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これまでのお話し
刺激量の問題 ⑥ 参照
◆置鍼か単刺か。 つづき
前回、置鍼時間にマニュアルや決まりはなく、各人が経験の中で会得するしかない、ということを書きました。
・・・とはいえ、『黄帝内経』の中に、もちろん一定の参考はあります。
置鍼のことは、「霊枢』九鍼十二原(1)に、
「毫鍼者.尖如蚊虻喙.靜以徐往.微以久留之.而養.以取痛痺.」
とあるように、”留”あるいは”留鍼”という文字などで表現されています。
「置鍼」あるいは「鍼を置く」というような表現は、『黄帝内経』には出てきません。
(因みに『黄帝内経素問』調経論(62)の「持鍼勿置.」は、置鍼という意味ではないと思います。)
『黄帝内経』中の”留”を文字検索(便利ー(゚∀゚))すると、『霊枢』で146件、『素問』で57件、ちなみに鍼灸医学の聖典といってもいい『難経』では16件出てきます。
このうち、「置鍼」という意味で”留”という文字が出てくるのは、ほとんどが『霊枢』です。
『霊枢』九鍼十二原(1)にあるように
「毫鍼は置鍼して気を養って痛痹をとる」
のが、本来の毫鍼(現代の一般的な鍼治療で最もよく使われる鍼)の使い方なのかもしれません。
他に、
『霊枢』本輸篇(2)では冬は井穴とか兪穴に置鍼しなさい
とか、
『霊枢』四時気篇(19)では冬には置鍼しなさい
とか、
『霊枢』経水篇(12)では陽明経は多気多血だから刺鍼は深く、置鍼は長くしなさい
とか、
手の経絡は浅くて気の動きが早いから、刺鍼は浅く、置鍼は短くしなさい
などなど、興味深い記載がたくさん出てきます。
こういったところを細かく読んでは、季節や寒熱なども考えて、自身の臨床と照らし合わせて作っていくのが、一番正解に近いものが見えてくるのではないでしょうか。
続く
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2019.04.09
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最近のお話し
参照
前回書いたように、葛根湯は、桂枝加葛根湯に麻黄を加えたもの。
で、桂枝加葛根湯は、桂枝湯に葛根を加えたもの。
今日は
「そんじゃ桂枝湯は?」
というお話。
・・・これこそ、まさに漢方薬の王様みたいな薬です。
出典はもちろん漢代、『傷寒論』でありまして、『傷寒論』のド頭に出てくるのが桂枝湯です。
また、北辰会会員の必携の書である『袖珍中医四部経典(※)』にも収録されている、清代の名医、呉鞠通の著書『温病条弁』も、ド頭に出てくる方剤はこの「桂枝湯」なのであります。
((※)・・・『黄帝内経素問』『黄帝内経霊枢』『傷寒論』『金匱要略』『温病条弁』がすべて簡体字で収録されている、何とポケットサイズの書。)
数千年の風雪に耐えてきた名方ですね☆
『傷寒論』中の桂枝湯掲載の条文を全てここに拾おうと思うと、あまりにも長くなるのでやめますが、これ自体にもとにかく非常に多くの使い方があり、
バリエーションも非常に多くある、漢方薬の王様です。
『金匱要略』にも、栝楼桂枝湯、白虎加桂枝湯、枳実薤白桂枝湯、鳥頭桂枝湯、柴胡桂枝湯と、様々なバリエーションや使い方が紹介されています。
・・・まあー、それだけ奥が深い薬なので、あまり簡単に語るのは語弊があるのですが、最もポピュラーな使い方は、カゼの初期に使う場合です。
しかし、麻黄湯とは違って、桂枝湯の場合は汗があります。
外から邪気が入ったことによって、体の表面における気血の流れのバランスが崩れて、本来出てはいけない汗が、ダラダラと出てしまっている状態です。
そこで、気血を調和させて、気の流れをよくし、結果的に邪気を散らし、汗を自然に止める薬、という理解が、最もポピュラーでしょう。
また、以前書いたように、桂枝湯は、服用した後に熱くて薄いおかゆ(熱稀粥)をすすれ、と書いてあることも有名ですね。
映画『レッドクリフ』で、感染症にかかった兵士に桂枝を煎じて飲ませているシーンがありましたが、三国志の時代から使われる、超有名な方剤です。
(映画の中でも孔明が言っていたけど、ああいう重篤な感染症が桂枝湯で治るというワケではないよ。)
この桂枝湯の様々なバリエーションについても、いつか気が向いたら書きましょうかね。
〇
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2018.11.28
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前回のお話し
さて、1日目ですが、一般口演を4題聴いた後は、メインホールへ。
今回楽しみしていた、気口九道脈診のシンポジウムです。
最初に司会の利川鉄漢先生から気口九道脈診の歴史沿革が述べられ、その後、実際に日々の臨床で気口九道脈診を運用しておられる3人の先生が登壇し、
それぞれの気口九道脈診の運用方法を解説する、という内容。
3人の先生の中では、鍼道五経会の足立繁久先生の説明がスライド、講演ともに、やり慣れている感じがして非常に聴きやすかったです。
(ただ、奇経に関するご見解が聴けなかったのが少し残念でした。。。(苦笑))
また、司会の利川先生の歴史沿革のまとめが、分かりやすくて細かくて、素晴らしかったです。
僕が知らない内容もいくつかありました。
この「気口九道脈診」は、以前にもこのブログで何度か紹介してきましたが、僕の好きな李時珍(1518-1593)先生が、3世紀半ばの、
最古の脈診の専門書である『脈経』の内容を参考に残した、秘伝のような、伝説のような脈診法です。
『素問』脉要精微論(17)における「脈の内外上下」 2 参照
しかも、近代日本で、この脈診法を行っていたのが、藤本蓮風先生の御尊父である藤本和風先生であったことから、関西を中心に、伝統鍼灸をやっている先生方の間では有名な脈診法でした。
昔、蓮風先生にこの脈診をどう思うか質問したことがありますが、
「俺はやらんよ。」
の一言でしたね。
(笑・・・もちろんその後、ちょっとだけコメントに続きがありますが、それは秘密です☆)
その和風先生が生前、現北辰会代表理事である若き日の新風先生に、この脈診法を手ほどきしたことがあるそうで、今後、新風先生から何か発言があるかもしれませんね。
西洋医学では、不整脈がないか、早さはどうか、くらいしか診ない「脈診」ですが、東洋医学では非常に重要視し、非常に多くの診方考え方があります。
(因みに鍼灸の世界でも、”脈診不要論”というのがブチ上がり、大論争になったこともあります。)
この診察法はまさに
「水穀の精微と宗気が胃の気(生命力)の源」
「局所が全体を投影する」
という東洋医学の特長的な考え方を象徴するような診察法だと思います。
今後、伝統鍼灸学会でも、あらゆる流派の脈の診方考え方をぶつけ合う機会があってもいいと思いました。
まあ、どの診方でも一定の結果が出るわけですから、ものごとには多様性がある、ということを考える、いい機会になるんじゃないかと思いますね。
続く
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2018.10.18
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患者さんには大変ご迷惑おかけしますが、来月、11月24~25日の土日と二日間、大阪の茨木市で行われる日本伝統鍼灸学会学術大会に参加してきます!!
(因みに今回、清明院元副院長の松木宣嘉先生が副実行委員長だったりします。あいつは副が得意だ。)
・・・かつては、
「へっ 学会なんてめんどくせー あんなもん目立ちたがり屋のエライさんの集まりだろ?(*´Д`) それより臨床なんだよ俺はよー!!( ゚Д゚)」
とか思って、全然出ていなかったし、見向きもしなかった「学会」ですが、ここ数年、おとなしく毎年参加しております。(爆)
しかも今では、上記の僕のような雰囲気の、クソ態度の悪い鍼灸学生にも、笑顔で
「学会には出ましょうね、勉強になりますからね~~(^^)/」
なんて、勧めてすらいます。(爆)
・・・なぜ、このような変化が起こったのか。
数年前から、何度か学会で発表して気付いたのは、学会というところは、
”ヤル気のある人”、”意識の高い人”
の集まりだからです。
話していて気分がいい。
このブログに何度も書いているように、鍼灸治療の受療率は国民のたった5%。
しかもそのほとんどは、慰安的なマッサージの延長としての、気休め的な鍼ではないでしょうか。
この僕ですら、伝統的な東洋医学理論に基づいた鍼への、あまりの無理解に、テンションが下がる時もあります。
(年取ったんかな。。。)
でも学会に行くと、全国各地で奮闘している先生方にお会いして、
「あー、俺ももっと頑張らないと。」
と、いい刺激をもらえます。
自分の勉強不足に気づく。
自分とは違う視点の存在に気づく。
・・・で、結果的に明日からの臨床の糧になる。
まあ、こういう刺激を本気で欲するようになるまでには、けっこう色々な段階を経る必要があるのかもね。。。(苦笑)
今年は、あの李時珍が残した伝説の脈診法である気口九道脈診や、北辰会の代名詞的になっている打鍼術など、興味深い内容が目白押し!!
そして今回も、(一社)北辰会の先生方がたくさん出ます!!
私も、今回は日曜日に初の座長として参加します!!
気合い入れていきますよ~~☆(ΦωΦ)
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2018.09.17
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これまでのお話・・・
一貫堂医学が今日まで大きな影響力を持っている原因の一つとして、昭和漢方界の中心人物であった矢数道明先生と、その兄君である矢数道斎(格)先生が、
創始者・森道伯先生の弟子であったことが挙げられます。
因みにこちらが矢数道斎(格)先生。
↑↑ インパクト満点、一度見たら忘れないお姿ですね。
(矢数芳英先生(道斎先生の弟君である矢数道明先生の御令孫)よりご提供いただきました。)
矢数格先生は明治26年(1893年)茨城県生まれ、はじめ海軍の軍人を志し、中学に入るも、スパルタ式の無茶苦茶な運動をやり過ぎて、3年の時に体を壊し、
マラリアに罹り、生死を彷徨う。
この時、有名病院から専門病院から、どの医者に行っても一向に良くならず、何を食べても、何を飲んでも吐いてしまい、全く飲まず食わずの状態が続いており、
終いには吐血して、余命宣告までされる始末だったようです。
そこで森道伯先生の噂を聴き、藁をもすがる思いで、骸骨のようにやせ衰えた体で上京し、診察を受けると、僅か2週間で、天丼が食えるほどに回復したそうです。
因みにこの時に、
「この薬が胃に入るようであれば治してやる。」
と仰って、森先生が使った方剤は五積散だったそうです。
(そして五積散の出典は『和剤局方』です。)
マラリアというのは東洋医学では「瘧(ぎゃく)」とか「瘧病」とよんで、古くは『黄帝内経素問』の「瘧論(35)」「刺瘧(36)」の中で詳細に認識されていますし、
『金匱要略』の中にも出てきますし、その後の歴代医家も多くの研究を残しています。
現代中医学でもマラリアを様々に分類し、治療法を提示していますが、「五積散」という選択肢は僕が探した限りでは提示がありませんでしたので、
森先生のオリジナル運用法だろうと思います。
よく名医はこうやって、西洋医学的な病名だの、経過だの、症状の軽重だのに振り回されることなく、自分がよく理解している方剤をシンプルに使って、
きれいに治しますね。
五積散は、風寒外感+内傷寒湿の薬で、解表温裏剤と呼ばれるグループです。
因みに、2015年にノーベル医学・生理学賞を受賞した中国人の屠呦呦(ト・ユウユウ)先生の研究は、中国伝統医学で使われている生薬にヒントを得た、マラリアの治療薬「アルテミシニン」の研究でした。
(因みにこの時一緒に受賞したのは寄生虫薬イベルメクチンで有名な日本人の大野智先生です。)
その後、元気になった矢数格先生は田舎に帰り、学を諦めて自然の中で農作業をする暮らしを4年ほどしていましたが、森先生のような漢方医を志そうと一念発起し、
22歳で千葉医専(現千葉大医学部)に入学しました。
当時は、漢方医の道を志すと言うと、学友から
「お前、頭がおかしいんじゃないか?」
と言われたそうです。
(苦笑・・・この時、矢数君を助けようと、署名が集まった、なんていうエピソードもあるそうです。)
まあ今で言えば、突然変な宗教に洗脳されたとか、精神に異常をきたしたとか思われるくらい、東洋医学の評判は地に落ちていたのでしょう。
医学生3年の時、再び無理をして体を壊し、肺炎まで起こし、入院する羽目になってしまいました。
その時に友人が森先生に電報を打ってくれて、知らせを受けた森先生は、夜中に東京から千葉の病院まで薬を持って往診に来てくれたそうです。
そして、病院のストーブで漢方を煎じて、飲ませると、
「こんなところにいたら殺される。わしが家に連れて行って看病する。」
と言って強引に矢数先生を東京の家に連れて帰ってしまい、本当に治してしまいました。
(このエピソードで思うのは、森先生は、矢数先生の才能に気付いていたんだと思います。)
この時、森先生が使った処方は升麻葛根湯に長ネギを加えて煎じたものだったそうです。
升麻葛根湯は、後にスペインかぜにも使った処方でしたね。
(しかしこの場合は長ネギ(葱白)を入れているところもポイントかもしれませんね。)
升麻葛根湯の出典は宋代の『小児薬証直訣』(1119)の付録である『閻氏小児方論』であり、効能は辛涼解肌、透疹解毒であり、葱白は長ネギの白い茎の部分のことで、
散寒解表、通陽の効能がありますので、肺炎の熱をとり、表は温め、内外に陽気を通じさせる、というイメージでしょう。
この信念、ハンパないですね。。。(゜o゜)
僕も現在、北辰会や東鍼校など、東洋医学教育に”端くれ”として携わっていますが、何といっても、この医学に本気になれるのは、こういうリアルな経験、感動が一番いいですね。
森先生の中では「治るか治らないか」に関する明確な物差しがあり、それを運用しただけのことでしょうが、これをしっかり持っているかどうかが非常に重要だと思います。
森先生は平生、
「わしに西洋薬を使わせたら上手に使ってみせる。」
と言っていたそうで、自分なりの評価の物差しがハッキリしていてブレなければ、どんな薬、どんな処置でも的確に分析できる、という意味からの言葉だと思います。
次回、森先生の臨床エピソードで「僕的に」印象的だった話を紹介して終わりましょう。
続く
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2018.09.16
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これまでのお話・・・
前回、森道伯先生が、大正時代に世界的に流行したスペインかぜ(強毒性のインフルエンザ)に対して、漢方薬で効果を挙げていたことを紹介しました。
また、ずいぶん前ですが、このブログ上で、広州中医薬大学の鄧鉄濤(とうてっとう)先生が、2002年から2003年にかけて世界中に感染者を出した
SARS(重症急性呼吸器症候群)に立ち向かって、漢方薬で効果を挙げたという話も書きました。
鍼灸でも、以前に蓮風先生が非結核性好酸菌症の症例を、内科医の村井和先生とともに『鍼灸ジャーナル 7号』に発表したことがあります。
日本では残念ながら論文数は少ないですが、中国韓国台湾を探せば、鍼灸で感染症を扱って効果を得たものは、他にもあるんじゃないでしょうか。
東洋医学は感染症に無力、と切って捨てる人がたまにいますが、果たしてそうでしょうか・・・?
むしろ東洋医学の歴史は、感染症との闘いの歴史なんじゃないんでしょうか?
現代の新興感染症にも使える叡智が多分に含まれているのではないでしょうか。
・・・で、今日は、一貫堂医学の番外編でもないが、東洋医学の感染症に対する考え方を述べてみましょう。
(一社)北辰会が理論と用語のベースとしている現代中医学の「弁証論治」という基本的な考え方ですが、これの大本は『傷寒論』を著した後漢の張仲景(150?-219)と言われます。
(”弁証論治”という言い方自体が、『傷寒論』の”弁〇〇病脈証并治”という言い方から来ているとか。。。)
・・・で、その『傷寒論』の内容は、『傷寒論』よりさらに前の『黄帝内経素問』の「熱論(31)」の内容や、『難経』58難が元になっていると言われます。
『黄帝内経』よりもさらに以前は、「病気」というのは、悪霊や鬼が患者に憑りついたもの、と考えられており、治療はもっぱら祝由(お祈り、呪い)であったようです。
それを『黄帝内経』では、この世界の全ては「気」から出来ているという「気一元の世界観」、そしてそこに働いている法則性である「大極陰陽論」を前提として、
自然現象である、人間の生老病死の「病→死」を、自然界、あるいは人体内にある「邪気」が、人体の「正気」を傷っていく過程、と考えるようになり、
そしてその「邪気」にはパターン分類があり、人体の側にもまた体質分類があり、それを適切に噛み分けて、何がどうなって病になっているのかを考え、
戦略的に治療すれば、病治しができる、という、医学医術の革新(ある意味科学化)を行いました。
それ以来、その枠組みを前提とした、様々な学説や治療法が開発され、その数千年に渡る膨大な臨床事実の集積は「中国伝統医学」と呼ばれ、
現代にまで脈々と受け継がれている訳ですが、この「邪気」という考え方の中でも、自然界にある外来の邪気、つまり「外邪」と呼ばれるものが、
現代の西洋医学の言う「細菌」や「ウイルス」のことを含む概念です。
(ザッと書いたので、もし間違っていたらご指摘ください。<m(__)m>)
・・・で、東洋医学における感染症の捉え方、治し方は、蓮風先生が以前よく仰っていたことですが、
「ここにアサガオの種があったら必ず発芽するわけではないように、種子が発芽するには土、水、空気などなど、それなりの条件が整わないと発芽しない。
感染症もこれと同様で、細菌やウイルスがあったら必ず発病する訳ではないように、発病しないように、また、発病しても軽く済むように、
患者の側を調えればいいのだ。
細菌やウイルスを顕微鏡レベルで分類し特定して、それを死滅させる、あるいは人体の側を強制的にそれに反応しないようにせしめるのが西洋医学、
それらが増殖しにくいような体内の状況を調えるのが東洋医学、という違いがある。」
ということです。
もちろん、細菌やウイルスがキチッと特定できて、抗生剤などの治療法も確立されているような感染症であれば、西洋医学のやり方は非常に優れていると思いますが、
中にはうまくいかないものもあります。
そういう時に、意外と効果を発揮するのが、東洋医学の論理と手法だと思います。
森道伯先生も鄧鉄濤先生も、そこんところを良く分かっていたんだと思います。
次回、ついでなんで、矢数道斎先生が若い頃、森道伯先生に、マラリアと肺炎の治療を実際に受けた話を書いておきましょう。
続く
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2018.09.10
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これまでのお話・・・
一貫堂医学について 2 参照
・・・さて今日は、森道伯の一貫堂医学の言う三大体質の二つ目、「臓毒証体質」について掘り下げます。
「臓毒証体質」とは、風毒、食毒、梅毒、水毒の四毒に侵された体質、だそうです。
この四毒を少し詳しく言いますと・・・、
「風毒」とは、ここではあらゆる病のもととなるようなキツイ邪気のことを言っているようです。
「食毒」とは、そのまんまですが食べ物の毒、それも急性の中毒ではなく、慢性の毒とも言えるもので、要するに肉食中心の偏った食生活や、
暴飲暴食の過剰な栄養だったり、また現代であれば加工食品や添加物などによる 内臓機能の低下なども広く含まれる考え方だと思います。
「梅毒」というのは性感染症で有名なあの梅毒で、現代では残念ながら増加傾向だそうです。
「水毒」というのは腎機能が低下して不要な水分の排出が滞って、水滞(浮腫みも含む)が起こったもののことを指しているようです。
この「四毒」が体内に蓄積し、単一に、あるいは複合して、健康を害しているようなものを、「臓毒証体質」と名付け、
これらすべてを「防風通聖散加減」で治療していた、というワケです。
この体質のものは、ガッチリしていて若いうちは丈夫だが、壮年期になると癌や脳卒中、痔疾や腎疾患を起こすと言われます。
診断は望診、脈診、腹診であり、
皮膚は黄白色、脈は実脈や堅い脈が中心で、腹は全体が堅いか、あるいは全体が軟満しているか、
だそうです。
防風通聖散は、以前このブログでも紹介した金元の4大医家の一人である劉完素(1120-1200)の著作である『黄帝素問宣明論方』(1172)に出て来る方剤で、
もともと熱のこもりやすい人が風寒邪に罹患し、「表裏ともに実」になったものに使う方剤と言われます。
実はこれ、近年になって”やせ薬”みたいに言われて、「ナ〇シトール」だの「コッコ〇ポA」とかいう商品名がついて製品化されています。。。
(しかし、痩せたいからといって安易に使用するのは、危険極まりないので絶対にやめましょうね。)
まあ、こういうものがよく売れるぐらい、安逸過度や暴飲暴食で実熱証、毒素をため込んでいる人が多いというのは、森道伯先生の晩年の、
第一次大戦後の、未曽有の好景気であった大正~昭和初期の日本と似ているのかもしれません。
しかし、私もたまにのぞかせていただき、勉強させていただいている、山口の村田漢方同薬局の村田恭介先生は、そのブログの中で、
「特殊な状況においてしか使う必要のない、まして現代においては全く必要のない、支離滅裂に近い配合」
と断じておられます。(笑)
・・・うーん、この辺、漢方家からしてどうなんでしょうね。
まあ、防風通聖散の方意を見ると、表は風邪邪実、裏は腸胃の湿熱の実、で、表は疏風して裏は清利湿熱で、表裏双解剤、というわけですから、鍼ではどうやるのが近いでしょうかね。
外関や合谷やりながら、上廉で下すような感じ?しかも養血や和中の穴処も加える??
あるいは上腹部の沈んだ実をややキツ目に瀉すか??
(これだと難易度は高いね。)
まあ、確かなのは、防風通聖散も、単に痩せようと思って長期に服用するなんてのは、バカ丸出しだね。(苦笑)
毎日、メシ減らして走ってりゃ、絶対痩せます。
漢方薬のそういう使い方を聞いたら、天国で森道伯が泣いているでしょうな。
続く
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2018.08.24
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これまでのお話
「肺胃不和」という証 3 参照
◆「宣発・粛降」の根拠は??
今から約8年前、このブログ上で、東洋医学の言う、固有の意味としての「肺の臓」とかいかなるものか、という内容を、一般人や学生さんに向けて、
極力専門用語を使わないようにと配慮しながら、12回に渡って書きました。
今読むと、内容の稚拙さに赤面しますが、それも歴史の真実、あえて残します。(笑)
ここで重要なのものの一つとして、東洋医学の言う「肺の臓」というのは
1.気を全身に巡らせる働き
2.気を下げ、降ろす働き
を持っている、というお話をしました。
中医学の成書を読むと、1.の働きを「宣発(せんぱつ)」、2.の働きを「粛降(しゅくこう)」と書いてあります。
今日は、ここから少し突っ込んで、
「肺の臓には宣発・粛降作用がある・・・ほうほう、で、その根拠は??」
という話をします。
別に『黄帝内経』などの古典の中に「宣発・粛降」という言葉がある訳ではないようです。
(まあ『素問』五運行大論(67)に”宣発”という熟語は出てきますが、これは肺の作用のことを言っている訳ではないです。)
中医学の成書では、歴代の諸種の古典を総合して、肺の臓の生理作用を示す言葉として「宣発・粛降」という見出しをつけている、ということでしょう。
で、まず宣発については、
1.気化によって体内の脱気を排出する
2.水穀の精微を全身に巡らせる
3.衛気を巡らせることで汗を排出する
という3つの作用のことを言っています。
これは、『黄帝内経霊枢』決気篇(30)にみえる、
「上焦開發.宣五穀味.熏膚充身澤毛.若霧露之漑.是謂氣.」
という文章から持ってきているのかな、と連想させます。
決気篇での内容は、「気」という概念をさらに細分化して「精・気・津・液・血・脈」の6つに分けた場合、それぞれの定義ってどうなの??
っていう文脈の中での、「気」の話をしている部分に出てくる話なんですが、「肺の臓」の「気」への関わり(肺主気)を考えると、ここに書かれている「気」の働きを、
もっとも直接的にバックアップしているのが「肺の臓」である、というふうに理解した、ということでいいと思います。
続いて「粛降」ですが、単に「降」ではなく「粛清(しゅくせい)」の「粛」を入れて「粛降」と名付けているのはポイントかな、と思っています。
(粛清、怖いですねー)
続く
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2018.07.29
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今ちょうど『素問』の「脉要精微論(17)」の脈診の部分を書いているので、ついでに「夢」に関する記載にも触れておきましょう。
東洋医学も「夢」については認識し、どういった意味を持っているのかというのは、議論や考究の対象であります。
この「脉要精微論」の中にも、以下のように出てきます。
是知陰盛.則夢渉大水恐懼.陽盛.則夢大火燔灼.陰陽倶盛.則夢相殺毀傷.
上盛則夢飛.下盛則夢墮.
甚飽則夢予.甚飢則夢取.
肝氣盛.則夢怒.肺氣盛.則夢哭.
短蟲多.則夢聚衆.長蟲多.則夢相撃毀傷.
簡単に訳しますと、
陰実→大河を渡って怖い思いをする夢
陽実→大火が燃え盛っている夢
陰陽ともに実→虐殺損傷し合う夢
上焦が実→飛ぶ夢
下焦が実→落ちる夢
飽食→ものを贈り人に与える夢
飢餓→奪い取る夢
肝気実→怒り狂う夢
肺気実→泣き叫ぶ夢
腹に短虫→人々が寄り集まる夢
腹に長虫→喧嘩してケガする夢
夢に関して、『黄帝内経』では他にも、『霊枢』の方の「淫邪発夢篇(43)」が有名です。
あるいは『列子』の「穆王篇(ぼくおうへん)」というところにも出てきます。
夢については、ずいぶん前に書こうかな、と思ってからずーっとほったらかしになっていたので、そろそろサクッと書きましょうかね。。。(苦笑)
「フロイト」という人物 参照
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2018.06.27
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今日、東洋鍼灸専門学校で「弁証問診」の話をしました。
話しながら、やっぱこれは何度話してもいい、重要な内容だと、改めて思いましたね。
蓮風先生がかつて『黄帝内経素問』徴四失論(78)の内容を解説したことがあります。
このタイトルには、
「医師が犯しがちな4つの失敗を戒める論」
という意味があります。
この4つの指摘はどれも非常に痛烈なんですが、その4つ目に、
「問診をロクにやらないこと」
が入っています。
問診はキチッと取るべきです。
それも、我々東洋医学は、「弁証論治に有用、有益な問診」つまり「弁証問診」を、キチッと取るべきです。
いつだったか、
「鍼灸師さんには、地域医療におけるジェネラリストとしての役割りを期待したいので、問診で、悪性疾患の鑑別や振り分けをぜひやってもらいたい。」
と述べた医師の先生がいましたが、まあ確かにこれも重要なことかもしれませんが、東洋医学の臨床家として、それ以上に重要なのは、弁証論治をするための問診をキチッと取ることでしょう。
総合と総体 5 参照
問診は、コミュニケーション能力が大事です。
清明院では1時間以上かけてキチッと問診を取りますが、その時間がつまらなく、退屈で苦痛な時間だと患者さんが感じたら、それは失敗です。
問診が終わった時点で、ある程度心身が楽になっている、しかも弁証論治に有用な情報がキチッと聞き出せている、これであれば成功でしょう。
僕もほぼ毎日、15年くらいやりましたし、今でも公開臨床ではやっていますが、あの1時間半をどのように作るか、完成度を高めるか、
これは無窮の修行だと思いますね。
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