東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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Search Results for: 刺絡

補瀉 42

2016.04.09

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これまでのお話・・・

 

 

補瀉 1 補瀉の定義と『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の補法 

補瀉 2 『黄帝内経素問』調経論(62)の補法

補瀉 3 『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の補法

補瀉 4 『黄帝内経霊枢』官能萹(7)の補法

補瀉 5 『黄帝内経霊枢』邪客萹(71)の補法

補瀉 6 『黄帝内経霊枢』小鍼解篇(3)の補法

補瀉 7 『黄帝内経霊枢』邪気蔵府病形篇(4)の補法

補瀉 8  『黄帝内経素問』刺志論(53)の補法

補瀉 9  『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の瀉法

補瀉 10 『黄帝内経霊枢』小鍼解萹(3)の瀉法

補瀉 11 『黄帝内経素問』八正神明論(26)の瀉法

補瀉 12 『黄帝内経素問』調経論(62)の瀉法

補瀉 13 『黄帝内経素問』刺志論(53)の瀉法

補瀉 14 『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の瀉法

補瀉 15 『黄帝内経』の補法まとめ

補瀉 16 『黄帝内経』の瀉法まとめ

補瀉 17 『難経』71難における補瀉

補瀉 18 『難経』76難における補瀉

補瀉 19 『難経』76難における補瀉の続き

補瀉 20 『難経』78難における補瀉

補瀉 21 『難経』79難における補瀉

補瀉 22 『難経』における補瀉まとめ

補瀉 23    孫思邈(そんしばく 541~682)の『備急千金要方』『千金翼方』の補瀉

補瀉 24   金代、何若愚 撰『子午流注鍼経』における補瀉

補瀉 25     金代、竇漢卿『針経指南』における補瀉

補瀉 26     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉

補瀉 27     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その2

補瀉 28   明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その3

補瀉 29     明代、李梃『医学入門(1575)』における補瀉

補瀉 30   明代、高武『鍼灸聚英(1529)』における補瀉

補瀉 31   現代中医学における補瀉

補瀉 32     日本における補瀉の受容

補瀉 33    『針道秘訣集』における補瀉

補瀉 34    『杉山真伝流』における補瀉 1

補瀉 35  『杉山真伝流』における補瀉 2

補瀉 36     永田徳本(1513?-1630?)『鍼灸極秘伝』『徳本多賀流針穴秘伝』の補瀉

補瀉 37   『杉山流三部書』における補瀉 

補瀉 38     岩田利斉『鍼灸要法』における補瀉

補瀉 39    岡本一抱『鍼灸抜萃大成』における補瀉 

補瀉 40    本郷正豊『鍼灸重宝記』における補瀉 

補瀉 41  菅沼周桂(1706-1764)『鍼灸則』における補瀉      参照

 

 

では続きいきます!!

 

 

◆石坂宗哲(1770-1841)『鍼灸茗話』における補瀉 

 

 

さて今日は、石坂宗哲先生『鍼灸茗話』を見てみたいと思います。

 

 

この先生は、前回紹介した本郷正豊先生や、菅沼周桂先生より後の時代、江戸後期の鍼灸医です。

 

 

この先生は、おそらく日本で初めて、西洋医学と東洋医学を折衷したような理論(らしきもの)を残した先生ではないでしょうか。

 

 

現代の鍼灸家、漢方家でも、東洋医学と西洋医学を折衷したり、使い分けたりする先生がおられます。

 

 

まあ言ったら、そういう先生たちの”ハシリ”ですね。

 

 

石坂先生は、かの有名なドイツ人医師、シーボルトとも親交があったことでも有名です。

 

 

彼がシーボルトに鍼灸を教える時のテキストであった『鍼灸知要一言』は、オランダで翻訳されて、当時の西洋医学界で紹介されたことでも有名です。

 

 

そんな石坂先生の娘婿である石坂宗圭先生が、義父である石坂宗哲先生の談話を収録したのが『鍼灸茗話』という本です。

 

 

この本は、昭和31年に柳谷素霊先生によって注釈を入れられて、出版されました。

 

(昭和13年には原稿は完成していたらしいですが。戦争おそるべし。)

 

 

その最初の部分に、補瀉に関する記載があります。

 

 

そこには、

 

「補瀉については既に他の本で述べたので、そこで述べてないことを言うとすれば、補は気を集めた結果、邪気が消退すること、瀉は刺絡の類のこと。」 

 

と、書いてあります。

 

(抜粋意訳 By 竹下)

 

 

で、他の本というのは、一つには『鍼灸説約』。

 

 

ここでは、まあ色々書いてあるんですが、結論としては

 

「補法はわずかな刺激で経脈の流れを調えることであり、瀉法は刺絡すること。」

 

と言っています。

 

 

 

また、『 鍼治十二條提要 』という本の中では、

 

「補法は迎隨があり、虚法と実法があり、鍼の基本は補法だよ。瀉法というのは瀉血のことだよ。」

 

 と述べ、『鍼灸治要一言』の中では、上記の内容を述べつつ、

 

「補法には迎隨があり、右手(刺す方の手)は常に患者に合わせて動かしている。これを”鍼の呼吸”という。」 

 

と言っています。

 

”鍼の呼吸”だってさ。面白い表現するね。(*^^*))

 

 

瀉法が刺絡、迎隨は補法のみ、と言い切ってしまうのはどうかと思いますが、これが当時、西洋医学と積極的に接触した石坂宗哲ならではの、

 

新進的な考え方だったのでしょう。

 

 

この先生は現代の先生方にも非常に評価が高く、初期の北辰会でも、この先生の刺鍼手技である「誘導刺」「散導刺」という技術を採り入れていた時期があったようです。

 

(今ではほとんど使いませんが。)

 

 

僕も随分前に、蓮風先生から研修中に、

 

「お前はそろそろ石坂宗哲を読め!独創的なことが書いてあるぞ。」

 

 と、突然言われたことがありました。

 

 

 

続く

 

 

 

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補瀉 41

2016.04.08

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これまでのお話・・・

 

 

補瀉 1 補瀉の定義と『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の補法 

補瀉 2 『黄帝内経素問』調経論(62)の補法

補瀉 3 『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の補法

補瀉 4 『黄帝内経霊枢』官能萹(7)の補法

補瀉 5 『黄帝内経霊枢』邪客萹(71)の補法

補瀉 6 『黄帝内経霊枢』小鍼解篇(3)の補法

補瀉 7 『黄帝内経霊枢』邪気蔵府病形篇(4)の補法

補瀉 8  『黄帝内経素問』刺志論(53)の補法

補瀉 9  『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の瀉法

補瀉 10 『黄帝内経霊枢』小鍼解萹(3)の瀉法

補瀉 11 『黄帝内経素問』八正神明論(26)の瀉法

補瀉 12 『黄帝内経素問』調経論(62)の瀉法

補瀉 13 『黄帝内経素問』刺志論(53)の瀉法

補瀉 14 『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の瀉法

補瀉 15 『黄帝内経』の補法まとめ

補瀉 16 『黄帝内経』の瀉法まとめ

補瀉 17 『難経』71難における補瀉

補瀉 18 『難経』76難における補瀉

補瀉 19 『難経』76難における補瀉の続き

補瀉 20 『難経』78難における補瀉

補瀉 21 『難経』79難における補瀉

補瀉 22 『難経』における補瀉まとめ

補瀉 23    孫思邈(そんしばく 541~682)の『備急千金要方』『千金翼方』の補瀉

補瀉 24   金代、何若愚 撰『子午流注鍼経』における補瀉

補瀉 25     金代、竇漢卿『針経指南』における補瀉

補瀉 26     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉

補瀉 27     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その2

補瀉 28   明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その3

補瀉 29     明代、李梃『医学入門(1575)』における補瀉

補瀉 30   明代、高武『鍼灸聚英(1529)』における補瀉

補瀉 31   現代中医学における補瀉

補瀉 32     日本における補瀉の受容

補瀉 33    『針道秘訣集』における補瀉

補瀉 34    『杉山真伝流』における補瀉 1

補瀉 35  『杉山真伝流』における補瀉 2

補瀉 36     永田徳本(1513?-1630?)『鍼灸極秘伝』『徳本多賀流針穴秘伝』の補瀉

補瀉 37   『杉山流三部書』における補瀉 

補瀉 38     岩田利斉『鍼灸要法』における補瀉

補瀉 39    岡本一抱『鍼灸抜萃大成』における補瀉 

補瀉 40    本郷正豊『鍼灸重宝記』における補瀉      参照

 

 

 

では続きいきます!!

 

 

 

◆菅沼周桂(1706-1764)『鍼灸則』における補瀉 

 

 

さて今日は、菅沼周桂(1706-1764)先生『鍼灸則』を見てみたいと思います。

 

 

この先生も、前回紹介した本郷正豊先生と同じ、江戸中期の鍼灸医です。

 

 

この先生の主張は、実はなかなかブッ飛んでいます。

 

 

この先生は、鍼灸治療は70穴あれば事足りるとして、春夏は浅く打ちなさいとか、秋冬は深く打ちなさいとか、母子の補瀉とか、

 

禁鍼穴とか禁灸穴とか、そういう古典的な教えを否定していきます。

 

 

そして、

 

「そうやって古典の記載を無視してやっても、効いちゃって効いちゃってしょうがないんですけど?」

 

と言っています。(笑)

 

 

この時代にこの主張をするのは、それ相応の知識と経験があった上でのことと思います。

 

(あるいはただのホラ吹きか・・・。)

 

 

この『鍼灸則』の附録の部分に、補瀉に関する記載があります。

 

 

そこで彼は、

 

「色々な説があるけどさー、瀉して邪気を取って、カタマリが取れればそれを瀉、邪気が取れて正気が回復したら、それを補。

 

要は、補瀉っつーのは、手指(の感覚の妙)にあるっつーだけの話。」 

 

と、書いてあります。

 

(抜粋意訳 By 竹下)

 

 

いいですねー。(笑)

 

 

こういう人、嫌いじゃないです。

 

 

また菅沼先生は、

 

「みんなカッコつけて金とか銀の鍼使うけど、俺は鉄の鍼だけ。それで十分効きますけど、何か?」

 

とも言っております。(笑)

 

 

いつの時代にもいるのです。

 

 

こーゆー「人と同じ」がイヤな人。

 

 

しかもそれでいて立派に、結果を出す人。(笑)

 

 

おそらくは、性格的には豪放磊落であっても、手先は非常に繊細な感覚を持った先生だったのではないでしょうか。

 

 

因みにこの先生は、治療において三稜鍼を使った「刺絡」という手法をよく用いたことでも有名です。

 

 

個人的に、「補瀉」を書いたら、今度は「刺絡」を書こうかな、と思っています。

 

 

 

続く

 

 

 

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求人募集中!!!

2015.10.03

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清明院では現在、求人募集しております。
 
 
募集内容の詳細は以下の通りです。
 
 
(※本記事の内容は、2024年5月時点のものです。)
 
 
 
 

◆必要資格

 
 

鍼師、灸師、按摩マッサージ指圧師の国家資格を「必ず3つ全て」持っており、東洋医学的な鍼灸治療や、在宅医療に興味のある、優しく、真面目で、健康な方。

 

(学生であっても、3年生で、成績優秀でやる気があれば、特別に見習いとして雇用する場合があります。)

 

 

◆年齢

 

ヤル気のある、20代~30代までの方を希望します。(男女不問です。)

 

 

◆条件

 

アルバイトでも、常勤でも、相談に応じます。

 

なるべく常勤を希望します。未経験や、経験が浅い場合は、アルバイトは不可とさせていただきます。)

 

(なお、体験入社として、就職することを前提に、往診事業部スタッフの往診に同行して頂くことも可能です。)

 

 

◆給料

 
 

常勤の場合、最低月給25万円。アルバイトの場合、最低時給1200円。あとは経験、能力に応じます。

 

 (臨床未経験者の場合、最低でも最初の3か月間は研修、試用期間とし、月給20万円とします。)

 

 (経験者であっても、学術のレベルに応じて、着任後3か月程度は研修期間とする場合があります。)

 

 

通勤交通費は基本的に全額支給しますが、月の通勤交通費の合計が2万円を超える場合は要相談となります。

 

 

 

◆待遇、昇給、福利厚生等

 
 
完全週休2日制(日曜日+平日1日公休)、仕事ぶりに応じて昇給あり。
 

・常勤社員は社会保険、厚生年金、雇用保険、労災保険完備。

 

・院内勉強会(東洋医学、在宅医療)、実技指導、研修教育制度有り。

 

 (当院のスタッフは、院長をはじめ、鍼灸学校で教鞭をとっている鍼灸師もおります。)

 

・年に一回、社員旅行有り。(過去に沖縄、奄美大島など。入社二年目より参加可能。)

 

・年末年始、夏季、GWに連休有り。

 

・協会提携の保険会社にて所得補償保険(任意)、賠償責任保険(弊社負担)加入。

 

・慶弔休暇・有給休暇・産休・育休制度あり。

 

 

 

◆業務内容

 

1.往診(患者宅、あるいは介護施設)による鍼灸マッサージ治療、リハビリ訓練、運動療法等。

 

 (当院の往診患者の多くは鍼灸治療のみか鍼灸治療併用です。治療に関して、学術両面からサポートします。)

 

2.院内診療助手(弁証問診、体表観察カルテ記入、施灸、刺絡の助手、受付業務、電話対応、ベッドメイク等)。

 
 
 
◆清明院で学べること
 
 
1.東洋医学、伝統鍼灸の臨床とそれに付随する内容全般
 
2.北辰会方式鍼灸治療(中医鍼灸弁証論治学、体表観察の学術、撓入鍼法、打鍼、古代鍼、刺絡、施灸法など)
 
3.健康保険を活用した訪問鍼灸マッサージ事業のノウハウ
 
4.重症、難治性疾患の患者への鍼灸での対応に関して
 
5.医師(開業医、総合病院)、薬剤師その他との連携のノウハウ
 
 
 
◆清明院の歴史
 
 
2009年、院長+スタッフ1名にて、ベッド5床のスペースで開業。
 
2011年、患者数増加に伴い、スタッフを増員。
 
2015年、患者数増加に伴い、スタッフを増員し、ベッド9床のスペースに移転。
 
2017年、法人化(株式会社 清明院)。
 
2020年、医師の研修受け入れ開始。(2024年現在までに、5名の医師が研修)
 
 

現在に至る。

 

 

 

◆臨床経験者、普通自動2輪の免許を持っている方を優遇します。

 

 

興味のある方、質問のある方は、

 

お電話 03(6300)0763

 

あるいは

 

メール seimeiinn.advertising@gmail.com

 

まで、お気軽にお問い合わせください。

 

 

事前に履歴書にて書類選考の上、面接させていただきます。

 

 

清明院は、外来診療部門では、徹頭徹尾東洋医学的、伝統的な鍼灸治療をメインにしながら、医師と連携し、健康保険を活用した在宅診療部門も併設しているという、全国的にみても、ほとんどないスタイルの治療院です。

 
 

本格的な東洋医学を日々勉強しながら、自分自身も毎日患者さんが診ることが出来て、給与面でも一般企業並みの待遇も受けられるという、本気で確かな技術、知識、経験を磨くには最高の環境だと思います。

 

 

当院で数年間勤めて、その後に開業した先輩の先生達は、全国各地で、伝統鍼灸の鍼灸院を盛業しております。

 

 
 
では、ご応募お待ちしております!!
 
 
 
 
 
採用担当 竹下
 
 
 
 
 

「左肝右肺」に関して 7

2015.02.02

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これまでのお話・・・

 

「左肝右肺」に関して
「左肝右肺」に関して 2 
「左肝右肺」に関して 3 
「左肝右肺」に関して 4
  
「左肝右肺」に関して 5
  
「左肝右肺」に関して 6
   参照

 

では続きいきます。

 

というか、キリがないので、いったん終わりましょう。(笑)

 


◆左右の使い分け

 


東洋医学に、「巨刺(こし)」とか「繆刺(びゅうし)」という治療方法があります。

 


これは、患部とは左右反対側を治療したり、患部と離れたところを治療したりする方法なんですが、問題は、

”これらを「どういう時に」使うのか”

です。

 

 

毎回毎回、必ずそうすれば正解、ではないのです。

 

 


まあ、これは業界的には半分以上常識なんで、いちいち出典挙げないけど、各古典によれば、

 

巨刺の方は経脈に病があるときで、しかも九候の脈に変化があるときで、繆刺と比べて相対的に深刺しをしろ

 

とあり、

 

繆刺の方は絡脈に病があるときなので、巨刺よりも相対的に浅刺しであるが、場合によっては刺絡しろ

 

と、あります。

 


刺絡の細かい話
「刺絡」という方法論(その2) 参照

 

・・・このようにあるんですが、古典におけるこの書き方に、僕的にはもう一つ納得できません。(笑)

 

だって、これだけだと、経脈に病があったって、絡脈に病があったって、それを患部の「反対側に」取る理由になってない。

 


おそらく、古代中国のえらーい先生が書いた、その部分の解説を読んでも、申し訳ないが、解説になってなくね?って話です。(笑)

 


右の絡脈に病があるなら、そのまま右の絡脈を治療すりゃあいいし、左の経脈に病があるなら、そのまま左の経脈を治療すりゃあよくね??、と思ってしまいます。(笑)

 

では何故、反対側を取った方がいいかというと、ここはあくまでも僕の私見ですが、内臓の位置をみれば分かるように、左右が全く対称な人間なんていない訳ですが、

 

健康人であればおおむね左右の平衡バランスは取れています。

 

 

ということは、人間にはそもそも気血の左右差を是正しようという力が備わっています。

 

それにより、全身くまなく、過不足なく、気血が行き渡り、健康が担保されるから、ですよね。

 

ですので、当然ながら、例えば左の経脈や絡脈が、何らかの病的な状態になると、右の経脈や絡脈にも気血の変動が起こるはずです。

 

で、普通であれば、直接、病的な状態になった経脈や絡脈をいじるのが常套手段でしょう。

 

左なら左を、右なら右を、と。

 

邪気を散らしてみたり、正気を集めてみたりね。

 

ところが、この常套手段よりも、病経の「反対側を」狙った方がいい場合というのは、患側(病的な経脈や絡脈)の反対側の経絡が、患側の経絡の異常を是正する「主体」になっている場合ではないでしょうか。


(ぼくはそうだと思っています。)

 

因みに、『黄帝内経』にも、左右差を調整することの重要性は諸篇に説かれています。

 

(素問では陰陽応象大論(5)離合真邪篇(27)繆刺論(63)、霊枢では官鍼篇(7)官能篇(73)あたりでしょう。)

 

 

日本でも、かつてわが地元である群馬におられた鍼灸師である赤羽幸兵衛(1895-1983)先生が、「シーソー現象」と称して、左右のバランスを調えることの重要性を説いておられます。

 

 

いずれにせよ、

 

「ではどういう時に、左右反対側を取った方が良いのか」

 

という診断学が重要であるわけです。

 

 


僕はそれは、「気の偏在度合い」で判断するようにしています。

 

メディカルユーコン『鍼灸治療 上下左右前後の法則』 参照)

 

つまり、病的な状態になったのは左の経脈や絡脈だったとしても、全体として右に正気や邪気が偏在していれば、そっちを動かした方がより早く、

 

そして動きが大きい、と考えていますし、日々そう実感しています。

 

・・・とまあ、そんな風に考えて、細かいメカニズムにも注意しつつ、臨床では常に臨機応変に左右を選んでおります。

 


(因みにこの場合、”脈診”は非常にポイントになるように思います。)

 

 

なんか話がそれたけど、このシリーズ、とりあえずおしまい。

 

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「経絡」ってなんですか?(その7)

2012.04.29

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これまでのお話・・・

「経絡(けいらく)」って何ですか?

「心包」って何ですか?(その5)

「経絡」って何ですか?(その2)

「経絡」って何ですか?(その3)

「経絡」って何ですか?(その4)

「経絡」って何ですか?(その5)

「経絡」って何ですか?(その6)

 

 



続きいきます!!

 

ここまでのお話で、経絡には12本のメインルート(正経十二経)があり、それぞれが順番に全身を循環し、体の上下左右前後内外、

六臓六腑と手足、頭も含めた、全身の気血のバランスをとってくれているよ、というお話をしました。

 

そして、それだけでは不十分で、さらに8つのサブルート(奇経八脈)で働きを補っている、という話もしました。

 


経絡には、気だけでなく、血も水も巡っているワケですが、中心は気血であり、中心のなかの中心が「気」である、というお話もしました。

 


ここで、興味深いことに、古典には、経絡の種類によって、この「気血」が流れる割合に違いがあるよ、という記載があります。

 


例えば、鍼治療の優れた方法の一つに、「刺絡(しらく)」といって、反応のある経穴に、三稜鍼(さんりょうしん)という太めの鍼を刺すことによって、

 

結果的に微量に出血することが多い、独特な伝統的治療法があるのですが、『黄帝内経』には、これをやっていい経絡と、やらない方がいい経絡があるよ、

 

という記載があります。

(専門家の間ではとっても有名な篇ですが、『黄帝内経素問』血気形志篇(24)です。)

 

その発想に基づけば、気が少ない経絡は、冷えや乾燥など、外からの邪気に入られやすいと考えられるし、気が多い経絡は、気が昂ぶって興奮状態になるような病が多く、

血が少ない経絡は、「刺絡」で血を出すような治療はあまり好ましくなく、反対に血が多い経絡は、太い鍼で深く打って、多少出血しても構わない、という考え方です。

 


こういう風に、「多血少気(たけつしょうき)」とか、「少気多血(しょうきたけつ)」という言い方で分類しております。

 

 

総じて「多気」の経絡は気が変化した病が多く、「多血」の経絡は鍼を深く刺して、少々出血させる事が多いようです。

 
 

・・・で、実際の臨床的な印象ですが、

「あー、確かに~!!古典の言うとおりだ~!!」

と思う時と、

「いや、別にそんなにこだわらんでも・・・。(苦笑)」

と思う時と、両方あります。

 
 

ですので、個人的には血気形志篇の記載を金科玉条視する必要もないように思いますが、ここはどうでしょうね?専門家の先生方。

 
 

血気形志篇によれば、各経絡における気血の多少は、「天の常数」なんだそうですが、ここは人によって、病によって個性あり、だと思うんですがねえ。。。

 
 
 
ここは個人的には、臨機応変に運用するべきな気がしています。
 
 
 

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手法の選択肢

2012.01.31

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鍼灸に、裏ワザ、奥の手はあるのか。

そんなモンないっちゃないけど、あるっちゃある。(微笑)

なかなかとれにくい症状を抱えた患者さんの場合、普通の治療で効果がイマイチの場合が、たまにある。

どう考えても、診断といい、選んだツボといい、治療後の反応といい、有効なのは間違いない。

・・・なのに、治っていかない場合。

単に、治療頻度を増やせば解決することもある。

単に、患者さんの生活そのものに大きな問題がある場合ももちろんある。

単に、患者さんとの信頼関係がうまく構築できてないだけのこともある。

でも、もしそういうことがなかった場合、治療する手法の選択肢に、ある程度幅が必要。

「工夫」する必要が出てくる。

指くわえて見てたら、残酷にも、治らないまま時間がたっちゃう。

せっかくの関係が破綻します。(苦笑)

・・・臨床って、勝てば官軍みたいなところがあって、どんな手ェ使ってでも、治しゃいい、みたいな部分があります。

例え理論的でなかったとしても、鍼灸じゃなかったとしても。

・・・でもまあ、ウチは鍼灸専門だし、こだわりも極めて強いので、最後まで鍼灸にはこだわります。

鍼灸にも色々あるってことです。

刺絡、燔針、皮内鍼、円皮針、などなど・・・。

「気一元」というものの枠組みの中で、「陰陽」という法則性の中で、表現し放題。

変幻自在性。

特別なことする必要ないっていうか、鍼自体が特別なことなんでその中で最大限工夫するのが鍼師。

・・・と思ってま~す。(笑)

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サピーン!

2011.05.27

最近、院内にイイ感じの棚を置こうとたくらんでおります。

清明院では、すでに本が置ききらなくなっております。(苦笑)

どこに置こうかと、スケール(金属製の巻尺)を手に思考錯誤しております。

こないだも、昼ご飯を食べた後に、ネットで棚のカタログを見ながら院内をウロウロ・・・。

幅を計ろうと、スケールをシュルシュルッと出した瞬間。

「サピーン!!」

て感じで、僕の親指の内側にパックリ切れ目が・・・。

久々の指の切り傷です。

昔はこんなのしょっちゅうでしたが、今は職業柄、出来れば最も避けたいケガの一つです。

・・・ですが、やっちゃったもんは仕方ありません。(笑)

むしろ貴重な勉強のネタです。

今回もマイナスを即座にプラスに転じさせていただきました。

早速、切った部位に相当する経絡や、関連する経絡の重要なツボの反応を調べます。

そして舌、脈、腹、顔面気色の変化、出血の程度と血液の色、すぐに遠隔部位に鍼をしてみて、痛み(ズキズキとした拍動痛)がどう変化するか等、実験しまくりました。

そして、一通り「経絡」というものの実在を体感、満喫した後、局所には傷が開かないように絆創膏を貼って、

「親指の内側が切れている」&「絆創膏により親指が曲がるのを若干制限されている」

という、自分自身の身体感覚の異常(というか普段との違い)を冷静に感じながら、そのあとの患者さん達を診療させていただきました。

・・・こうして、不慮のケガから、「刺絡(しらく)」という治療法に関するヒントを得ました。

「刺絡」についても、そのうち書きます。

この治療法については、僕は以前、ほとんどの患者さんにやっていた過去があります。

意外と個人的に好きな治療法の一つです。

・・・まあともかく、ケガには気を付けましょう!(笑)

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免許更新!

2010.04.01

昨日寒いですね!とブログを書いたら今日は暑いですね!(苦笑)こんな日はよっぽど気をつけてないとやられますよ~。

僕は今日は珍しく早起きして、運転免許の更新に鮫洲の試験場まで行ってきました!

鮫洲、新宿からだと意外と遠い・・・。

試験場について入った瞬間、後はベルトコンベアーに乗ったかのように次から次に、極めて「事務的に」手続きを済ませ、あっという間に免許更新しました。

これって、意味あんのかな・・、と若干思いましたが、法律で決まっているんだから仕方ありません。日本は法治国家です。(笑)

ところで、かなり前(10年ぐらい?)の「刺絡学会(しらくがっかい)」という鍼灸の学会の学術大会で、東京衛生学園の現理事長で、現(社)全日本鍼灸学会の会長でもある後藤修司先生がこんなことを発言しておられました。

「鍼灸師の国家資格に更新制度を作るべきだ!諸外国では医師免許を始め、医療系の国家資格は更新制度があるのが当たり前。しかし日本にはなぜかそれがない。そこで日本の鍼灸師が自ら「自主的に」更新制度を作ったと宣伝すれば、国民の評価は高まるはずだと思いませんか!?」

・・とね。僕は当時それを会場で聴いていて、

「なるほどね!それはいい考えだ!確かにそれをやれば、国民の評価は確実に上がるよね!」

と思いました。しかしそれから10年ほどたった今、そのような動きはほぼゼロに近いんじゃないでしょうか・・?

なんででしょうか?・・実はコレについても、鍼灸師の足並みが揃っていないことが大きく関与しているように思います。

「鍼灸と保険」のシリーズの中で述べたように、日本の鍼灸師は各人でやり方も知識もバラバラ状態です。それぞれが勝手気ままに、言いたいことを言って、やりたいことをやって、それなりに効果を挙げている、という現状があります。

こういう現状の中で、もし更新制度を作ったとしても、その内容を決めるのは並大抵の仕事量ではありませんし、国からそれに対する補助金が出るとも考えにくいと思います。

そりゃあ、誰もやりたがらんわなあ・・、と思います。

どうせ更新制度を作るなら、それなりの内容のものを作らないと、自動車運転免許の更新みたいに、単なる事務手続きみたいになっちゃって意味がないし、かと言って、カチッとした、業界の内外のコンセンサスを得たものを作ろうと思ったら、これまた超大変です。

しっかしそう考えると、極めて難儀な業界ですね・・・。(苦笑)

てなわけで僕的にはやっぱり臨床が一番です!鍼をして、病が治り、患者さんに笑顔が戻る!!ついでに僕も笑う!コレしかない!と思います。(笑)

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