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10:00~21:00(完全予約制)
2016.04.28
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「患者さんの声」をいただきましたので紹介します。
60代 女性
【症状】関節リウマチによる手足の痛み、シェーグレン症候群による乾燥症状
【既往歴】子宮内膜症、胆石、自律神経失調症
十年ほど前に患ったリウマチの痛みが、昨年末からまた出てきてしまいました。
治癒したと思っていたのでショックでした。
検査結果は、やはりリウマチの値が出ており、シェーグレン症候群も合併していました。
幸い、検査値はどちらも軽度でしたが、手足の痛みをベースに日替わりで身体の様々な箇所が痛み、辛い状態でした。
処方してもらった抗炎症鎮痛剤があまり体に合わず、免疫抑制剤を服用することにも不安がありました。
今まで働き続けてきてくれた体の何処にも弊害を及ぼすことなく、対症療法ではなく、体全体が元気になりたいとの思いが強く、
治療方法を色々探していた時に、友人が鍼治療を勧めてくれました。
鍼といえば、肩こりや腰痛治療のイメージだったのですが、リウマチも治療して下さるとの事でお世話になることにしました。
治療開始当初は痛みが増したように感じたり(好転反応)、日によって痛む場所が変わるのでモグラ叩き状態でした。
正直な所、鍼一本刺すだけで本当に効果があるのかなあと思ったこともありましたが、痛みはあっても体が軽くなってきたり、
食欲も増し、口内の渇きが気にならなくなってきたりと、
治療を重ねる毎に心身共に楽になっていきました。
治療して頂いて二カ月経った現在、日替わりの痛みはなくなり、手足の痛みも軽減していて、とても有難く、嬉しく思っています。
竹下先生には食べ物をはじめ、色々な養生を教えて頂き、質問にも丁寧に答えて下さって感謝しています。
痛みが完全に無くなることを願いつつ、治療をして頂きながら養生に心がけ、「大丈夫!」と明るい気持ちで過ごさせてもらいたいと思っています。
これからも宜しくお願い致します。
【清明院からのコメント】
本症例は、初診がH28年の2月、とある鍼灸院さんからの紹介でした。
関節リウマチやシェーグレン症候群というのも、清明院では意外と多く診る疾患です。
西洋医学的には痛み止めやステロイドを使って、効果薄だと、免疫抑制剤を使ったりしてコントロールするしかなく、
いずれにしても対症療法的であり、たとえうまく症状がコントロールできていたとしても、患者さんとしては非常に先行きが不安な疾患でもあります。
こういうものに、東洋医学が力を発揮します。
東洋医学的な考え方に基づく、「根本的な体質改善」が見込める可能性がある、ということです。
西洋医学的な数値がどうであれ、リウマチの関節炎や、シェーグレンの乾燥症状が起こる状況、外的環境にさらされても、
それが起こらない体質に改善される場合がある、ということです。
本症例の患者さんは、初診の10年前にもリウマチの痛みを発症したことがあり、今回、10年ぶりに再発してしまったこと、
病院から出された薬があまり効かなかったことに、非常に不安感を覚えておりました。
また、10年前に発症した時は漢方薬で治したそうで、もともと東洋医学に理解のある患者さんでした。
このように、どんな病気であれ、東洋医学の考え方に肯定的な患者さんは、治療がうまくいきやすい傾向があると思います。
初診時、「痹証(肝鬱痹≒著痺:脾湿肝鬱)」と証を立て、治療を開始すると、初診治療後から非常に手応えのある変化を見せました。
多少、治療後に瞑眩が出たり、症状が右往左往することはありましたが、5診目には症状が緩解し始め、そのままブレずに、
冷静に有効打を与え続け、2か月後、20診目には関節炎の消退をみました。
今後も、外部環境がいかに変化しても、リウマチやシェーグレンの症状が出ないような体質になるよう、治療を進めさせていただこうと思います。
また、本症例で興味深いのは、リウマチによる関節炎を主な標的として治療を進めていたのですが、シェーグレン症候群による渇き症状も、
同時に改善していることは、注目に値すると思います。
東洋医学は、全身のバランスを整えることによって、その患者さんの「治る力」を最大化しようとする治療です。
化学物質による強引な対症療法ではありません。
ですので、こういう、嬉しい副産物が付いてくることはよくあります。
アレルギーや自己免疫疾患など、西洋医学が比較的苦手とするような疾患に、伝統鍼灸、試してみては如何でしょうか。
試す価値「大」だと思います。
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2016.04.12
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「患者さんの声」をいただきましたので紹介します。
20代 女性
【症状】1か月以上治らないカゼ症状(咳、痰、微熱、悪寒、下痢)
【既往歴】十二指腸潰瘍、生理痛、不正出血
最初、清明院に行ったきっかけは1ヶ月以上風邪をこじらせたことでした。
どこの病院に行っても、待ち時間は長いのに診察は1分程度・・・
全然治らず、不安な私に、鍼灸の勉強をしている弟が、ここしかない!と勧めてくれて、清明院に行きました。
病院嫌いで注射も大嫌いな私が、鍼なんて無理!と思いましたが、そのときは藁にもすがる思いでした。
4枚にわたる問診票
1時間以上の問診
そして1時間の治療
とにかくたっぷり聞かれて、たっぷり話しました。
正直、記憶の中で薄れている部分も多いところまで聞かれて、逆に普段の自分の生活と向き合う時間にもなったような気がします。
最初は緊張してばかりでしたが、先生がとても話しやすく、たくさん聞いてくださるので、だんだん打ち解けるようになり、
自分の体をとことん診て、治してもらえる!と信じて通うようになりました。
最初は週2回ずつ通いました。
治らなかったカゼが、1週間くらいで咳は治り、その後、すぐに痰も絡まなくなりました。
お腹はなかなか治らなかったのですが、先生を信じて通い続け、そこから1ヶ月弱くらいで良くなりました。
それからは、症状以外の体調を整えてもらい、できるだけ健康体になるように、先生に言われるがまま通っています。
体のちょっとした異常から、病気の芸能人のニュースなどで精神的にも不安になったりすることもあり、その度に先生には診ていただいて治療してもらっています。
ちょっとでも痛い、変な感じを伝えると先生は親身に診てくださり、心配なければ心配ない!と言ってくださるので、
とりあえず何かあったら相談してみようといつも思っています。
去年、移転リニューアルしてから完全個室になり、他の患者さんたちに自分の状況が聞こえなくなったので、話しやすくなりました。
今ではかなり元気になったので、通う頻度も減りましたが、ここなら安心!という病院ができただけ心強いです。
鍼灸院や東洋医学はマイナーで足を踏み出しにくいとは思いますが、病院嫌いの私でも、すすんで行く病院です!
ぜひ皆さんに一度行っていただきたいです!
【清明院からのコメント】
本症例は、初診がH27年の6月、ある鍼灸学生さんからの紹介でした。
この症例は、発症当初、一般的なカゼ症状から始まり、病院で投薬治療を行い、一定の改善を見るも、それ以上の効果に関してはお手上げ状態になっていた症例です。
こういう症例も、意外と多く診ます。
西洋医学の病院が処方するかぜ薬(西洋薬)というのは、基本的にはカゼに伴って起こる諸々の症状を、表面的に緩和するものしかなく、
薬を飲んだら症状は楽になったけど、かえって経過は長引いた、という結果になってしまう患者さんが少なくありません。
また、医師を対象に取ったアンケートで、
「あなた自身がカゼを引いた時、薬を飲みますか??」
という問いに、飲むと答えた医師は極端に少なかった、という有名な話もあります。
http://biz-journal.jp/2015/09/post_11561.html
(因みに私の知り合いの、西洋医学バリバリのドクターも、そう言っていました。)
そういった理由から、近年、カゼを根本から治療しようということでなのか、「漢方薬」を処方するドクターも増えていますが、
私の知人の漢方薬専門の薬剤師の先生からは、皆さん口を揃えて、
「知ったかぶりの、全然デタラメな東洋医学の知識でもって、患者さんにまったく的外れな漢方薬を処方するドクターが多過ぎる!」
と聞きます。
これらは、現代医療の由々しき問題の一つですね。
大変嘆かわしい現実だと思います。
・・・でまあ、こういう状態になっている患者さんに、清明院の鍼は良く効きます。(笑)
この患者さんも、初診時、今回のカゼも関与した「肝脾同病(肝気逆、湿熱)」と証を立て、治療を開始すると、一回の治療で非常に大きな効果が得られました。
その後も順調に経過し、下痢症状のみ、若干ぶり返すことがありましたが、初診から1カ月弱、計7回の治療で、全症状消失しました。
まずまず、鍼がよく効いた症例と言っていいと思います。
このように、カゼなどの急性の軽症の疾患であっても、間違った治療、対応を重ねることで、治りにくくなり、ついにはもともと体質的に弱い部分を、
さらに弱めてしまう結果になってしまうことは、少なくありません。
当然それが大病、重病に繋がる可能性もあります。
こういう経験をした患者さんは、その後は自分の身に何かあると、すぐに鍼に診せに来るようになります。
(笑・・・体で覚えるワケです。)
この患者さんも、現在では清明院のすぐ近くの会社に転勤されたこともあって、1、2週に1回、健康の維持増進を目的に、
通院を継続されております。
「カゼに鍼が効く」という事実は、現代日本の国民にはほとんど知られていないと思います。
でも実際に効くのです。
東洋医学では、数千年前から当たり前に、カゼを診療してきました。
何かあったら、早い段階で清明院に鍼に来ることをお勧めします。
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2016.03.10
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3.9の水曜日で、東洋鍼灸専門学校、2015年度の後期授業が終了しました!!
〇
・・・いやー、長かったー!!(@_@)
今回は「体表観察学」を昼夜3クラスに、「臓腑経絡学」を昼1クラスに、各クラス約20コマずつ、合計80コマの講義を終了しました!!
この、1日4コマ講義の話を受けたとき、どんなことが起こるか、楽しみとか言っていましたが、結果的には、「僕が」けっこう疲れました。
(苦笑・・・すなわち、まさかの”僕が疲れる”という結果が得られました。。。)
まあでも、ここに、カリキュラム内容を公開し、記念碑にしようと思います。
【昼専科、夜本科専科】
1.ガイダンス~北辰会方式概論
2.中医学概論 実技デモ
3.28脈状診 実技
4.胃の気の脈診 実技
5.舌診 実技
6.腹診 実技
7.背候診 実技
8.原穴診・八脈交会八穴診 実技
9.顔面気色診・眼診 実技
10.臓腑経絡学概論 実技
11.弁証問診①総論 実技
12.弁証問診②各論 実技
13.弁証問診③女性カルテ 実技
14.弁証問診④男性カルテ 実技
15.刺鍼術・施灸術 実技
16.難病症例解説 実技
17.公開臨床①(問診)
18.公開臨床②(体表観察~治療~養生指導)
19.空間診 実技
20.爪甲診・井穴診 実技
【昼本科】
1.ガイダンス 実技
2.臓腑経絡学総論 実技
3.臓腑経絡学 肺 実技
4.臓腑経絡学 大腸 実技
5.臓腑経絡学 胃 実技
6.臓腑経絡学 脾 実技
7.臓腑経絡学 心 実技
8.臓腑経絡学 小腸 実技
9.臓腑経絡学 膀胱 実技
10.臓腑経絡学 腎 実技
11.臓腑経絡学 心包 実技
12.臓腑経絡学 三焦 実技
13.臓腑経絡学 胆 実技
14.臓腑経絡学 肝 実技
15.奇恒之腑 実技
16.奇経八脈① 実技
17.奇経八脈② 実技
18.気と陰陽論基礎 実技
19.神主学説基礎 実技
(昼本科については前期に体表観察学の一通りの講義が終わっているため、座学講義の後半は実技で体表観察の練習をしました。)
・・・専門家の皆さん、なかなかのラインナップでしょ??(笑)
上記講義、どのコマも、一切の手抜きナシです。
やるからにはマジです。
でもちょっと疲れたので(苦笑)、2016年度はコマ数を半分に減らして、臨んでみようと思います。
やっぱ僕の居場所は、患者前だ。
それをよく理解する上で、大変大きな半年でした。
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2016.02.02
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これまでのお話
奇恒之腑について 4 参照
では続きいきます!!
本日は奇恒之腑のラスト、「女子胞」についてです。
女子胞というのは、西洋医学で言う”女性生殖器”のような存在です。
(これも厳密に考えていくと違うのですが、イメージとしてはそんな感じです。)
要は、女性独特の臓器でり、妊娠し、胎児を育てる場所のことです。
(いわゆる”子宮”のイメージが一番近いでしょうね。)
形としては袋状でありながら、胎児を蔵する働きがあり、妊娠していない時でも、毎月、妊娠できるように十分な気血を蔵する、
というわけで、風変わりな存在である「奇恒之腑」にノミネートされとる訳です。
ちなみに、男性の場合の陰嚢、睾丸、精巣を”男子胞”という言い方はしませんし、奇恒之腑にも数えられていません。
(男性だって精を蔵するのにねー)
これは男性生殖器には胎児を妊養する能力がないからでしょう。
女子胞については当然、『黄帝内経』に出てきます。
『黄帝内経素問』奇病論(47)には、
「女子胞は腎に繋がっているのだー!!」
とあり、『黄帝内経素問』上古天真論(1)には、
「14歳になると、女子胞に関わる気血が盛んになって、妊娠できるようになるのだー!!」
と、書いてあります。
因みに、現代日本では初潮年齢の平均は12歳ぐらいだそうです。
2500年前と比較して、二歳も違うのは、栄養状態や、セクシャルな情報の氾濫など、様々な原因が考えられるでしょう。
ともあれ、上記から分かるのは、女子胞は腎の臓と非常に関わりが深く、女子が正常に発育すると、一定の年齢で、女子胞において妊娠できるようになる、ということですね。
ただ実際は、女子胞には経絡で言うと腎の臓の経絡である足少陰腎経の他にも、足厥陰肝経、足太陰脾経、足陽明胃経、奇経八脈の任脈、督脈、衝脈が入りますし、
機能の上では心の臓も深く関わりますので、一概に女子胞の病だからと言って、腎の臓が悪いとは即断できません。
清明院にも婦人科疾患の患者さんは非常に多いのですが、一例一例、的確な弁証論治が要求されます。
まだまだ細かいことを語りだしたらキリがないですが、「奇恒之腑」シリーズ、一先ずここまでにします。
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2015.11.27
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これまでのお話
では続きいきます!!
前回、手足の経絡は3つの陰経と、3つの陽経とに分類される、というお話をしました。
それを「三陰三陽経」というワケですが、その名前を陰経から言うと
「太陰経」「少陰経」「厥陰経」、
陽経では
「太陽経」「少陽経」「陽明経」
でしたね。
そしてこれらは、陰気や陽気の多寡によって、このように呼び分けられている、というお話をしました。
今日は、それ以外の特徴について触れておこうと思います。
◆三陰三陽経と開・闔・枢(かい・ごう・すう)
この話は一般の方には難しいと思うけど、ついでなんで書いときます。
三陰三陽、それぞれの経絡の”働き”を考えた場合、開・闔・枢という3つの働きに分けることが出来ます。
これは、『黄帝内経素問』陰陽離合論(6)というところに書かれています。
「開」には開くという意味があり、気の出入に関係します。
三陰三陽経の中で「開」の働きを持っているのは、陽経では太陽経、陰経では太陰経です。
太陽経は小腸と膀胱の経絡、太陰経は脾と肺の経絡です。
・・・まあ、この4つの臓腑ともに、”開く”ことによって気の出入を調整するという意味で、理解できなくもないと思います。
「闔(ごう)」は閉じるという意味があり、気の保護に関係します。
「闔」の働きは陽経では陽明経、陰経では厥陰経です。
陽明経は胃と大腸、厥陰経は肝と心包です。
この4つも、閉じることによって気を保護する、と、理解出来なくもない感じです。(笑)
「枢」は”開と闔(つまり開閉)を調整する”という意味があります。
ドアで例えれば、開いていて出入り自由な状態が「開」、閉じた状態が「闔」、それを調整する蝶番のような役割を担うのが「枢」です。
「枢」の働きは少陽経と少陰経です。
少陽経は胆と三焦、少陰経は心と腎です。
この4つが、「開く」と「閉じる」を調整するというのも、分からんではない、という感じですな。
〇
ここで個人的に重要かな、と思うのは、上に一応臓腑を働きとともに挙げましたが、開・闔・枢というのは、「臓腑」そのものの働きことを言っているのではなく、
あくまでも「経絡」(手足三陰三陽経)の、生理的な働きのことを言っているのだ、ということです。
手足三陽経において、人体後面(陽の部位)を大きく流れる太陽経は、開く(エネルギーを発散する、と言い換えてもいいかもしれません)働きを持っており、
人体の前面(陰の部位)を大きく流れる陽明経は、閉じる(エネルギーをため込む、と言い換えてもいいかもしれません)働きを持っており、
人体の側面(陰陽が中途半端な部位)を大きく流れる少陽経は、その開閉を調整する働きを持っており、手足三陰経においては、手足三陽経のその働きを支えつつ、
自身も開・合・枢の働きを有し、表裏のエネルギーバランスの調整(恒常性維持)に役立っている、ということだと思います。
このように経絡というのは、それぞれに気血の量が多かったり少なかったり、それぞれに担う働きが違ったりしながら、人体の複雑で霊妙なバランスを支えている機構なのです。
つづく
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2015.11.20
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これまでのお話
では続きいきます!
ここまで、手足の三陰三陽経と、五臓六腑との関わり(仮説も含めて)を説明してきました。
今日はまた別の角度から考えてみたいと思います。
手足の経絡にはそれぞれ、「三陰三陽」の名前が付いています。
どういうことかというと、以下の通り。
手の大腸経、足の胃経・・・陽明経(ようめいけい)
手の三焦経、足の胆経・・・少陽経(しょうようけい)
手の小腸経、足の膀胱経・・・太陽経(たいようけい)
手の肺経、足の脾経・・・太陰経(たいいんけい)
手の心包経、足の肝経・・・厥陰経(けついんけい)
手の心経、足の腎経・・・少陰経(しょういんけい)
とまあこのように、手の経絡と足の経絡を一つづつまとめて一対にし、それぞれに名前が付けられています。
この、”陽明”だの”少陽”だのという名前は、もちろん『黄帝内経』にて定義されたのですが、どういう意味かと言うと、一つには
「その経絡の陽気や陰気の多寡」
を示すんだそうです。
少陽経と太陽経といったら、何となく太陽経の方が陽気が多そう、というのは、字からしてすぐ分かりますね。
少陰経と太陰経もしかりですね。
では、陽明経というのはいったい何なんでしょう。
これは、太陽経よりもさらに陽気が多く、いよいよ明るい、という意味なんだそうです。
では、厥陰経というのはいったい何なんでしょう。
これは、太陰、少陰と陰気が少なくなってきて、いよいよ尽きるように少ない、という意味なんだそうです。
(厥には”厥(つ)きる”という意味があるそうです。)
でもまあ、本当に尽きてしまっては死んでしまいますから、あくまでも生きている人間の中における、相対的な陰気の少なさを示すのが、この呼び名なんだそうです。
そして、この6つの呼び名を「六経(りっけい)」と呼びまして、これが後代の有名な『傷寒論』の「六経弁証」という考え方に繋がっていきます。
『傷寒論』というのは、「傷寒」というぐらいですから、超簡単に言えば”寒邪(冷えの邪気)”にやられ、色々な症状を呈しながら、
最終的には死んでしまうところまでの病気の流れ(各ステージ)について、病の起承転結を詳細に詳細に説明した本です。
ですから当然、経絡それぞれの陽気や陰気の多寡に応じて、寒邪に侵襲された場合に出てくる症状や所見が、それぞれの経(位置)によって違うのです。
続く
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2015.11.16
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これまでのお話
では続きいきます!
前回は、手の三陰三陽の経絡に関して、若干の考察をしてみました。
では、足の三陰三陽はどうでしょうか。
足の陰経が関わる臓は肝、脾、腎。
足の陽経が関わる腑は胆、胃、膀胱です。
こちらはいずれも、中焦から下焦に存在するので、手よりも足と関係が深そう、というのは何となく感覚的に分かりやすいですね。
そして、肝、脾、腎の三臓はどれも管腔状ではない、ミチッと詰まった実質臓器です。
脾は胃と隣接し、胃の働きを助ける臓で、肝は血を蔵し、腎は精を蔵す。
ビッチリ中身が詰まっているわけですね。
胆、胃、膀胱の三腑も、胆は胆汁(精汁)、膀胱は濁液(尿)、胃は飲食物(水穀)を、一定程度ため込んで、必要に応じて送り出します。
単に通過するだけでなく、一定程度ため込む時間がある、という意味では、大腸、小腸、三焦よりも陰的なのです。
だから陽である手ではなく陰である足に、その気の反応が現れる、と。
次回、さらに突っ込んでいきます。
続く
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2015.11.14
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昨日、「三陰三陽」という考え方 1という記事を書きました。
早速、続きいきます。
まずは前回の復習から。
我々にとって欠かせない「経絡」なるものは、脾胃のある中焦から始まって全身を一周し、再び中焦から全身を巡ります。
このように、全身をくまなく巡って、全身に気をスムーズに行き渡らせる機構が「経絡」です。
そして、その「経絡」は、通過する場所によって関連の深い臓腑があり、臓腑別に、全部で12の名前があります。
それを「十二経絡」と言いました。
そして、その「十二経絡」も、陰陽に分けられています。
その分け方を「三陰三陽」と言い、他の東洋思想、東洋哲学にはない、医学分野独特の分け方(※)なのです。
(深い意味がありそうですねえ。)
※因みに、三陰三陽学説が東洋医学独特の考え方である、という論は、私の鍼灸学生時代の恩師でもある、松本弘巳先生の『鍼灸臨床のための素問・霊枢医学』の記載を参考にさせていただいています。
・・・とまあ、ここまでが前回の復習。
で、その分け方はどうかというと、
「3つの陽の経絡と、3つの陰の経絡があり、合わせて6つの経絡が、それぞれ手と足にある、だから手に6、足に6、6✕2で12経絡」
というセッティングになっています。
手足も陰陽ですから、12の経絡をまずは大きく手足に6つずつ分け、さらに手の中にも陰陽、足の中にも陰陽、と分け、さらにさらに陰を3つ、陽を3つに分けた訳です
ですので、手に三陰三陽の六経絡、足に三陰三陽の六経絡、合わせて十二経絡、というわけです。
ここでいう陽の経絡というのは、五臓六腑の「六腑」の方と関わる経絡です。
陰の経絡というのは五臓六腑の「五臓」の方と関わる経絡です。
因みに五臓だと数が合わないですが、肝心脾肺腎に、心の臓のガードマンである心包の臓を入れたら六臓ですね。
心の臓と心包の臓は働きの上でニコイチ、という話は以前しました。
心包・三焦 参照
このように、手に6つの経絡、足に6つの経絡、そしてそれらは三陰三陽、半分に分けられ、人体に左右対称に存在する。
総じて、陽の経絡は体の後外側、陰の経絡は前内側に配置されています。
このように考えられているのが、われわれ鍼灸師がこの上なく重視する、「経絡」の主な系統です。
では、もう少し詳しく考えていきます。
続く
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2015.10.03
清明院では現在、スタッフを急募しております!!
ぜひ我々とともに、切磋琢磨しましょう!!詳細はこちら!
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「患者さんの声」をいただきましたので紹介します。
2015.09.27
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これまでのお話
「尺膚診(しゃくふしん)」について
「尺膚診」について 2
「尺膚診」について 3
「尺膚診」について 4
「尺膚診」について 5
「尺膚診」について 6
「尺膚診」について 7
「尺膚診」について 8
「尺膚診」について 9
「尺膚診」について 10
「尺膚診」について 11
「尺膚診」について 12 参照
では続きいきます!
◆和久田叔虎の『腹証奇覧翼』における尺膚診の記載
こないだ、墓マイラー8という記事を書きました。
この時に墓参した名医二人のうちの一人である和久田叔虎先生について、先日紹介しました。
和久田叔虎という人物 参照
その和久田先生の代表作である『腹証奇覧翼』という本の中に、何と尺膚診に関する記載が出てきます。
今回、偶然です。
まさかそういう風につながるとは・・・。
やはりあの時、僕の目の前に急に墓石が現れたのは偶然とは思えない。。。ナンテネ☆
まあともかく、『腹証奇覧翼』の冒頭部分、”総論並びに内経診尺図解”というところに、この尺膚診の話が出てきます。
(↑↑京都大学貴重資料デジタルアーカイブにリンク)
ここに、
「尺膚診には諸説あるけど、手を大きく開いて、親指の先から中指の先までの長さを”尺中”と言って、お腹をリンクさせて診てるに違いない!」
と述べ、さらに、
「尺内で臍からみぞおちまでをうかがい、尺外で臍下をうかがい、さらに体幹部を上中下三つに分けて、
臍からみぞおちまでを中とし、左の外側で肝を、内側で膈を、右の外側で胃を、内側で脾をうかがうとし、
みぞおちからノドまでを上とし、左の外側で心を、内側で膻中(胸腹ともにうかがうところ)を、右の外側で肺を、
右の内側で胸中をうかがい、前で生殖器と顔面部(目耳鼻口)をうかがい、後ろで肛門と首から背中をうかがい、
下では下腹部、腰から足をうかがう。」
とも述べ、
「素問に”三部九候”という言葉があるが、それは人体を上中下に分け、その左右と中をうかがうという意味だー!」
と、喝破しています。
・・・まあ、この論の正否はともかく、彼は上に挙げたような図まで付けて、この部分を強調しています。
細かい部分はともかく、前腕の状態をうかがう尺膚診を、腹診とリンクさせて考えたり、全身の上中下、内外をうかがうという考え方そのものは、
北辰会が臨床に取り入れている尺膚診の考え方と同じです。
冒頭に書くということは、非常に重要視している証拠でもあります。
因みに、『腹証奇覧翼』のもともとの本であり、和久田先生の師匠である、稲葉文礼先生の書である『腹証奇覧』の冒頭には、
いきなり腹診のやり方、手順が書いてあります。
そしてそこには、
「患者も”術者も”、心を静めて診察にあたれ。それはまさしく武士が敵に向かうが如く、雑念を捨てて、ただ病人を救わんと、心を専一にして行え。」
と、書いてあります。
ひたすらアツい文礼先生と、アツいけども、キチッと理論を言おうとする叔虎先生の個性がよく出ているイントロだと思いますね。(笑)
続く
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