東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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「尺膚診」について 8

2015.09.18

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これまでのお話

 


「尺膚診(しゃくふしん)」について 
「尺膚診」について 2                     
「尺膚診」について 3          
「尺膚診」について 4
「尺膚診」について 5   
「尺膚診」について 6
「尺膚診」について 7   
参照

 

では続きいきます!

 

◆『黄帝内経』に繰り返し出てくる、皮膚観察の重要性

 


東洋医学には、「表をもって裏を知る」という考え方があります。

 

表面をよく観察することで、中の状態をうかがう。

 

これは『管子』の地數篇なんかにも出て来ますし、『黄帝内経素問』の5篇目、”陰陽応象大論”にも明記してありますし、

『黄帝内経 霊枢』
の中の75篇目、”刺節真邪篇”なんかにも、例え話を用いて示してあります。

(管子について、まだ書いていなかったようなので、後ほど書きましょう。てっきり書いたと思っていた。。。(*’ω’*))

「表を以て裏を知る」 参照

 


・・・まあ、この考え方からすれば、皮膚表面の異常をうかがえば、身体の中の状態が分かる、ということになるわけです。

 

そして、その具体例は、黄帝内経の中の諸篇にもチョイチョイ記載してあります。

 

例えば素問の23篇目、”宣明五気篇(せんめいごきへん)”と、霊枢の78篇目、”九鍼論(きゅうしんろん)”なんかには、

五臓の主(つかさど)る所として、心は脈、肺は皮、肝は筋、脾は肉、腎は骨、これを五主という。

と述べてあり、ここでは肺の臓と皮膚の関与を明記しています。

「肺」って何ですか?(その12) 
「衛気」って何ですか? その9  参照

 

因みにこの宣明五気篇というタイトルは、

”五臓の気について明らかにする篇”

という意味なんだそうです。 

(そのまんまだねー)

 


九鍼論の意味は、

”九鍼について論じる篇”

という意味です。

(こっちもそのまんまー)

 

もちろん、皮膚の状態から、肺の臓「以外の」臓腑の状態をうかがうことも可能なんですが、肺の臓と皮膚とが密接にかかわる、

ということについて、どういう意味なのか理解しておくことは、非常に重要なことだと思います。

 

続く

 

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「四逆散」というお薬 7

2015.06.14

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これまでのお話

 

「四逆散」というお薬
「四逆散」というお薬 2  
「四逆散」というお薬 3

「四逆散」というお薬 4
「四逆散」というお薬 5
「四逆散」というお薬 6    参照

 

 

さて本日も、また別の先生のご見解をみてみましょう。

 


今日は荒木性次(あらきしょうじ 1896-1973)先生です。

 

因みに号は荒木卜庵(あらきぼくあん)先生とも言います。

(この呼び名の方が有名かもしれません。)

この先生も、昭和を生きた、非常に有名な先生です。

 


実は私は、この先生の流れをくんだ先生と、ちょっとしたご縁がありまして、今ではその先生の漢方薬局に、清明院の患者さんをよく紹介させていただく間柄だったりします。(笑)

 

また、僕が尊敬している鍼の先輩も、この先生の薫陶を受けた先生から『傷寒論』の基本を学んだそうです。

 

そんなワケで、やや遠いけど、不思議な御縁を感じる荒木先生の『方術説話』に、このように書いてあります。

 


「四逆(四肢逆冷)する者には3通りあります。

1つ目は表面の陽気が弱っているもの、

2つ目は陽気が内(裏)に籠っちゃって外に伸びないもの、

3つ目は表裏の中間につっかえて、陽気が伸びないものです。

四逆散の場合は3つ目のパターンです。」

と述べ(1パターン加えた!)、そして、その籠った熱のことを”少陰の熱”と表現し、

「それ(少陰の熱)が肺に影響すれば、そこに水気が集まり咳となり、心に影響すれば動悸、肺腎両方に影響すれば小便不利、

腹中に影響すれば腹痛になり、腸中に影響すれば下痢となり、もともと腸の動きが悪い人であれば渋り腹になる。」

と述べています。

 


そして、上記のような診立てで、四逆散を使って、効果がイマイチの場合に、四逆散にさらにどんな生薬を加えたらいいかについても、丁寧に解説してくれております。

 

そして最後に、

「本章は少陰病血虚裏熱より四逆を生じたものの治し方を述べた章です。」

と締めくくっています。

 


なるほど、「表と裏の間に」籠る、ね。

 


裏に籠る、というのとはニュアンスが明確に違うのです。

(起こる現象も違う。)

 

咳や動悸など、上に出たり、下痢や腹痛、渋り腹など、下に出たりすることの、上手い説明になっていると思います。

 

そして”少陰の熱”とか、”少陰病血虚裏熱”という表現、これもサラッと言うけど、奥の深い説明だと思います。

 


他の先生のように、肝鬱+湿邪、とか、肝鬱+水邪とか脾胃の虚、とかで説明するのではなく、あくまでも

”熱(通じなくなった陽気)がどこに影響するか、そして、そこに集まる水気”

で論じる。

 


一つの立派なお立場だと思います。

 


・・・いやー、みんなスゲエなー (゜o゜)

 

「四逆散」というお薬 8  に続く

 

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「四逆散」というお薬 6

2015.06.13

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これまでのお話

 


「四逆散」というお薬

「四逆散」というお薬 2  
「四逆散」というお薬 3

「四逆散」というお薬 4
「四逆散」というお薬 5    参照

 

 

さて今日も、四逆散に関する、別の先生のご意見。

 


今日は矢数道明(やかずどうめい 1905-2002)先生です。

この先生も、大塚敬節先生奥田謙蔵先生と並んで、1905-2002の、実に96年間を生きた、近代を代表する漢方家の一人です。

 

亡くなる前年の、95歳まで外来診療を続けておられたことは有名です。

(スゲエ!!(;゚Д゚))

 

この先生の診療所(温知堂)は清明院のすぐ近く、新宿にあり、現在もご遺族によって引き継がれております。

 

この先生の師匠である森道伯先生(1867-1931)も、後世派の一派である一貫堂医学の創設者として、たいへん有名です。

 

この森先生も素晴らしい先生なので、そのうち紹介したいと思います。

(みんな本当にスゴイので、紹介し始めたらキリがないですな。。。(苦笑))

 


 

まあともかく、矢数先生はその著書『漢方処方解説』の中で、

「四逆散は大柴胡湯と小柴胡湯の中間のものに用いる。」

と述べ、

「大柴胡湯よりも虚証で、熱状が少なく、肋骨下の緊張がやや弱く、小柴胡湯よりは少し実証で、お腹は肋骨下の緊張、腹直筋の緊張が中心で、

 

腹直筋の緊張は臍の周囲まで及び、手足のキンキンに冷えてる者や、癇の昂ぶる神経過敏症の者に用いる。」

と述べ、臓腑では

「肝の臓の実と、脾胃がやや虚。」

と述べ、たいへん応用範囲が広い薬であることを教えています。

 


まあ、矢数先生の解説の書き方としては、四逆散大柴胡湯の変方だと述べた、和田東郭先生浅田宗伯先生の見解を尊重しつつ、近代の湯本求真先生や龍野一雄先生の論を引いて、

 

大柴胡湯四逆散の使い分け方、とりわけ、腹診における見分け方に重きを置いた、解説の仕方をしております。

 


この観点も、また重要です。

 


大塚先生の見解に、少し補足を加えた、という感じですね。

「四逆散」というお薬 7  に続く

 

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患者さんの声(70代女性 原因不明のまぶたの脹れ)

2015.05.07

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「患者さんの声」をいただきましたので紹介します。

(さらに…)

小半夏加茯苓湯と船酔い 5

2015.03.07

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これまでのお話


小半夏加茯苓湯と船酔い

小半夏加茯苓湯と船酔い 2  
小半夏加茯苓湯と船酔い 3  
小半夏加茯苓湯と船酔い 4
        参照

 


では続きいきます!!

 


前回は生薬の説明をしました。

 

茯苓は幻のキノコでしたね。

 

今日はついでと言っては何ですが、キノコもので有名な生薬をもう一つ紹介します。

 


◆”猪苓(ちょれい)”という生薬

これは、サルノコシカケ科、チョレイマイタケの菌核を乾燥したものです。

 


別名「猪屎(ちょし)」というぐらいで、イノシシの大便のような、イヤ~な見た目をしております。(苦笑)

 

性味は淡、甘、平で、帰経は腎、膀胱で、効果は余分な水分を飛ばすこと(利水滲湿)です。

 

結果的に解熱したり、口渇を止めたり、利尿作用を出したりします。

 

茯苓と同じようにキノコ軍団なのですが、茯苓との違いとして、猪苓は茯苓よりも水分を飛ばす力は強いが、心の臓、脾の臓にはあまり効かないので、

 

鎮静作用が発現しにくいという特徴があります。

 


しかし、これをあまり不用意に使うと、津液を損傷し、腎の臓のダメージになる、だから気を付けて使え、と言われております。

『本草衍義』や、易水学派の創始者である張元素(12世紀)がそのように述べております。)

 

◆キノコと薬

 

ところで、漢方薬に使われるキノコ生薬としては茯苓猪苓が有名なんですが、他にも霊芝(れいし)冬虫夏草(とうちゅうかそう)など、

キノコは、薬としてみた場合、独特な働きを持つものが多いようです。

 

まあ、抗腫瘍作用だとか、制癌作用なんてのが、わりかしセンセーショナルに扱われやすいですね。

(これはちょっと問題だと思いますがネ。。。)

 


キノコというのは菌類です。

 


かの南方熊楠も熱心に研究したという菌類、というのは、自然界では実はけっこう特殊な存在なんだそうです。

 


参考wiki【菌類】↓↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8F%8C%E9%A1%9E

【キノコ】↓↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%8E%E3%82%B3

 


 

僕の出身は群馬です。

 


小さい頃、身の回りのオジサンには山菜取り、キノコ狩りを趣味にしている人が何人かおりまして、毒キノコの怖さをよく聞かされていました。

 


毒と薬は表裏一体なわけですね。

 


医者が、毒にも薬にもならないようなことはやったらイカンですな。(笑)


小半夏加茯苓湯と船酔い 6   
に続く

 

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小半夏加茯苓湯と船酔い 4

2015.03.01

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これまでのお話

 

小半夏加茯苓湯と船酔い
小半夏加茯苓湯と船酔い 2  
小半夏加茯苓湯と船酔い 3
     参照

 


では続きいきます!!

 

ここまでで、和歌山の加太の船の上で、油谷真空先生から何気なく渡された「小半夏加茯苓湯」にインスピレーションを得て、ツラツラと書いてきました。(笑)

 

今日は「小半夏加茯苓湯」を構成する3つの生薬(半夏・生姜・茯苓)に関して、解説しておこうと思います。

 

◆半夏(はんげ)

サトイモ科、カラスビシャクの根茎であり、医歯薬出版株式会社の『中医臨床のための中薬学』によれば性は温、味は辛、帰経は脾胃、とのことですが、

 

まあ簡単に言うと、脾の臓、胃の腑、肺の臓あたりに作用し、温め、余分な水分を飛ばしてくれる生薬です。

 

これは生で食べると軽い毒性がありまして、かつて蓮風先生が若い頃に生で試しに食べてみたら、ノドがカラカラになった感じがして、

呼吸するのもきつく、エライ目にあったという話をされておりました。(笑)

(因みに生で使う場合は外用薬として使い、皮膚の化膿に効果があるようです。)

 

そして、その半夏の毒性を消してくれるのが生姜なのです。

 

◆生姜(しょうきょう)

家庭に良くある、ショウガ科ショウガの根茎。


皆さんよくご存じの、しょうが焼きの生姜であります。

 


性は微温、味は辛、帰経は肺、脾、胃、とのことで、半夏とほぼ同じなんですが、半夏は水分を飛ばす作用が強く、生姜は胃を温める作用が相対的に強い、と見ていいと思います。

 

つまり半夏と生姜のコンビネーションで余分な水を飛ばしながら胃を温める、ということでしょう。

 

 

田畑隆一郎先生『傷寒論の謎 二味の薬徴』では、半夏と生姜のコンビネーションについて

 

「嘔、嘔吐を治す主薬にして、停水、宿飲を除き嘔、嘔吐、喘欬、噦(えつ:しゃっくり)、噫(い:げっぷ)を治す」

 

とまとめて下さっています。

 

 


◆茯苓(ぶくりょう)

これはサルノコシカケ科マツホドの菌核を輪切りにしたもの。

 

主に松の根に寄生する茯苓は、利水作用に優れた生薬として知られています。

 

性は平、味は甘淡、帰経は心・脾・胃・肺・腎とあり、簡単に言うと、心の臓、脾の臓、胃の腑、肺の臓、腎の臓に作用して、停滞した水を動かし、

 

結果的に利尿作用だったり、鎮静作用を発揮する生薬です。

 


これは、分かりやすく言えば松の木の根っこに生えるキノコです。

 


キノコなんですが、地表に顔を出しているわけではなく、地下に生えているジメッとしたやつで、見つけにくいことから、

”幻のキノコ”

とも言われるそうです。(笑)

 

この幻のキノコが、みぞおちのところの深い部分に入り込んで停滞してしまった、余分な水分を動かすのです。

 

 

地面に埋まっているキノコ(菌類)が、人体の深い部分の水を動かす。

 

面白いですね~。(*‘∀‘)

 

そしてこの3つの生薬はどれも植物の”根っこ”、あるいは”根っこに寄生するもの”です。

 

陰陽で言うと、明らかに”陰の場”である地面の下にある”根っこ”と、そこにくっつくキノコを使って、深い部分に支えた水を動かし、結果的に全体としての気を下げる・・・。


古代中国人、面白い発想しますねー☆

 

小半夏加茯苓湯と船酔い 5  に続く

 

 

◆参考文献

 

神戸中医学研究会編著『中医臨床のための中薬学』医歯薬出版株式会社

田畑隆一郎『傷寒論の謎 二味の薬徴』源草社

 

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小半夏加茯苓湯と船酔い 2

2015.02.27

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前回のお話

 


小半夏加茯苓湯と船酔い                参照

 

では、続きいきます!

 

前回、「小半夏加茯苓湯」は、漢の時代の、東洋医学を代表する古典の一つである『金匱要略』に記載されている方剤で、現代では妊娠悪阻(つわり)に応用されているお薬である、というお話をしました。

 

 


では今日は、この方剤の元になった「小半夏湯」という薬について、ちょっと専門的に考えてみたいと思います。

 

「小半夏湯」『金匱要略』に登場するのは「痰飲欬嗽病脉証治」という章の”支飲”という病証の項に出てくるのが一点目で、ここでは、

 

嘔吐しても、まだノドの渇き感が出ず、嘔吐が止まらないものを治療する薬として紹介されております。

(嘔吐してもまだ余分な水分が出し切れておらず、みぞおちに支(つか)えている、という判断です。)

 

次は、「黄疸病脉証治」という章の”黄疸の治法”が紹介されているところに出て来るのが二点目なんですが、ここでは、黄疸そのものの治療というよりも、

 

黄疸の治療をミスして、結果的に脾胃が冷えてしまって、しゃっくりが止まらなくなった時に使うように、という形で紹介されております。

 

最後は、「嘔吐穢下痢病脉証治」という章の”嘔吐の治療法”が紹介されているところに出てきます。

 

ここでは、単に中焦(脾胃)に水分が停滞している場合の嘔吐の治療に用いるように、との指示で出てきます。

 

このように、「小半夏湯」は総じて

嘔吐や、脾の臓、胃の腑の異常、中焦の水分の停滞

に、用いられております。

 


これは、この方剤の中の構成生薬である”半夏”に、水分の停滞を取り除く効果があること、また”生姜”には、胃を温め、結果的に気を下げて吐き気を止める効果があることから、

 

上記のような症状に使われるのですね。

 


ではこれ(小半夏湯)に”茯苓”を加えた「小半夏加茯苓湯」はというと・・・?

 

小半夏加茯苓湯と船酔い 3       に続く。

 

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精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 9

2015.01.12

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これまでのお話


精神の中枢は「脳」か「心の臓」か
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 2 
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 3  
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 4 
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 5  
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 6 
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 7  
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 8     参照

 


では続きいきます!

 

 


では前回の話をまとめるとどうなるか、というお話。

 

まあ前回の話は、僕の拡大解釈が入っていますが、それが気になる人はスルーしてもらったらよい。(笑)

 


僕からみると、

道教の立場では脳と心の臓、脾の臓、胃の腑の関わりが強調され、

もともとの東洋医学の立場では脳と腎の臓(精、髄)の立場を強調

しているようにみえる、という話です。

 


ここで、東洋医学における脾胃、腎、心と精神の働きとの関わりを復習。

 

◆泥丸の話の続き 3


1.「脾の臓」と精神の関わり

「脾の臓」については「脾」って何ですか?(その9)シリーズに書いた通りなんですが、「脾の臓」と精神との関わりについて補足すると、

『黄帝内経素問』宣明五気篇(23)
に、”脾は意を蔵する”という記載が出てきます。

 

これは、脾は”記憶”、つまりモノを覚える能力と関わることを示しています。

(短期記憶と言ってもいいでしょう。)

 

また『黄帝内経素問』刺法論(72)には、”脾は知恵袋のような臓”と出てきます。

 

このことから、東洋医学の言う「脾の臓」というのは、”短期記憶や思考”に大きく関与する臓腑であることが分かります。

 


短期記憶が出来ないとか、いつもボケーッとして思考力の低い人は、脾の臓が弱いのかもしれませんな。(笑)

 


2.「腎の臓」と精神の関わり

 

「腎の臓」についても「腎」って何ですか?(その11)シリーズに書いた通りですが、精神と「腎の臓」の関わりに関して補足すると、

『黄帝内経素問』宣明五気篇(23)
に、”腎は志を蔵する”という記載が出てきます。

 

これは、腎は”長期記憶(記憶の貯蔵)””適切な判断力”に関わる、ということを示しています。

 


また『黄帝内経霊枢』本神篇(8)には、”腎は精を蔵す”と出てきまして、また『黄帝内経素問』六節蔵象論(9)には、”腎は精の居所だよ”と出てきます。

 


ここでいう「精」の意味には狭義と広義がありますが、まあ、人体における”形体”の基になるもの、と考えてもらったらいいと思います。

”精”についてもそのうち詳しく書きましょう。)

 


3.「心の臓」と精神の関わり


これについても、

「心」って何ですか?(その7)
「心包」って何ですか?(その6)

 

あらかた述べてますので、まずはそっちを参照して下さい。

 

・・・まあ、あえて補足するとすれば、東洋医学では、精神、意識、感覚に関するあらゆる働きは「心の臓」が蔵する「神」が大元締め、と考えているということです。

 

ざっくり言えば、「心の臓」はちょうど、西洋医学における脳のような働きを付与されている面があるということです。

 

 


このように、「脾の臓」”意と智”に関与し、「腎の臓」”志と精”に関与し、「心の臓」”神”に関与し、それぞれが大きく、精神面の働きに関与します。

 


東洋医学の「脳」解釈の原点として、『黄帝内経』では、「脳」に関しては「髄海」と表現し、「腎の臓」との関わりが最も示唆されており、

『黄帝内経』よりも後代になってから、道教が脳と「脾の臓」「心の臓」との関わりを提示し、特別な意味を持たせ、明清代に入って、西洋医学とのディープな接触の中で、

東洋医学の中にも、「心の臓」「脳」の関わりを論じる動きが出てきた、という流れだと理解しています。

 

(歴史の専門家の方、もし違っていたらご教示ください。)

 

 


そう考えると、近世から近代に至る流れの中で、東洋医学では、「脳」というものの働きを解釈する上で、道教の見解を一定の参考にした、とも考えられるわけであります。

 

このように、道教と東洋医学というのは、長い長い歴史の中で、相互に影響を与え合っている側面があるように思います。

 


それ以外の宗教についても、同じことが言えるかもしれません。

 


こういったことに注意を払うことが、我々の臨床の助けになる面がある。

 

続く

 

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精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 8

2015.01.11

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これまでのお話


精神の中枢は「脳」か「心の臓」か
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 2 
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 3  
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 4 
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 5  
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 6 
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 7  参照

 

 

では続きいきます!

 

 

◆泥丸の話の続き 2

前回、道教においては、全身各所、あるいは体の外にも、神がいると考えられており、それを人間の意識で、ある程度コントロールできると考えている、

 

それを「存思」という、というお話をしました。

 


そして、その全身の神が集まるところが「脳(泥丸)」だ、という訳です。

 


今日は、
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 6に書いた『道教辞典』における泥丸の解説の中から、3.と4.に関して、ちょっと述べてみたいと思います。

 

ここに書いてあることというのは、脳は黄色く、黄色は五行で分類すると「土」に属すことから、脳のことを「泥丸」と言い、別名を「黄庭」という、という説です。

 

道教をやっていた人たち(道士)は、おそらく東洋医学を知っていたことでしょう。

 

いや当然、知っていたでしょう。

 

道教の有名な教典の一つに王義之(303-361)による『黄庭内景経(こうていないけいきょう)』という書がありますが、これなんてモロに、

 

東洋医学のバイブルである『黄帝内経(こうていだいけい)』のタイトルをもじったものとしか思えません。(笑)

 

僕は研究家でも歴史家でもないので、この辺の詳しい話は知らないけど、まあ明らかにそうじゃないかなあ、と思っています。

 

(詳しい方、もし違っていたらぜひご教示ください。<m(__)m>)

 

まあともかく、道教の話には、東洋医学の言葉がよく出てきます。

 

道教に関する本を読んでいると、道教の教典とか、修行法のようなものを作っていた人たちは、東洋医学を意識して、あるいは東洋医学の人体観を前提として書いたんじゃないか、と思われるような記載が非常に多い。

 

でもそれが、東洋医学の言う定義と、ちょっと違っていたりする。

 

そこが面白かったり、興味深かったりする。

 


彼ら(道士)の圧倒的な文献量を見るに、東洋医学に関する古文献や記載は、徹底的に読み込んだうえでモノを言っているはず、と僕は思っています。

 


・・・で、そう考えると、脳に「黄色」とか「土」を当てるということは、五臓では「土」に属する「脾の臓」「胃の腑」と脳の関係性を、当然意識していたんじゃないかと思います。

 

そして、”泥丸には全身の神が集まる”という記載からは、もちろん「心の臓」との関わりも。

 


もしそうだとすれば、東洋医学、『黄帝内経』のもともとの記載では、「脳」というのは「髄海」であり、「髄」「腎精」と関係が深い、

 

すなわち脳は「腎の臓」と関係が深い、という説と、若干脳を説明する角度に違いが出てきます。

 


東洋医学、黄帝内経では脳と腎の臓の深い関わりを示唆し、道教では、脳と脾の臓、心の臓との深いかかわりを示唆する。

 

そして、西洋医学では精神、意識の中枢は脳にあるとし、東洋医学では精神、意識の中枢は心の臓にあり、とする。

 

これらの違いをまとめるとどうなるか。

 

続く。

 

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精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 5

2015.01.04

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これまでのお話

精神の中枢は「脳」か「心の臓」か
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 2 
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 3  
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 4     参照

 

では続きいきます!

 

前回の最後に、道教の「三丹田説」という言葉を出しました。

 


三丹田については、以前
「道教」って何ですか?(その9)に紹介しました。

 


これでいうと、ここまで語ってきた

「脳」
の存在する頭部に上丹田が置かれ、そこに”神”が蔵される、

とし、

「心の臓」
の存在する胸部には中丹田があり、そこには”気”が蔵される、

としています。

(東洋医学の考え方と違うんだけど、一定の参考にする価値はあると思います。)

 

 


ここまでの話の流れからして、何となく「脳=頭部」「心の臓=胸部」の重要性は分かりますね。

 


・・・今日は、”では、下腹部はどうなん?”というお話です。

 

道教では、下腹部には”精・気・神(三宝)”のうちの”精”が蔵され、そこは下丹田と言われています。

 

ここのことは、東洋医学でも”臍下丹田(せいかたんでん)”といって、非常に重要視しています。

 


下腹部にあり、”精”と関係の深い臓腑、ということになると、何と言っても「腎の臓」です。


「腎」って何ですか?(その11) 参照

 


腎は精を蔵し、生殖や成長に関わる重要な臓腑だ、というお話は、上記のシリーズにてしました。

 

我々東洋医学のバイブルの一つである『難経(なんぎょう)』という本に、面白い記載があります。

「腎の臓は二つある。

左を腎といい、右を命門(めいもん)という。

命門は神精の舎(やど)るところをいう。

男子はここに精を蔵し、女子はここが女子胞(子宮)と繋がっている。」

と。

(『難経』36難、39難より抜粋意訳 by竹下)

 


ここでいう”命門に舎る神精”というのは、単純な男女の精液のことではなく、腎の臓と心の臓の生理的な協調関係から生まれた、

大切なエキスである”神精”を蓄えている、という意味であり、これに関する『ハイブリッド難経』の割石先生の説によれば、

36難には”神精”と書き、39難で”精神”と書いたことで、上下の循環(心と腎の交流)を強調したことと、

”神”を蔵するのが心の臓、

”精”を蔵するのが腎の臓、

そして、心と腎の交流から生まれ、さらに脾胃の後天之気を受けた”精神”を蔵するのが命門(右の腎)、

ということが、難経の著者は言いたいのではないか、なんていう面白い解釈もあります。

(ここはちょっと一般の方には難しいかもですが。。。)

 


いずれにせよ道教では、上下(心と腎)の気の交流から、人の生殖や成長に重要な意味を持つ”精”というものが下腹部(臍下丹田)に蔵されているので、

ここを下丹田と呼んで、上丹田、中丹田と並ぶ、重要な意味を持たせた、という訳です。

 

それを「三丹田説」と言う、と。

 

続く

 

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