」にしても「陰陽」にしても「五行」にしても、細かくやり出したらキリがない、東洋医学の根幹部分であります。
カテゴリ「気」
カテゴリ「陰陽」 参照
なので、そもそも僕ごときが語るにはおこがましいようなテーマなんですが、それでも、少しでも多くの人にこの医学の素晴らしさを伝えたい、
という純粋な思いが高じて、生意気にも、稚拙な筆ではありますが、書かせていただいている訳でございます。
また、このブログの内容は、僕自身がこれまで積み上げてきた知識の再確認作業でもあります。
こうやってごく基本的な内容を書きつつ、周辺知識として、臨床に使える新しい知識を常に渉猟していっております。
だから僕自身にとっても、非常に意味があると思っています。
このブログは、清明院の患者さん達や、鍼灸の学生さん達も多く読んで下さっているようなので、あまり難しい内容には触れていないけども、これを書くにあたって、
数年ぶりに開いた本や、学生時代のノートの中に、今現在の僕にとって、ヒジョーにためになる情報を再発見したりもしています。(笑)
だからこのブログは、これを読んで、
”あーなるほど、勉強になるナー♪”
と感じて下さる人と、僕自身の、一挙両得、一石二鳥なんであります。
(まあ毎日のことなんで、どーでもいいことも書いてますが、そうでないと、なかなか続かないだろうとも思うしネ。性格上。(苦笑))
・・・ともかく、「五行」というのは、歴史の中で「陰陽」と密接に結びつき、東洋医学の基盤となっていった、という話を、前回まで書きました。
中国、明(みん)の時代の大名医、張景岳(ちょうけいがく(1563-1640))先生は、
「五行は陰陽の質であり、陰陽は五行の気である。」
と、述べています。
『類経図翼・運気・五行統論』
・・・パッと聞くと難解なこの言葉ですが、コレは要するに、
「五行(木火土金水)」というのは、「陰陽」で分けた自然界の事物の中の、ある側面(性質)を象徴(シンボライズ)したものであり、
だから自然界の全てものは、この考え方で分類可能であり、
その「五行」が自然界において、正常に循環するためには「陰陽」の”気の動き”がなければならない、
だから自然界を説明する上で、「陰陽」と「五行」は、
”気の動き”
と
”事物の性質”
という、切っても切れない関係性を持っているのだ~!
という意味だと思われ、僕にとってこの言葉は、「陰陽」と「五行」の関係性を極めて端的に、正確に述べたものであると思い、張景岳をあらためてリスペクトするきっかけとなりました。
(ちなみに上記はあくまでも僕なりの解釈です。)
こう考えることで、両者はセットで東洋思想の根本哲学として理解運用できるため、「五材」とか「五質」とかではなく、「五”行”」と、わざわざ
”行る(めぐる)”
という意味合いの文字表記で、今日まで伝わっているんだと思います。
また、学生時代の僕がそうだったように、この多様な自然界を、「二」だの「五」だの、そんな単純なパターン分類で帰納できるはずがない、という疑問が湧きますが、
「五行」においても、「陰陽」と同じように、「五行」のそれぞれの中にまた「五行」があり、その中にまた「五行」があり・・・、という風に、
いくらでも無限に分けることが可能である、とも仮定できます。
「陰陽」って何ですか? 参照
しかし、あまりにも細かく分け過ぎれば、それだけ「自然(生命)の全体像、バランス、調和」を見失いやすくなります。
あらかじめそのことをよく分かっていたのか、あまりにも細分化して理論を組み立てるということを、東洋哲学ではあまりしません。
そしてこれはこの数千年、変わっていません。
このことは、蓮風先生もおっしゃるように、「意味のある」未進化だと思います。
意味のある未進化 参照
もともと「陰陽」も「五行」も、自然を理解するために、一応2や5で分けて、細分化を可能にしてはいるけれども、結局は分けられない、それらが別次元に存在してる訳ではない、
この世の全ては「気一元」で出来ているという、結局は”1つのものの循環、ありようの違い”なのだ、という認識が初めにあっての考え方であり、
そしてその「循環の法則性」を述べたのが、「陰陽五行論」である、ということです。
だからこの考え方は、どこまでいっても西洋医学の考え方(機械論的、物理学的な分析方法)と同一にはならないんです。
優劣ではなしに、五行(木火土金水)は、現代化学の元素記号とは「違う」んです。
古代人の、極めて感覚的で、素朴な、かつ真剣で慎重で緻密な自然観察の中で、想定されてきたものなんです。
・・・まあポイントは、この考え方を一つの基本として発展した東洋医学が、もし、まったく臨床効果のない、利用価値の低い、あるいはないものであれば、
当然歴史の中で自然淘汰されてきたはずですが、開発から数千年経った今現在でも、十分にその効果を発揮できている現実がある、ということです。
だから僕たちはそこに意味があると感じ、真剣にこの医学を学び、実践している、という訳です。
ちょっと長くなっちゃったけど、「五行」って何ですかシリーズ、ひとまず終わり。
このテーマは書く気になればまだまだ色々あるので、そのうちまた書こうかな、と思います。
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2010.10.25
これまでのお話・・・
「心」って何ですか?(その7)
「小腸」って何ですか?(その1)
ちょっと空いちゃったけど、続きいきます!
☆「小腸の腑」の位置
東洋医学では、「小腸の腑」は、「胃の腑」と「大腸の腑」の間に位置するよ、と説きます。
これだけ聞くと、なんだ西洋医学と同じじゃん!と感じる人もいると思うけど、これも内容がやっぱり全然違います。
以前書いたように、東洋医学のいう「胃の腑」というのは、「脾の臓」と密着しながら、腹部(おへそとみぞおちのちょうど真ん中ぐらい)に位置する、と考えられています。
図を出すと、
(江戸期、岡本一抱(1655-1716)『臓腑経絡詳解』より)
・・・こんな感じとか、脾が胃に巻き付いて蠕動運動を説明するときの状況としては
こんな感じでしたね??
(ホジュン『東医宝鑑』より)
「大腸の腑」というのは、下腹部(おへそより下)にあります。
コレも図を出すと、
こんな感じでした。
(中国明代、張景岳『類経図翼』より)
そしてこの2つの腑の間に、「小腸の腑」は位置しています。
図を出すと、
こんな感じです。
(これも『類経図翼』より)
これらの図をみると、いかに東洋医学が「内臓の、写実的な形態の把握」について無頓着かがよく分かると思います。
いつも言うように、これは当然の話です。
だって昔は麻酔もないし、手術したりとか、安全にいじくれないからです。
治療する上で問題にすべきだったのは「形態」よりも圧倒的に「機能」の方だったワケです。
とはいえ、大腸の腑と小腸の腑は、形(形態)がよく似ています。
やっている仕事(機能)もよく似ています。
しかし、違いはあります。
この辺の話は、「大腸」って何ですか?(その2)にて、少し述べました。
次回は、そのお話。
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2010.10.02
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前回までのお話・・・
☆「大腸」のカタチ
↑これが、東洋医学の言う、「大腸の腑」の形であります。
「また・・。ちょっとテキトー過ぎない?」
と思う人もおいででしょう。
しかし、これでよいのです。いつも述べているように、これはこれで意味があるんです。
さらに参考に、ここで「小腸の腑」の画像も出してみましょう。
↑↑「小腸の腑」はこんな感じとなります。(笑)
ちなみにこの2つの図は、中国、明の時代の大名医、張景岳(ちょうけいがく)の代表的な著作、
『類経図翼(るいきょうずよく)』
からの引用です。
この時代では既に、中国医学界は、西洋医学的な写実的な解剖図とも接触していたはずです。
・・・にもかかわらず、こういった表現を変えなかった、というところに大きな意味がある、と思います。
(日本との対応の違いも含めて、ネ。(苦笑))
2つの図を見比べた感じでは、
1.両方とも管空状になっている
2.両方ともウネウネと曲がりくねっている
3.大腸の方が曲がりくねり具合がゆるい
4.大腸の方が太い
・・・ぐらいがすぐに見て取れます。
1.については、飲食物の通り道だからです。
飲食物はここをゆっくりと通過しながら、大事な大事な「気血津液(きけつしんえき)」のもとを体に取り込まれる訳です。
2.については、もしここがストレートになってたら、すぐに飲食物が通過してしまいますが、ウネウネしていることで、あえて飲食物を留める構造になっています。
「脾胃」で吸収したにもかかわらず、さらに十二分に、「気血津液のもと」を取り出す必要がある訳です。
3.については、口から入った飲食物は、「脾胃」、「小腸」であらかた栄養分を吸収し尽くされている訳ですから、「大腸」にはそんなに長く留める必要はない訳です。
なので「小腸」よりも短く、太くなっています。
・・・ということで、コレ、とっても簡単でしょ!?
東洋医学における「内臓の形態」に対する認識が、このようにシンプル極まりまないものになったのは、ある意味当たり前です。
だっていじくれないんだから。
麻酔なんてないし。
でも逆に言えば「形態面」に対してはこの認識でも、「機能面」さえキチッと理解しておけば、大概のものには対応できた、ということです。
東洋医学はそういう情報の宝庫なのであります。
人体に対する侵襲性を極力低く調整できるなら、それに越したことはないですよね。
次回からは、ちょっと今回の補足をして、その「機能面」のお話。
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2010.05.28
前回のお話・・・
今日は、心の形態について考えてみたいと思います。
☆心は他の4臓と直接つながる
↑上の図が、東洋医学的な「心の臓」の図であります。
(中国明代、張景岳『類経図翼』より)
これを見ますと、心から直接4本の管が伸びていることが分かります。
それぞれの管は肝、脾、肺、腎という他の4つの臓に直接繋がっていることを示します。
この中で、「肺」とのつながりだけは他と比べて、少し違います。
この図に、ちょっと難しいけど、
「肺系即肺管」
という言葉が書いてありますね?
・・・まあ、ここは諸説あるようなんですが、要は心と肺とは、気管(空気の通り道)を通じて連結しており、
それ以外の3つの臓よりもさらに機能的に密接なつながりを持つ、と解釈すればよい、と思います。
「心の臓」は、それ以外の四臓のうち、「肺の臓」との繋がりが密接かつ特別です。
「肺の臓」が”八葉蓮華”と言われ、蓮の花の姿で描かれるのに対して、「心の臓」は”蓮の蕾(つぼみ)”として描かれます。
このことは、東洋医学の蔵象観自体が、仏教の影響を受けていることや、心と肺の同源性、同根性を示している示唆だと思います。
(私見です。)
位置については、肺の下で膈(かく)の上、ちょうどみぞおちの少し上あたりにあるとされ、これは西洋医学の言う「心臓」の位置とほぼ一致します。
・・・しかしここで、東洋医学の言う「膈(かく)」というものは、西洋医学の言う、「横隔膜(おうかくまく)」とはまた違います。
古代の中国でも、人体を解剖する、という行為は当然ながら行われていたようです。
(『黄帝内経霊枢』経水篇(12)にすでに記載あり)
ですから、実際に人体を解剖してみて、西洋医学の言う「横隔膜」を目で見て、「膈」としたのでしょう。
しかし、そこから先は違います。
西洋医学の解剖学の本を見ると、「横隔膜」は筋肉であり、人間の呼吸運動に関わる、”呼吸筋”の一つであり云々・・・と出てきます。
つまり呼吸に関わる重要な筋肉である、という認識です。
これに対して東洋医学では、そうではありません。
まず、人体というものを働きの上から、横に三分割して考えています。
(すなわち、「膈」から上(上焦)、膈からおへそまで(中焦)、おへそから下(下焦)、という風に、です。)
そしてこの「膈」というものを、「膈」から下の、飲食物が消化吸収される、ある意味では汚れた世界(中焦、下焦)と、清らかな空気を吸い込む、
膈から上の綺麗な世界(上焦)とを分ける、大事な膜だ、と考えました。
(中焦と下焦の境界線には、膈のような物理的な境界はありません。)
「膈」があるから、その上に存在する「心」と「肺」は特に綺麗でいられる、大便や小便のもととなるような、飲食物が消化吸収された”残りカスの気”が、
「膈」から上の世界には入ってこないのだ、と考えました。
面白いですねえ。。。
こういう発想、僕は大好きです!(笑)
まあいつも言うように、東洋医学は「医学」ですから、”面白い”だけでは終わりません。
この考え方に基づいて、鍼灸なり漢方なり、何か治療をしたら、キチッと効果があがる、言った通りになる!
患者さん喜ぶ!
だから、寝る間も惜しんでやる価値がある、という訳です。
・・・次回に続く
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2010.05.08
これまでのお話・・・
「肝(かん)」って何ですか?(その1)
「肝」って何ですか?(その2)
「肝」って何ですか?(その3)
「肝」って何ですか?(その4)
「肝」って何ですか?(その5)
今日は、東洋医学の言う「肝」という臓の”形態”について考えてみたいと思います。
東洋医学では、西洋の解剖学のように、内臓の一つを体から取り出してきて、それを細かく写実的に観察し、その各部位の機能を考える、という方法は採りません。
(採ろうとしたけど技術的に無理だった側面もあるでしょう)
ある臓腑は、あくまでも「全体」の中の「部分(構成要素の一つ)」に過ぎない、という、「生命体全体としての機能の調和」をこそ重視する認識から、
「形態」よりもむしろ「機能」の面に着眼して、解剖学、生理学を構築しています。
そのため、臓腑の形態の図については、西洋医学と比較すると甚だ簡単で、現代の我々の常識から考えると、一見”奇妙”にすら感じる形態が書いてあるものが多いのです。
しかしその形態には、一つ一つ深い意味が込めてあるように思えます。
これから説明する「肝」の形なんて言うのも、その最たるものの一つであります。
◆「肝」は葉っぱの形をしている
東洋医学における「肝」の形態、というのは、葉っぱが7枚、上から垂れ下がったような形をしています。
(張景岳『類経図翼』より)
これは、「養分を蓄える」という葉っぱの機能と、「血を蓄える」肝の機能がよく似ている、という発想から、この形状で描いたのではないかと考えられます。
そして、なぜ、「7枚」なのか、という疑問が浮かびます。
しかもこれを正確に言うと、「右に4枚、左に3枚、合わせて7枚」なんです。
ひとつには、右に1枚多いのは、肝を病むと体の右側に症状が出やすい、ということを示している、というのが定説のようです。
こういう風に言われると、西洋医学的な肝臓(liver)も体の右側に偏って存在しているということと重ねて考えたくなりますが、その方向性で東洋医学の蔵象学を突き詰めていくのはあまりお勧めしません。
ろくなことになりゃしません。
(笑・・・経験者が言うんだから間違いないです。)
・・・ともかく、いつか書いたけど、東洋医学にこういう意味ありげな「数字」が出てきた時は、深い意味があることが多いのです。
次回、”7”という数字に対する僕なりの考えを書いてみたいと思います。
次回に続く
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2009.12.09
今日は、よく言われる「五臓六腑」とは何か、について書いてみたいと思います。
よく、うまい酒を飲んだ時に
「五臓六腑に染み渡るわ~!」
なんて表現がありますが、これは実はもともと、東洋医学の言葉なんです。
このブログの中で、何度も
「人間の陰陽のバランスを調えて病気を治すのが東洋医学です。」
と書いてきました。
もちろんこれはこれで、すごく大事な、根本的な考え方なんだけど、
「じゃあそうするためには、実際にどうしたらいいの?」
という疑問が当然浮かびます。
・・・コレに答えるためには、あくまでも「気」や「陰陽」という考え方(根本哲学)に則った、「人間の体のしくみ」をしっかりと理解する必要があります。
そこで考え出された(想定された)のが、「五臓六腑」という、人間の内臓に対する考え方です。
コレの内訳は・・・
・五臓:(肝・心・脾・肺・腎(かん・しん・ひ・はい・じん))
・六腑:(胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦(たん・しょうちょう・い・だいちょう・ぼうこう・さんしょう))
となります。
これらの一つ一つに対する解説はいくらでも専門書がありますし、難しくなるので今日は解説しませんが、いずれ簡単に解説出来たら、と思っています。
この分類に基づいた人間の内臓を図にすると・・・
↑こんな感じになっちゃいます(笑)
(張景岳『類経図翼』より)
・・・一見、
「は?何コレ?全然実際の人間の内臓と違いますけど・・・?」
と思いますよね?
・・・江戸時代、日本に蘭学(オランダの学問)が入ってきた時、日本の多くの医者は、西洋の写実的な解剖図(現在でもよく病院の待合室なんかに貼ってあるやつ)を見て驚嘆し、
「我々は間違った理解をしていた、なんてバカだったんだ!」
とか言って変に反省し、今日までの自分たちの医学は間違っていた!と考えてしまったのです。
そして、それまでの東洋医学独特の五臓六腑の学説の用語を、そのまま西洋医学の解剖学用語に訳語として乗せていきました。
いわばその延長線上にあるのが、現代の解剖学です。
しかし、その理解は、果たして良かったでしょうか。
この図は「ある意味においては」間違っておらず、もっと深い意味、意義があるのではないでしょうか。
・・・大体、中国だって日本だって、ちょっと分かる人にとっては、この図が実際に人体を解剖したものと違うことなんて、百も承知だったはずです。
江戸期から、舶来品を無批判に受け入れ、新しモン好きで付和雷同な日本人なんでしょうか。。。(苦笑)
まあともかくこの図は、「今まさに、実際に生きて動いている」病人や健常者を、医師が五感をフル活用して徹底的に観察し、数百年、数千年かけて徹底的に臨床レベルで実験しまくった末に考え出された、
「人間の生理機能」
と、
「体の表面に現れる様々な異常」
から類推した、
「“人体の構造と機能”を説明するための解剖図」
と言えます。
消毒も麻酔もない時代に、現代ほど外科手術が日常的に行われていたはずはなく、なるべく人体に負担をかけない方法で「生理機能」を調整して病気を治す、
というのが、医者の共通テーマだったはずです。
そこから編み出されてきたこの図が、江戸期に「実際の見た目と違う=まったく間違っている」と評価されてしまったのは、残念でなりません。
これはこれで正しい図なんです!
(写実的でないだけで、“機能”を説明した図である、という意味では)
ですから本当は、もともと「上の図における内臓の名前」だったはずが、西洋医学の解剖図の翻訳に使われちゃってるんで、結果的に混乱のもとになって、
なんか木に竹を接ぐ様なワケ分からんことになっちゃってるのが、日本の東洋医学教育の、一つの問題点だと思います。
(まったく問題にされないけど。)
患者さんが「胃が痛い」じゃなくて「stomachが痛い」と言えば、変に混同されることもないんだが。。。
・・・この辺の話題も、話し出すとキリがないんでこのぐらいにしときますが、要は「五臓六腑」とは、
・もともと東洋医学独特の、機能面におけるトータルなバランスに調和に着眼した内臓学の言葉で、
・東洋医学がこれを考える上で相手にしたのは“形態“じゃなくて、外から人間の五感でうかがうことの出来る“機能”ですよ、
ということです。
西洋医学もいいけど、東洋医学もいい!
とりわけ、東洋人には東洋医学がいい!!
やっぱりなんだかんだ言って、そもそもの体質や感覚に合ってる!
「伝統」というものをバカにするモンじゃない!
・・・そのように「強く」思っています。
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