東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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一貫堂医学について 4 (解毒証体質について)

2018.09.12

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これまでのお話・・・

 

一貫堂医学について 1

一貫堂医学について 2

一貫堂医学について 3     参照

 

 

 

さて、今日は三大体質の3つ目、解毒証(げどくしょう)体質について掘り下げます。

 

(矢数先生・・・、このネーミング、”臓毒証”と紛らわしいんすけど。。。(苦笑))

 

 

一貫堂の言う解毒証体質とは、四物黄連解毒剤がフィットする体質のことを言うそうです。

 

黄連解毒湯”解毒”という言葉をとって”解毒証体質”と呼ぶことにしたんだそうです。)

 

 

「四物黄連解毒剤」とは、「四物湯」「黄連解毒湯」を合わせた薬のことで、現代日本の薬局等でも簡単に手に入る「温清飲」というお薬のことです。

 

 

簡単に言えば、黄連解毒湯は火熱を取る清熱材、四物湯は血を補う補血剤、この二つを組み合わせた薬が「温清飲」です。

 

 

・・・で、一貫堂医学の言う「解毒証体質」”毒”とは、第一に「結核性毒」のことを言うんだそうです。

 

 

ここで、普通の中医学を学んできた者にとっては

 

「へ?黄連解毒湯の毒が結核毒??なんのこっちゃ??」

 

となるのが普通だと思いますが、この時代の結核は、予防も治療も、非常に重要な病でした。

 

 

国民皆保険もなかった時代、歴代の有名な鍼灸家、漢方家の先生の中には、当時西洋医学が治せなかった結核を、鍼灸漢方で治してもらったのをきっかけに、

 

鍼灸医、漢方医になったという先生がたくさんおられるようです。

 

 

大正、昭和初期の時代の医師にとって、結核を如何に予防するか、なってしまったら如何に治すか、これが非常に大事なポイントだったんでしょうね。

 

『日本の結核流行と対策の100年』森亨     参照

 

 

そしてこの「解毒証体質」は、年齢によって3つの方剤を使い分けるようです。

 

 

すなわち、小児期は柴胡清肝散、青年期は荊芥連翹湯竜胆瀉肝湯を使い分ける、といった感じです。

 

 

まず柴胡清肝散ですが、これは各時代の書物によって微妙に生薬の配合が違うようですが、一貫堂では上記の温清飲桔梗、薄荷葉、牛蒡子、天花粉を加えたものだそうで、

 

要するに「肝経、胆経、三焦経の3つの経絡の風熱邪を叩く薬」なんだそうです。

 

 

これらの経絡が喉頭、頚部、耳周辺を流注することから、ここに熱を籠らせないようにし、扁桃炎、中耳炎を起こさせないようにすることが、

 

幼児期の結核を予防、治療する上で非常に重要と考えたのでしょう。

 

 

次に荊芥連翹湯ですが、これも柴胡清肝散の変法であります。

 

(構成生薬の詳細は、ちょっと複雑なのでここでは省略します。)

 

 

これは何を狙っているというと、解毒証体質の場合、小児期は扁桃炎や中耳炎を起こしやすいが、青年期になると蓄膿症を起こすようになると考え、

 

柴胡清肝散肝経、胆経、三焦経を狙っているのに対して、より「陽明経(顔面部)の風熱邪にターゲットを寄せている」のだそうです。

 

(要は上の横か、上の前か、です。)

 

 

最後に竜胆瀉肝湯ですが、これも歴代の医家によってそれぞれ生薬の配合が異なるようですが、一貫堂処方では、

 

「肝を瀉して水邪を捌き、肝を瀉す力を四物湯で少し緩めている方剤」

 

と、言うことが出来るようです。

 

 

解毒証体質者の場合、淋病や睾丸炎、外陰部の炎症など、下焦を病むことも多く、一貫堂処方の竜胆瀉肝湯は、その治療、予防のために長期服用も可能な体質改善薬であるそうです。

 

 

まあここまでを簡単にまとめれば、柴胡清肝散であれ、荊芥連翹湯であれ、竜胆瀉肝湯であれ、一貫堂が解毒証体質に用いる薬の大本は「温清飲」なわけです。

 

 

・・・で、「温清飲」は清熱解毒の「黄連解毒湯」+補血の「四物湯」です。

 

 

「黄連解毒湯」の初出は752年、王燾(おうとう 670?-755)が著した『外台秘要』「四物湯」の初出は1110年頃、北宋の国定処方集である『和剤局方』だそうです。

 

 

で、「温清飲」の初出は一貫堂医学について 2で紹介した『万病回春』(1587)です。

 

 

ということは、瘀血証体質通導散も、解毒証体質の諸薬の大本である温清飲も、出典は『万病回春』ということになります。

 

 

また、臓毒証体質防風通聖散も、『万病回春』の中には何カ所も出てきます。

 

 

森道伯先生も、江戸期の和田東郭原南陽と同じように、中国明代、龔廷賢の書物である『万病回春』をかなり読みこんでいたことが分かりますね。

 

 

多くの名医が読んだ『万病回春』、現代で東洋医学を行う者として、避けて通れないでしょう。

 

 

 

長くなったんで続く

 

 

 

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一貫堂医学について 1 (三大体質五大処方)

2018.09.08

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先日、森道伯先生を紹介しました。

 

墓マイラー 52 森道伯先生

森道伯という人物         参照

 

 

森道伯先生が晩年唱えたと言われる、「一貫堂医学」

 

 

現代にまで、影響を与えております。

 

 

これは簡単に言うと、

 

「体質を3つに分類し、5つの処方を上手に使い分ける」

 

という医学なんだそうです。

 

 

3つの体質というのは、

 

① 瘀血証体質(瘀血をため込んでいるタイプ)

 

② 臓毒証体質(風毒、食毒、梅毒、水毒の四毒をため込んでいるタイプ)

 

③ 解毒証体質(肝臓の解毒能が低下しているタイプ)

 

の3つであり、この「体質」そのものを改善することが、病の根本的な治療に重要なのだ、という考えであり、5処方というのは

 

①には通導散、

 

②には防風通聖散、

 

③には、幼少期には柴胡清肝散、青年期には荊芥連翹湯、青年期以降には竜胆瀉肝湯、

 

を、それぞれ加減して用いる、というやり方が根幹だそうです。

 

(上記はどれも現代も用いられる、有名な処方です。)

 

 

・・・まあ、こう簡単に言ってしまうと、いかにもマニュアル漢方みたいですが、森先生はおそらくこの簡単な理論ベースを、加減方で縦横無尽に使い分けていたんでしょうね。

 

 

以前も紹介しましたが、江戸期、和田東郭(1742-1803)が『蕉窓雑話』の中で弟子たちに

 

「方を用ゆること簡なる者は、其の術日に精し。方を用ゆること繁なる者は、其の術日に粗し。世医ややもすれば、 すなわち簡を以て粗と為し、繁を以て精と為す、 哀しいかな。」

 

これを簡単に意訳すると、

 

「薬をシンプルに使う先生はうまい!薬を煩雑に使う先生はヘタ!世の医者は、煩雑な処方を有難がる向きがあるけど、哀しいことだ。」

 

というほどの意味でしょう。

 

 

和田東郭という人物

和田東郭の言葉

墓マイラー5

「四逆散」というお薬 6    参照

 

 

まあ、あれやこれやと、治療を煩雑にやる先生や、それを尊敬するような風潮をクサしている訳です。

 

 

和田東郭森道伯も、著述を好まなかったという点は似ていますし、少数の処置(処方)でバチッと効かせるという考え方は、北辰会の一本鍼にも通じますね。

 

 

なんだかシンパシーを感じる先生達です。

 

(蓮風先生はメチャメチャ本書いてるけど。笑)

 

 

せっかくなんで、一貫堂に関して、もう少し掘り下げましょう。

 

 

 

続く

 

 

 

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再び往診へ

2018.07.12

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先日、癌が見つかった患者さん。

 

癌が見つかった 参照

 

 

腹腔鏡での、簡単な切除手術を終え、1週間ほどの入院から帰ってきた。

 

 

何でも、手術した日から歩くように言われて、入院中も積極的に軽い歩行運動を勧められたそうだ。

 

 

その方が傷の治りが早い、とのことで。

 

(最近はそういうもんなんですな。(゜レ゜)・・・まあ、モノによるだろうし、賛否分かれそうだけど。)

 

 

で、本日再度往診に伺ってきたが、慎重に診たけど、特に変わった様子はなかった。

 

(じゃっかん陽分に邪が浮いたかな。)

 

 

まあ、術前との違いがあるとすれば、大ケガをした人の反応と似ていたね。

 

(手術後の患者さんを診るといつも感じることなんだけど)

 

 

怪我をすると、出血します。

 

 

手術しても、出血します。

 

 

東洋医学の言う、血脈(血管)から出血、漏出した血のことを「離經の血」と呼んで、一種の瘀血(おけつ)と考えます。

 

「血」って何ですか?(その10)

「痰(たん)」「瘀血(おけつ)」について

カテーテル検査後の内出血   参照

 

 

この瘀血が、手術した部位の気血の通行を阻害します。

 

 

五臓では、血とのかかわりの深い、心の臓肝の臓の働きを主に阻害します。

 

「心」って何ですか?(その7)

「肝」って何ですか?(その13)    参照

 

 

だからこの瘀血を散らすように持っていきます。

 

 

もともと、この患者さんは、癌としての症状は何もなく、健診で判明したもの。

 

 

たまたま見つけたから、拡がる前に取ろう、という考え方です。

 

 

僕はもちろん、医師と、患者さんのその判断は尊重したいと思います。

 

 

あるのが分かってて放置するのは、誰だって気持ち悪いし怖いです。

 

 

・・・で、最大限尊重しつつ、どの局面においても、冷静に東洋医学の見地から、出来ることを行います。

 

 

本当はこういうのを、西洋医学と、密に連絡、連携とりながらやりたいんだがねえ。。。orz

 

 

 

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親不知を抜くことの是非

2018.06.29

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「親不知を抜く」という行為。

 

 

だいぶ前にここに書きましたが、僕もかつて一本だけ、やったことがあります。

 

 

 

患者さんから、

 

「歯医者さんからそう勧められたけど、どうなんでしょう?」

 

と聞かれることがあります。

 

 

これについては、親不知が斜めに生えていて隣の歯を圧迫して痛みが出ていたり、隣の歯との間に微妙な隙間が出来て、そこによく食べカスが詰まり、

 

何度も虫歯になっているとか、そういう明らかな物理的不具合があれば、やむを得ない場合はあると思いますが、普通に真っ直ぐ生えていて、

 

虫歯でもないのに、

 

「どうせ虫歯になるし、いらない歯だから抜こう」

 

と勧めるのは、おかしくないか?と、昔から思っています。

 

(どうなんすか?歯医者さん達。)

 

 

また、歯列矯正をするのにスペースが作りたいから、という理由も正直あまり、好きではありません。

 

 

現状、何もないなら、虫歯にならないように、磨き方を指導するのが普通じゃないか?と思いますね。

 

 

矯正するにしても、親不知を活かしてやればいいのに、と。

 

 

こういう患者さんがいたら、僕はすぐに知り合いの最強の歯医者さんに紹介します。(笑)

 

 

・・・手術を含む、外科的な行為は、東洋医学的には怪我と似ています。

 

(もちろん麻酔下でやるから痛くない訳だけども。)

 

 

悪いところを取るために、良いところを切ります。

 

 

切られたところは、切り傷がつくわけです。

 

(もちろん綺麗に縫うけど、それでも、です。)

 

 

そして、そこがそのまま「古傷」になります。

 

 

東洋医学的にはそこに慢性的な気滞が起こり、瘀血が生じることがあります。

 

 

そして、そこには有形無形の様々な邪気が集まりやすくなります。

 

 

やらんでいい外科的行為は、極力やらん方がいいと思いますね。

 

 

誤解されたくないので付言しておきますが、僕はもちろん、外科的な処置のすべてを否定するものでは全くありません。

 

 

むしろ適切な外科手術については、大リスペクトしています。

 

 

 

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暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学 3

2018.02.16

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前回のお話

 

暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学

暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学 2   参照

 

 

では続きいきましょう。

 

 

◆暈厥の弁証

 

 

暈厥には、どんな証が考えられるかというと、以下の通り。

 

1.気虚

2.血虚

3.血気上逆

4.肝陽上亢

5.痰濁上擾

6.暑熱

 

『症状による中医診断と治療』には、以上の6つが挙げられています。

 

(成書によっては、多少多かったり、少なかったりする場合があります。)

 

 

1.2.は虚証、3.4.は肝の病変、5.6.は実証です。

 

 

臓腑では「肝の臓」の異常が中心であり、病態に虚実あり、ということですね。

 

 

だから、一口に暈厥とっても、治療法は、倒れたメカニズムによってそれぞれです。

 

 

もし失敗すれば悪化して、深刻な状態になることも考えられます。

 

 

ですので、やはり「的確な診断」が重要です。

 

 

・・・で、こないだの先輩のケースはどれに該当するかな~・・・、と考えていく訳ですが、ここ(成書)に挙げられているのはあくまでもひな形的なパターンの羅列であって、

 

これらが時には複合的に、あるいはここに書かれていないパターンでも、暈厥は起こってきます。

 

 

ですので、あまり上記の弁証分類に縛られ過ぎて、無理やり当てはめて考えるのも、失敗のもとだったりします。

 

(教条主義を排す、ってやつね。)

 

 

また北辰会方式としては、どういった機序(病因病理)で、上記の証による暈厥に至ったのか、の把握が重要でしょう。

 

(これは、予後にも関わるからです。)

 

 

まあ、あくまでも実際の体表所見、当日の患者像を参考に、何が起こったのかを考えるべきだと思います。

 

 

そういったことを十分に鑑みつつ、慎重に考えると、あの日、その先輩は倒れる直前に、ホテルの豪華な食事を、普段よりも多くとり、普段ほとんど飲まない酒(ビール)も多く飲んでいました。

 

(瓶ビール二本ほどかな?)

 

 

この時点で、脾胃に常ならぬ負担を強いていたことは十分に考えられます。

 

(飲食不節→湿困脾土、湿熱中阻、脾失健運、胃失和降などの”病因→病理”が考えられます。)

 

 

しかも朝から早起きし、熱海への移動疲れもあったことと思いますし、研修会ですから、精神的緊張もあったことと思います。

 

(睡眠不足→気虚や血虚、新幹線での長時間同一姿勢、精神的緊張→肝鬱気滞、気滞血瘀などが考えられますね。)

 

 

しかも倒れる直前に、露天風呂にて長湯をしている。

 

 

長風呂では、肉体的緊張は緩み(理気活血疏肝)つつも、あまりに長ければ、疲労(気虚や血虚)は助長される面があります。

 

 

また、冬場の露天風呂ですから、そこで風寒邪を感受した可能性もある。

 

(その場合は気が急激に上逆傾向になります。)

 

 

ただ、横で見ていましたが、湯舟には肩まで浸かっておりましたし、一緒に入っていて、そこまで風も強くなく、冷たい風を受けていた感じはしませんでしたね。

 

(そして、風呂から上がった瞬間、一瞬”左に”フラッとよろめいたのが少し気にはなりました。)

 

 

風呂場での会話にも特に参加しておらず、そこで何か七情が乱れるようなことはなかったのではないかと思います。

 

(これは推測ですが。)

 

 

その後、脱衣所で急に後ろにバターンと倒れた時、すぐさま駆けつけて脈を診ていた先生が、

 

「沈んで細くて堅いけど、力はあります。重按がやや弱いです。」

 

と仰っていました。

 

 

この脈は、その後すぐに意識がついた時、その瞬間に、緩みながら浮いてきたそうです。

 

 

ここで、気虚や血虚の暈厥では、顔面蒼白、脈無力が特徴で、肝の病変や暑熱では顔面紅潮が特徴ですが、顔色としては、土気色、という感じで、蒼白でも紅潮でもなかったですね。

 

 

 

また、血虚で倒れると、目が落ちくぼんで輝きがない、というのが特徴のようですが、倒れた瞬間、目は一点を見つめ、妙にギラっとしていました。

 

 

血気上逆では歯を食いしばるのが特徴ですが、口は開いて、歯は食いしばっていなかったです。

 

 

倒れた時に上腹部を触った先生は、極端に冷えていたと仰っています。

 

 

また、ご本人が意識がついてから、

 

「倒れる寸前に悪心がして、気付いたら倒れていた。」

 

と仰っています。

 

 

舌診は、意識がついてすぐの舌は舌背が紫暗、舌腹は淡白傾向、特に舌下静脈が淡白気味だったようです。

 

(血虚と瘀血の所見が両方出ていますが、血虚が本と診てとれますね)

 

 

これらの情報を総合すると、成書の分類からいけば、5.の痰濁上擾が中心でありつつも、背後に若干、2.の血虚があるのでは??となります。

 

 

さて、これを治療して、今後同じ状況にさらされても、暈厥を起こさない体にするにはどうしたらいいでしょうか。

 

 

 

続く

 

 

 

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「紅汗」について考えてみましょう。16

2018.01.22

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これまでのお話

 

「紅汗」について考えてみましょう。目次   参照

 

 

 

◆『金匱要略』驚悸吐衄下血胸滿瘀血病脉證治第十六.の記載

 

 

ここでは主に吐血、衄血、下血、瘀血などの「血」の病変について細かい説明がされているのですが、

 

 

「・・・尺脉浮.目睛暈黄.未止.暈黄去.目睛慧了.知今止.又曰.從春至夏者太陽.從秋至冬者陽明.衄家不可汗.汗出必額上陷.脉緊急.直視不能眴.不得眠.

 

病人面無血色.無寒熱.脉沈弦者.浮弱手按之絶者下血.煩欬者必吐血.・・・」

 

 

と、出てきます。

 

 

簡単に訳しますと、

 

 

鼻血の患者で、脈が浮いてて、目がぼんやりしてる者はまだ止まらないけど、目がハッキリ見える人は止まる、また、春から夏に鼻血を出す人は太陽経が悪い、

 

秋から冬に出す人は陽明経が悪い。鼻血のよく出る患者は発汗させてはいけない。発汗させると、額の上が陥凹し、脈が堅くなり、眼球は直視し、

 

眠れなくなるなどの重篤な症状が出ることがある。

 

顔の血色の悪い病人で、外邪の侵入がなくて、脈が沈んで弦のものは鼻血が出やすい。脈が浮いていて弱く、按じると無力のものは下血しやすい。

 

もし、咳や心煩などの胸部の症状が現れたものは、吐血するかもしれない。」

 

 

となります。

 

 

まあ、鼻血の患者の簡単なパターンを教えてくれております。

 

(発汗させてはいけないパターンの話は『傷寒論』にも出てきますね。)

 

 

実際には、上記のような断片的な情報のみで判断するのではなく、あくまでも多面的に観察して総合判断します。

 

 

その際の、一定の参考になる記載、と考えていいと思います。

 

 

時期と経絡の問題は以前、「開・合・枢」に関して簡単に述べたことがあります。

 

「三陰三陽」という考え方 8 参照

 

 

 

続く

 

 

 

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最近の症例 ⑥ 癌(大腸、肝臓、腹部リンパ)、便秘

2017.10.22

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さて、続きいきましょうか。

 

 

患者 50代 女性

 

主訴 癌(肝臓、大腸、腹部リンパ)、便秘

 

現病歴 清明院初診の1カ月少し前、血便があり、内視鏡検査したところ、大腸癌が発覚。

 

肝臓、腹部リンパにも癌が見つかる。血便以外に症状はない。

 

外科手術後、抗癌剤治療開始。

 

抗癌剤での副作用の緩和、癌の治療および再発予防を目的に鍼灸治療開始。

 

既往歴 右腓骨骨折

 

弁証 肝脾鬱結(血熱 瘀血)

 

配穴 明らかにしない

 

経過 初診後、体の力が抜けて非常に眠くなる。

 

現状、抗癌剤をやると体がしんどくなり、鍼すると楽になる、という状況。

 

抗癌剤治療は1クールはやりたいという意向。

 

患者さんの意向、主治医の見解を尊重しつつ、最大限のサポートを続ける所存。

 

 

 

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「四逆散」というお薬

2015.06.08

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こないだ、

和田東郭という人物

という記事を書きました。

 

そこに出てきた、有名なお薬である「四逆散」

 


今日はこの薬について、まとめておきます。

 


四逆散が歴史上に初めて登場したのは『傷寒論』です。

『傷寒論(しょうかんろん)』という本 参照

 

ここに、柴胡、芍薬、枳実、甘草という4種類の生薬を配合した漢方薬として登場します。

 

『傷寒雑病論』【弁少陰病脉証并治 328条】
 
少陰病.四逆.其人或欬.或悸.或小便不利.或腹中痛.或泄利下重者.四逆散主之.

 

効能は上記にある通りなんですが(笑)、まあ簡単にいうと、カゼをこじらせたやつで、手足がキンキンに冷えて、咳したり、動悸がしたり、小便が出にくかったり、

 

腹痛があったり、下痢したり、渋り腹(しきりに便意を催すのに排便が ごく少量で、すぐまた行きたくなる症状のこと。)だったりする者は、

 

四逆散を飲むとバッチリ治るよ、と書いてあります。

 


四逆散の”四逆”というのは”四肢逆冷”の略といわれ、手足が非常に冷える症状のことを言っています。

 


ここで重要なのは、病的な冷えには大きく分けると2種類あって、


1.温める力自体がないもの(陽虚、気虚など)

2.温める力はあっても、何らかの阻害要因があり、それが万遍なく全身に及ばないもの(陰邪を中心とした邪気実によるものや気滞など)


が考えられる、ということです。

 


四逆散の場合の手足の冷えは、2.の場合なんです。

 


これについて、和田東郭先生は、

「四逆散というのは、大柴胡湯の応用バージョンです。

腹はみぞおちとか肋骨の下の部分が張って、その凝りが胸にも及ぶ位のもので、両わき腹も強く張るもの。

でも熱実じゃないから大黄、黄芩は使わず、ただみぞおちとか、両肋骨下を緩めることを主とする薬だよ。

全体の腹形、みぞおち、肋骨下の状態をよく診て、それらに悪い反応があって、なおかつ手足がキンキンに冷えるものは、

この薬にて治すといいよー。

本当に温める力が無くなった、重篤な四肢の冷えとは、脈も腹なども、全然違うよーん。」  

(『蕉窓方意解』より抜粋意訳 by竹下)

 


と、述べておられ、また症例として、

 

「ある女性が、産後、意識もうろうとする症状が出た。

色々あん摩や薬などを試したけど治らない。

診るとみぞおちから肋骨の下から脇腹まで、キツク張って、強くこれを押しても弾力が無く、動悸もなにもなく、吐きそうになる感じという。

その人に、四逆散に生地黄、紅花を加えて飲ませてみたら著効したよん。

この紅花、生地黄は、瘀血に対して使ったのではなく、甘味の四逆散に組み合わせて、肝火の上逆を潤し緩める狙いで使ったよーん。」


『蕉窓雑話』より抜粋意訳 by竹下 

 

とも述べて、四逆散の応用的な使い方も示してくれています。

 


「四逆散」というお薬 2  に続く。

 

 

 

 

 

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標治と本治

2015.01.22

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東洋医学に、「標治(ひょうち)」「本治(ほんち)」という言葉がある。

 

これについては、以前少し書いています。

 


カテゴリ 「再分析」の重要性 参照

 

 

「標治」というのは、その病の「標」を治す、という意味です。

 


「標」というのは、「現象」のことです。

 

具体的に言えば、肩凝りとか、腰痛とか、皮膚の痒みとか、生理痛とか、関節痛とか、そういう、「症状」のことです。

 

「本治」というのはその病の「本」を治す、という意味です。

 


「本」というのは、その病の「本質」のことです。

 

具体的に言えば、腎の臓が悪いとか、肝の臓が悪いとか、湿邪が悪さしてるとか、瘀血が悪さしてるとか、そういう、

「その症状が起こっている根本原因」

のことです。

 


この、「標」「本」を正確に踏まえていないと、病というのはなかなか思うように治っていきません。

 


でも、時と場合によっては「標」の方を重視するべき時期、「本」の方を重視するべき時期、というのがあります。

 


標を治療すれば、いわゆる「症状抑え」にはなります。

 


その場で肩凝りがゆるんで、楽になって患者さんが喜ぶ、でも、本質は変わってないので、またすぐ戻る、というやつです。

 


本を治療すれば、いわゆる「根本治療、体質改善」になります。

 


その場での変化はよく分からなくても、繰り返し繰り返し治療を続けていくと、症状そのものが起こりにくくなってくる、やがて完全に起こらなくなる、というやつです。

 

我々としては、当然「本治」をお勧めします。

 

しかし、治療の時間が取れないとか、経済的に厳しいとか、その場で楽にならないといやだとか、色々な患者さんがおられます。

 

そういう事も全部丸ごと含めて考えて、「標本」を考えないといけません。

 


その術者の真面目さ、拘り、柔軟性、優しさ、深さ、色々な部分が問われます。

 

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形のあるような無いような世界 3

2015.01.19

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これまでのお話

形のあるような無いような世界
形のあるような無いような世界 2   参照

 


では続きいきます。

 

東洋医学は、気の医学。

 


あの手この手を使って、最終的には「気」というものを如何に正しく動かすか、というところに主眼が置かれる。

 


 

とはいえ、東洋医学にも、「形」という概念は存在する。

 


これまで、このブログ上の様々な記事(五臓六腑などに関するもの)に書いてきた通りだ。

 

しかし、どこをみても、西洋医学による「形」に対する分析のような「写実的精緻さ」はない。

 


これはなぜなら、東洋医学(東洋哲学)は、形よりも気(機能)、言い変えれば、人体と大自然との調和も含めた有機的な連関性と調和の具合、つまり

「人体内、および人体内外の全体的なバランス」

を最優先し、そこにこそ、最も注目するからだ。

 

(・・・と、僕は考えています。)

 

この観点からすれば、局所の詳細な分析や描写は、相対的に”些末な問題”となる。

 

東洋医学(東洋哲学)では、西洋医学のような手法で、「形」を精緻に分析していったところで、それを組み合わせてできるものは、所詮”ミックスジュース”に過ぎず、

 

この大自然、大宇宙の中における、小宇宙である人体、生命の動き、ダイナミズムを表現するには不十分、と考えていたのだろう。

 

このような観点から、生命、自然を「よりリアルに」表現し、理解するためには、物理的な臓器や各器官の写実的な描写や分類よりも、それらの間隙、及び全身、果ては全宇宙に存在し、

 

それらを繋ぎ合わせ、1個体を1個体たらしめる、一体不可分な「気」の動的なバランスにこそ、括目したのだろう。

 



 

ところで、東洋医学の病理産物に、「痰」と呼ばれるものが存在する。


「痰(たん)」「瘀血(おけつ)」について
「怪病多痰(かいびょうたたん)」という言葉 参照

 


一般的な認識からしたら、カゼひいたときなどにノドに絡む、白や黄色のネバネバした液状の物質を想像するであろう。

 


しかし、東洋医学では、それのみではなく、「痰」は全身各所に瀰漫し、気の正常な運行を阻害するもの、と考えている。

 


その分類として、「有形の痰」とか、「無形の痰」という言い方がある。

 

有形はともかく、この、”無形の痰”というのは何だろうか。

 

これはまさに、


”形として凝集してはいないが、今後、痰になる、前駆的な無形の気の停滞状態”

のことを言っているのだ。

 


このように、東洋医学では「気」を重視するがゆえに、無形から有形、有形から無形の連続性を細かく表現することが出来、それに応じた治療方法を考えることが出来る、ということ。

有形の邪気として凝聚する前に、叩くことが出来る。

 


あるいは凝聚した有形の邪気を霧散させることが出来たならば、それが再度凝聚しないように、散らし続けることが出来る。

 

つまり積極的、選択的に病を予防できるのだ。

 

これを「治未病」というのであって、西洋医学的な「予防」とは趣を異にする。

 

極めてタクティカルなのだ。

 

続く

 

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