東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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Search Results for: 永田徳本

シップ貼っていいですか?

2018.06.23

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患者さんから問われる。

 

「シップ貼っといてもいいですか?」

 

と。

 

 

僕は大体いつも、

 

「カブレないなら、貼っといてもいいよ。」

 

と答えるようにしています。

 

 

鍼灸学校時代、

 

「シップには、”貼ってあるところを患者が意識する”というくらいの効果はある。」

 

と仰った先生がいました。

 

(因みに、患部を意識することが良い場合と、悪い場合がありますね。)

 

 

また、柔整学校時代、有名な整形外科の院長先生が、

 

「ウチみたいな町医者は、シップとかぜ薬で何とかもっている。」

 

と仰ったこともありました。

 

 

患者さんにとっては、お守り的な存在ですらある、「シップ」「トクホン」

 

永田徳本という人物  参照

 

 

上記を色々忖度して、現在では冒頭のような回答に至っています。

 

 

因みに”大体は”です。

 

 

イレギュラーパターンを言い出したらキリがないので。。。

 

 

 

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胃の気の脈診⑦ 中位に現れる脈

2017.05.18

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↑↑山奥にあり、かなり朽ちていましたが、これがこの神社の本殿です。

 

 

 

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これまでのお話

 

胃の気の脈診① 胃の気の脈診とは

胃の気の脈診② 四時陰陽に従う脈

胃の気の脈診③ 名状をもってするに難しき脈

胃の気の脈診④ 有力無力による脈

胃の気の脈診⑤ 一定の恒常性の有無を診る脈       参照

 

 

 

◆中位に現れる脈とは

 

 

前回紹介した永田徳本(1513?-1630?)先生『診脈論』という本の中に、

 

「浮中沈の中位の脈がしっかりあるのを胃の気ありとする。」

 

と説かれています。

 

 

まあ、「脈診」をする鍼灸師、漢方家にとっては常識なんですが、脈診部位(手首の橈骨動脈拍動部)にフワッと軽く触れた位置のことを

 

「浮位(ふい)」、

 

脈をぐーっと指で骨に向かって圧迫して、深い位置で触れたのを

 

「沈位(ちんい)」、

 

その真ん中を

 

「中位(ちゅうい)」

 

と言いますが、この「中位」にしっかりと脈が触れるものを「胃の気がしっかりしている脈」と考えます。

 

 

やはりこれも胃の気の脈が「中庸」を得た脈であることの一つの考え方です。

 

 

これを北辰会では、蓮風先生独自の、非常に合理的な解釈でもって、「脈幅(みゃくはば)」という言葉を使って、

 

臨床に運用しております。

 

 

・・・まあともかく、軽く触れた位置と、重く触れた位置、その中間部分がしっかりと打っていれば、

 

「胃の気あり」

 

と判断できます。

 

 

 

続く

 

 

 

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胃の気の脈診⑥ 胃の気の働きを直接うかがう脈

2017.05.17

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これまでのお話

 

 

胃の気の脈診① 胃の気の脈診とは

胃の気の脈診② 四時陰陽に従う脈

胃の気の脈診③ 名状をもってするに難しき脈

胃の気の脈診④ 有力無力による脈

胃の気の脈診⑤ 一定の恒常性の有無を診る脈        参照

 

 

 

◆胃の気の働きを直接うかがう脈とは

 

 

このブログにも何度も出てきている永田徳本(1513?-1630?)先生

 

「永田徳本」を含む記事 参照

 

 

この先生の『診脈論』という本の中に、

 

「食前食後で、脈が変わっていないものは胃の気なしとする」

 

と説かれています。

 

 

一般に、食事をすると脈は大きく、やや早くなります。

 

 

こういう変化がないものは良くない、と考えます。

 

(因みに個人的には、食事が入ったのに、かえって硬くなるもの、あるいは細く弱く遅くなるものは、非常に良くない、という印象を持っています。)

 

 

運動や入浴でも同じような現象が起こりますが、食事の方がより顕著であると、蓮風先生は教えておられます。

 

 

清明院でも、昔から往診をやっていますので、重症の患者さんと接する機会は非常に多いのですが、最終段階に入った時なんかに、

 

この方法はよく使わせていただいています。

 

 

吸い飲みで水を一口入れて、脈がどう変化するか。

 

 

これで変化しない、あるいは硬くなると、いよいよかな、と分かります。

 

 

まあともかく、飲食して脈が普通の変化をするのが胃の気のしっかりした状態、変化がない、あるいは逆の変化が起こるのは、

 

胃の気の弱っている証拠、と診ます。

 

 

 

続く

 

 

 

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補瀉 目次

2016.04.24

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長々と50回まで続いた補瀉シリーズも、一応完結致しましたので、下記に目次を記します。

 

 

これまで一話一話読んで下さった人は、もう一度、第一回からザーッと読み直していただけると、理解が深まるんじゃないかな、と思います。

 

 

 

補瀉 1 補瀉の定義と『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の補法 

補瀉 2 『黄帝内経素問』調経論(62)の補法

補瀉 3 『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の補法

補瀉 4 『黄帝内経霊枢』官能萹(7)の補法

補瀉 5 『黄帝内経霊枢』邪客萹(71)の補法

補瀉 6 『黄帝内経霊枢』小鍼解篇(3)の補法

補瀉 7 『黄帝内経霊枢』邪気蔵府病形篇(4)の補法

補瀉 8  『黄帝内経素問』刺志論(53)の補法

補瀉 9  『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の瀉法

補瀉 10 『黄帝内経霊枢』小鍼解萹(3)の瀉法

補瀉 11 『黄帝内経素問』八正神明論(26)の瀉法

補瀉 12 『黄帝内経素問』調経論(62)の瀉法

補瀉 13 『黄帝内経素問』刺志論(53)の瀉法

補瀉 14 『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の瀉法

補瀉 15 『黄帝内経』の補法まとめ

補瀉 16 『黄帝内経』の瀉法まとめ

補瀉 17 『難経』71難における補瀉

補瀉 18 『難経』76難における補瀉

補瀉 19 『難経』76難における補瀉の続き

補瀉 20 『難経』78難における補瀉

補瀉 21 『難経』79難における補瀉

補瀉 22 『難経』における補瀉まとめ

補瀉 23    孫思邈(そんしばく 541~682)の『備急千金要方』『千金翼方』の補瀉

補瀉 24   金代、何若愚 撰『子午流注鍼経』における補瀉

補瀉 25     金代、竇漢卿『針経指南』における補瀉

補瀉 26     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉

補瀉 27     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その2

補瀉 28   明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その3

補瀉 29     明代、李梃『医学入門(1575)』における補瀉

補瀉 30   明代、高武『鍼灸聚英(1529)』における補瀉

補瀉 31   現代中医学における補瀉

補瀉 32     日本における補瀉の受容

補瀉 33    『針道秘訣集』における補瀉

補瀉 34    『杉山真伝流』における補瀉 1

補瀉 35  『杉山真伝流』における補瀉 2

補瀉 36     永田徳本(1513?-1630?)『鍼灸極秘伝』『徳本多賀流針穴秘伝』の補瀉

補瀉 37   『杉山流三部書』における補瀉 

補瀉 38     岩田利斉『鍼灸要法』における補瀉

補瀉 39    岡本一抱『鍼灸抜萃大成』における補瀉 

補瀉 40    本郷正豊『鍼灸重宝記』における補瀉 

補瀉 41  菅沼周桂(1706-1764)『鍼灸則』における補瀉 

補瀉 42  石坂宗哲(1770-1841)『鍼灸茗話』における補瀉 

補瀉 43  坂井豊作(1815-1878)『鍼術秘要』における補瀉 

補瀉 44   澤田流における補瀉 

補瀉 45  柳谷素霊先生、経絡治療学会における補瀉 

補瀉 46 北辰会における補瀉

補瀉 47 北辰会における補瀉 2

補瀉 48 北辰会における補瀉 3

補瀉 49 北辰会における補瀉 4

補瀉 50 「補瀉」総まとめ

 

 

以上です。

 

 

いやー、よく書いたわー(*‘∀‘)

 

 

なんでこんなに書いているんだろうか。

 

 

・・・もはや、よく分からん。

 

 

 

何が何だか、分からん。(笑)

 

 

 

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補瀉 50

2016.04.23

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これまでのお話・・・

 

 

補瀉 1 補瀉の定義と『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の補法 

補瀉 2 『黄帝内経素問』調経論(62)の補法

補瀉 3 『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の補法

補瀉 4 『黄帝内経霊枢』官能萹(7)の補法

補瀉 5 『黄帝内経霊枢』邪客萹(71)の補法

補瀉 6 『黄帝内経霊枢』小鍼解篇(3)の補法

補瀉 7 『黄帝内経霊枢』邪気蔵府病形篇(4)の補法

補瀉 8  『黄帝内経素問』刺志論(53)の補法

補瀉 9  『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の瀉法

補瀉 10 『黄帝内経霊枢』小鍼解萹(3)の瀉法

補瀉 11 『黄帝内経素問』八正神明論(26)の瀉法

補瀉 12 『黄帝内経素問』調経論(62)の瀉法

補瀉 13 『黄帝内経素問』刺志論(53)の瀉法

補瀉 14 『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の瀉法

補瀉 15 『黄帝内経』の補法まとめ

補瀉 16 『黄帝内経』の瀉法まとめ

補瀉 17 『難経』71難における補瀉

補瀉 18 『難経』76難における補瀉

補瀉 19 『難経』76難における補瀉の続き

補瀉 20 『難経』78難における補瀉

補瀉 21 『難経』79難における補瀉

補瀉 22 『難経』における補瀉まとめ

補瀉 23    孫思邈(そんしばく 541~682)の『備急千金要方』『千金翼方』の補瀉

補瀉 24   金代、何若愚 撰『子午流注鍼経』における補瀉

補瀉 25     金代、竇漢卿『針経指南』における補瀉

補瀉 26     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉

補瀉 27     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その2

補瀉 28   明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その3

補瀉 29     明代、李梃『医学入門(1575)』における補瀉

補瀉 30   明代、高武『鍼灸聚英(1529)』における補瀉

補瀉 31   現代中医学における補瀉

補瀉 32     日本における補瀉の受容

補瀉 33    『針道秘訣集』における補瀉

補瀉 34    『杉山真伝流』における補瀉 1

補瀉 35  『杉山真伝流』における補瀉 2

補瀉 36     永田徳本(1513?-1630?)『鍼灸極秘伝』『徳本多賀流針穴秘伝』の補瀉

補瀉 37   『杉山流三部書』における補瀉 

補瀉 38     岩田利斉『鍼灸要法』における補瀉

補瀉 39    岡本一抱『鍼灸抜萃大成』における補瀉 

補瀉 40    本郷正豊『鍼灸重宝記』における補瀉 

補瀉 41  菅沼周桂(1706-1764)『鍼灸則』における補瀉 

補瀉 42  石坂宗哲(1770-1841)『鍼灸茗話』における補瀉 

補瀉 43  坂井豊作(1815-1878)『鍼術秘要』における補瀉 

補瀉 44   澤田流における補瀉 

補瀉 45  柳谷素霊先生、経絡治療学会における補瀉 

補瀉 46 北辰会における補瀉

補瀉 47 北辰会における補瀉 2

補瀉 48 北辰会における補瀉 3

補瀉 49 北辰会における補瀉 4           参照

 

 

では続きいきます!!

 

 

いやー、何気に、清明院ブログの最長シリーズとなりました。

 

(まあでも、それに相応しいテーマだったと思います。)

 

 

ここまで長かったですが、書いている方としては、メチャクチャ楽しかったんで、体感時間としては一瞬でした。(笑)

 

(一般の読者の方々には難しくてしんどかったでしょうけども。。。(苦笑))

 

 

このシリーズを書く中で、色々知らなかったことを知りました。

 

 

鍼を打つときの考えが少し変わりました。

 

 

それがたいへん大きな収穫でした。

 

 

ちょうど50回で終わるというのも、キリが良過ぎてコワい。(笑)

 

 

 

 

まあ何度も言うように、僕にとって、治療において、鍼というのは「気」を動かすのにたいへん有利な道具です。

 

 

もう少しかみ砕いて言えば、経穴に正気を集めたり、邪気を散らしたりして、結果的に経絡の流れを正常化し、結果的に五臓六腑の機能を賦活化し、

 

結果的に患者さんの「治る力」を最大化する、つまり正気の働きを高める、便利な道具です。

 

 

で、それをする時の実際の手法が「補瀉」なのであります。

 

 

つまり、歴代の多くの医家が言うように、「補瀉」を突き詰めて考えることは、鍼灸という道具を使いこなす、技術論の究極を考えることです。

 

 

そして、「補瀉」するにあたっての条件となる「虚実」を突き詰めて考えることは、鍼灸の病理論の究極を考えることでもあります。

 

 

こうやって突き詰めて突き詰めて、鍼するにあたっての自分自身の考え(根本思想)をキッチリ作って、鍛えて鍛えて、

 

十分に鍛えて、あとはそれに基づいて、ひたすら毎日工夫しながら、臨床実践をやっていくだけです。

 

 

死ぬまで、ネ。

 

 

◆「補瀉」総まとめ

 

 

私は北辰会の講師をさせていただいておりますし、清明院での治療方式は、かなり忠実な北辰会方式(のつもり)ですので、

 

「補瀉」に関しても、当然北辰会の考え方でやっております。

 

 

ただ、今回補瀉に関して、日本と中国の歴代重要文献をツラーッと通覧させていただいて、思うこと(というか気付いたこと)がいくつかあります。

 

 

一つは、「迎隨」という言葉に対する理解についてです。

 

 

「迎随の補瀉」というと、経絡の流注に逆らって刺すのが”迎”であり瀉法、経絡の流注に沿って刺すのが”随”であり補法、

 

という『難経』72難の、解釈本に出てくる考え方が、現代の日本では非常に多いのですが、その解釈はあまりにも形式的で、

 

僕はそうではないように思います。

 

 

「迎随の補瀉」は、あくまでも患者さんの気の動きをしっかりと感じながら、その正気と邪気の動きを、変に力ずくで押さえ込まないように、

 

補瀉を成功させるのを「迎隨」というのだと思います。

 

補瀉 3 参照

 補瀉 14 参照

 

 

そしてこれは、鍼灸治療であれ手技療法であれ、問診であれ体表観察であれ、人間関係であれ、すべてに共通する

 

「”気の動かし方”の究極的な話し」

 

だと思うし、それが”迎隨”の、本来の意味なのだと思います。

 

 

つまり、”迎隨”の感覚が分からない、あるいは下手な人は、どんな治療であれ下手、ということです。

 

 

残念ながら。

 

 

鍼の聖典『黄帝内経霊枢』の筆頭である九鍼十二原(1)に、

 

「迎而奪之、悪得無虚。追而済之、悪得無実。迎之随之、以意和之、鍼道畢矣。」

 

(補瀉迎隨が意のままに分かれば、鍼の道は終わるよ~~!)

 

ザックリ意訳 by 竹下

 

 

と書いてあることの意味は、極めて深いと思います。

 

 

もう一つは、「気の内外の移動」についてです。

 

 

補法と言うと、”補う”と書くため、人体の外から何か術者のパワーを入れ込むようなイメージを持つ場合がありますが、

 

そうではなく、あくまでも「人体の中における気の移動、正気の集中」というイメージでもって、正気を集めることが重要だと思います。

 

 

瀉法もしかりで、人体から邪気を引きずり出すのではなく、あくまで人体の”中で”散っていってもらう、そういう意識が重要だと思います。

 

 

しかしその一方で、人間は自然界に充満する「気」が凝集した存在である、という理解に立つと、人体の浅い部分から深い部分に気を誘導すると、

 

気が集まりやすくなり(補法)、反対に深い部分から浅い部分に気を誘導すると、気が散りやすくなる(瀉法)という側面も、あると思います。

 

補瀉 18 参照

 

 

提挿の補瀉や、杉山流の雀啄術などは、この現象を利用して、結果的に周囲の気を集めたり散らしたりしているのだと思います。

 

 

ただ、ここ(内外の気の移動)を変にカン違いして、

 

「俺の正気を患者に分け与えよう!(患者の体に入れ込む、注入する)」

 

とか、

 

「この患者から邪気を吸い取ってあげよう!(術者が吸収する)」

 

とか、そういう考えでやると、大体治療者が病気になります。(笑)

 

 

毎日毎日、重い病気の患者さんばっかり来るのに、そんなことやってたら、命がいくつあっても足りません。(笑)

 

 

ここは北辰会でも、非常に厳しく戒めているところです。

 

 

まあしかし、実はそういう考え方もないではないのです。

 

 

それについても、機会があったら書きましょう。

 

(怪しいヤツね。(゜レ゜))

 

 

そうやって変に作為的にやるのではなく、鍼灸という道具を「上手に」使って、「無理なく」気を操作し、結果的に「治る力」「無駄なく」活かしきる、

 

これが本来の鍼灸治療だと思っています。

 

(まあこの考え方が、「治る力を活かす」という、清明院のキャッチコピーになる訳です。(笑))

 

 

今回、認識を深めたのは上記の二点。

 

(細かいこと言えばまだまだあるけど、ちょっと複雑なんで省きます☆)

 

あとはこれを、徹底的に臨床で追試していくのみです。

 

 

さーて、補瀉シリーズは以上です。

 

 

いかがでしたでしょうか。(笑)

 

 

あまりにも長くなったし、しかも専門的になってしまったので、あとで目次と参考文献を載せておきます。

 

 

 

続く

 

 

 

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補瀉 49

2016.04.22

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これまでのお話・・・

 

 

補瀉 1 補瀉の定義と『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の補法 

補瀉 2 『黄帝内経素問』調経論(62)の補法

補瀉 3 『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の補法

補瀉 4 『黄帝内経霊枢』官能萹(7)の補法

補瀉 5 『黄帝内経霊枢』邪客萹(71)の補法

補瀉 6 『黄帝内経霊枢』小鍼解篇(3)の補法

補瀉 7 『黄帝内経霊枢』邪気蔵府病形篇(4)の補法

補瀉 8  『黄帝内経素問』刺志論(53)の補法

補瀉 9  『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の瀉法

補瀉 10 『黄帝内経霊枢』小鍼解萹(3)の瀉法

補瀉 11 『黄帝内経素問』八正神明論(26)の瀉法

補瀉 12 『黄帝内経素問』調経論(62)の瀉法

補瀉 13 『黄帝内経素問』刺志論(53)の瀉法

補瀉 14 『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の瀉法

補瀉 15 『黄帝内経』の補法まとめ

補瀉 16 『黄帝内経』の瀉法まとめ

補瀉 17 『難経』71難における補瀉

補瀉 18 『難経』76難における補瀉

補瀉 19 『難経』76難における補瀉の続き

補瀉 20 『難経』78難における補瀉

補瀉 21 『難経』79難における補瀉

補瀉 22 『難経』における補瀉まとめ

補瀉 23    孫思邈(そんしばく 541~682)の『備急千金要方』『千金翼方』の補瀉

補瀉 24   金代、何若愚 撰『子午流注鍼経』における補瀉

補瀉 25     金代、竇漢卿『針経指南』における補瀉

補瀉 26     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉

補瀉 27     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その2

補瀉 28   明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その3

補瀉 29     明代、李梃『医学入門(1575)』における補瀉

補瀉 30   明代、高武『鍼灸聚英(1529)』における補瀉

補瀉 31   現代中医学における補瀉

補瀉 32     日本における補瀉の受容

補瀉 33    『針道秘訣集』における補瀉

補瀉 34    『杉山真伝流』における補瀉 1

補瀉 35  『杉山真伝流』における補瀉 2

補瀉 36     永田徳本(1513?-1630?)『鍼灸極秘伝』『徳本多賀流針穴秘伝』の補瀉

補瀉 37   『杉山流三部書』における補瀉 

補瀉 38     岩田利斉『鍼灸要法』における補瀉

補瀉 39    岡本一抱『鍼灸抜萃大成』における補瀉 

補瀉 40    本郷正豊『鍼灸重宝記』における補瀉 

補瀉 41  菅沼周桂(1706-1764)『鍼灸則』における補瀉 

補瀉 42  石坂宗哲(1770-1841)『鍼灸茗話』における補瀉 

補瀉 43  坂井豊作(1815-1878)『鍼術秘要』における補瀉 

補瀉 44   澤田流における補瀉 

補瀉 45  柳谷素霊先生、経絡治療学会における補瀉 

補瀉 46 北辰会における補瀉

補瀉 47 北辰会における補瀉 2

補瀉 48 北辰会における補瀉 3          参照

 

 

では続きいきます!!

 

 

◆北辰会の補瀉は、何故ほとんど手技を使わないのか その3(練達自然と無為自然)

 

 

前回、北辰会がほとんど補瀉手技を使わないのは、老子の「無為自然」という考え方に基づいている面がある、というお話をしました。

 

 

しかし、鍼灸治療においての「無為自然」というのは、素人が、ただ何も考えず、ワケも分からずする、という意味ではありません。

 

 

徹底的で的確な診察診断(四診)と、徹底的な学術の鍛錬、修行を踏まえた上で、「無為」を志向しよう、ということなのです。

 

 

ですから老子ではなく荘子の言う「練達自然」を踏まえての、「無為自然」です。

 

 

修行、練習を十分にやった上での自然、これを「練達自然」と言います。

 

(因みに練達自然については、『荘子』養生主篇 第三の庖丁のお話を参照してください。)

 

 

荘子についてはこのブログでも以前紹介しました。

 

「荘子」という人物

『荘子』の渾沌のお話   参照

 

 

ここを変にカン違いして、

 

「北辰会の鍼は手技を使わないから、手指の不器用な俺に向いてるわーー(*‘∀‘)」

 

とか、浅薄かつ短絡的に考えた人は、まあドボンです。(笑)

 

 

失敗のマザーです。(笑)

 

 

結末は見えていると言ってもいい。(゜レ゜)

 

 

蓮風先生は常々、

 

「鍼をするには指の力が重要なんだ!」 

 

と仰り、弟子と指での押し合いをよくやっています。

 

 

また過去には、 ”硬物通し”と言って、堅いものを捻鍼で貫く練習を重ね、ついには鹿の頭蓋骨を刺し抜いたという逸話もあります。

 

 

このように、十二分に修行したうえでの「無為自然」なのであって、ただ適当にやるのとはワケが違います。

 

 

ですので、鍼を練習し始めたら、まずは今生体に気が集まっているのか散っているのか、そういう「鍼先の感覚」というものをしっかりと認識できるようになることがまず第一歩で、

 

次に、捻鍼や雀啄を加えるとそれがどうなるか、とか、そういう練習を重ねることが重要で、そこで身に付いたものは、決して無意味ではありません。

 

 

むしろ非常に大事なことです。

 

 

今年の関東支部の実力強化合宿「順雪会」でも、硬物通しの練習をしました。

 

 

こういうことを大事にする姿勢を忘れないことは、非常に大事です。

 

 

蓮風先生や、北辰会のそれ以外の幹部の先生方の臨床を見ていても、刺鍼後に微妙に手技を加えている場合は、実際にあります。

 

 

もちろん理想は「無為自然」であるけれども、臨床ではどんな場合であっても、そうやって気の動きを絶妙に調整(補瀉)することが出来るかどうか、

 

これが重要なのです。

 

 

ただその手技を加える際(瞬間)に、作為的にやるのではなく「体が勝手にそう動いた」、その結果として、気が正しく動いた、

 

そういう世界に至ることが重要なんだと思います。

 

 

鍼に限らず、多くの、その道のプロ、一流の仕事というのは、そういうものだと思います。

 

 

簡単ですが、北辰会の補瀉は以上です。

 

(医易学的な補瀉に関しては、長くなるんで、そのうち気が向いたら書きましょう。)

 

 

・・・まあ、臨床家は結果責任、どんな美辞麗句、理想論を述べたとしても、治せなかったらそれは単に「ヘタ」だっちゅうことです。

 

 

蓮風先生のお父様である和風先生が、よく仰っていたそうです。

 

「治せる者が医者なんだ、治せない者は医者ではない。治せないなら、医者を辞めた方が人助けだ。」

 

と。

 

(キビシー( ゚Д゚))

 

 

 

 

さて、いよいよこの補瀉に関して、私なりの、今現在における考え、結論を述べて終わりたいと思います。

 

 

 

続く

 

 

 

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補瀉 48

2016.04.21

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これまでのお話・・・

 

 

補瀉 1 補瀉の定義と『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の補法 

補瀉 2 『黄帝内経素問』調経論(62)の補法

補瀉 3 『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の補法

補瀉 4 『黄帝内経霊枢』官能萹(7)の補法

補瀉 5 『黄帝内経霊枢』邪客萹(71)の補法

補瀉 6 『黄帝内経霊枢』小鍼解篇(3)の補法

補瀉 7 『黄帝内経霊枢』邪気蔵府病形篇(4)の補法

補瀉 8  『黄帝内経素問』刺志論(53)の補法

補瀉 9  『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の瀉法

補瀉 10 『黄帝内経霊枢』小鍼解萹(3)の瀉法

補瀉 11 『黄帝内経素問』八正神明論(26)の瀉法

補瀉 12 『黄帝内経素問』調経論(62)の瀉法

補瀉 13 『黄帝内経素問』刺志論(53)の瀉法

補瀉 14 『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の瀉法

補瀉 15 『黄帝内経』の補法まとめ

補瀉 16 『黄帝内経』の瀉法まとめ

補瀉 17 『難経』71難における補瀉

補瀉 18 『難経』76難における補瀉

補瀉 19 『難経』76難における補瀉の続き

補瀉 20 『難経』78難における補瀉

補瀉 21 『難経』79難における補瀉

補瀉 22 『難経』における補瀉まとめ

補瀉 23    孫思邈(そんしばく 541~682)の『備急千金要方』『千金翼方』の補瀉

補瀉 24   金代、何若愚 撰『子午流注鍼経』における補瀉

補瀉 25     金代、竇漢卿『針経指南』における補瀉

補瀉 26     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉

補瀉 27     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その2

補瀉 28   明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その3

補瀉 29     明代、李梃『医学入門(1575)』における補瀉

補瀉 30   明代、高武『鍼灸聚英(1529)』における補瀉

補瀉 31   現代中医学における補瀉

補瀉 32     日本における補瀉の受容

補瀉 33    『針道秘訣集』における補瀉

補瀉 34    『杉山真伝流』における補瀉 1

補瀉 35  『杉山真伝流』における補瀉 2

補瀉 36     永田徳本(1513?-1630?)『鍼灸極秘伝』『徳本多賀流針穴秘伝』の補瀉

補瀉 37   『杉山流三部書』における補瀉 

補瀉 38     岩田利斉『鍼灸要法』における補瀉

補瀉 39    岡本一抱『鍼灸抜萃大成』における補瀉 

補瀉 40    本郷正豊『鍼灸重宝記』における補瀉 

補瀉 41  菅沼周桂(1706-1764)『鍼灸則』における補瀉 

補瀉 42  石坂宗哲(1770-1841)『鍼灸茗話』における補瀉 

補瀉 43  坂井豊作(1815-1878)『鍼術秘要』における補瀉 

補瀉 44   澤田流における補瀉 

補瀉 45  柳谷素霊先生、経絡治療学会における補瀉 

補瀉 46 北辰会における補瀉

補瀉 47 北辰会における補瀉 2          参照

 

 

では続きいきます!!

 

 

◆北辰会の補瀉は、何故ほとんど手技を使わないのか その2(無為自然)

 

 

補瀉という考え方は、『黄帝内経』の中に貫かれ、数千年に渡る鍼灸医学の中にずーっと貫かれていると言っていい、とても重要な考え方です。

 

 

蓮風先生もかつては、この考え方の淵源は、「孫子の兵法」で有名な『孫子』の虚実萹がもとになっているのだと認識しておられたようです。

 

孫子の兵法 参照

 

 

すなわち、戦(いくさ)です。

 

 

病を、邪気と正気の戦ととらえ、

 

正気を集める、すなわち味方の兵を集めて援軍を送るのが補法、

 

邪気を散らす、すなわち敵軍を積極的に蹴散らすのが瀉法、

 

という考え方です。

 

 

これにも、もちろん一理ありますし、このことは、北辰会が少数鍼治療であることの理由でもあります。

 

(鍼をたくさん打って、むやみに戦線を広げずに、一極集中で確実に勝っていく方法、という意味で。)

 

 

しかし、諸子百家の勉強を進める中で、『老子』77章に、

 

「天の道は余り有るを損じて、而して足らざるを補う。」 

 

とあることに、思うところがあったそうです。

 

 

蓮風先生はこのように、東洋医学は人間学であるから、鍼を持つ者は、あらゆる宗教、哲学、諸子百家思想に、人間理解の論理を学ぶべきだ、

 

と、若い頃から繰り返し説いています。

 

 

老子の思想の根幹部分は何と言っても「無為自然」です。

 

「老子」という人物 参照

 

 

『老子』37章にこうあります。

 

 「道常無為、而無不為」

 

(道(タオ)は常に何事もなさないが、それでいて全てを成し遂げている)

 

「道教」って何ですか?(その16)

「道家思想(どうかしそう)」って何ですか?  参照

 

 

東洋医学は、「整体観」といって、人体も含めて、この自然(宇宙)は完璧に整った統一体である、という考えに基づいています。

 

「整体観」って何ですか? 参照

 

 

人間が生理的で健康な状態、というのは、完璧に整った状態、完成品と定義しているわけです。

 

 

そして、その完璧なバランスが崩れてしまっているのが、我々の言う「病」であるわけで、もともと完璧な統一体(整体)であるからこそ、

 

そこには「治る力(正気)」が備わっている訳なので、鍼灸や漢方薬で「気」を動かし、崩れた人体のバランスを整える(完璧に近づける)ことで、

 

その「治る力」を最大化せしめるのが「治療」なのだ、という考えなのです。

 

 

そして、もともと完璧な自然、整体である人体の「治る力」をより最大化するには、あまり人為的で、作為に満ちた鍼をするよりも、

 

自然に逆らわないように、作為を排した、無為自然的な鍼をした方が、より大きな気の動きを得ることが出来るのではないか、

 

と考えるに至ったようです。

 

 

これが、現在では手技をほとんど使わない、大きな理由の2つ目。

 

 

ただ、無為自然というのは、ただ何も考えずにボケーッと鍼をすることではないし、北辰会は、補瀉における手技を全く否定しているわけでもない。

 

 

 

その話を次回。

 

 

 

続く

 

 

 

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補瀉 47

2016.04.20

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これまでのお話・・・

 

 

補瀉 1 補瀉の定義と『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の補法 

補瀉 2 『黄帝内経素問』調経論(62)の補法

補瀉 3 『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の補法

補瀉 4 『黄帝内経霊枢』官能萹(7)の補法

補瀉 5 『黄帝内経霊枢』邪客萹(71)の補法

補瀉 6 『黄帝内経霊枢』小鍼解篇(3)の補法

補瀉 7 『黄帝内経霊枢』邪気蔵府病形篇(4)の補法

補瀉 8  『黄帝内経素問』刺志論(53)の補法

補瀉 9  『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の瀉法

補瀉 10 『黄帝内経霊枢』小鍼解萹(3)の瀉法

補瀉 11 『黄帝内経素問』八正神明論(26)の瀉法

補瀉 12 『黄帝内経素問』調経論(62)の瀉法

補瀉 13 『黄帝内経素問』刺志論(53)の瀉法

補瀉 14 『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の瀉法

補瀉 15 『黄帝内経』の補法まとめ

補瀉 16 『黄帝内経』の瀉法まとめ

補瀉 17 『難経』71難における補瀉

補瀉 18 『難経』76難における補瀉

補瀉 19 『難経』76難における補瀉の続き

補瀉 20 『難経』78難における補瀉

補瀉 21 『難経』79難における補瀉

補瀉 22 『難経』における補瀉まとめ

補瀉 23    孫思邈(そんしばく 541~682)の『備急千金要方』『千金翼方』の補瀉

補瀉 24   金代、何若愚 撰『子午流注鍼経』における補瀉

補瀉 25     金代、竇漢卿『針経指南』における補瀉

補瀉 26     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉

補瀉 27     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その2

補瀉 28   明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その3

補瀉 29     明代、李梃『医学入門(1575)』における補瀉

補瀉 30   明代、高武『鍼灸聚英(1529)』における補瀉

補瀉 31   現代中医学における補瀉

補瀉 32     日本における補瀉の受容

補瀉 33    『針道秘訣集』における補瀉

補瀉 34    『杉山真伝流』における補瀉 1

補瀉 35  『杉山真伝流』における補瀉 2

補瀉 36     永田徳本(1513?-1630?)『鍼灸極秘伝』『徳本多賀流針穴秘伝』の補瀉

補瀉 37   『杉山流三部書』における補瀉 

補瀉 38     岩田利斉『鍼灸要法』における補瀉

補瀉 39    岡本一抱『鍼灸抜萃大成』における補瀉 

補瀉 40    本郷正豊『鍼灸重宝記』における補瀉 

補瀉 41  菅沼周桂(1706-1764)『鍼灸則』における補瀉 

補瀉 42  石坂宗哲(1770-1841)『鍼灸茗話』における補瀉 

補瀉 43  坂井豊作(1815-1878)『鍼術秘要』における補瀉 

補瀉 44   澤田流における補瀉 

補瀉 45  柳谷素霊先生、経絡治療学会における補瀉 

補瀉 46 北辰会における補瀉           参照

 

 

 

では続きいきます!!

 

 

戦後、様々な鍼灸学校が全国に設立されるとともに、様々な流派が日本国内に起こって来た中の一つが、現在私がお世話になっている、北辰会であります。

 

 

 北辰会がいかなる流派であるかについては、北辰会のオフィシャルHPに簡明に書かれていますので、そちらを参照いただくとして、

 

北辰会も当然、これまで書いてきた「補瀉」については整理された考えを持っており、それは会内の教科書にキチッとまとめられています。

 

(一社)北辰会HP 参照

 

 

そのザックリとした概要は、前回述べました。

 

 

現代日本の様々な流派、それぞれが補瀉を論じている中で、北辰会の補瀉は、補瀉するにあたって、手技をほとんど使わない、

 

というのが際立って特徴的だろうと思います。

 

 

北辰会方式の治療と言えば、1時間以上に渡る、長くて詳細な問診と、全身くまなく診る、精密な体表観察。

 

 

そして、わずか一本、あるいはせいぜい2、3本での、少数鍼治療。

 

 

それで得られる、劇的な良性変化や、西洋医学も不得手とするような難病に対する、高い治療成果。

 

 

これが有名でしょう。

 

 

しかし、その一本の鍼に対して、これまで述べてきたように、捻ったり、雀啄したりということは、ほとんどしません。

 

 

・・・これ、なぜか。

 

 

これは大事な内容なので、今日から、何回かに分けて、これが何でなのか、というお話をします。

 

 

◆術者間でのバラつきの問題、定量化の問題

 

 

北辰会は医学理論と医学用語のベースを「中医学」に置いています。

 

東洋医学と中医学 参照

 

 

以前も紹介したように、中医学では実に複雑な補瀉手技を、たくさんたくさん、紹介しています。

 

補瀉 31   参照

 

 

北辰会も、過去にはこういう複雑な補瀉手技もしっかりと追試したようですし、実際にそれなりに効果があるということも確認しているそうです。

 

(数十年前の話ですね。)

 

 

ここで問題になるのは、手技による補瀉を、より効果的にやろうと、どんどん追求していくと、術者によって効果のバラつきが大きくなります。

 

 

指先の感覚のいい者、指先の器用な者ほど、補瀉手技がうまくなります。

 

 

そうすると徐々に、

 

「補瀉手技テクニック追求集団」

 

になっていくきらいがありますね。

 

 

北辰会の目標は、 一人の名人を作ることではなく、名人に限りなく近い鍼灸医をたくさん育てることです。

 

 

なぜならば、その方が結果的に多くの患者さんを救えるからです。

 

 

上手いやつが、超絶手技を見せつけて圧倒したところで、誰も応援してくれません。

 

 

寄り添ってくれません。

 

 

結果的にフォロアーは減り、その流儀で救える患者さんの数は減ります。

 

 

この考え方に基づき、刺鍼においては、あまり手技は使わず、その代わり、望聞問切の四診による診断を限りなく精緻にして、

 

会員間で出来るだけ理論的に共有できる形にし、治療穴を極限まで絞り込み、厳選した一穴に対して丁寧に刺鍼をし、

 

一定時間置鍼する、という、診断の精緻さを極限まで高め、刺鍼については極限までシンプルにする、という方法を採用しているのです。

 

 

こうすることにより、術者間での治療効果のバラつきを極力少なくし、診断結果と経穴の状態に合わせた「刺入深度」「置鍼時間」「目的意識」といった形で、

 

北辰会方式を学んだ者同士で、治療を出来るだけ定量化することが出来る、と考えています。

 

 

 

これがまず重要な一つ。

 

 

 

続く

 

 

 

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補瀉 46

2016.04.16

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補瀉 2 『黄帝内経素問』調経論(62)の補法

補瀉 3 『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の補法

補瀉 4 『黄帝内経霊枢』官能萹(7)の補法

補瀉 5 『黄帝内経霊枢』邪客萹(71)の補法

補瀉 6 『黄帝内経霊枢』小鍼解篇(3)の補法

補瀉 7 『黄帝内経霊枢』邪気蔵府病形篇(4)の補法

補瀉 8  『黄帝内経素問』刺志論(53)の補法

補瀉 9  『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の瀉法

補瀉 10 『黄帝内経霊枢』小鍼解萹(3)の瀉法

補瀉 11 『黄帝内経素問』八正神明論(26)の瀉法

補瀉 12 『黄帝内経素問』調経論(62)の瀉法

補瀉 13 『黄帝内経素問』刺志論(53)の瀉法

補瀉 14 『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の瀉法

補瀉 15 『黄帝内経』の補法まとめ

補瀉 16 『黄帝内経』の瀉法まとめ

補瀉 17 『難経』71難における補瀉

補瀉 18 『難経』76難における補瀉

補瀉 19 『難経』76難における補瀉の続き

補瀉 20 『難経』78難における補瀉

補瀉 21 『難経』79難における補瀉

補瀉 22 『難経』における補瀉まとめ

補瀉 23    孫思邈(そんしばく 541~682)の『備急千金要方』『千金翼方』の補瀉

補瀉 24   金代、何若愚 撰『子午流注鍼経』における補瀉

補瀉 25     金代、竇漢卿『針経指南』における補瀉

補瀉 26     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉

補瀉 27     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その2

補瀉 28   明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その3

補瀉 29     明代、李梃『医学入門(1575)』における補瀉

補瀉 30   明代、高武『鍼灸聚英(1529)』における補瀉

補瀉 31   現代中医学における補瀉

補瀉 32     日本における補瀉の受容

補瀉 33    『針道秘訣集』における補瀉

補瀉 34    『杉山真伝流』における補瀉 1

補瀉 35  『杉山真伝流』における補瀉 2

補瀉 36     永田徳本(1513?-1630?)『鍼灸極秘伝』『徳本多賀流針穴秘伝』の補瀉

補瀉 37   『杉山流三部書』における補瀉 

補瀉 38     岩田利斉『鍼灸要法』における補瀉

補瀉 39    岡本一抱『鍼灸抜萃大成』における補瀉 

補瀉 40    本郷正豊『鍼灸重宝記』における補瀉 

補瀉 41  菅沼周桂(1706-1764)『鍼灸則』における補瀉 

補瀉 42  石坂宗哲(1770-1841)『鍼灸茗話』における補瀉 

補瀉 43  坂井豊作(1815-1878)『鍼術秘要』における補瀉 

補瀉 44   澤田流における補瀉 

補瀉 45  柳谷素霊先生、経絡治療学会における補瀉     参照

 

 

では続きいきます!!

 

 

昭和に入り、澤田健先生によって起こった澤田流柳谷素霊先生によって起こった経絡治療学会、そして、幕末、明治から続く、

 

鍼灸医学を現代の西洋医学の論理で説明しようとする学派(いわゆる現代医学派)、これらの大きな流れは、その後の鍼灸界に大きな影響を与えていきます。

 

 

しかしそんな中、大東亜戦争、そして敗戦によって、日本の鍼灸界は再び受難します。

 

 

敗戦後、GHQによって、再び鍼灸を廃止する動きが起こりました。

 

 

理由は以下の4つです。

 

1.視覚障がい者による治療が行われている。

2.消毒の観念が定着していない。

3.医療としての教育制度が整備されていない。

4.治療効果の科学的根拠が証明されていない。

 

 

その時も、当時の全国の先生方が一丸となって東奔西走して、1947年(昭和22年)、どうにか制度的廃止を食い止めた歴史があります。

 

 

GHQが鍼灸を廃止しようとした理由の一つに、

 

「医療としての教育制度が整備されていない」

 

というものがあり、鍼灸の教育制度を整えることは急務であり、昭和30年代以降、徐々に徐々に、全国に鍼灸学校が増え続けました。

 

 

私が現在講義させていただいている東洋鍼灸専門学校も、柳谷素霊先生が創立した学校であり、私が卒業した、渋谷にある花田学園の創立者である花田傳先生も、

 

もともとは柳谷先生のお弟子さん(というか仲間)でした。

 

(年齢は花田先生の方が10歳くらい上のようです)

 

 

そう考えると、何やら縁のようなものを感じますね。

 

 

因みに、柳谷先生は、藤本蓮風先生のお父様である藤本和風先生にも、一度会っているそうです。

 

(出雲の鍼灸師会の勉強会に柳谷先生が見えて、モデル患者を治療したそうです。その主催者サイドだったのが和風先生。実にワクワクする顔合わせですね。)

 

 

まあともかく、そういった流れの中で、戦後、様々な鍼灸学校の設立とともに、様々な流派、学派、研究会が全国に誕生していきます。

 

 

大きく見れば、その中の一つが、現在私がお世話になっている、北辰会であるわけです。

 

 

◆北辰会における「補瀉」

 

 

北辰会では、このブログで長々と語ってきたこの「補瀉」という問題について、 その教科書である『北辰会方式 理論編』の中で、

 

”補瀉と刺鍼”という章を設けて、約30ページに渡って解説しています。

 

 

その中で、補法と瀉法を

 

「補法は気血が虚ろになっている部分に気血を充実させる方法。瀉法は気血や邪気が欝滞しているところを散らし巡らせ、

 

場合によっては気化させる方法。」

 

と定義し、さらに”医易学的な補瀉の解釈”を紹介したうえで、補瀉が単純なプラスマイナスではないことを説明し、

 

実際の臨床事実から、補法よりも瀉法の重要性、また、補法をした結果、瀉法的に働くことや、その逆の例もあることから、

 

補瀉に関して、単純な二者択一的な判定が出来ないケースもある、ということを述べています。

 

(医易学については、壮大なテーマですが、いつか語りましょう。)

 

 

そして、いくら瀉法が重要であると言っても、瀉法の目的は、邪気を散らすことによって正気を守ることなのである、

 

という部分をポイントとして強調しています。

 

 

つまり補瀉の目的は、正気(治る力)を高めることにあるのです。

 

 

また北辰会では、中医学や、他の流派が述べているような複雑な補瀉手技については、もちろん過去に理解、追試した歴史的経緯はあるにせよ、

 

現在では補瀉するにあたって、ほとんどと言っていいほど手技を使わない、という結論に至っています。

 

 

この辺の話をして、いよいよまとめましょう。

 

 

 

続く

 

 

 

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補瀉 45

2016.04.14

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これまでのお話・・・

 

 

補瀉 1 補瀉の定義と『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の補法 

補瀉 2 『黄帝内経素問』調経論(62)の補法

補瀉 3 『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の補法

補瀉 4 『黄帝内経霊枢』官能萹(7)の補法

補瀉 5 『黄帝内経霊枢』邪客萹(71)の補法

補瀉 6 『黄帝内経霊枢』小鍼解篇(3)の補法

補瀉 7 『黄帝内経霊枢』邪気蔵府病形篇(4)の補法

補瀉 8  『黄帝内経素問』刺志論(53)の補法

補瀉 9  『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の瀉法

補瀉 10 『黄帝内経霊枢』小鍼解萹(3)の瀉法

補瀉 11 『黄帝内経素問』八正神明論(26)の瀉法

補瀉 12 『黄帝内経素問』調経論(62)の瀉法

補瀉 13 『黄帝内経素問』刺志論(53)の瀉法

補瀉 14 『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の瀉法

補瀉 15 『黄帝内経』の補法まとめ

補瀉 16 『黄帝内経』の瀉法まとめ

補瀉 17 『難経』71難における補瀉

補瀉 18 『難経』76難における補瀉

補瀉 19 『難経』76難における補瀉の続き

補瀉 20 『難経』78難における補瀉

補瀉 21 『難経』79難における補瀉

補瀉 22 『難経』における補瀉まとめ

補瀉 23    孫思邈(そんしばく 541~682)の『備急千金要方』『千金翼方』の補瀉

補瀉 24   金代、何若愚 撰『子午流注鍼経』における補瀉

補瀉 25     金代、竇漢卿『針経指南』における補瀉

補瀉 26     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉

補瀉 27     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その2

補瀉 28   明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その3

補瀉 29     明代、李梃『医学入門(1575)』における補瀉

補瀉 30   明代、高武『鍼灸聚英(1529)』における補瀉

補瀉 31   現代中医学における補瀉

補瀉 32     日本における補瀉の受容

補瀉 33    『針道秘訣集』における補瀉

補瀉 34    『杉山真伝流』における補瀉 1

補瀉 35  『杉山真伝流』における補瀉 2

補瀉 36     永田徳本(1513?-1630?)『鍼灸極秘伝』『徳本多賀流針穴秘伝』の補瀉

補瀉 37   『杉山流三部書』における補瀉 

補瀉 38     岩田利斉『鍼灸要法』における補瀉

補瀉 39    岡本一抱『鍼灸抜萃大成』における補瀉 

補瀉 40    本郷正豊『鍼灸重宝記』における補瀉 

補瀉 41  菅沼周桂(1706-1764)『鍼灸則』における補瀉 

補瀉 42  石坂宗哲(1770-1841)『鍼灸茗話』における補瀉 

補瀉 43  坂井豊作(1815-1878)『鍼術秘要』における補瀉 

補瀉 44   澤田流における補瀉            参照

 

 

では続きいきます!!

 

 

明治時代に受難にあった東洋医学は、国内全体としては存続の危機を迎えつつも、力強く臨床を続けた先人たち、また何より、

 

それを熱心に支持した患者さん達の支持によって、命脈を保ってきました。

 

 

そして、昭和の時代に入って、

 

「本来の古典的な考え方に基づく、東洋医学本来の鍼灸治療を復活させよう!!」

 

という動きが高まり、昨日紹介した澤田健先生と、もう一人、私が現在講義させていただいている東洋鍼灸専門学校を作った、

 

柳谷素霊先生が登場します。

 

 

この二人の先生は、我々北辰会の代表である藤本蓮風先生にも、多大な影響を与えている二人と言っていいと思います。

 

 

◆柳谷素霊先生、そして経絡治療学会における補瀉 

 

 

柳谷素霊先生(1906~1959)は、昭和2年(1927年)に、この業界では非常に有名な言葉である「古典に還れ」というメッセージを強く叫んで、

 

臨床、教育、研究、古典書籍の出版等々、膨大な仕事をしました。

 

(本人が言った言葉ではないという説あり。どーでもいいが。(笑))

 

 

柳谷先生の著書の中に『補瀉論集』という本があり、その中に、江戸期の様々な先生による「補瀉」に関する考え方が紹介してあります。

 

 

その冒頭(第一章)に、

 

「補は正気を補うのであり、瀉は邪気を排除するのである。」

 

と述べ、

 

「鍼灸によって与える刺激の”緩急劇易”こそ、補瀉手技を解明する手がかりであると考える。」

 

と述べています。

 

 

そして、当時、柳谷先生のもとに集まった有力な弟子たちがのちに組織した「経絡治療学会」という学派は、現在の日本の鍼灸界でも、

 

非常に大きなプレゼンスを示しています。

 

 

僕が鍼灸学校に通っていた頃も、学校の有力な先生の中には経絡治療学会の先生が何人かいらして、クラスメイトの何人かは、

 

学校の勉強の延長のような感じで、当たり前のように経絡治療の勉強会に参加していました。

 

 

その学派の考え方を持った学校教員が多いということは、当然そうやってフォロアーも増えますから、その分業界に与える影響も大きくなります。

 

(反対勢力、対抗勢力の存在も含めて。)

 

 

経絡治療学会の前身である「新人弥生会」が発足したのが昭和14年(1939年)ですから、現在、2016年までの約80年の歴史が、

 

この業界に与えた影響は計りしれません。

 

 

因みに、現在も使われている経絡治療学会の教科書である『日本鍼灸医学 基礎編』には、補瀉の基本として、

 

徐疾の補瀉、強弱の補瀉、開闔の補瀉

 

について述べ、実際の手法として、

 

鍼の材質や長さ、迎随、深浅、呼吸、徐疾、開闔、前柔、後柔、捻転、揺動など

 

の手技を挙げ、気が至ったら(効果が出たら)抜鍼する、と説いています。

 

 

なるほど、基本的な内容であり、これまでこのシリーズに書いてきたことを、標準的に網羅したような内容なんですが、

 

要はこの”気が至る(効果が出た)”、つまり、適切な補瀉がなされたかどうか、ということを、どうやって判断するか、

 

そして、そう判断できる根拠はなにか、というのが、最も重要なポイントじゃないかな、と思います。

 

 

続く

 

 

 

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